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平成20年度第1回「加工・業務用野菜産地と実需者との交流会」(東京)の概要について

野菜業務部 調査情報部



  当機構は、加工・業務用野菜産地と実需者が一堂に会して展示・商談等を行う平成20年度第1回「加工・業務用野菜産地と実需者との交流会」を、農林水産省との共催で7月3日に東京港区浜松町の東京都立産業貿易センターにおいて開催した。

 今回は、「国産野菜をいかにして確保するか」をテーマとし、加工・業務用野菜の生産・販売に積極的に取り組んでいる全国各地の産地や種苗会社、市場関係者、試験研究機関など60団体が出展するとともに、出展者によるショートプレゼンテーション、産地と実需者とのマッチングを促進するためのセミナーを開催した。当日は750人を超える来場者が訪れ、産地及び実需者が相互に活発な情報交換を行う場となった。

1.「国産野菜をいかにして確保するか」が今回のテーマ

 交流会は、主催者のあいさつで幕が開けられた。当機構の木下理事長は、「今回の交流会では、『国産野菜をいかに確保するか』をテーマにしている。食の外部化進展、国際的な食料需給の変化や食の安全を求める消費者意識の高まりから、国産の加工・業務用需要が増大する一方、国内産地の対応は遅れている。とりわけ、野菜の輸入が中国製冷凍ギョーザ事件以降大幅に下回って推移している状況にあり、国内産地と実需者の方々が加工・業務用需要に的確に対応していくチャンスは、今をおいて他にないのではないか。ぜひこの交流会で全国各地の野菜産地から、地域の旬の野菜、付加価値の高い野菜をユーザーに対して積極的にアピールして頂き、また、実需者の方からは国産野菜に対するニーズを発信していただき、新たな商品開発に役立てて頂きたい」とのあいさつを行った。

 また、農林水産省の佐々木生産局審議官からは、「最近の食料をめぐる世界の情勢が、かつてない厳しい状況にある中、日本は食料の自給率が39%と低く、野菜をはじめ、国内産の食料の供給力を強化することが緊急の課題となっている。このため、国内における食料供給力の強化に向けた対策の一つとして、国産ニーズの高い野菜や畜産物などの供給体制の整備を促進するため、「21世紀新農政2008」に即して「加工・業務用需要対応プラン」作りをすすめている。この交流会には積極的に加工・業務用需要に取り組んでいる産地や国産野菜の利用に理解のある実需者の方々に多数出席・来場頂くことになっており、この機会を活かして、積極的に情報交換を行っていただき、加工・業務用野菜の生産拡大の契機となることを期待している」とのあいさつがあった。




木下理事長のあいさつ

佐々木審議官のあいさつ



2.新品種や伝統野菜などさまざまな野菜が展示された展示ブース

 会場には、生産者団体18団体、農業生産法人18社、種苗会社15社、その他市場関係者、試験研究機関、行政機関の計60ブースが設置された。

(1) 種苗会社による新品種の紹介
~加工・業務用適性や味覚などを意識した品種紹介~

 種苗会社のブースでは加工・業務用に優れた適性を持つ品種、特徴的な味覚の品種、消費者の目をひく品種など様々な品種が紹介された。

 加工・業務用に優れた特性をもつ品種としては、果肉が硬くゼリーがこぼれにくいトマト、冷凍しても色が落ちにくく一斉収穫が可能ないんげん、長期保存しても味が変わりにくいかぼちゃ、大玉で芯の抜きやすいレタス、大玉で割れが少ないキャベツ、小型で太さがそろい、丸ごとあるいは1/2カットにすると漬物やなべの具として、見た目に秀でた形で提供可能なたけのこはくさいなどが展示された。

 特徴的な味覚の品種としては、皮が薄く、食べたときに口中に残りにくいミニトマト、シェアの伸びている赤肉メロン、独特のにおいを抑えた茶豆系のえだまめ、種なしで味覚の良いすいか、しょ糖だけでなく果糖や麦芽糖を含みさわやかな甘みを持つスイートコーン、甘いだけでなく、酸味と甘みのバランスを考え、昔食べた味を意識したトマト、チーズとの相性を追求した長首かぼちゃなどが展示された。

 消費者の目をひく品種としては、レンジで調理できるミニかぼちゃ、冷蔵庫にすっぽり収まる小型で横長のすいかなどのミニ野菜や、各種の中国野菜、食用のほおずきといった新野菜の紹介があった。また、通常の色とは違った色を持つ野菜としては真っ白なスイートコーン、黄色のメロンやトマト、緑だけでなく、白や青色の皮色のかぼちゃも展示され、彩り豊かな野菜が目についた。

 この他にも冬季の受粉・ホルモン処理を必要としないなすや、へたの部分にトゲがなく、移動途中に傷がつきにくいなすなど、栽培や流通に配慮した品種の紹介も行われた。




多くの来場者で賑わった試食コーナー

口の中に皮の残りにくいミニトマト



(2) 生産者団体による産地・野菜紹介
~需要者のニーズに対応するほか、産地における課題解決を目指した野菜生産~

 各生産者団体からは多様な産地の取り組みを反映した紹介が行われた。

 業務筋から需要のある寒玉キャベツが栽培しにくい4~6月の出荷に取り組む産地、発光ダイオードによる育苗施設を利用し、栄養価に優れた中国野菜の通年栽培を可能とした産地、外食産業でサラダに多く利用されるパプリカの糖度を高める栽培を行う産地、有機野菜の栽培に取り組む産地などが、アピールに努めていた。

 また、生産法人からは、レタスやリーフレタスなどのサラダ商材、とくに色鮮やかな紫を使ったリーフレタスなどを業務用として提供したい産地や、にんにくの芽、ホワイトや紫のアスパラガスの栽培に取り組む産地のアピールなどがあった。また、自ほ場などで収穫した野菜を一次加工した冷凍ほうれんそうや冷凍こまつななどの紹介、紫いもやしいたけなどのパウダーの紹介、食品循環資源を活用した栽培システムにより生産から販売までを担う法人からは、スチーム野菜をカットしてパッキングした製品の紹介などがあった。

 産地のブースを回って聞き取りを行ったところ、土地利用型作物である米麦の先行きが不透明である中で、代替品目として機械化が可能な野菜栽培への期待を持つ産地、温暖化が進むことを予想し、南方系の作物を含めた品目の多様化を進める産地、主産地形成が成功した品目は市場流通をメインとし、数量が少なくブランド化が難しい野菜を加工向けに仕向けて生産者の所得向上を図る産地、消費者により安全な野菜を食べてもらおうと減農薬や有機栽培にこだわる産地などがあり、産地の抱える現在の課題が伝わるとともに、それに対して解決を図ろうとする産地の取り組みを目にすることができた。また、資材高騰による値上げへの理解を求めるパンフレットが配布されるなど、石油高騰に苦しむ声も多く聞かれた。

(3) 当機構の取り組み

 当機構のブースにおいては、契約野菜安定供給事業のパンフレット、本誌「野菜情報」及び当機構のパンフレットを配布し、来場者に事業の紹介などを行い、様々な情報交換を行った。事業について熱心に質問している生産者や、本誌の入手方法などを聞く来場者も多く見られた。

 また、農林水産省からは「品目別・用途別加工・業務用のガイドライン」や外食・中食など現場で役立つ野菜の素材集等のパンフレットが配布され、多くの方の関心を呼んでいた。




国産中国野菜の紹介を行ったブース

地域特産加工品の販売に力を入れるブース



3.交流促進マッチングセミナーと出展者によるショートプレゼンテーション

 交流会では、ブースの展示に加えて、交流促進マッチングセミナーおよび出展者のショートプレゼンテーションが行われた。

(1) 交流促進マッチングセミナー

 本交流会では、3つのテーマによる交流促進マッチングセミナーが開催された。

 最初に、農林水産政策研究所の小林企画科長から、「野菜の用途別需要の動向と課題」と題し、発表が行われた。

 このなかでは、食の外部化が進展する中、加工・業務用野菜需要が増大する一方、同需要において輸入品が占める割合が増加しており、加工・業務用需要への国内対応の遅れは、国産野菜の販路縮小の事態を招くことになる。一方、中国製冷凍ギョーザ事件などの影響により国産志向が高まっており、国内産地が加工・業務用需要にしっかり対応できるか問われていること、このためには、「作ってから売る」のではなく、「事前に販売先を確保してから作る」ことが大事であり、産地においてはコスト意識の徹底とニーズに即した品質対応が重要となること、また、コーディネーターや契約取引制度の活用などをよく検討する必要があること、さらに、関係者は低価格だけを追求するのではなく、質的側面と安定供給を重視した総合的な取り組みの中に価格戦略を位置づけることが重要であることが発表された。

 次に、株式会社虎昭産業の内山専務取締役からは、「中食産業の現状と産地の取り組み」と題し、セブンイレブンとの取引実態をもとに、総菜の原料野菜の国産化に向けての取り組みが発表された。このなかでは、トレーサビリティを持つ野菜の契約取引の意義のほか、コールドチェーン整備により商品を差別化するとともに、業務用規格を採用し、共同購入によるコストダウンを図っている事例が報告された。具体的には業務用規格を採用したほうれんそうや、いぼなしきゅうりを契約取引することによって、生産者および需要者側の双方にメリットをもたらしている点が報告された。

 最後に、東京青果株式会社の宮本常務取締役からは、「契約取引の現状と今後~産地と実需者が配慮すべき点とコーディネーターの役割~」と題し、東京青果における契約取引の実態と契約取引を行う上での重要なポイントについて発表が行われた。

 このなかでは、卸が介在する契約取引では代金の支払についての懸念は少ないが、契約取引先の需要によって多様な形態があること、年間特定の野菜が必要な需要者に対しての端境期対応が重要であることのほか、出荷開始前に相当部分の数量の販売先を決めてしまう事例、再生産に必要な価格+aで価格帯を設けて取引を行っている事例などの先進的な事例が報告された。また、今まで必要見込み数量をもとに商売が行われてきたが、これからは、特定の実需者が、どんな品質(規格)のものを、何ケース必要かを把握して、集荷計画を立てていくオーダーメードが重要であるとした。さらに自身の経験から、予約相対や契約取引を行うときには何度も確認を行い、問題が発生すれば即座に対応すること、先の予測を立てることが重要であることを述べた。




熱心な来場者で満員となったセミナー講演会場



(2) ショートプレゼンテーション

 本交流会では、出展者によるショートプレゼンテーションも行われた。産地からのプレゼンテーションを数例紹介すると、あしきた農業協同組合からは、特別な方法で栽培されたたまねぎを利用して作られたドレッシングやペースト商品の紹介、北浦有機事業協同組合からは、みず菜やちんげんさいなどの有機栽培野菜の紹介、パプリカ専門の生産者である株式会社Tedyからは、自社で生産したパプリカを利用した加工品の紹介が行われた。また、有限会社トップリバーからは、主にレタスやキャベツを栽培しており、日量3000~5000ケースの野菜を40社以上に納品している実績をもとに、ニーズに合わせた野菜供給や、新規就農者の育成に力を入れていることについて紹介が行われた。

4.出展者、来場者からの声 ~加工・業務用野菜の新たな販路の確保をめざしたい~

 今回の交流会は、中国からの輸入が減り、国産野菜を求める声が大きくなっている中、マスコミ関係者の取材も多く(16社)、会場は開会から閉会まで多くの人であふれた活気ある雰囲気であった。

 出展者や来場者の声を聞いたので、いくつか紹介したい。

 外食業者やコンビニなどに納入している業者からは、「サンドウィッチやハンバーガー用にゼリーの少ないトマトを納入している。ハンバーガー用のパンが小さくなっているので、今小玉の品種を選定中である。資材コストが上がっているので、価格に反映させたいが、外食業界も厳しいので、価格を上げるのは難しい」。

 新たに中国野菜の生産に取り組む産地の生産者からは、「この品目は今のところ国産のものはないと思われるが、現在、中国産が敬遠され国産のものが求められているので、この好機を生かしてに売り先を確保するなど今後力をいれていきたい」と語っていた。

 今回の出展に生鮮(ホール)ではなく、ペーストやカット野菜の1次加工品のみを展示している生産法人は、「野菜は、天候などに大きく左右されるため、契約数量を納入遂行できる数量のいちばん下限の数量にせざるを得ない。そのためどうしても発生してしまう余剰で加工品を作り、新たな売り先を確保したい」との声があった。

 一方、来場者からは、カット野菜を主に扱っている業者が「熱心に生産者の展示をまわり、いい産地を見つけたい」と話し、自分でも野菜を作っているという流通業者は、「どんなものか見に来たが、いろいろな生産者や実需者と話す機会を得、興味深かった」、「加工・業務用野菜の産地を探しにきた。特定の品目については、いい産地があった」などの声があった。

 今回の展示に関しては、出展者側からは、「なかなか売り込みの場を作ることができないので、こうした場をつくってもらえるのは、ありがたい。こうした場で名刺交換をすることが、取引につながるので、継続的に交流会を開催してもらいたい」、「昨年この交流会で見つかった相手先により販路が広がった」、「普段会う機会のない者と会うことができ、興味を持ってもらうことができた」、「他の出展者の展示方法を見て参考になるので次回に生かしたい」といった声を聞くことができた。

5.さいごに ~アンケート結果と今後の取り組み

 来場者に今回の交流会に関するアンケート調査を行ったところ、「セミナーが大変興味深かった」、「探している品種が見つかった」、「客先から要望のあった野菜の供給者が見つかった」、「新たな取引ルートができた」、「産地の情報を入手することができた」などの感想をはじめ、役に立ったという評価が94.4%を占めた。

 また、「今後も交流会を開いて情報収集の場を設けてほしい」という声が多く寄せられた。次回は、10月30日に大阪会場において第2回目開催を予定しており、まもなく出展者・来場者の募集も開始する予定であるが、今後もブース展示の工夫や来場者の増加につながるPRなどを行って国産野菜の確保に寄与してまいりたい。

 今後の交流会の開催予定、出展者募集、来場のご案内、セミナー講演録など交流会の詳細については、当機構のホームページhttp://vegetable.alic.go.jp/kouryukai.htmlにも掲載しているので、ご参照ください。

 なお、今回の講演録については8月に掲載する予定です。



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