このように、令和2年度の指定野菜の価格は、4月から8月を除き、ほぼ年間を通して平年を下回ったため、令和2年度事業の価格差補給交付金等の交付額は、年間を通じて価格が平年を下回った前年度に引き続き高い水準となり、187億2885万円(前年比97.0%、平成23~令和2年10年平均比151.1%)、交付率(資金造成額に占める交付額の割合)は16.6%となっています(図1)。
品目別の交付状況は、レタスが58億4078万円(前年比152.4%、交付割合31.2%)で最も多く、次いでトマトが46億1076万円(同146.2%、24.6%)、キャベツが24億2254万円(同96.7%、12.9%)、たまねぎが23億2218万円(同65.8%、12.4%)、きゅうりが10億7838万円(同220.6%、5.8%)の順になっています。これら上位5品目で交付額の約9割を占めます(図2、表1)。
レタスの交付額が多かった要因としては、9月以降好天となり、野菜全般が安定した生育になる中で、COVID-19の感染拡大防止の影響により業務用需要が減少し価格を押し下げたこと、また、茨城県、静岡県などの冬レタスの主産地でも、温暖な気候が続き、潤沢な出荷となったことに加え、業務用需要の減少から、冬レタスの出荷期間を通して価格が低水準で推移したことから、レタス全体の交付率は42.4%となりました。次いで交付額が多かったトマトも、秋から冬にかけての熊本県、愛知県、栃木県などの産地において好天に恵まれ、順調な生育となり、特に主産地である熊本県産が潤沢な入荷量だったことに加え、業務用需要が減少し価格が低水準で推移したことから、トマト全体の交付率は21.8%となりました。
品目別・出荷時期別(種別別)の交付状況をみると、冬春トマトの43億9592万円(前年比185.2%、交付率31.4%)を筆頭に、次いで冬レタスの37億2001万円(同170.5%、52.2%)、冬キャベツの23億5336万円(同117.8%、43.6%)、たまねぎの23億2218万円(同65.8%、20.7%)の順となっています(表1)。
次に、道府県別の交付状況は、(1)冬春トマトなどへの交付が多かった熊本県の33億9037万円(前年比165.0%、交付率27.1%)を筆頭に、(2)冬キャベツなどへの交付が多かった愛知県の17億2451万円(同141.1%、30.2%)、(3)夏秋レタスなどへの交付が多かった長野県の16億2984万円(同95.3%、23.2%)、(4)たまねぎなどへの交付が多かった北海道の15億1701万円(同42.9%、12.8%)、(5)冬レタスなどへの交付が多かった茨城県の11億6596万円(同179.9%、27.5%)の順となっています。これら上位5道県で交付額の約半分を占めています(図3、表2)。
以上、令和2年度指定野菜価格安定事業における価格差補給交付金等の交付額は約187億円と昨年度に続く高い水準となりましたが、この生産者への価格差補給交付金等の交付により、生産者の経営安定と野菜生産の安定が確保され、ひいては、消費者への指定野菜の安定供給が確保されています。機構では、今後とも、速やかな価格差補給交付金等の交付など本事業の的確な運営に努力してまいります。