このような指定野菜の価格推移の影響を受け、令和5年度の指定野菜価格安定対策事業の価格差補給交付金等の交付額は81億5517万円(前年比87.8%)、交付率(資金造成額に占める交付額の割合)は7.5%と、6年ぶりに100億円を下回った前年度をさらに下回りました(図1)。
品目別の交付状況は、レタスが29億 519万円(前年度比103.8%、交付割合35.6%)で最も多く、次いでトマトが26億8270万円(同139.9%、32.9%)、キャベツが8億3723万円(同52.6%、10.3%)と3品目で約8割を占めています。(図2、表1)。
レタスの交付額が多かった要因としては、8月、9月に消費地が気温高で需要が伸びなかったことなどから安値となり、交付率は23.5%となりました。次いで交付額が多かったトマトについては、着果や肥大が回復した栃木産、千葉産、愛知産、熊本産などの入荷量が増加傾向となったことなどにより12月末から市場で滞留が見られ、2月中旬頃まで前年度比、平年比で安値となり、交付率は12.4%となりました。
また、キャベツについても、1月、2月に温暖な気候であったことから、生育が前進したことや大玉傾向となったため、比較的安値となり、交付率は6.3%となりました。
全品目を通して前年度と比べると、ピーマン、きゅうり、トマトなどの果菜類が冬場に安値となった影響で交付額が増えたものの、年間を通じて高値の野菜価格を反映した交付額となりました。
次に、道府県別の交付状況は、冬春トマトなどへの交付が多かった熊本県の20億4809万円(前年比131.9%、交付率16.0%)、夏秋レタスなどへの交付が多かった長野県の11億9876万円(同72.3%、16.6%)を筆頭に、冬キャベツ、冬春トマトなどへの交付が多かった愛知県の6億9347万円(同131.2%、10.2%)、夏秋キャベツ、夏秋レタスなどへの交付があった群馬県の6億4581万円(同47.2%、7.1%)の順で、上位4県で交付額の半分以上を占める結果となっています。(図3、表2)。
以上、令和5年度指定野菜価格安定対策事業における価格差補給交付金等の交付額は、1年を通じて高値傾向であった野菜価格を背景に、約82億円と過去10年で2番目に低い水準となりました。
生産者への価格差補給交付金等の交付により、生産者の経営安定と野菜生産の安定が確保され、ひいては、消費者への指定野菜の安定供給が確保されています。機構では、今後とも、速やかな価格差補給交付金等の交付など本事業の的確な運営に努力してまいります。