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機構から (野菜情報 2020年9月号)


令和元年度指定野菜価格安定対策事業における価格差補給交付金等の交付状況について

野菜業務部 交付業務課

 1 令和元年度指定野菜価格安定対策事業の価格差補給交付金の交付額は、193億191万円(前年比122.8%、10年平均比169.0%)で、平成18年度(206円)以来の高い水準となった。
 2 品目別には、①レタス38億3320万円(前年比89.1%)、②たまねぎ35億3148万円(同19410.1%)、③トマト31億5312万円(同140.8%)、④キャベツ25億427万円(同108.9%)、⑤にんじん22億5638万円(同190.2%)の順で、上位5品目で全体の約8割を占める。
 3 道府県別には、①北海道35億3330万円(前年比1137.7%)、②熊本県20億5472万円(同105.4%)、③長野県17億988万円(同155.8%)、④愛知県12億2213万円(同120.4%)、⑤徳島県11億8639万円(同145.1%)の順で、上位5道県で全体の約半分を占める。

1 はじめに

野菜は国民の食生活に欠くことのできない食料品ですが、天候により豊作、不作の差が大きい上に日持ちしないものが多いため、価格が短期間に大きく変動するという特性を有しています。このため、当機構では、キャベツ、トマトなど消費量が多く重要な野菜14品目を対象として指定野菜価格安定対策事業を実施しています。この事業は、あらかじめ国、都道府県の区域を単位として設立された野菜価格安定法人、生産者が資金を積み立てておき、これら野菜の市場価格が低落した場合に生産者が次年度以降も安定した生産を継続できるよう、低落の幅に応じた価格差補給金交付金等を生産者に交付するものです。

この度、令和元年度事業の対象野菜の出荷期間が終了しましたので、当該年度における価格差補給交付金等の交付状況について報告します。

2 気象概況と東京都中央卸売市場における価格の状況

令和元年度の野菜の価格を概観すると、4月から6月までは適度な降雨と天候に恵まれ、生育が順調だったことから、ほぼ平年を下回って推移しました。その後、夏秋野菜は、生育期の低温や日照不足などの影響が多少あったものの、おおむね順調な生育で、10月の台風の浸水などの影響も少なく、暖冬で適度な降雨もあったことから、秋から冬の入荷量は潤沢で、価格は平年を下回って推移しました。3月下旬から4月にかけては新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大防止の外出自粛の影響により、業務用需要が落ち込み、価格が平年を下回った品目がある一方で、逆に家庭消費の需要増から、価格が平年を上回った品目があるなど、品目によって異なる状況となりました。

具体的には、春野菜は、暖冬と好天の影響により順調な生育で安定した入荷量となり、多くの品目で平年を下回って推移しました。

夏秋野菜は、生育期に低温や日照不足の影響を受けた果菜類が7月は、入荷量が少なめとなり、平年を上回ったものの、葉茎菜類、根菜類などは順調な入荷量で価格は平年を下回って推移しました。

秋冬野菜は、9月から10月にかけて発生した台風の影響により浸水などの被害が発生しましたが、蒔き直しなどの対策などを講じたこと、適度な降雨と暖冬により、秋冬野菜は、潤沢な入荷量で、価格は平年を下回って推移しました。

3月下旬から4月にかけては、COVID-19感染拡大防止の外出自粛の影響に伴う業務用需要の落ち込みにより、たまねぎなどの価格が平年を大きく下回りました。一方で、それまでの暖冬により出荷が前進化して入荷量が平年を下回ったキャベツやだいこんのほか、COVID-19感染拡大防止の外出自粛の影響により、家庭消費をはじめとした需要増がみられたはくさいなどの価格は平年を上回って推移しました。

3 価格差補給交付金等の交付状況

このように、令和元年度の野菜の価格は、3月下旬から4月にかけての一部品目を除き、ほぼ年間を通して平年を下回ったため、令和元年度事業の価格差補給交付金等の交付額は前年度を大きく上回る193億191万円(対前年比122.8%)、交付率(資金造成額に占める交付額の割合)は、16.9%と見込まれています(図1)。

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品目別の交付状況は、レタスが38億3320万円(交付割合19.9%)で最も多く、次いでたまねぎが35億3148万円(同18.3%)、トマトが31億5312万円(同16.3%)、キャベツが25億427万円(同13.0%)、にんじんが22億5638万円(同11.7%)の順になっています。これら上位5品目で交付額の約8割を占めています(図2)。

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レタスの交付額が多かった要因としては、5月以降は入荷量が安定し野菜全体が安値傾向となる中、夏秋レタスの産地では、日照時間に恵まれ生育が良好だったことから潤沢な入荷量となり、価格を押し下げたこと、また、冬レタスの主産地では、温暖な気候が続き、生育状況に恵まれて品質がよく潤沢な出荷となったことから年明けから価格が低水準で推移し、レタス全体の交付率は、27.1%となりました。

レタスに次いで交付額が多かったたまねぎをみると、年間を通して順調な生育となり特に産地である北海道産が潤沢な入荷量だったことに加え、COVID-19感染拡大防止の外出自粛の影響により、業務用需要が落ち込み価格が低水準で推移したことから、たまねぎ全体の交付率は31.0%となりました。

また、品目別・出荷時期別(種別別)の交付状況をみると、たまねぎの35億3148万円(交付率31.0%)を筆頭に、次いで冬春トマトの23億7328万円(同18.5%)、冬レタスの21億8225万円(同29.4%)、冬キャベツの19億9705万円(同35.4%)の順となっています(表1)。

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次に、道府県別の交付状況は、北海道が35億3330万円(たまねぎなど)、熊本県が20億5472万円(冬春トマトなど)、長野県が17億988万円(夏秋レタスなど)、愛知県が12億2213万円(冬キャベツなど)、徳島県が11億8639万円(春夏にんじんなど)の順となっています。これら上位5道県で交付額の約半分を占めています(図3、表2)。

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以上、令和元年度指定野菜価格安定事業における価格差補給交付金等の交付状況について紹介しましたが、この生産者への価格差補給交付金等の交付により野菜の安定的な生産が確保され、ひいては、消費者に対して国産野菜の安定的な供給が確保されています。機構では、今後とも、速やかな価格差補給交付金等の交付など本事業の的確な実施を図ってまいります。


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