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平成21年度第3回加工・業務用野菜産地と実需者との交流会(11月17日東京開催)の概要について

野菜業務部 契約取引推進課



 本年11月17日に、「平成21年度第3回加工・業務用野菜産地と実需者との交流会」を東京都立産業貿易センターにて開催した。

1 交流会の概要

 今回の交流会は、社団法人日本フードサービス協会主催の「JFフードサービスバイヤーズ商談会2009」と共催し、1,500名を超える来場者をお迎えした。

 国内の加工・業務用野菜に仕向けられる輸入野菜が多い中、コスト低減に取り組み、安全・安心な国産の加工・業務用野菜を生産する生産者団体・生産法人などが出展した。

 出展者は、生産者団体16団体、農業生産法人16団体、種苗会社12団体、流通業者3団体、植物工場6団体、野菜ビジネス協議会9団体および行政研究機関4団体の計66団体であった。

 前回の大阪で開催した交流会から、青果物のカット事業者および流通事業者などを会員とする野菜ビジネス協議会と共催しており、今回も出展者と中間事業者および実需者などが相互に交流し商談する様子が見られた。

 交流会の開催に当たり、社団法人日本フードサービス協会田沼会長から「今回の商談会では100を超えるブースが出展した。今回はお米とその加工品をテーマの中心としているが、今までにない趣向をこらした商品が展示されている。各々が手を結びお客様に喜んでいただける外食・食品産業の一歩となるよう進んで参りたい」とのあいさつがあった。

 次に、当機構木下理事長から「交流会を通じて、外食・中食業者の皆様方には、国産の加工・業務用野菜の消費拡大に向けて、農業の現場でどのような取り組みがなされているのか生産現場の実情を知っていただく機会になればと期待している。また、生産サイドの皆様方には、実需の皆様方のニーズ、店舗などの最終消費の実態をこの場で把握していただき、是非、今後の生産の改善に結びつくヒントとしていただきたいと思う」とのあいさつがあった。

 最後に農林水産省総合食料局外食産業室増井室長から、「外食産業をめぐる情勢は厳しくなっているが、昨年農林水産省で実施したアンケートでは、外食産業の方々の約5割が国産品の取引を増やしたいという意向であり、生産者の約4割が実需者との取引を増やしたい意向であった。今回の商談会および交流会で生産者と外食産業など皆さまの相互理解と取引につながっていくことを期待する」とのあいさつがあった。


オープニングセレモニーの様子

2 出展者の概要

① 生産者団体

 生産者団体ブースでは、秋冬野菜を中心に多くの野菜が展示され、品目ごとに栽培および出荷時期や生産量などをカレンダーに分類提示し、積極的に説明する団体もあり、産地リレーにより周年供給を行うために新たな産地を探す流通業などの実需者には、非常にわかりやすく好評であった。

 JA遠州中央のブースでは、国産の中国野菜が目をひき、外側は通常の白色であるが、中は鮮やかな紅色をした丸い「 紅心大根 こうしんだいこん 」や「 空心菜 くうしんさい 」、「 油菜心 ゆさいしん 」、「 芥藍 かいらん 」などが展示された。

 JA山武郡市のブースでは、ミネラルの豊富な海水をかけて栽培する独自の方法により育てられた「海っこねぎ」を手にする来場者の姿が多数見られた。

 JA宮崎経済連から、JA尾鈴が出資した農業生産法人の設立の経緯について話を伺った。「耕作放棄地の解消のために設立した。現在40名程が勤務し、新たな雇用の創出ができた。また農業生産法人であるため、小回りの利く経営を行うことができ、契約栽培を中心に行っている」とのことであった。また、同法人によれば、契約から出荷まではJAおよび経済連を通すことにより品質や規格の安定が図られ実需者との信頼関係が構築できたとのことである。

 生産者の高齢化が進み、耕作放棄地が増える中でこのような取り組みは、安心して新規就農できる土壌を創り、地域の振興および活性化に寄与すると考えられる。




② 農業生産法人

 農業生産法人などのブースでは、黄色のミニトマトで作った黄色いトマトケチャップやさつまいもやかぼちゃをペーストやパウダーに加工し、製菓メーカーなどに周年供給しているなど、生産者が加工した商品を展示する様子も見られた。また、品種の異なるばれいしょの試食なども行われ、それぞれの味の違いに来場者が熱心に話を聞く様子が見られた。


③ 野菜(植物)工場

 今回の交流会では、植物工場の出展が6社あった。植物工場は、生育環境を制御することにより、季節・天候に左右されず一年中安定した品質の商品を供給することが可能である。現在のところ、葉菜類が中心であるが、気象変動が年々大きくなる中、安定供給の可能な植物工場は、需要の増加している加工・業務用野菜への対応が期待され、注目を集めている。植物工場からは、今回の交流会を通し、外食産業などのメーカーに対してアピールすることができるいい機会となったと好評であった。

④ 中間事業者

 野菜ビジネス協議会のコーナーには、会員8社が出展し、それぞれにパック詰めをしたカット野菜商品などを展示していた。来場した実需者だけでなく、出展している農業生産法人なども野菜のカットを行う中間事業者と相互の情報提供および商談をする機会となり盛況を呈していた。


3 セミナー

 今回のセミナーでは、野菜くらぶ取締役事業本部長の毛利嘉宏氏とアイスクウェア代表取締役社長の福田高志氏の2人に講師を務めていただいた。

 毛利氏は「株式会社野菜くらぶにおける国内野菜の通年出荷体制の取り組み」と題し、産直野菜のメリット・デメリットや、一昔前までの生産者には農業技術と地域コミュニケーションが求められていたが、これからの農業にはマーケティング、財務管理、人材開発といった要素も求められるとの提言などがあった。

 福田氏は「加工・業務用野菜で産地数量契約ができる産地・できない産地」と題し、数量契約や面積契約など契約方法の違いにより、生産・出荷の方法や生産者と中間流通業者および最終需要者が天候などのリスクがある中で、いかに野菜を集荷するかの努力を行い、契約を履行することがお互いの信頼関係を構築する上で必要などのお話をいただいた。

 セミナーの詳細な内容については機構のホームページに掲載している。
http://www.alic.go.jp/operation/vegetable/stability-exchange.html



野菜くらぶ 毛利氏

アイスクウェア 福田氏

4 来場者の声(来場者アンケートより)

 来場者アンケートでは、「役に立った」と回答した割合が91%であった。具体的な意見としては「直接交渉が出来た」「加工野菜の会社と関係が出来た」「産地情報と新しい品種の情報が得られた」「セミナーの話が参考になった」「新メニューのヒントになる食材があった」といった声をいただいた。

 また、「今後、出展者に提案して欲しい商品は」という問いには、「ボイル用野菜」「野菜を使ったデザートの提案」などのご意見をいただいた。

 アンケート結果の概要は、機構のホームページに掲載している。
http://alic.lin.go.jp/content/000012087.pdf 

5 今後の開催について

 加工・業務用野菜の需要に対応するためには、まず安定供給体制の構築である。定時・定量・定品質・定価格での原材料供給体制をいかに構築できるか 、また無駄を省きコストダウンできるかということである。しかし、それだけではなく、実需者の信頼確保、ニーズに対応した形態での供給、加工・業務用野菜であっても国産野菜であることの付加価値をいかに実需者および消費者に伝えられるかという営業力、情報の集積による新商品開発のための企画力が必要である。

 今後は、「産地間競争」ではなく、「産地間連携」を進め周年的に供給していけば、加工・業務用野菜に現在多く使用される輸入野菜から、安全・安心の追い風を生かした国産野菜へ置き換わっていくものとみられる。

 この交流会が生産者から中間事業者を含めた実需者までを結びつける一助となれば幸いである。

 今年度の交流会も残すところ名古屋会場のみとなった。奮ってご参加・ご参集いただきたい。

第4回名古屋会場
日時:平成22年1月29日(金) 12:00~17:00
場所:名古屋国際会議場 白鳥ホール


〈交流会に関する問合せ先〉
野菜業務部 契約取引推進課 前川・川口・前田
TEL:03-3583-9817  FAX:03-3583-9484

(参考)第3回交流会(東京会場)出展者一覧(順不同)

【JA全農/農協】

ホクレン農業協同組合連合会、JA全農あきた、JA全農いばらき、JAおやま、JA全農さいたま、JA山武郡市、JA全農、JA遠州中央、JAとぴあ浜松、JA愛知みなみ、高知県園芸農業協同組合連合会、JAにじ、JAさが、JA全農おおいた、JA宮崎経済連、JA鹿児島県経済連

【生産法人】

國分青果、(農)北海道ホープランド、和楽堂健康農苑、(株)野菜くらぶ、グリンリーフ(株)、(農)百姓倶楽部、(有)水戸菜園、(株)旦千花、(株)昭和村農園、(株)誠和、(有)トップリバー、(株)ファームかずと、(農)忍の里、(有)遠赤有機農園、西地食品(有)、(株)岡林農園、(有)コウヤマ

【流通業者】

ナラサキ産業(株)、飯山中央市場(株)、浅間高原コミュニティ協同組合

【種苗会社】

(株)佐藤政行種苗、(株)渡辺採種場、(株)トーホク、カネコ種苗(株)、雪印種苗(株)、みかど協和(株)、(株)日本農林社、パイオニアエコサイエンス(株)、日本デルモンテ(株)、横浜植木(株)、ツルタのタネ(株)、(株)大和農園種苗販売部

【植物工場】

(有)安全野菜工場、(有)アーバンファーム、小津産業(株)、(株)九州屋、(有)安曇野三郷ハイテクファーム、(株)スプレッド

【行政・試験研究機関】

(独)農研機構野菜茶業研究所、FOOD ACTION NIPPON 推進本部事務局、農林水産省、(独)農畜産業振興機構

【野菜ビジネス協議会】

野菜ビジネス協議会、(株)アイスクウェア、MCプロデュース(株)、(株)ケーアイ・フレッシュアクセス、丸紅食料(株)、サンポー食品(株)、富士食品工業(株)、(株)清浄野菜普及研究所、Farm to Wellness 倶楽部(デリカフーズ(株))


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