野菜業務部直接契約課
要約
「加工・業務用野菜産地と実需者との交流会 in 仙台」を平成22年8月31日に農林水産省とともに、野菜ビジネス協議会との共催により、仙台卸商センター産業見本市会館サンフェスタで開催した。
本年度第1回目となる今回の交流会は、東北地区初の開催となり、63団体(57ブース)の出展、約400名の来場があり、産地と実需者が活発に交流を行った。
交流会の開催に当たり、当機構の木下理事長より「実需者の皆さまには、本交流会を通じて意欲的な取り組みを行っている産地、今後さまざまな可能性を秘めた産地が数多くあるということについてご認識いただき、産地との交流の契機としていただきたい。また、生産サイドの皆さま方には、ご出展の農産物・加工品のPRを大いにしていただき、実需者のニーズをつかんでいただきたい」とのあいさつを行った。
続いて、農林水産省東北農政局の佐藤局長より「食料自給率が108パーセントと高い東北地域で初めて開催される本交流会で、野菜産地とユーザーの方々との取引が拡大されることを心よりご期待申し上げる。昨今ではライフスタイルの変化により、国内で生産される野菜の5割以上がこうした加工・業務用に仕向けられ、また、加工・業務用需要の中でも輸入品のシェアも大変増えている。東北農政局としても、産地と連携し東北地域の夏場の冷涼な気候を活かした供給のあり方を検討し、このような取り組みを推進する」とのあいさつをいただいた。
東北地域は、夏期の冷涼・多照で昼夜間の温度差が大きいという気象条件を生かした夏秋野菜の生産が多く、生産者団体のブースではさまざまな夏秋野菜の展示が行われた。夏秋野菜の代表であるきゅうりやトマトに加え、全農宮城県本部と全農岩手県本部では国産パプリカが展示された。従来は、パプリカは輸入品が多かったが、その牙城を崩すべく国産パプリカの生産に取り組みはじめたとのことである。
JA八戸とJA十和田おいらせは、全国的なブランドとして確立しているにんにくを中心に展示を行っていた。また、JA十和田おいらせの展示していた真空パック加工を施されたながいもも来場者の目を引いていた。
そのほか、JA岩手江刺、全農福島県本部、青森県農村工業農業協同組合連合会および高知県園芸農業協同組合連合会が出展し、地場で生産される野菜を実需者にPRする様子が見られた。
農業生産法人のブースでは、トマトを出展している者が多く、10~11度まで糖度が上がる高糖度トマトやドライトマト、ジャムに加工した商品を説明する様子が見られた。そのほか、普段は目にすることが少ない10品種ものばれいしょの展示や、東北ならではの雪下野菜の紹介が行われ、説明を熱心に聞き入る来場者の姿が多く見られた。
植物工場のブースでは、栽培時のコントロールを行いやすいという植物工場のメリットを活かし、養液を管理し栽培した低カリウムほうれんそうが紹介された。腎臓病の透析患者はカリウムの排出がうまく機能しないため、カリウム摂取量を減らす必要があるが、この低カリウムほうれんそうならば従来の3分の1から4分の1ほどのカリウム含有量となるとのことである。また、この栽培技術はほうれんそうだけでなく、ほかの野菜にも対応できるとのことである。
種苗会社のブースで目を引いたのは、加工用に開発されたはくさいである。この加工用はくさいは漬物加工後の目減りが少ないという特色がある。最近の漬物業界の潮流は、売上全体のうち半分をキムチが占めるとのことだが、近年の輸入食品の安全性への懸念から、国産野菜を用いたキムチなどの漬物需要が増大しているとのことである。
仙台市中央卸売市場および石巻地方卸売市場は、いずれも産地と加工事業者などと連携して協議会を組織し、加工・業務用野菜の契約取引の推進に取り組んでおり、産地と実需者との架け橋となる取り組みの紹介を行った。例えば仙台市場では、協力工場と連携しお客様のニーズに合わせた一次加工品を製造しているとのことである。
野菜ビジネス協議会のコーナーでは、パック詰めされたカット野菜などの展示があった。そのほか、夏場では珍しいいちごを手に取り、出展者と情報交換をする来場者の様子などが見られた。
今回のセミナーでは、日本野菜ソムリエ協会認定野菜ソムリエとしてご活躍中の斎藤緑氏と、MCプロデュース株式会社取締役統轄本部長の木村幸雄氏を講師としてお招きした。
斎藤氏は、「地産地消の取組み事例について」と題し、野菜や果物の魅力を分かりやすく伝える野菜ソムリエの活動の様子や、これからの「食」は「ココロとカラダ」を満たすことがキーワードになるとし、食事はバランス良く「旬」や「季節感」を意識しながら摂取することが望ましいことなどについてお話いただいた。
木村氏は、「MCプロデュース㈱における国産野菜需要への対応と産地への提言」と題し、産地と中・外食産業を結ぶ当社が、全国の産地から季節ごとの産地リレーと産地の分散化に取り組み、安定した調達を行っていることや、契約取引により相場に左右されない安定供給を行っていること、また実需者のニーズに応えた規格での納品など中間事業者としての取組みについて詳しくお話しいただいた。
セミナーの詳細については、機構ホームページよりご覧ください。
http://www.alic.go.jp/operation/vegetable/stability-exchange.html
来場者アンケートでは「役に立った」との回答は94パーセントであり、「新品種や新素材の情報が得られた」「さまざまな取組みについて知ることができた」「契約栽培について知ることができた」「現物を見ながら情報交換ができた」「流通経路など知ることができた」「セミナーは非常に参考となった」などのお声をいただくなど、産地と実需者の活発な交流が行われた。
今後出展者に提案して欲しい商品としては、「地域色を生かした野菜」や「全国的には流通していない野菜」「デザートになる野菜」「食べ方、特性、荷姿なども含めた商品提案」などを望む声があった。
このようなご意見を参考に今後の交流会を改善していきたいと考えている。
なお、今年度の交流会開催予定は以下のとおり。詳細は、追って機構ホームページに掲載するのでホームページよりご確認いただきたい。
【名古屋会場】
日時:平成22年11月26日(金)
場所:名古屋国際会議場
(名古屋市熱田区熱田西町1番1号)
【大阪会場】
日時:平成23年2月4日(金)
場所:マイドームおおさか
(大阪市中央区本町橋2番5号)
(参考)加工・業務用野菜産地と実需者との交流会 in 仙台 出展者一覧(順不同)
【JA全農/農協】
八戸農業協同組合/岩手江刺農業協同組合/十和田おいらせ農業協同組合/全農福島県本部/全農宮城県本部(仙台農協、みどりの農協、いしのまき農協、みやぎ登米農協)/全農岩手県本部/青森県農村工業農業協同組合連合会/高知県園芸農業協同組合連合会
【生産法人・植物工場】
㈱舞台ファーム/西地食品(有)/紅の花ふる里再生協議会/㈱春口農園/高橋農園/㈱黄金崎農場/(有)ポテンシャル農業研究所/薬莱山葵栽培園(奥田建設㈱)/(有)おっとちグリーンステーション/(有)みちのく農産/(有)大郷グリーンファーマーズ/㈱野菜くらぶ/グリンリーフ㈱/せいぶ農産ダイレクト㈱/アグリカルチャ・コラボレート・サークル/(有)大野台グリーンファーム・(有)大和農園・(有)正八/(有)アクト農場/(有)耕佑/(有)サントマト石巻/(有)ファーム千葉/國分青果/(有)栄物産/横手精工㈱・日本アドバンストアグリ㈱/ファーム味来工房/
【流通業者等】
石川食品㈱/仙台市場業務加工推進協議会/(社)川井村産業開発公社/(有)テイスティ伊藤/石巻青果加工業務用野菜契約的取引推進協議会
【種苗会社】
ナント種苗㈱/㈱大和農園種苗販売部/カネコ種苗㈱/㈱渡辺採種場/トキタ種苗㈱/タキイ種苗㈱/福井シード㈱/㈱サカタのタネ/㈱トーホク/ツルタのタネ㈱/雪印種苗㈱/みかど協和㈱
【野菜ビジネス協議会】
野菜ビジネス協議会/伊藤忠商事㈱・伊藤忠フレッシュ㈱/MCプロデュース㈱/
キユーピー㈱・㈱サラダクラブ/サンポー食品㈱/デリカフーズ㈱
<交流会に関する問合せ先>
野菜業務部 直接契約課
庄司・川口・前田・伊東
TEL:03-3583-9819
FAX:03-3583-9484