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第13回野菜需給協議会の概要

野菜需給部需給推進課


 独立行政法人農畜産業振興機構は、平成23年7月15日に第13回野菜需給協議会(座長:中村靖彦東京農業大学客員教授)を開催した。
 本協議会では、東日本大震災以降の野菜の需給・価格の実績、平成23年産夏秋野菜の生産(生育)・出荷状況及び需給・価格の見通しなどの情報提供と意見交換、さらに、事務局から被災産地の被害状況と現状の報告を行った。
 議事の概要及び各委員から出されたご意見などは以下のとおり。

【平成23年産春野菜の需給・価格の実績】

 事務局から、春野菜の需給・価格の動向について説明。見通しの対象とした春野菜6品目(春キャベツ、たまねぎ、春だいこん、春夏にんじん、春はくさい、春レタス)は、震災の影響で消費の冷え込みがあったものの、天候不順によって価格が高騰した昨年に比べ、今年は生育が順調であったことから、価格は昨年を大幅に下回った。

【今後の気象見通し】

 気象予報会社より、今夏(7月~9月)の天気の動向について説明。今夏は、気温は高めだが、太平洋高気圧の勢力が弱く、去年のような猛暑は続かない。
 また、今夏の天気の注意点として、東日本の太平洋側と西日本は降水量が少なく、ダムの渇水による水不足、大気の状態が不安定で雷雨が多く、局地的な大雨による浸水やがけ崩れに注意する必要がある旨説明。

【平成23年産夏秋野菜の見通し等について】

 野菜需給・価格情報委員会の座長である藤島委員から、夏秋野菜の需給・価格の見通しについて、7月8日に開催された同委員会での取りまとめ結果を説明。今回は通常の夏秋野菜6品目(夏秋キャベツ、たまねぎ、夏だいこん、秋にんじん、夏はくさい、夏秋レタス)に加え、被災した東北地方が主産地となる果菜類(夏秋きゅうり、夏秋トマト)の見通しについても取りまとめており、品目ごとの見通しは以下のとおり。

(夏秋キャベツ)

 出荷量が不作の前年を上回ること、震災の影響により加工業務用需要が弱含みであることから、価格は前年を下回る見込み。

(たまねぎ)

 府県産の貯蔵物が潤沢で北海道産も順調であることから、出荷量が前年をかなり上回り、また、輸入品の価格が下がっている中で低コストを目指す実需者からの輸入品へのニーズも底堅く、価格は前年を下回る見込み。

(夏だいこん)

 1本売りがほとんど見られないなど、夏場の需要が少ない中にあって、全体的に出荷量が増加し、特に8月~9月は出荷が集中することが見込まれ、価格は前年を下回って推移する見込み。

(秋にんじん)

 出荷量が前年よりかなり増加する中、低コストを目指す実需者から輸入品へのニーズも底堅く、特に出荷が集中する8月中旬以降の価格は前年を下回って推移する見込み。

(夏はくさい)

 夏場は需要が少なく、低価格であっても小売数量は伸びず、加工も落ち込んでいることから、価格は前年を大幅に下回って推移する見込み。需要がほとんどない中で計画的な生産を一層進めるべき。出荷時期が後ろ倒しとなっていることから、秋冬産地との競合の恐れ。

(夏秋レタス)

 出荷量が前年を上回る一方、夏場は元々サラダ需要があることに加え、今年は節電による非加熱メニューの材料として需要は伸びる可能性もあるが、需要量の多い業務用ではキャベツに移行する動きがみられることから、価格は下落基調となる見込み。

(夏秋きゅうり)

 出荷量は前年を上回るが、原発事故に伴う節電ムードから、非加熱食材として、サラダ需要の増加が期待されることや流通業者の産地支援の動きもあることから、価格は前年並みを維持する見込み。

(夏秋トマト)

 原発事故に伴う節電ムードから、非加熱食材として、サラダ需要の増加も期待されるが、出荷量全体が前年を上回ることから、価格は全般的に前年を下回り、特に8月中旬以降は更なる低下の恐れ。

(その他夏秋野菜全体の消費の動向など)

[景気、天候などの要因による消費動向]

 景気が低迷しており、消費減退傾向が根底にある。震災の影響で外食産業を中心に一時減退していた加工・業務用需要については、中食需要はほぼ回復したものの、外食需要は回復が遅れている。

[震災、原発事故の影響による消費動向]

 震災の影響は業種・業態により異なっており、特に外食における消費減退傾向が強い。原発事故に伴う消費減退は、一時落ち着きを見せていたが、お茶からセシウムが検出されたころから再び現れてきている。学校給食などでは子供の食に関する安全性への高い関心から特定の産地を避ける意向を示しているところもある。

[野菜全体の販売状況]

 夏の節電の影響を前提に、家庭での非加熱メニューへの需要やサマータイムによるライフスタイルの変化に対応した販売戦略が必要。特に非加熱メニューの代表であるサラダ食材の需要や、家庭での揚げ物の減少による総菜・中食需要の伸びに着目している。
 しかしながら、非加熱での調理では、消費量が減少するという問題がある。キャベツの場合、店では1/8カットで販売するケースもある。原発事故と野菜産地との関係については、消費者の中に様々な考えの人が存在するので、それぞれに合わせて色々な選択ができるよう、同種の野菜について複数産地のものを併売することとしている。

【野菜の消費拡大等について】

 事務局から東日本大震災で被害を受けた野菜産地の被害状況と現状について、福島県須賀川市(きゅうり)及び宮城県亘理郡(いちご)を現地調査した結果の報告を行った。
 各団体から、被災地の復興支援をあわせたこの夏の野菜の消費拡大に関する取組みについて報告があった。

【野菜需給協議会会員から出された主なご意見】

○節電の中でどのように生活を防衛していくかに関心がある。調理の工夫などについて専門家から教えてほしい。
○放射能の影響に関しては正確な情報に基づいて「正しく怖がる」ことが重要である。
○夏場のはくさいはどのように食べたらよいか思いつかない。供給側からの提案がほしい。

次回の開催については秋冬野菜を対象に11月中旬を予定。

なお、配布資料等は当機構のホームページ
http://www.alic.go.jp/y-suishin/yajukyu01_000100.html)に掲載しておりますのでご参照ください。


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