野菜需給部 需給推進課
平成23年12月7日に内閣府食品安全委員会事務局のリスクコミュニケーション官新本英二氏をお招きして野菜セミナーを開催しました。
今回は、「放射性物質と食品の安全性について-リスク評価結果を中心に-」と題し、お話いただきました。
食品に対する放射能汚染への関心が高まるなか、「野菜需給協議会」会員の皆様をはじめ67名という多くの皆様にご参加いただきました。
概要は以下のとおりです。
真剣にメモを取る参加者の皆様 わかりやすい言葉で説明される新本氏
はじめに、からだに入った放射性物質の減衰と排出と題し「物理学的半減期」と「生物学的半減期」についてご説明いただき、あわせて、食品中の放射性物質から受ける線量の計算例について野菜を例に詳しく解説いただきました。
また、「自然界にも存在する放射性物質」ということで、通常の食品にも含まれる放射性物質を具体的に例示するとともに、内部被ばくと外部被ばくの各々の線量の計算方法についても言及いただきました。
海外における食品中の放射性物質に関する基準値を比較した資料のなかでは、特にコーデックスとEU、米国、そして日本の基準を比べた内容に関して参加者の関心が高く、放射性セシウムの日本の基準は世界的にみても厳しく設定されていることに驚きの声が聞かれました。一方で、今後、輸入品と国産の規制に大きなギャップがでてくるのではないかと懸念する声もありました。
最後に、食品安全委員会における「リスク評価」と厚生労働省における「リスク管理」について説明があり、食品安全委員会では生涯における追加の累積線量が、おおよそ100ミリシーベルト(mSv)以上で健康影響(がんのリスク)の可能性があるとともに、100mSv未満での健康影響は現在の科学的知見からは証明できず、影響があるともないとも言えないとの評価をまとめ、これを踏まえ、厚生労働省が新たな規制値を検討中であることが報告されました。また、リスク管理という点で農林水産省では土壌などの放射性物質の汚染と農産物との関係を踏まえ、必要な対策が実施、検討されていることが報告されました。
参加者からは、「ベクレル(Bq)からシーベルト(Sv)への算定方法が具体的でよくわかった」、「暫定規制値と食品からの被ばく線量の関係がわかった」という感想がありました。
一方で、「各省庁に権限があり情報源がわかりづらい」、「消費者にとっては省庁の区分は無関係なので一元化してほしい」というご意見もありました。
次回以降も野菜需給協議会会員の皆様のご意見を踏まえ、野菜に関する新しい動きや現場の生の声をご紹介してまいりたいと思います。
また、野菜需給協議会では専用のサイトを開設し、これまでの協議会や野菜セミナーの資料を公表しておりますのでご活用下さい。
○野菜需給協議会 専用サイト
〈URL〉http://www.alic.go.jp/y-suishin/yajukyu01_000039.html