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機構から (野菜情報 2017年8月号)


平成28年度指定野菜価格安定対策事業における価格差
補給交付金等の交付状況について

野菜業務部交付業務課


1 はじめに

野菜は、国民の食生活に欠くことのできない食品ですが、天候により豊作、不作の差が大きい上に、日持ちしないものが多いため、価格が短期間に大きく変動するという特性を有しています。このため、当機構では、キャベツ、トマトなど消費量が多く重要な野菜14品目を対象として指定野菜価格安定事業を実施しています。この事業は、あらかじめ国、道府県、生産者が資金を積み立てておき、これら野菜の市場価格が低落した場合に、生産者が次年度以降も安定した生産を継続できるよう、生産者に低落の幅に応じた価格差補給金を交付するものです。

この度、平成28年度事業の対象野菜の出荷期間が終了しましたので、当該年度における価格差補給交付金の交付状況について報告します。

2 気象概況と東京都中央卸売市場における価格の状況

平成28年度の状況を概観すると、全国的に高温傾向が続いたものの、夏季の台風による豪雨、秋雨前線の停滞による曇雨天の影響による日照不足など、天候が不安定であったこともあり、野菜の価格は全般的に平年を上回って推移しました。

具体的には、春野菜は、春先は気温が高めで天候に恵まれたことから多くの品目で順調な生育となりました。価格は、前年が天候不順の影響などで高騰したことから、葉茎菜類および果菜類の多くの品目で前年を下回ったものの、平年を上回って推移しました。

夏秋野菜は、6月は、西日本を中心に雨が多く、たまねぎが、病害や収穫の遅れなどから入荷量が前年を下回り、価格は平年を大きく上回って推移しました。7~8月中旬は、おおむね天候に恵まれたことから、葉茎菜類および果菜類を中心に価格は平年を下回って推移しました。

しかし、8月下旬から台風が連続して上陸し、特に北海道と岩手県では記録的な大雨となりました。その後も秋雨前線の停滞により広い地域で曇雨天が続いたことから、秋冬野菜は、日照不足などの影響を受け、主要品目の価格は、秋以降年明けまで平年を上回って推移しました。

3 価格差補給交付金の交付状況

このように、野菜の価格が全般的に平年を上回って推移したため、平成28年度事業の価格差補給交付金の交付額は前年に引き続き低水準となり、年度を通しての交付額は、66億1427万円(対前年比68.9%)、交付率(=交付額/資金造成額)は、5.8%と見込まれます(図1)。

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品目別の交付状況は、レタスが21億 5451万円(交付割合32.6%)で最も多く、次いでたまねぎ12億7926万円(同19.3%)、トマト7億1625万円(同10.8%)、ピーマン6億6336万円(同10.0%)、きゅうり5億2631万円(同8.0%)、はくさい4億2764万円(同6.5%)の順になっています。この上位6品目で交付額の87%を占めています(図2、表1)。

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レタスの交付額が多かった要因としては、夏の主産地である長野県や群馬県において、気温が高めで推移したことや適度な降雨と好天に恵まれたことにより出荷が増えたこと、冬の主産地である静岡県において、天候に恵まれて平年より多い出荷となり、それに続く主産地である茨城県、兵庫県、長崎県でも順調な出荷となったことから、 12月以降の価格がおおむね低水準で推移したためです。同様に、交付額が多かったたまねぎをみると、主産地である北海道において、6月の多雨や8月末の台風の被害があったものの、作柄が良く、平年よりやや多い出荷となり、10月から12月の価格が低水準で推移したためです。トマトは、天候に恵まれたことから、春期の主産地である熊本県、栃木県などで平年より多めの出荷であったため、価格は平年を下回って推移しました。

また、交付率を品目別・出荷時期別(種別別)にみると、夏はくさいの23.7%を筆頭に、次いで夏秋レタスの21.5%、冬レタスの15.3%、冬春ピーマンの12.4%の順となっています(表1)。

次に、道府県別の交付状況は、長野県が13億7726万円(夏秋レタス、夏はくさいなど)、北海道が13億3897万円(たまねぎなど)、熊本県が4億5874万円(冬春トマトなど)、群馬県が4億3878万円(夏秋キャベツ、夏秋レタスなど)の順となっています。この上位4県で交付金交付額の55%を占めています(図3、表2)。

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以上、平成28年度指定野菜価格安定事業における価格差補給交付金等の交付状況について紹介しましたが、この生産者への価格差補給金の交付により、野菜の安定的な生産が確保され、ひいては、消費者に対して国産野菜の安定的な供給が確保されています。機構では、今後とも、速やかな価格差補給金の交付など、本事業の的確な実施を図ってまいります。



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