このような指定野菜の価格推移の影響を受け、令和4年度の指定野菜価格安定対策事業の価格差補給交付金等の交付額は92億9044万円(前年比58.1%)、交付率(資金造成額に占める交付額の割合)は8.3%と、平成28年度以降6年ぶりに100億円を下回りました(図1)。
品目別の交付状況は、レタスが27億9773万円(前年度比86.5%、交付割合30.1%)で最も多く、次いでトマトが19億1729万円(同69.6%、20.6%)、キャベツが15億9123万円(同72.4%、17.1%)と3品目で約7割を占めています。(図2、表1)。
レタスの交付額が多かった要因としては、1年を通じて安定した生育となった中、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大防止のための行動自粛により外食需要が低迷したこともあり、特に夏場と年末に価格が低くなり、交付率は21.7%となりました。次いで交付額が多かったトマトについては、特に熊本県産の1~2月に出荷されたものへの交付が多く、交付率は8.7%となりました。
また、キャベツについても、特に8月、9月に価格が低迷した影響が大きく交付率は11.8%となりました。
前年度と比べると、夏秋キャベツ、夏はくさいなどの一部の品目では安値により交付額が増えたものの、全体としては年間を通じた堅調な野菜価格を反映した交付額となりました。
次に、道府県別の交付状況は、(1)夏秋レタスなどへの交付が多かった長野県の16億5876万円(前年度比105.3%、交付率23.0%)を筆頭に、(2)冬春トマトなどへの交付が多かった熊本県の15億5293万円(同77.1%、12.1%)、(3)夏秋キャベツなどへの交付が多かった群馬県の13億6944万円(同114.2%、14.8%)の順で、上位3県で交付額の約半分を占める結果となっています(図3、表2)。
以上、令和4年度指定野菜価格安定対策事業における価格差補給交付金等の交付額は、総じて堅調な野菜価格を背景に、約93億円と過去10年で4番目に低い水準となりました。
生産者への価格差補給交付金等の交付により、生産者の経営安定と野菜生産の安定が確保され、ひいては消費者への指定野菜の安定供給が確保されています。機構では、今後とも速やかな価格差補給交付金等の交付など、本事業の的確な運営に努力してまいります。