[本文へジャンプ]

文字サイズ
  • 標準
  • 大きく
お問い合わせ

機構から


農産物流通技術研究会「第1回研究発表会」の発表報告

野菜業務部


1 はじめに

 独立行政法人農畜産業振興機構は、主要な野菜の生産及び出荷の安定等を図り、野菜農業の健全な発展と国民消費生活の安定を図るため、指定野菜価格安定制度及び契約野菜安定供給事業を実施している。
 これらの事業の円滑な実施を図るため、当機構では、「指定野菜価格安定制度の機能の評価」及び「野菜の契約取引の実態について」の2つの調査を既存の統計やヒアリング調査、アンケート調査を活用し実施した。調査結果について、本研究発表会において発表を行ったので報告する。なお、機構のホームページに詳細な内容を掲載している。

2 日時及び場所

  日時:平成22年11月18日(木)9:30~11:30
  場所:南青山会館 会議室(東京都港区南青山5-7-10)

3 発表の要旨及びポスター

(1)指定野菜価格安定制度の機能の評価

①野菜価格の変動は大きく、交付金交付率も同様に大きく変動。制度のカバー率は長期的に上昇。
②全国の作付面積が減少する中、指定産地内ではトマトなどの5品目において、作付面積が増加しており、その他の品目については、さといもを除き全国の作付面積と比較し、減少率は小幅にとどまっている。また、農家1戸当たりの作付面積も全国では大きく減少する中、指定産地内では大幅に増加。
③これらの結果から、制度は経営の拡大に寄与し、農家経営のセーフティーネットとして有効に機能している。

http://www.alic.go.jp/y-yoyaku/yagyomu01_000005.html

(発表者:予約業務課 入江美帆)

(2)野菜の契約取引の実態について

①生産者及び実需者の概ね7割が契約取引を実施。
②契約取引において事前に取り決める事項は、「価格」が最も多い。
③需給事情の変化等により、契約内容の途中見直しが行われることが多い。
④これらの結果を踏まえ、契約取引の実態に即した施策が必要ではないか。

http://www.alic.go.jp/y-keiyaku/yagyomu03_000046.html

(発表者:直接契約課 前田絵梨)

4 ポスターセッションでの質疑応答及び発表者の感想

 野菜の生産及び出荷については身近な問題であることもあり、両発表とも来場者の高い関心を集めた。

(1) 指定野菜価格安定制度の機能の評価

 ポスターセッションでは、ショートプレゼンテーションの限られた時間の中で詳しく話すことが出来なかった制度の仕組みや役割について、来場者の方々にご説明することが出来、様々なお言葉をいただいた。
 来場者の方からは、「平成2年から18年度の比較で、作付面積等の増減が指定産地の内外でこれほど違うとは非常に興味深い」とのお声をいただいた。これについては、指定産地内外の作付面積の増減に影響を及ぼす要因について、全国的には高齢化などにより耕作放棄地が増加していることや作付面積が減少したりしている一方で、指定産地内では、農家経営の安定が作付面積の減少に歯止めをかけていることや後継者が育成されていることなどがうかがえるとの考察を含め、相互にディスカッションをすることが出来た。
 その他「品目ごとに特徴的な動きがあるようなのでその分析も行った方が良いのではないか」とのご意見をいただいた。品目ごとの詳細な分析は、今月号から野菜情報に掲載していくこととしている。
 また、本制度についてご存知なかった来場者の方に、制度の仕組みやその効果について説明させていただくと、「生産者の経営安定にとって非常に良い制度のようなので、もっと生産者に制度をPRした方が良いのではないか」とのお言葉をいただいた。
 機構としても、農家経営のセーフティネットとして、ぜひ多くの生産者の方に本制度に加入していただき、本制度をより活用していただけるよう努めていきたい。

(2) 契約取引の実態について

 産地の生産者と直接対峙しているメーカーの担当者等からは、その感触と本調査によって明らかになった事柄や数字の多くは一致しているとの感想をいただいた。特に、今年のような需給状況の変化が大きな年は、契約の途中見直しが多く発生し、生産者も実需者も書面での契約を締結することを躊躇する実態は理解できるとのことだった。
 来場者からは、生産者の概ね7割が契約取引を行っているという結果について、想像以上であるという意見が寄せられた。これは、個々の生産者が実需者と個別に取引を行う場合と、生産者を代表する生産者団体(農協等)が実需者と取引を行う場合があり、生産者は、生産者団体を通して実需者に出荷する取引も契約取引と認識している場合が多いためとも考えられるが、やはり一般的には野菜は市場出荷というイメージが強いため、「想像以上」という受け止め方になったのではないだろうか。
 生産者の概ね5割が「契約指定野菜安定供給事業」を知らないことが明らかになった本調査の結果と同様に、ポスターの説明を受けた来場者の多くは、契約取引に対応できる制度があることを知らず、今後一層事業のPRを行う必要があることを感じた。
 また、来場者からは、契約を履行する責任から、契約取引に踏み込めない生産者・実需者もいると思われるため、不安を解消するためにも、契約内容の途中見直しが行われることが多い実態など情報提供することもよいのではとのご意見もいただいた。

ポスターセッションの様子


元のページへ戻る


このページのトップへ