このように、令和3年度の指定野菜の価格差補給交付金は、野菜価格が多くの品目で平年をやや下回った影響を受け、159億8772万円(前年比85.4%)、交付率(資金造成額に占める交付額の割合)は14.3%となっています(図1)。
品目別の交付状況は、レタスが32億3305万円(前年比55.4%、交付割合20.2%)で最も多く、次いでトマトが27億5437万円(同59.7%、17.2%)、にんじんが22億1952万円(同427.8%、13.9%)、キャベツが21億9775万円(同90.7%、13.7%)、きゅうりが21億5135万円(同199.5%、13.5%)の順になっています(図2、表1)。
レタスの交付額が多かった要因としては、1年を通じて安定した生育となった中、COVID-19の感染拡大防止の影響により業務用需要が減少し価格を押し下げたことが挙げられ、交付率は24.2%となりました。次いで交付額が多かったトマトも日照に恵まれた冬春トマトが特に順調な生育となり、特に主産地である熊本産が潤沢な入荷量だったことに加え、業務用需要が減少し価格が低水準で推移したため、交付率12.7%となりました。
令和3年度の野菜価格が全般的に平年をやや下回って推移したため、年間を通じて特定の品目や季節に偏らず、多くの種類の野菜に交付されました。
次に、道府県別の交付状況は、(1)冬春トマトなどへの交付が多かった熊本県の20億1351万円(前年比59.4%、交付率15.9%)を筆頭に、(2)夏秋レタスなどへの交付が多かった長野県の15億7492万円(同96.6%、22%)、(3)冬キャベツ、冬にんじん、秋冬だいこんなどの冬野菜への交付が多かった千葉県の13億1504万円(同131.1%、16.1%)(4)夏秋キャベツなどへの交付が多かった群馬県の11億9879万円(同162.5%、13.2%)、(5)レタスや秋冬はくさいなどへの交付が多かった茨城県の11億9548万円(同102.5%、30.1%)の順となっています(図3、表2)。
以上、令和3度指定野菜価格安定事業における価格差補給交付金等の交付額は約160億円と、秋冬野菜の価格低迷が続いた昨年度には及ばないものの、過去10年で4番目の高い水準となりました。この生産者への価格差補給交付金等の交付により、生産者の経営安定と野菜生産の安定が確保され、ひいては、消費者への指定野菜の安定供給が確保されています。機構では、今後とも、速やかな価格差補給交付金等の交付など本事業の的確な運営に努力してまいります。