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機構から01 (野菜情報 2012年9月号)

平成24年度第1回野菜需給協議会の概要

野菜需給部需給推進課


 平成24年7月19日に、生産者団体や流通団体、消費者団体等野菜の関係者が一堂に会する平成24年度第1回野菜需給協議会(座長:中村靖彦東京農業大学客員教授)が開催されました。
 本協議会では、「平成24年産夏秋野菜の需給・価格の見通し」等を確認するとともに、消費拡大を目指して取り組む8月31日の「野菜シンポジウム」の具体的内容と、主要6品目のリーフレットの内容等を確認しました。
 議事の概要及び各委員から出されたご意見等は以下のとおり。

【平成24年産春野菜の需給・価格の状況について】

 事務局(独立行政法人農畜産業振興機構)から、春野菜6品目(春キャベツ、春だいこん、たまねぎ、春夏にんじん、春はくさい、春レタス)の需給・価格の実績について説明。

【平成24年産夏秋野菜の需給・価格の見通しについて】

 事務局から、夏秋野菜の需給・価格の見通しについて、7月12日に開催された野菜需給・価格情報委員会での取りまとめをもとに説明。概要は以下のとおり。

(夏秋キャベツ)

 期間を通して順調な出荷が見込まれ、かつ、8月上旬までは、関東近在産地の出荷が続くことから、価格は、7月以降概ね平年を下回って推移する見込み。
 ただし、8月下旬以降、台風や長雨等の影響によりレタス相場が上昇すると、代替需要によりキャベツの需要が増加し、価格は上昇する可能性がある。

(夏だいこん)

 主産地においては、平年並みの出荷が見込まれるものの、総じて需要が減少する時期であることから、価格は、概ね前年及び平年を下回る見込み。

(たまねぎ)

 佐賀及び兵庫の出荷が前年を大幅に下回ることから、価格は、8月までは前年を上回ると見込まれるが、9月以降、価格は、前年を下回る見込み。
 国産の価格が高くなると、消費者の輸入品への抵抗感が薄れてくる一方で、中国において生産量が減少して輸入価格が上昇し、国産との価格差が縮小すれば、国産の加工・業務用需要が増加する可能性がある。

(秋にんじん)

 順調な出荷が見込まれることから、平年を上回っていた価格は、8月以降平年並みに近づく見込み。
 加工・業務用需要は、価格次第で輸入品にシフトするが、中国産が安いことから、北海道産の出荷が本格化するまで、中国産の需要が強い可能性がある。

(夏はくさい)

 小売店において、1/4等のカット販売を行っているものの、夏場は加工・業務用を含め特に重要が少ないことから、順調な出荷が見込まれる中で、価格は、8月までは前年並みで平年を下回る見込み。9月は前年及び平年を下回る見込み。

(夏秋レタス)

 平年を上回る出荷が見込まれることから、価格は、概ね前年及び平年を下回って推移する見込み。
 加工・業務用においては、レタスに対する根強い需要がある一方で、カット野菜においては、他の野菜と競合する場面も見られる。

(その他夏秋野菜全体の消費の動向等)

<景気、天候等の要因による消費動向>

・消費は昨年より回復傾向にあるが、景気が低迷している中で、まだまだ低価格指向であり、量目調整を含め、低価格での販売が継続している。

・直売所においては、割安に購入できるとの印象があるため、野菜の価格が高くなると業績がよくなる傾向にあり、対前年を超えて好調である。 

<震災、原発事故の影響による消費動向>

・海外の日本の農産物に対するネガティブなイメージはなくなりつつある。

・特定の地域の野菜は、依然として一部の消費者が敬遠する傾向にあるものの、他の産地のものを手当てしつつ、併売している。

・学校給食では、安全性は理解しているが、心情的に特定の地域のものが敬遠される傾向が継続している。

<野菜全体の販売状況>

・低価格指向に対応して、1/2、1/4カット等、量目を調整して工夫して販売されている。

・原発事故に係る意識が少しずつ変わってきているので、あえて「安全」とアピールせず、普通に販売していくことも心がけられている。

<カット野菜について>

・量販店では、カット野菜の販売が好調であり、売り場面積や品ぞろえを拡大しているところがある。

・外食では、店内での野菜の加工処理能力が低下しているところもあり、業務用のカット野菜に対する需要が増加している。

・野菜料理用の市販の合わせ調味料と一緒に、材料野菜をカットしたパックを販売し、好評なところもある。

<食育について>

・野菜を食べることが体にいいことは、頭で理解しているが、行動が伴っていないことから、市場に調理室を作って若い人に食べてもらう取り組みを行っているところもある。

<今後注目される品目>

・機能性が注目されているトマトは、そもそも販売の基幹となっている品目なので、多くの品種をそろえて、バラエティに富んだ売場で提供しているところもある。

・外食では、彩り豊かなパプリカが安定して使われ、西日本で使われていた青ねぎが東日本でも普及してきている。また、アボガドが注目品目であり、サラダ用等をはじめアボガドに付随して使用する野菜の需要が伸びると考えているところもある。

<その他>

・旬の野菜は、おいしくて栄養価も高いため、おいしさや機能性をアピールした売り方を提案したい。そういう意味で福島県産も積極的に販売したいと考えているところもある。

・直売に対する意識が高くなり、直売所に出荷している生産者は増加している。

・基本食材について、需要の過半を占めている加工・業務用の産地作りを強力に行い、価格が大きくぶれないようにすることが重要である。

【野菜の消費拡大活動等について】

前回の協議会で決定した

① 野菜シンポジウム(8月31日の「野菜の日」に実施)の具体的内容

② 主要6品目(キャベツ、レタス、たまねぎ、はくさい、だいこん、にんじん)のリーフレットの内容と配布予定について確認した。

 また、会員団体における今後の消費拡大の取り組みについて報告があり、これらに関して、野菜単独で行うのではなく、消費が伸びている他の農林水産物と連携していくようなことも考えてみてはどうか、また、取り組みの効果について、何らかの形で明らかにすることができないかとの発言があった。

【野菜の需要動向について】

 全国漬物協同組合連合会から、漬物業界における需給の動向について、また、日本スーパーマーケット協会から、量販店業界における販売状況等について説明があった。概要は以下のとおり。

(漬物業界における需給の動向)

 漬物は、野菜本来の持ち味や栄養素を損なわずに食べられる方法であるが、若者の漬物離れもあり伸び悩んでいる。高塩分食品のイメージを払拭するとともに、漬物にはビタミン、ミネラル、有機酸が豊富に含まれていることから、コレステロールを減少させ、また、食物繊維は、発がん抑制効果もあるといった機能性もアピールしていきたい。今後、消費者ニーズに合った商品を作っていくことで、市場の縮小傾向を打開する望みはある。

(量販店業界における販売状況等)

 生鮮野菜の素材販売から惣菜の販売に移行してきているし、カット野菜等加工度を上げた商品が伸びてきている。また、トマトは、抗酸化作用が注目されたことで販売が伸びており、野菜全体の売上の13~15%を占める主力商品となっている。業界では買物弱者への支援等が今後のスーパーマーケットに求められる姿であろうということで、10年後を見据えて色々と研究している。

なお、配布資料等は当機構のホームページ
http://www.alic.go.jp/y-suishin/yajukyu01_000139.html)に掲載していますので
ご参照ください。


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