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機構から 野菜情報 2022年2月号

令和2年度契約指定野菜安定供給事業、 契約野菜収入確保モデル事業、 特定野菜等供給産地育成価格差補給事業及び 緊急需給調整事業に係る交付状況について

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野菜振興部

【ポイント】

(契約指定野菜安定供給事業)
 令和2年度事業の交付金交付額は、秋冬野菜の安値の中で、過去最高の2億7179万円(交付率28%)となり、レタスが97%、トマト2%を占めた。タイプ別には、価格低落タイプ98%、出荷調整タイプが1.6%、数量確保タイプが0.4%を占めた。
(契約野菜収入確保モデル事業)
 令和2年度の交付金交付額は、前年度の3.7倍の3072万円(交付率6%)となり、価格高騰時対策の出荷促進タイプが94%を占めた。品目別には、キャベツが43%、ねぎ(青ねぎ)が21%、はくさいが13%、レタス(結球)が9%を占めた。
(特定野菜等供給産地育成事業)
1 令和2年度特定野菜等供給産地育成価格差補給事業の価格差補給交付金の交付額は、特定野菜事業8億2000万円(前年比81.8%)、指定野菜事業5億円(同87.9%)となった。
2 品目別には、特定野菜事業は、(1)ブロッコリー(2)みつば(3)ししとうがらし(4)こまつな(5)セルリーの順で、これら5品目で全体の約8割を占めた。指定野菜事業は、(1)冬春トマト(2)冬春トマト(ミニトマト)(3)春レタス(4)冬キャベツ(5)秋冬ねぎの順で、これら5品目で全体の約7割を占めた。
(緊急需給調整事業)
1 令和2年度緊急需給調整事業の実施状況は、たまねぎ、夏秋レタス、秋冬だいこん、秋冬はくさいについて平成18年度以来最大規模となる実施数量1万6506トン、交付額4億21万円、実施件数は8件だった。
2 需給調整の手法別には、たまねぎは産地調整(出荷の後送り)、夏秋レタスは市場隔離(土壌還元)、有効利用用途(フードバンクへの提供)、秋冬だいこんは産地調整(出荷の後送り)、秋冬はくさいは産地調整(出荷の後送り)、市場隔離(土壌還元)、有効利用用途(フードバンクへの提供)であった。

1 契約指定野菜安定供給事業の交付状況

 令和2年度事業の交付状況を見ると、秋冬野菜の安値を背景に過去最高の2億7179万円となった。特に価格低落タイプの冬レタスが長期間にわたって交付対象となったため、レタスの交付額は交付額全体の97%を占める2億6225万円となった。次いで、冬春トマトが583万円(同2%)となった。出荷調整タイプの交付金額については、夏秋レタスの出荷期間の後半に価格低落による出荷調整が行われたことなどにより423万円となった。数量確保タイプについては、春先の価格高騰時に供給量不足となった生産者に対して、108万円の交付金を交付した(表1、2)。

表1 契約指定野菜安定供給事業のタイプ別実績

表2 契約指定野菜安定供給事業の品目別実績

 都道府県別の交付金額を見ると、冬レタスの産地である静岡県が最も多い1億6729万円、同じく長崎県が4938万円、次いで夏秋レタスを主とした長野県が3121万円となった。

2 契約野菜収入確保モデル事業の交付状況

 令和2年度の交付金交付額は、前年度の3.7倍の3072万円となった(交付率6%)。タイプ別にみると、価格高騰時対策の出荷促進タイプが2901万円(交付率11%)と全体の94%を占め、秋冬野菜の価格が安値で推移したことを背景に秋冬野菜の申込みの多かった数量確保タイプは172万円(交付率1%)となった。価格低落時対策の出荷調整タイプの交付金の交付はなかった(図)。

図 契約野菜収入確保モデル事業のタイプ別交付実績の推移

 品目別に交付金額を見ると、キャベツの4~6月を対象出荷期間とする区分で最も多い1329万円が交付され、次いでねぎ(青ねぎ)の年間を通じた出荷に対して657万円、はくさいはキャベツと同じく春先の出荷期間に398万円が交付された(表3)。

表3 契約野菜収入確保モデル事業の品目別実績

 都道府県別の交付金額は、茨城県がキャベツ、レタス、はくさい、なすの4品目合計で851万円と最も多く、次いで青森県がキャベツ1品目で627万円、京都府がねぎ(青ねぎ)で434万円となった。

3 特定野菜等供給産地育成価格差補給事業の交付状況

(1)特定野菜事業
 令和2年度の価格差補給交付金は、しょうが、ふき、メロン、みょうがおよびわけぎを除く30品目について交付があり、交付総額は、前年度より1億8000万円減の8億2000万円(交付率5.7%)であった。このうち、機構が野菜価格安定法人に交付した価格差補給助成金は、3億4000万円(前年度比10.6%減)であった(表4)。

表4 令和2年度特定野菜等別事業実施状況(特定野菜事業)

 品目別交付額上位5品目は、ブロッコリー4億1992万円、みつば1億1771万円、ししとうがらし6064万円、こまつな5920万円、セルリー4093万円、上位5道府県は、愛知県1億8889万円、群馬県8196万円、徳島県7505万円、高知県6404万円、茨城県5056万円となった。
 対象品目・出荷期間別の交付額をみると、ブロッコリー(10~12月)2億4756万円が最も多く、次いでブロッコリー(1~3月)1億4581万円、みつば(9~12月)6805万円、ししとうがらし(11~12月)4535万円、みつば(1~3月)3828万円となった。

(2)指定野菜事業
 令和2年度の価格差補給交付金は、前年度より7000万円減の5億円(交付率11.0%)、このうち、機構から野菜価格安定法人に対して交付した価格差補給助成金は2億5000万円(前年度比12.0%減)であった(表5)。

表5 令和2年度特定野菜等別事業実施状況(指定野菜事業)

 交付額上位5種別は、冬春トマト1億2571万円、冬春トマト(ミニトマト)1億1765万円、春レタス3384万円、冬キャベツ3266万円、秋冬ねぎ2941万円、上位5都道府県別は、熊本県1億143万円、長崎県9469万円、徳島県3556万円、佐賀県2583万円、茨城県2407万円となった。
 対象種別・出荷期間別の交付額をみると、冬春トマト(1~2月)4867万円が最も多く、次いで冬春トマト(3~4月)4103万円、冬春トマト(ミニトマト)(11/21~12月)3930万円、冬春トマト(ミニトマト)(1~2月)3746万円、春レタス(4~5月)3384万円となった。

4 緊急需給調整事業の交付状況

 令和2年産のたまねぎ、夏秋レタス、秋冬野菜が安値で推移した中、国・出荷団体・産地・機構が緊密に連携し、価格の大幅な低落時において、平成18年度以来最大規模となるレタス、はくさいのフードバンクへの提供、だいこん、たまねぎ、はくさいの産地調整(出荷の後送り)などによる緊急需給調整事業(実施件数8件、実施数量1万6506トン、交付額4億21万円)を実施し、野菜の需給・価格の安定を図った。
 品目別の交付状況を見ると、たまねぎは、5月中下旬に佐賀県で1万804トンの産地調整(出荷の後送り)を実施し、2億8090万円を交付した。
 夏秋レタスは、7月上旬に長野県で226トンの市場隔離(土壌還元)と有効利用用途(フードバンクへの提供)を実施し、1111万円を交付した。このうち、有効利用用途については、フードバンク団体を通じて都内の社会福祉施設や生活困窮家庭などにレタスを提供した。 
 秋冬だいこんは、12月中下旬に千葉県で1574トンの産地調整(出荷の後送り)を実施し3147万円を交付するとともに、長崎県でも1141トンの産地調整(出荷の後送り)を実施し2281万円を交付した。さらに12月下旬に神奈川県で564トンの産地調整(出荷の後送り)を実施し1128万円を交付し、実施数量計3278トン、6557万円を交付した。
 秋冬はくさいは、12月中下旬に鹿児島県で901トンの産地調整(出荷の後送り)を実施し、1261万円を交付した。1月中下旬には、茨城県で405トンの産地調整(出荷の後送り)を実施し769万円を交付するとともに、鹿児島県でも892トンの市場隔離(土壌還元)と有効利用用途(フードバンクへの提供)を実施し2232万円を交付し、実施数量計2198トン、4263万円を交付した。このうち、有効利用用途については、フードバンク団体を通じて県内の子供食堂などにはくさいを提供した(表6)。

表6 令和2年度の緊急需給調整事業の実施状況

 なお、以下の各事業の交付状況などの詳細については、機構HPに掲載しているので、ご覧ください。
 
●契約指定野菜安定供給事業及び野菜収入確保モデル事業
 https://www.alic.go.jp/y-kanri/yagyomu03_000001_00236.html
●特定野菜等供給産地育成価格差補給事業
 https://www.alic.go.jp/y-kanri/yagyomu03_000001_00235.html
●緊急需給調整事業
 https://www.alic.go.jp/y-kanri/yagyomu03_000001_00237.html