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第一回国産野菜の生産・利用拡大 優良事業者表彰の審査結果について

野菜業務第二部


 第一回国産野菜の生産利用拡大優良事業表彰の審査が終了し受賞グループが下記のとおり決まりましたので、お知らせします。

1 趣  旨
  本表彰制度は、国産野菜の生産拡大及び利用増進に向けて、生産者、流通業者及び実需者が連携した取組を顕彰するため、今年度新たに創設したものです。
  この度、審査が終了し、受賞グループが決定しましたので審査結果を公表いたします。なお、表彰式典は、3月19日に開催されました。

2 審査結果について
(1) 応募状況・審査結果
  平成19年11月19日から平成20年1月18日の間に申請のあった22グループについて、審査委員会による厳正な審査の結果、農林水産大臣賞2点、生産局長賞6点、独立行政法人農畜産業振興機構理事長賞11点が決定されました。

(2) 審査委員会
審査委員長
 
藤島 廣二(東京農業大学国際食料情報学部教授)
審査委員
 
木立 真直(中央大学商学部教授)
石内 傅治(社団法人日本施設園芸協会専務理事)
椎名 宏行(全国農業協同組合連合会農産園芸部長)
稲垣 照哉(社団法人日本農業法人協会常務理事)
野老 正明(社団法人日本べんとう振興協会専務理事)
福田 高志(野菜ビジネス協議会会長)

3 表彰受賞グループ
※クリックすると拡大します。


今回の審査結果にかえて

審査委員長 藤島 廣二

 野菜の自給率は昭和40年代前半まで100%を保持し、その後も昭和60年までは95%を下回ることはありませんでした。しかし、同年以降の円高等の影響を受けて輸入の急増が始まり、ついに平成17年に80%を割り込みました。

 輸入野菜は家庭向け生鮮野菜として出回ることは少なく、その大半は加工・業務用として利用されています。したがって、国内での野菜生産を増やし、自給率の向上を実現するためには、加工・業務用分野における国産野菜の利用拡大を推進しなければなりません。

 そこで本審査委員会では、産地と実需者及び流通業者の連携の下、加工・業務用国産野菜の生産・利用の拡大に寄与している優良事例を、国内に広く紹介することによって、国産野菜の生産増大に資することとしました。

今回応募いただいた方々は22組にのぼりましたが、いずれもたいへん立派な取組事例です。甲乙付け難い優良事例ばかりでしたが、長時間にわたり、8名の委員で各賞候補事例の選定に関する審議を重ねました。

 その結果、本審査委員会において農林水産大臣賞2点、生産局長賞6点、独農畜産業振興機構理事長賞11点を決定しました。理事長賞は、同機構が実施している野菜価格安定事業や産地と実需者との交流会への貢献度等を考慮して選考させて頂きましたので、ここでは農林水産大臣賞を受賞された取組事例について、特に高く評価された点を紹介します。

農林水産大臣賞
「キャベツ契約取引グループ」

〈構成員:茨城中央園芸農業協同組合、(株)リンガーハット、丸仙青果(株)〉
 これは茨城中央園芸農協が丸仙青果を通してリンガーハットにキャベツを供給する取組です。現在、契約作付面積が20ha、契約参加生産者23名、契約取引量980tにのぼっています。

 この取組で特に高く評価されたのは、次の2点です。その第1は契約参加生産者と契約作付面積が大きく伸びたことです。この取組が始まったのは平成元年でしたが、その時は参加生産者5名、契約面積50aにすぎませんでした。それが、現在では参加生産者数で約5倍、契約面積で40倍にまで増加しました。確かに単価は通常の市場出荷品の方が高いのですが、しかし契約品は市場出荷品よりも単位面積当たり収量が多く、価格が安定しているために、生産希望者が増加傾向にあるとのことです。

 第2の高評価点は、3者の協力によって柔軟性のある取引量の調整・確保を実現していることです。茨城中央園芸農協は契約数量を間違いなく供給できるように、天候等の影響を考慮して多品目の作付面積を確保していますが、それだけではなく、出荷時に携帯電話で収穫作業等の情報を入手するなどして出荷量を調整しています。丸仙青果は冷蔵倉庫を利用して日々の数量調整を行うとともに、産地間のリレー等により年間の供給量を確保しています。さらにリンガーハットの担当者は毎月1度は産地を訪問し、密な情報交換を行い、また生産者らの工場見学も積極的に受け入れています。

「セブン・イレブン ほうれんそう国産化推進チーム」
〈構成員:農業生産法人(有)テンアップファーム、(株)セブン-イレブン・ジャパン、横浜丸中青果(株)〉
 この事例は、テンアップファームが生産者を組織化して加工・業務用ほうれんそうを生産し、それを横浜丸中青果を通してセブン-イレブン・ジャパンに納める契約取引です。現在、参加農家40戸、作付面積5ha、出荷量100tに達しています。

 これについては審査委員の間で次の2点が特に高く評価されました。第1の点は、平成16年から始まった取引が最初は37tであったにもかかわらず、翌17年には57tへ、そして18年には100tへと急増したことです。当初、多くの生産者は単価が低いことで躊躇していましたが、草丈35㎝とするため、単位面積当たり収穫量が市場出荷品の2倍となり、しかも調製作業が不要なために手間が大幅に削減できることから、生産希望者が急増したのです。もちろん、単価は長期値決めですので安定しています。

 第2の点は、安定供給のシステムを構築したことです。テンアップファームはほうれんそう生産量の全部を契約取引に向けている農家だけでなく、一部だけに限っている農家をも契約グループに取り込み、天候不順時の安定供給に努めていますし、横浜丸中青果は物流施設の整備によって流通過程での品質の変化による供給減を防止し、また産地リレー等によって周年安定供給を実現しています。
なお、セブン-イレブンは平成13年にほうれんそうを中国産冷凍から国産生鮮に切り替え、この点も高く評価されたところです。



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