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機構から (野菜情報 2018年8月号)


平成29年度指定野菜価格安定対策事業における価格差補給交付金等の交付状況について

野菜業務部交付業務課

1 はじめに

野菜は、国民の食生活に欠くことのできない食料品ですが、天候により豊作、不作の差が大きい上に、日持ちしないものが多いため、価格が短期間に大きく変動するという特性を有しています。このため、当機構では、キャベツ、トマトなど消費量が多く重要な野菜14品目を対象として指定野菜価格安定事業を実施しています。この事業は、あらかじめ国、道府県、生産者が資金を積み立てておき、これら野菜の市場価格が低落した場合に、生産者が次年度以降も安定した生産を継続できるよう、生産者に低落の幅に応じた価格差補給金を交付するものです。

この度、平成29年度事業の対象野菜の出荷期間が終了しましたので、当該年度における価格差補給交付金等の交付状況について報告します。

2 気象概況と東京都中央卸売市場における価格の状況

平成29年度の状況を概観すると、10月まではほぼ平年並みまたは平年を下回って推移していましたが、10月の秋雨前線の停滞、台風の影響による長雨、日照不足の影響により、11月以降、野菜の価格は全般的に平年を上回って推移しました。

具体的には、春野菜は、4月の曇天などの天候不順があったものの、5月に入り好天が続いたことから、多くの品目で順調な生育となりました。価格は、葉茎菜類を中心に平年を下回って推移しました。

夏秋野菜は、6月下旬から気温が高く、主要な品目は順調な出荷であったことから、多くの品目で平年を下回って推移しました。8月に入ると、東日本を中心に日照不足に見舞われた影響もあり、葉茎菜類および果菜類を中心に価格は平年を上回って推移しましたが、9月中旬以降天候が回復したこともあり、価格は多くの品目で平年を下回って推移しました。

秋冬野菜は、10月中旬の台風の影響で、秋雨前線が停滞するなど長雨、日照不足により、主要品目の価格は、11月以降年明けまで平年を上回って推移しました。

3 価格差補給交付金等の交付状況

このように、野菜の価格は、11月以降は平年を上回って推移したものの、10月まで平年を下回ったため、平成29年度事業の価格差補給交付金等の交付額は前年度を上回る117億1829万円(対前年比177.2%)、交付率(=交付額/資金造成額)は、10.3%と見込まれています(図1)。

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品目別の交付状況は、レタスが30億1958万円(交付割合25.8%)で最も多く、次いで にんじん 21億3913万円(同18.3%)、キャベツ 14億7963万円(同12.6%)、トマト 13億8172万円(同11.8%)、たまねぎ 11億2275万円(同9.6%)、きゅうり 11億680万円(同9.4%)の順になっています。この上位6品目で交付額の87.5%を占めています(図2、表1)。

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レタスの交付額が多かった要因としては、春レタス、夏秋レタスの主産地で適度な降雨と天候に恵まれたことにより、順調な出荷となったことから、年明けから10月まで価格がおおむね低く、特に9月中旬から10月中旬は低水準で推移したためです。

同様に、交付額が多かったにんじんをみると、主産地である北海道の生育が概ね順調であったことから、7月から10月まで低水準で推移したためです。

また、交付率を品目別・出荷時期別(種別別)にみると、秋にんじんの87.0を筆頭に、次いで夏秋レタスの44.6、夏はくさいの31.7%、夏秋キャベツの27.6%の順となっています(表1)。

次に、道府県別の交付状況は、北海道が28億1815万円(たまねぎ、秋にんじんなど)、長野県が25億5169万円(夏秋レタス、夏はくさいなど)、群馬県が16億5462万円(夏秋キャベツ、夏秋レタスなど)、熊本県が9億7660万円(冬春トマトなど)の順となっています。この上位4道県で交付金交付額の68.3%を占めています(図3、表2)。

以上、平成29年度指定野菜価格安定事業における価格差補給交付金等の交付状況について紹介しましたが、この生産者への価格差補給金の交付により、野菜の安定的な生産が確保され、ひいては、消費者に対して国産野菜の安定的な供給が確保されています。機構では、今後とも、速やかな価格差補給金の交付など、本事業の的確な実施を図ってまいります。

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