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機構から (野菜情報 2016年8月号)


平成27年度指定野菜価格安定対策事業における価格差補給交付金等の交付状況について

野菜業務部 交付業務課


1 はじめに

野菜は、国民の食生活に欠くことのできない食品ですが、天候により豊作、不作の差が大きい上に、日持ちしないものが多いため、価格が短期間に大きく変動するという特性を有しています。このため、当機構では、キャベツ、トマトなど消費量が多く重要な野菜14品目を対象として指定野菜価格安定事業を実施しています。この事業は、あらかじめ国、道府県、生産者が資金を積み立てておき、これら野菜の市場価格が低落した場合に、生産者が次年度以降も安定した生産を継続できるよう、生産者に低落の幅に応じた価格差補給金を交付するものです。

このたび、平成27年度事業の対象野菜の出荷期間が終了しましたので、当該年度における価格差補給交付金の交付状況について報告します。

2 気象概況と東京都中央卸売市場における価格の状況

平成27年度の状況を概観すれば、春から秋にかけては、春先の低温多雨や日照不足、夏期の台風や長雨などの影響により、野菜の価格は高値で推移しましたが、10月以降は天候に恵まれた地域も多くなり、一部の品目を除き平年を下回って推移しました。

具体的には、春野菜は、月の低温、日照不足といった天候不順の影響により、露地野菜ではキャベツやはくさい、施設野菜ではトマト、きゅうりやピーマンを中心に、価格は平年を上回って推移しました。

夏秋野菜は、月は九州南部で統計開始以来の降水量となり、月はつの台風が相次いで接近・上陸したほか、月は関東・東北地方で記録的な大雨になるなど、各地で降水量が多くなりました。また、西日本では、年連続の冷夏となりましたが、北日本や東日本では、月中旬から月上旬にかけて太平洋高気圧の張り出しが強まり高温となったものの、月中旬からは一転して曇雨天や低温傾向が続きました。このため、価格は上昇し、10月中旬まで高値で推移しました。

秋冬野菜は、10月は記録的に日照時間が多くなったことや、11月は全国的に気温が高い日が続いたことにより、肥大が進み生育が順調となり、葉物類を中心に価格は平年を下回って推移しました。特にキャベツは、冬系が天候不順の影響で定植が遅れた一方、春系が好天候のため前進出荷傾向となり、出荷時期が重なることによって供給量が増加し、平年を下回る価格が続きました。

たまねぎは、北海道産が生育期全般を通じて天候に恵まれたことから、10月から平年を下回って推移しました。

3 価格差補給交付金の交付状況

このような野菜の価格の状況を受けて、平成27年度事業の価格差補給交付金は、下半期に集中して交付することとなりました。年度を通しての交付額は、97億712
万円(前年度比110.1)、交付率(交付額資金造成額)は、8.8と見込まれます(図)。



品目別の交付状況は、キャベツが24億5263万円(交付割合25.3)で最も多く、次いでレタス12億3977万円(同12.8)、だいこん12億1867万円(同12.6)、たまねぎ11億7618万円(同12.1)、にんじん11億6440万円(同12.0)、トマト11億1486万円(同11.5)となっています。この上位品目で交付額の割強を占めています(図、表)。





キャベツの交付額が多かった要因としては、11月に入り天候に恵まれ、主産地である愛知県では冬系と春系の出荷が重なったことにより出荷が増え、それに続く主産地である千葉県、神奈川県でも順調な出荷となり、価格が低水準で推移したためです。また同様に、交付額が多かったレタスをみますと、高温傾向や生育期の適度な降雨により、冬の主産地である静岡県が平年より多い出荷となり、それに続く主産地である兵庫県、長崎県でも順調な出荷となり、11月から12月までの価格が低水準で推移したためです。だいこんは、天候に恵まれたことから、春期の主産地である北海道や秋冬期の主産地である千葉県や神奈川県で例年をやや上回る出荷であったため、春期および秋冬期の価格は平年を下回って推移しました。

また、交付率を品目別・出荷時期別(種別別)にみますと、冬キャベツの41.9を筆頭に、次いで冬にんじんの30.6、秋冬だいこんの27.9、秋冬はくさいの23.2の順となっています(表)。

このように27年度事業では、おおむね天候が良好に推移した地域において産出された品目を中心に生産・出荷量が増加し、価格が平年を下回ったために交付金が支払われました。

次に、道府県別の交付状況は、千葉県14億4081万円(冬にんじん、冬キャベツなど)、愛知県13億5799万円(冬キャベツなど)、北海道12億8677万円(たまねぎなど)、熊本県億9173円(夏秋トマト、冬春トマトなど)の順となっています。この上位県で交付金交付額の約割を占めています(図、表)。





以上、平成27年度指定野菜価格安定事業における価格差補給交付金等の交付状況について紹介しましたが、この生産者への価格差補給金の交付により、野菜の安定的な生産が確保され、ひいては、消費者に対して国産野菜の安定的な供給が確保されています。機構では、今後とも、速やかな価格差補給金の交付など、本事業の的確な実施を図ってまいります。



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