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平成22年度第3回野菜セミナーの概要
~固定種の野菜について~
野口のタネ/野口種苗研究所 野口勲氏の講演概要

野菜需給部需給推進課


 平成22年11月30日に野口のタネ/野口種苗研究所の野口勲氏をお招きして第3回野菜セミナーを開催しました。
 今回は、伝統野菜として注目を集めている「固定種」と「一代雑種(F1)」の野菜についてお話をいただきました。
 「野菜需給協議会」の会員の皆様にもご参加いただき、皆さん真剣に耳を傾けていらっしゃいました。
 その概要は以下のとおりです。

◇講演の概要

 野口のタネでは、「固定種」といわれる昔から風土に適応して歳月をかけて生産されてきた品種を主に取り扱っている。「固定種」の野菜は、自家採種が可能なので毎年タネを買う必要がない。
 一方、市場では次第に生産性を重視した「一代雑種(F1)」に比重が移ってきた。F1は「固定種」の親同士を掛け合わせると、子にお互いの強い性質の部分が現れる「雑種強勢」という現象を利用したもので、ほとんどの場合、いずれの親よりも短期間で生育し、形や生育スピードが揃うので出荷計画が立てやすく、定時・定量・定質の野菜生産が実需者のニーズに合致している。
 F1の育成方法は3つある。異なる種同士を掛け合わせるためには母方の花粉が邪魔になるので、雄しべを人為的に除去する「除雄」という方法が一番古くから行われている。その後、アブラナ科の野菜に見られる「自家不和合性」という自分の花粉では受粉しないという現象を利用したものに発展した。そして現在、「雄性不稔」を利用する方法が主流となった。
 「雄性不稔」とは、雄しべが花粉を出さないことである。雄性不稔利用の技術は、この雄しべが花粉を出さない株に、ほかの株の花粉が受粉すると、その株は全て母方譲りの花粉を持たない雄性不稔になるという現象を利用している。米国の赤たまねぎで偶然見つかった、たった1つの雄性不稔株がF1たまねぎの母親株として世界中に広まり、さらにこの雄性不稔利用の技術がほかの野菜にも広まっていった。
 この「雄性不稔」の現象は、日本では小瀬菜だいこんで見つかり、現在、市場に出回っているF1の青首大根の大半が「雄性不稔」のものである。
 「固定種」は「F1」に比べて、形や生育スピードが揃わないので、農家にとっては生産効率の良いタネではないかもしれないが、長期にわたり収穫を楽しむことができるという点で、家庭菜園などに向いていると言える。さらに、このような貴重なタネが生き延びることが、種の保存として今後の生物多様性の維持に役立つのではないか。

◇参加者からのご意見・ご感想

 参加者からは、「F1、固定種について知りたいと思っていたので勉強になった」「もっと野菜の栽培に関することについて知りたい」といったご意見も寄せられ、今後の野菜セミナーの運営に活用していきたいと思います。
 また、講演後、野口種苗のタネで育った旬の野菜(宮重だいこん、みやま小蕪、東京丸葉小松菜、のらぼう菜、黒田五寸にんじん)を埼玉県の生産者より取り寄せて、セミナー参加者に紹介するとともに試食を行い、好評を得ました。

旬の固定種野菜を展示


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