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機構から 野菜情報 2022年9月号

令和3年度指定野菜価格安定対策事業における価格差補給交付金等の交付状況について

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野菜業務部

【ポイント】

1 令和3年度指定野菜価格安定対策事業の価格差補給交付金等の交付額は、159億8815万円(前年比85.4%)で、直近10年で4番目の水準となった。
2 品目別には、1)レタス32億3305万円(前年比55.4%)、2)トマト27億5437万円(同59.7%)、3)にんじん22億1952万円(同427.8%)、4)キャベツ21億9775万円(同90.7%)、5)きゅうり21億5135万円(同199.5%)の順で、上位5品目で全体の約8割を占める。
3 道府県別には、1)熊本県20億1351万円(前年比59.4%)、2)長野県15億7492万円(同96.6%)、3)千葉県13億1504万円(同131.1%)、4)群馬県11億9879万円(同162.5%)、5)茨城県11億9548万円(同102.5%)の順で、上位5道県で全体の約半分を占める。

1 はじめに

 野菜は国民の食生活に欠くことのできない食料品ですが、天候により豊作、不作の差が大きい上に日持ちしないものが多いため、価格が短期間に大きく変動するという特性を有しています。このため、当機構では、キャベツ、トマトなど消費量が多く重要な野菜14品目を対象として指定野菜価格安定対策事業を実施しています。この事業は、あらかじめ国、都道府県の区域を単位として設立された野菜価格安定法人および生産者が資金を積み立てておき、これら野菜の市場価格が低落した場合に生産者が次年度以降も安定した生産を継続できるよう、低落の幅に応じた価格差補給交付金等を生産者に交付するものです。
 この度、令和3年度事業の対象野菜の出荷期間が終了しましたので、当該年度における価格差補給交付金等の交付状況について報告します。

2 気象概況と東京都中央卸売市場における価格の状況

 令和3年度の野菜の価格を概観すると、9月に全国的な干ばつの影響により葉茎菜類および果菜類で高くなったものの、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大防止のための外出自粛の影響による業務用需要の減少により、ばれいしょとたまねぎを除く多くの品目の価格が平年並みか平年をやや下回って推移しました。
 具体的には、春野菜は、温暖な天候と適度な降雨を背景に潤沢な出回り量となり、キャベツやはくさいなどの葉茎菜類の価格は平年をやや下回ったものの、果菜類は平年並みとなりました。
 夏秋野菜は、引き続き潤沢な入荷があったため、指定野菜全般の価格は平年を下回りました。9月には一時的に、7月の降雨、8月の寡照の影響により、特に果菜類を中心として高値となりましたが、その後、好天となったため、業務用需要の減少などから、一部の野菜を除いて晩秋まで安値となりました。
 秋冬野菜は、適度な降雨と日照に恵まれたことから安定した入荷量となったため、おおむね平年並みで推移しました。
 年間を通じて、ばれいしょは、北海道産の作付面積は前年並みであったものの高温、干ばつの影響で小玉傾向となり、品不足となったことから、府県産の出回りのあった7月以外は高値で推移しました。
 また、たまねぎについても、府県産の出回りが終了した8月以降、平年比で2倍の高値になる月もあり、北海道産の不作の影響が大きくなりました。

3 価格差補給交付金等の交付状況

 このように、令和3年度の指定野菜の価格差補給交付金は、野菜価格が多くの品目で平年をやや下回った影響を受け、159億8772万円(前年比85.4%)、交付率(資金造成額に占める交付額の割合)は14.3%となっています(図1)。

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 品目別の交付状況は、レタスが32億3305万円(前年比55.4%、交付割合20.2%)で最も多く、次いでトマトが27億5437万円(同59.7%、17.2%)、にんじんが22億1952万円(同427.8%、13.9%)、キャベツが21億9775万円(同90.7%、13.7%)、きゅうりが21億5135万円(同199.5%、13.5%)の順になっています(図2、表1)。

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 レタスの交付額が多かった要因としては、1年を通じて安定した生育となった中、COVID-19の感染拡大防止の影響により業務用需要が減少し価格を押し下げたことが挙げられ、交付率は24.2%となりました。次いで交付額が多かったトマトも日照に恵まれた冬春トマトが特に順調な生育となり、特に主産地である熊本産が潤沢な入荷量だったことに加え、業務用需要が減少し価格が低水準で推移したため、交付率12.7%となりました。
 令和3年度の野菜価格が全般的に平年をやや下回って推移したため、年間を通じて特定の品目や季節に偏らず、多くの種類の野菜に交付されました。
 次に、道府県別の交付状況は、(1)冬春トマトなどへの交付が多かった熊本県の20億1351万円(前年比59.4%、交付率15.9%)を筆頭に、(2)夏秋レタスなどへの交付が多かった長野県の15億7492万円(同96.6%、22%)、(3)冬キャベツ、冬にんじん、秋冬だいこんなどの冬野菜への交付が多かった千葉県の13億1504万円(同131.1%、16.1%)(4)夏秋キャベツなどへの交付が多かった群馬県の11億9879万円(同162.5%、13.2%)、(5)レタスや秋冬はくさいなどへの交付が多かった茨城県の11億9548万円(同102.5%、30.1%)の順となっています(図3、表2)。

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 以上、令和3度指定野菜価格安定事業における価格差補給交付金等の交付額は約160億円と、秋冬野菜の価格低迷が続いた昨年度には及ばないものの、過去10年で4番目の高い水準となりました。この生産者への価格差補給交付金等の交付により、生産者の経営安定と野菜生産の安定が確保され、ひいては、消費者への指定野菜の安定供給が確保されています。機構では、今後とも、速やかな価格差補給交付金等の交付など本事業の的確な運営に努力してまいります。