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機構から 野菜情報 2023年9月号

令和4年度指定野菜価格安定対策事業における価格差補給交付金等の交付状況について

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野菜業務部 交付業務課

【ポイント】

1 令和4年度指定野菜価格安定対策事業の価格差補給交付金等の交付額は、92億9044万円(前年比58.1%)で、6年ぶ りに100億円を下回った。
2 品目別には、(1)レタス27億9773万円(前年比86.5%)、(2)トマト19億1729万円(同69.6%)、(3)キャベツ15億9123万円(同72.4%)の順で、上位3品目で全体の約7割を占めた。
3 道府県別には、(1)長野県16億5876万円(前年比105.3%)、(2)熊本県15億5293万円(同77.1%)、(3)群馬県13億6944万円(同114.2%)の順で、上位3県で全体の約半分を占めた。

1 はじめに

 野菜は国民の食生活に欠くことのできない食料品ですが、天候により豊作、不作の差が大きい上に日持ちしないものが多いため、価格が短期間に大きく変動するという特性を有しています。このため、当機構では、キャベツ、トマトなど消費量が多く重要な野菜14品目を対象として指定野菜価格安定対策事業を実施しています。この事業は、国、都道府県の区域を単位として設立された野菜価格安定法人、生産者の3者があらかじめ資金を積み立てておき、これらの野菜の市場価格が低落した場合に生産者が次年度以降も安定した生産を継続できるよう、低落の幅に応じた価格差補給交付金等を生産者に交付するものです。
 この度、令和4年度事業の対象野菜の出荷期間が終了しましたので、当該年度における価格差補給交付金等の交付状況について報告します。

2 気象概況と東京都中央卸売市場における価格の状況

 令和4年度の野菜の価格を概観すると、冬の低温・干ばつの影響を受け、春先は高値の品目が多く、夏には主産地における大雨・長雨の影響から根菜類が高値となるなど、夏場の葉茎菜類で安値となった以外は総じて堅調に推移しました。
 具体的には、だいこんが、主産地の低温や大雨などにより春から夏まで高値となりました。また、たまねぎについても、前年度の北海道の不作による市場の不足感から引き合いが強く、今年度も夏頃まで高値の影響が残りました。
 一方、年度の後半は、秋の好天の影響で生育が良好となった葉茎菜類を中心とした一部の品目で一時的に平年を下回ったものの、指定野菜全体としては平年並みか平年を上回る価格で推移しました。

3 価格差補給交付金等の交付状況

 このような指定野菜の価格推移の影響を受け、令和4年度の指定野菜価格安定対策事業の価格差補給交付金等の交付額は92億9044万円(前年比58.1%)、交付率(資金造成額に占める交付額の割合)は8.3%と、平成28年度以降6年ぶりに100億円を下回りました(図1)。

タイトル: p075

 品目別の交付状況は、レタスが27億9773万円(前年度比86.5%、交付割合30.1%)で最も多く、次いでトマトが19億1729万円(同69.6%、20.6%)、キャベツが15億9123万円(同72.4%、17.1%)と3品目で約7割を占めています。(図2、表1)。
 レタスの交付額が多かった要因としては、1年を通じて安定した生育となった中、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大防止のための行動自粛により外食需要が低迷したこともあり、特に夏場と年末に価格が低くなり、交付率は21.7%となりました。次いで交付額が多かったトマトについては、特に熊本県産の1~2月に出荷されたものへの交付が多く、交付率は8.7%となりました。
 また、キャベツについても、特に8月、9月に価格が低迷した影響が大きく交付率は11.8%となりました。
 前年度と比べると、夏秋キャベツ、夏はくさいなどの一部の品目では安値により交付額が増えたものの、全体としては年間を通じた堅調な野菜価格を反映した交付額となりました。

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タイトル: p077

 次に、道府県別の交付状況は、(1)夏秋レタスなどへの交付が多かった長野県の16億5876万円(前年度比105.3%、交付率23.0%)を筆頭に、(2)冬春トマトなどへの交付が多かった熊本県の15億5293万円(同77.1%、12.1%)、(3)夏秋キャベツなどへの交付が多かった群馬県の13億6944万円(同114.2%、14.8%)の順で、上位3県で交付額の約半分を占める結果となっています(図3、表2)。

 以上、令和4年度指定野菜価格安定対策事業における価格差補給交付金等の交付額は、総じて堅調な野菜価格を背景に、約93億円と過去10年で4番目に低い水準となりました。
 生産者への価格差補給交付金等の交付により、生産者の経営安定と野菜生産の安定が確保され、ひいては消費者への指定野菜の安定供給が確保されています。機構では、今後とも速やかな価格差補給交付金等の交付など、本事業の的確な運営に努力してまいります。

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