野菜 野菜分野の各種業務の情報、情報誌「野菜情報」の記事、統計資料など

ホーム > 野菜 > 野菜の情報 > 第40回 野菜需給情報等交換会、開催報告

機構から 野菜情報 2026年1月号

第40回 野菜需給情報等交換会、開催報告

印刷ページ
野菜業務部  管理課
 機構が事務局を務める野菜需給情報等交換会が、去る10月3日に開催されました。当日の議論概要について、以下にご紹介します。
なお、議事および配付資料一覧はこちらからご覧いただけます。

1 ブロッコリーの指定野菜追加、令和8年度予算概算要求額について

 農林水産省から、近年、ブロッコリー(写真1)の出荷量が増加傾向にあることを踏まえ、国民への安定供給の確保に向けて計画的な生産・出荷を確実に進めるために、ブロッコリーが令和8年度から、消費量が多く国民生活に欠かせない重要な野菜として国が定める「指定野菜」に追加されることや、指定野菜価格安定対策事業におけるブロッコリーに関する手続などについての説明がありました。
 
タイトル: p074b

2 令和7年度における緊急需給調整事業の実施について

 機構から、令和7年の指定野菜の卸売価格について説明しました(図)。3月まで多くの品目で高値が続きましたが、5月以降は残量が多く後続産地からの出荷が重なったことから価格が下落しました。夏場は特に果菜類が猛暑の影響で出荷数量が伸びず、品薄感から価格が高騰しました。
 令和7年度は、レタス、はくさいで緊急需給調整事業を実施しました(令和7年9月末時点)。レタスは、4月から夏場にかけて生育が順調であったこと、はくさいは、4月以降、適度な温度と降雨により生育が進み、春作が増量したことなどから価格が下落し、市場隔離、産地調整を実施しました。
 また、フードバンクなどを通じて、産地調整の対象となった野菜を子ども食堂、児童福祉施設、パントリー活動団体へ無償提供する取り組みを支援しました。
 
タイトル: p075

3 需給に係る各業界の動向についての意見交換

(1)生産者団体から、秋冬野菜の出荷計画の概要についての説明がありました。夏の高温や干ばつの影響により発芽不良や生育停滞が見られたため、多くの品目において、必要入荷量に対して出荷計画量が少ない状況にあるとの報告がありました。
 
(2)スーパーマーケットなどの小売団体から、野菜の販売に関する動向は、高温、干ばつの影響により一部高値の品目もあるが、現在は全体的に落ち着いており、販売数量は底堅く推移していること、食品全体に関しては、客単価や客数は下落している一方で、仕入れ値、物流費、人件費などが高騰している状況で、競争が厳しいため小売価格に全額は転嫁できていない状況との報告がありました。物流に関しては、研究会を発足させて課題解決に向けた協議を行っていると情報共有がありました。
 
(3)流通団体から、8~10月にかけての野菜の流通に関する報告がありました。7月以降は、高温、干ばつの影響により野菜価格が高値基調で推移し、8月中旬以降は、猛暑の影響が顕在化し、相場の上昇が目立ちました。8月後半は、高温、干ばつの影響により北海道のばれいしょ、たまねぎは小玉傾向で、降雨による収穫遅れなどにより入荷が少なく、9月に入るとたまねぎは今年一番の高値となり、輸入量は、前年の倍近くとなりました。野菜全般の10月の出荷量は、平年並み若しくは少ないと予想しているとの報告がありました。
 
(4)惣菜などを扱う食品団体から、商品を少なくとも4~5カ月は同じ価格で販売しており、仕入れ価格が大幅に変動しても小売価格に反映できずに売り損をするため、国産原料の調達を推進するに当たり、日本全国から年間を通して安定供給ができるような体制があれば、国産野菜を取り扱いやすくなるという意見がありました。
 
(5)青果物の流通・加工に関わる団体から、夏の高温でたまねぎが大幅な減収となったため、むき玉ねぎを扱うに当たり、国産のサイズが小さく対応しきれないとの報告がありました。これに対し、農林水産省から、現在は輸入品に頼らざるを得ない状況になっているが、主要な野菜の各産地では、供給力を上げるために高温耐性のある品種に変えたり、栽培体系をずらすなどの取り組みをしているという情報共有がありました。
 
(6)座長代理から、野菜の安定供給について、必要入荷量に対する入荷量が1割減少すると価格にかなり大きな影響を与えることや、収穫予想システムを用いた情報共有と行動調整が安定供給の上で大切になってくるという意見がありました。これに対し、生産者団体からは、必要入荷量と出荷計画量の開きが大きいことに対して問題意識を持っており、1)地域に合った品目の選定などを行い産地リレーをつなげる体制を構築していること、2)高温耐性の品種の試験を進めていること、3)一時保管が可能な物流拠点を持ちながら産地と連携し、相場の乱高下を抑える仕組みづくりに取り組んでいること―について情報共有がありました。

4 加工・業務用野菜のシェアが増加する中での各業界の課題・工夫についての意見交換

(1)ZEROCO株式会社から、温度約0度・湿度100%弱の環境下で食品の温度を安定的に保つことで、生鮮食品の鮮度を保ったまま長期間保存することができ、またZEROCOを予備冷却装置として使用することで、ドリップなどの冷凍変性を防ぐことができる技術の概要について紹介がありました(写真2)。
 
(2)野菜の小売専門業者加盟団体から、たまねぎが小玉となる中で、苦労しながらも何らかの形で調達し、顧客に納品している状況との報告がありました。できる限り国産原料を使いたいので、来年に向けて高温対策などを行い、国産品の安定供給をお願いしたいとの意見がありました。
 
(3)消費者団体から、野菜価格の変動に振り回されていると感じており、業界全体として安定供給、安定価格を目指してもらいたいとの意見がありました。ブロッコリーの指定野菜への追加ついては、消費者として、規格がより厳格となり、規格外品や訳あり品が手に入らなくなるのではないかと心配に思う部分もあるとの意見がありました。
 
(4)食育団体から、国民健康・栄養調査において国民平均の野菜摂取量が、国の目標に100グラム程度達していないことについて、達成できない背景には、消費者が野菜を買い控えしてしまうことがあり、安定供給をしていくことが国民全体の健康に関わってくるということを痛感したとの発言がありました。
 
タイトル: p077