野菜業務部直接契約課
【要約】
「加工・業務用野菜産地と実需者との交流会 in 名古屋」を平成22年11月26日に農林水産省とともに、野菜ビジネス協議会との共催により、名古屋国際会議場白鳥ホールで開催した。
本年度第2回目となる本交流会は、70団体(62ブース)が出展し、約320名の来場があった。
会場の様子
交流会の開催に当たり、当機構の木下理事長より「実需者の皆さまには、本交流会を通じて元気のある産地、いろいろな可能性を持っている産地が数多くあるということについてご認識いただき、産地との交流の契機としていただきたい。また、生産者の皆さま方には、野菜の消費・需要の動向について、来場者との交流を通じ感じていただきたい」とのあいさつを行った。
続いて、農林水産省東海農政局の竹森局長より「東海は園芸の盛んな地域ですが、年々生産量および生産額が減少する傾向にある中で、これから需要を拡大していくには、加工・業務用向けにしっかりと取り組んでいく必要があります。そのためには、産地と実需者との関係を構築し、お互いに理解を深めていくことが重要であり、本交流会を意見交換の場とし、実際のビジネスに結びつけていただきたい」とのあいさつをいただいた。
東海地域では、温暖な気象条件を生かした秋冬野菜の生産が多く、東海圏の生産者団体のブースでは、さまざまな秋冬野菜の展示が行われた。愛知県経済連のブースではキャベツ、トマト、ブロッコリーなどを出展していた。キャベツは通常段ボールに8玉入れるが、加工・業務用の大玉6玉入りを紹介していた。トマトについては加熱調理用トマトの展示があり、定価格の取引を提案していた。加工・業務用としての販売が伸びており、生産者も加工・業務用の安定した価格での取引を求めているとのことである。
一方、東海地域以外からも多くの生産者団体が出展し、各地のブランド野菜などを紹介していた。全農福岡県本部では『博多○○』のブランドで知られる万能ねぎ、なす、トマトのほか、おかひじきや紅たでといった珍しい野菜の出展が目を引いた。また、全農群馬県本部からは、これからの時期に欠かせないねぎなどが荷姿の状態で展示された。
愛知県経済連の加熱調理用トマト
全農福岡県本部の展示品
全農群馬県本部の下仁田ねぎ
農業生産法人については、全国各地から出展が行われ、三重県の法人からは“いがむらさき”が出展された。“いがむらさき”は三重県、県下の育種家および同社で開発した新種の野菜で、適度な歯ごたえと赤紫の鮮やかな色を有し、サラダや漬物に適しているとのことである。
京都府の法人は九条ねぎを出展し、農業生産法人である強みを活かし、生産・加工・販売の一貫システムを提案。九条ねぎ、カットねぎおよび新商品の乾燥ねぎなどの説明のほか、平安時代から文化の中心として栄えてきた京都では、魚介類の調達が難しかったことや、精進料理が発達したことにより、新鮮な多種の野菜が生み出され、それが「京の伝統野菜」として今日に受け継がれていることなども熱心に説明し、東海および近畿圏の実需者から多くの関心が寄せられた。
いがむらさきの展示
九条ねぎの加工品
静岡県の企業からは、イタリアン調理用トマト、イエローミニトマトが展示された。当該企業は肥料会社であるが、農産物の販売部署を設置し、トマトやメロンなどの販売を行っている。秋冬期に静岡県下の地場産メロンの価格が低迷したことから、救済措置として秋冬期に特徴あるイタリアントマトの栽培を生産者に提案。メロンハウスは加温設備があるため、秋冬期のトマト栽培に適しており、メロンよりも生育適温が低いため、燃料費も抑えられる。生産者とは定価格での契約取引を行っており、イタリアンレストランやホテルに売り込んだところ好評で、販売先の拡大に努めているとのことである。ブースでは加熱調理したトマト料理に来場者の関心が集まっていた。
野菜ビジネス協議会のコーナーでは、パック詰めされたカット野菜などの展示があった。多様な用途に合わせた加工品の展示が目を引いた。
イタリアントマトの実演調理
【野菜ビジネス協議会】三晃(株)の展示
マッチング促進セミナーでは、デリカフーズ株式会社常勤監査役の澤田清春氏と信州大学大学院農学研究科准教授の濵渦康範氏に講演いただいた。
澤田氏は、「デリカフーズ(株)における国産野菜需要への対応と今後の契約取引の方向性について」と題し、加工・業務用野菜需要の増加およびその輸入割合が増加している状況を踏まえ、加工・業務用への対応強化の必要性やデリカフーズ(株)の取り組みを説明。野菜の中身評価として抗酸化成分を分析し、付加価値として抗酸化成分値の高いものは高い価格で販売した結果、高いものから売れたといった興味深い取り組み事例などをご紹介いただいた。
今後は安全・安心、環境への配慮および健康を意識した商品が求められ、医・食・農・工の連携が重要であると説明いただいた。
濵渦氏からは、「野菜の機能性と野菜摂取の重要性」と題し、野菜を摂取することの意義について講演いただいた。野菜および果実に含まれる機能性成分のがんなど疾病に対する予防効果について、研究事例および統計を踏まえながら説明いただいた。また、健康な食事パターンとして地中海型食事と和食の構成バランスなどについて解説いただいた。野菜に含まれる機能成分であるビタミン、ミネラル、食物繊維およびポリフェノールなどに代表する抗酸化成分などの特徴と機能について解説いただき、単一の成分となったサプリメントを摂取するよりも、食物繊維やビタミンなどさまざまな成分が総合的に含まれている野菜をバランスよく摂取することが重要であることを説明いただいた。
いずれの講演についても公聴者は熱心に聴き入り、講演後は公聴者から質問が出るなど、大変好評であった。
澤田清春氏
濵渦康範氏
セミナーの詳細については、機構ホームページからご覧ください。
http://www.alic.go.jp/operation/vegetable/stability-exchange.html
来場者アンケートでは「役に立った」との回答は92%であり、「取引したい商品が見つかった」「出展品を使った料理レシピの提案が良かった」「新品種の情報が得られ、参考になった」「出展物が豊富で良かった」「セミナーは非常に参考となった」などの声をいただいた。
また、今後の要望として「新たな種類の野菜の紹介」「商品についての定価格での提案」などを望む声が寄せられた。
当機構では、このようなご意見を参考に今後の交流会を改善していきたいと考えている。
(参考)加工・業務用野菜産地と実需者との交流会 in 名古屋 出展者一覧 (順不同)
全農群馬県本部、とぴあ浜松農業協同組合、遠州中央農業協同組合、 静岡県経済農業協同組合連合会、全農岐阜県本部、愛知みなみ農業協同組合、 愛知県経済農業協同組合連合会、ひまわり農業協同組合、全農三重県本部、 高知県園芸農業協同組合連合会、全農福岡県本部、佐賀県農業協同組合、宮崎県経済農業協同組合連合会、鹿児島県経済農業協同組合連合会
農業生産法人北海道ホープランド、(株)野菜くらぶ/グリンリーフ(株)、(有)橋場農園、犬山東部じねんじょ部会(くいもんや源)、農事組合法人鈴鹿山麓夢工房、 農事組合法人忍の里、(社)大山田農林公社、こと京都(株)、 (株)陽光ファーム21/(株)グリーンワーム21、西地食品(有)、(株)坂田信夫商店、 (株)岡林農園、(有)池一菜果園、(有)コウヤマ
(株)川井村産業開発公社、飯山中央市場(株)、愛農マート(豊田肥料(株))、 (株)ほった、ユナイト三重(株)、(有)新家青果、(株)クロスエイジ
ファーム未来工房、日本アドバンストアグリ?
(株)渡辺採種場、(株)トーホク、カネコ種苗(株)、みかど協和(株)、雪印種苗(株)、(株)武蔵野種苗園、横浜植木(株)、(株)サカタのタネ、ツルタのタネ(株)、松永種苗(株)、(株)ナコス、(株)大和農園種苗販売部
(株)三晃、(株)清浄野菜普及研究所、デリカフーズ(株)/名古屋デリカフーズ(株)、伊藤忠商事(株)/(株)ケーアイ・フレッシュアクセス、サンポー食品(株)/(有)サンポーファーム、 MCプロデュース(株)、キユーピー(株)/(株)サラダクラブ/(株)ケイパック、野菜ビジネス協議会
岐阜県、愛知県、三重県、鹿児島市、農林水産省東海農政局/(独)農畜産業振興機構
<交流会に関する問合せ先>
野菜業務部 直接契約課 庄司・前田・伊東
TEL:03-3583-9819 FAX:03-3583-9484