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機構から (野菜情報 2019年8月号)


平成30年度指定野菜価格安定対策事業における価格差補給交付金等の交付状況について

野菜業務部 交付業務課

1 はじめに

野菜は国民の食生活に欠くことのできない食料品ですが、天候により豊作、不作の差が大きい上に日持ちしないものが多いため、価格が短期間に大きく変動するという特性を有しています。このため、当機構では、キャベツ、トマトなど消費量が多く重要な野菜14品目を対象として指定野菜価格安定対策事業を実施しています。この事業は、あらかじめ国、都道府県の区域を単位として設立された野菜価格安定法人、生産者が資金を積み立てておき、これら野菜の市場価格が低落した場合に生産者が次年度以降も安定した生産を継続できるよう、低落の幅に応じた価格差補給金を生産者に交付するものです。

この度、平成30年度事業の対象野菜の出荷期間が終了しましたので、当該年度における価格差補給交付金等の交付状況について報告します。

2 気象概況と東京都中央卸売市場における価格の状況

平成30年度の価格を概観すると、6月まではほぼ平年を下回って推移しました。7月から10月にかけては、高温・干ばつや台風などの影響により平年を上回って推移しましたが、秋以降は暖かい日が続き、再び平年を下回って推移しました。

具体的には、春野菜は、1月から2月の低温から一転して高温が続き暖かい日が多かったことから入荷量が増加するとともに、価格は多くの品目で平年を下回って推移しました。

夏秋野菜は、6月下旬から7月上旬にかけて発生した平成30年7月豪雨、9月に発生した北海道胆振東部地震、さらには度重なる台風や高温・干ばつの影響により、品不足や品質低下を招いたことから多くの品目で平年を下回る入荷量となり、価格は平年を上回って推移しました。

秋冬野菜は、年内は11月以降、暖冬傾向で推移したため、土物を除き多くの品目が平年を上回る入荷量で推移しました。年明け以降も暖冬傾向が続いたことに加え、消費の伸び悩みもみられたことから、価格は多くの品目で平年を下回って推移しました。

3 価格差補給交付金等の交付状況

このように、野菜の価格は7月以降の夏場から10月の秋の入りまでを除き年間を通して平年を下回ったため、平成30年度事業の価格差補給交付金等の交付金額は前年度を大きく上回る157億3637万円(対前年比134.3%)、交付率(資金造成額に占める交付金額の割合)は、13.7%と見込まれています(図1)。

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品目別の交付状況は、レタスが43億112万円(交付割合27.3%)で最も多く、次いでキャベツ23億2212万円(同14.8%)、トマト22億4002万円(同14.2%)、ばれいしょ15億3946万円(同9.8%)、だいこん12億9226万円(同8.3%)、にんじん11億8636万円(同7.5%)の順になっています。これら上位6品目で交付金額の約8割を占めています(図2、表1)。

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レタスの交付金額が多かった要因としては、夏場の天候不良による品質低下が価格を押し下げたこと、また、冬レタスの主産地では、温暖な気候が続き、生育状況に恵まれて品質がよく潤沢な出荷となったことから年明けから価格が低水準で推移したためです。次に交付金額が多かったキャベツをみると、冬の主産地において温暖な気候が続き、好天に恵まれ潤沢な出荷となったことから低水準で価格が推移したためです。

また、品目別・出荷時期別(種別別)の交付状況をみると、冬レタスの26億6754万円(交付率35.6%)を筆頭に、次いで冬春トマトの21億9727万円(同17.4)、冬キャベツの16億147万円(同27.9%)の順となっています(表1)。

次に、道府県別の交付状況は、熊本県が19億4954万円(冬春トマトなど)、長崎県が17億4366万円(ばれいしょなど)、千葉県が13億9444万円(春キャベツなど)、長野県が10億9777万円(夏秋レタスなど)、茨城県が10億2183万円(冬レタスなど)、愛知県が10億1483万円(冬キャベツなど)の順となっています。これら上位6県で交付金交付額の約半分を占めています(図3、表2)。

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以上、平成30年度指定野菜価格安定事業における価格差補給交付金等の交付状況について紹介しましたが、この生産者への価格差補給金の交付により野菜の安定的な生産が確保され、ひいては、消費者に対して国産野菜の安定的な供給が確保されています。機構では、今後とも、速やかな価格差補給金の交付など本事業の的確な実施を図ってまいります。


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