野菜業務部 直接契約課
平成23年7月29日に「加工・業務用野菜産地と実需者との交流会in大阪」を農林水産省、野菜ビジネス協議会との共催により、マイドームおおさか(大阪市)にて開催した。
本年度第1回目となる本交流会には、農業法人など61ブースが出展するとともに、卸売業者、流通業者など約300名の関係者が会場を訪れた。
ここでは、出展者の展示内容およびマッチング促進セミナーを中心に、本交流会の概要を紹介する。
会場の様子
交流会の開催にあたり、当機構の木下理事長より「今回の交流会のテーマは、食べて応援しよう!ニッポンの野菜ということで、実需者の皆様には、本交流会を通じて元気のある産地、いろいろな可能性を持っている産地が数多くあるということについて、実際に見てご認識いただきたい。また、生産者の皆様方には、野菜の消費・需要の動向について、来場者との交流を通じ感じていただきたい。」とのあいさつを行った。
続いて、農林水産省近畿農政局の塚本局長より「近畿地域の農業生産額は、全国の5パーセントである一方、人口が2千万人を超える大消費地であり、6次産業化に適した特色がある。近畿農政局は地域ニーズに即した勉強会などを開催し、新たな商品開発を支援してきたところだが、今回の交流会についても、野菜産地と実需者の取引拡大につながることを期待したい。」とのあいさつをいただいた。
今回の交流会は、外食・中食業者および小売店などの実需者の事務所が多い大阪で開催し、近畿圏以外からも全国各地の生産者団体が集まり、幅広い内容の展示が行われた。
とぴあ浜松農業協同組合は、こねぎ、ばれいしょ、かんしょ、エシャレット、ちんげんさい等多彩な品目の展示で、目を引いていた。新品種の『甘じゃが』については、通常のばれいしょが糖度4度程度のところ、『甘じゃが』は糖度8度から10度といった付加価値を説明し、量販店向けの高単価・定価格の販売を提案した。
三重中央農業協同組合ベジマルファクトリーでは、カット野菜の展示が行われた。生産者から野菜を買い受け、加工したうえで実需者に納品するという、農業協同組合としては珍しい販売形態をとっている。展示された小売店向けの野菜パックのほか、業務用向けの大袋入りカット野菜も取り扱っているとのことである。
高知県園芸連では、主にエコシステム栽培で育てられた野菜が展示された。エコシステム栽培は、防虫ネット及び天敵資材などによって農薬の使用量を低減する栽培であり、今後も拡大していくとのことである。
近畿地域からは全農兵庫県本部が出展した。全農兵庫県本部のブースでは主にたじま農業協同組合のピーマンを紹介。たじま農協管内では、昼夜の温度差が大きいため、色が濃く、肉厚な高品質のピーマンとなるとのことである。
農業生産法人についても、全国各地からの出展があり、ここでは初出展の農業法人などを紹介する。
福井県の神栄アグリフーズ㈱からはカット野菜が出展された。神栄アグリフーズ?では、自社農場で自ら野菜を生産するとともに国内各地から調達した野菜を用い、業務用のカット野菜を生産している。カット形状は多彩で、大きめにカットされた野菜やサイコロ大にカットされたさまざまな野菜が展示された。
熊本県の?重元園芸は、きゅうり、ピーマン、ばれいしょおよびアスパラガスなどを展示した。天敵資材を活用した減農薬栽培をしているが、安定生産に重点を置くため特別栽培の認証はあえて受けていない。きゅうりの周年供給体制を構築していることが特徴で、契約先には欠品せず納品可能とのことである。緩やかに変動する価格での供給を提案していた。また、本交流会に来場されたバイヤーの皆さんが真剣に話を聞いてくれ、成約に結び付きそうな商談を何件もいただけたとの感想を述べていた。
近畿地域からの出展者である和歌山県の七色畑ファームは、顧客の要望に応じ、品種、施肥設計、栽培管理および出荷規格などに柔軟に対応する計画栽培を提案していた。若い組織であり、今後20年以上のお付き合いが可能というメリットを来場者に説明していた。
兵庫県の井上商店、ハートファーム㈱では、食味の良いたまねぎや、加工に向いたたまねぎの提案を行っていた。野菜をハートファーム㈱が生産し、井上商店が大阪中央卸売市場内で多彩な野菜とのピッキングをすることで、実需者が受け入れやすい販売を行っているとのことである。
㈱誠孝と㈱ニューふぁ~む21はブースを連結し、多種類のカット野菜を並べた迫力のある展示が行われ、来場者を引き付けた。両者は、北海道から鹿児島まで、生産者とニューふぁ~む21グループを形成し、契約栽培による周年供給を行っているとのことである。
マッチング促進セミナーでは、株式会社三晃ディストリビュータ事業部長の藤澤公義氏と学校法人大和学園理事ラ・キャリエールクッキングスクール校長の仲田雅博氏にご講演いただいた。
藤澤氏は、「フルックスグループにおける契約取引の取組みについて」と題し、フルックスグループは、当初、仲卸業から始まったが、「小分けする」、「カットする」、「味付けする」、「組合わせる」、「365日対応する」との基本姿勢に基づき多角化を推進し、現在では川中の中食・外食向け青果加工事業、川下の直販事業及びフードサービス事業にも進出し、「惣菜のわかる八百屋」のキャッチフレーズのもと、顧客に対して情報発信に努めているとのこと。
また、これらの事業領域を活用し、契約先のほ場で収穫された野菜はすべて引き取ることを目標に生産者との契約取引を推進していることなど契約取引の事例を交えて解説いただいた。加えて今後の課題としてフードサプライチェーンの構築にあたっては、物流コストの低減、情報処理システムの構築が重要との課題を挙げ講演を締めくくっていただいた。
仲田氏は、「国産野菜の美味しさ」と題し、野菜を料理し、食べるうえで、美味しさとはどういったことかについて、ご講演いただいた。
野菜も鮮魚と同様に鮮度が大切であること、料理は食材の知識や調理方法の知識が大切であることなどを、野菜のゆで方や味付けの方法などを踏まえながら解説いただいた。また、人は何をもっておいしいと感じるのかということについて、生理的な要因、文化的な要因および情報があり、どれだけおいしい料理を作っても、情報で安心感を与えられなければ、おいしいと感じてもらえないことをご説明いただいた。
人間は育った環境に応じ、後天的に味覚が形成されるので、四季の味を堪能し、料理に感動できるように、食育を通じ、国産野菜の美味しさを伝えていくことが重要であるとご説明いただいた。
いずれの講演についても公聴者は熱心に聴き入り、大変好評であった。
セミナーの詳細については、機構ホームページからご覧ください。
http://www.alic.go.jp/operation/vegetable/stability-exchange.html
来場者アンケートでは「役に立った」との回答は94パーセントであり、「取引したい野菜が見つかった」、「カット野菜及び冷凍野菜の展示が良かった」、「新品種の情報が得られ、参考になった」、「出展物が豊富で良かった」、「セミナーが参考になった」等の声をいただいた。
また、今後の要望として「レシピを含めた外食業者と取引できる商品提案」、「カット野菜をさらに乾燥等加工した商品およびスイーツの提案」などを望む声があった。
当機構では、このようなご意見を参考に今後の交流会を改善していきたいと考えている。
ホクレン農業協同組合連合会、全農群馬県本部、全農長野県本部、とぴあ浜松農業協同組合、
全農石川県本部、全農三重県本部、三重中央農業協同組合、全農兵庫県本部、
高知県園芸農業協同組合連合会、にじ農業協同組合、佐賀県農業協同組合、
熊本県経済農業協同組合連合会、全農大分県本部、宮崎県経済農業協同組合連合会、
鹿児島県経済農業協同組合連合会
(株)野菜くらぶ・グリンリーフ(株)、(有)佐野ファーム、(有)四位農園、(有)ポテンシャル農業研究所、(株)夢活菜、(農)農鈴鹿山麓夢工房、こと京都(株)、神栄アグリフーズ(株)、(有)山口農園、七色畑ファーム、(有)柴生農園・原田ファーム・細川農園、西地食品(有)、(有)遠赤有機農園、(有)岡林農園、(有)コウヤマ、(有)重元園芸
飯山中央市場(株)、(株)ニューふぁ~む21、井上商店・ハートファーム、(株)クロスエイジ
日本アドバンストアグリ(株)、(株)日本農園
トキタ種苗(株)、雪印種苗(株)、みかど協和(株)、日本デルモンテ(株)、(株)武蔵野種苗園、横浜植木(株)、ツルタのタネ(株)、タキイ種苗(株)、丸種(株)、(株)大和農園種苗販売部、ナント種苗(株)、(株)サカタのタネ
(株)誠孝、(株)三晃、サンポー食品(株)、(株)清浄野菜普及研究所、大阪デリカフーズ(株)、伊藤忠商事(株)・伊藤忠フレッシュ(株)、野菜ビジネス協議会
(独)農業・食品産業技術総合研究機構野菜茶業研究所、長野県、鹿児島市、農林水産省近畿農政局、(独)農畜産業振興機構
<交流会に関する問合せ先>
野菜業務部 直接契約課
田口・唐澤・伊東・園部
TEL:03-3583-9818
FAX:03-3583-9484