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機構から


野菜についての消費者代表の方々との現地意見交換会の概要

野菜業務第一部 調整課


1.はじめに
 当機構では、食料・農業・農村基本計画に掲げる望ましい食料消費の姿、食品の健康に果たす役割についての理解の増進等に資するための情報の収集・提供を行っております。その一環として、各分野別に「消費者代表の方々との意見交換会」を実施していますが、この度、「野菜についての消費者代表の方々との現地意見交換会」を開催いたしました。

 本年度は、消費者代表の方々に実際の野菜生産と野菜流通の現場を見ていただくとともに、「もったいない」との批判の多い野菜の土壌還元等の緊急需給調整に対して理解を深めていただく「現地意見交換会」を行い、消費者サイド、生産者サイド双方向でのコミュニケーションに寄与すべく、去る11月14日に茨城県JA常総ひかり管内において標記意見交換会を行いました。本稿ではその概要を紹介いたします。

2.出席者
 現地意見交換会には以下の方々にご出席いただきました。

○消費者代表
主婦連合会 環境部 柿本 章子
〃  吉田多美枝
消費科学連合会 企画委員 鈴木美根子
〃  古川 英子
全国地域婦人団体連絡協議会
(埼玉県地域婦人会連合会)
常任理事 野矢 よし子
地区役員 斉藤 寿子

○学識経験者
野菜需給調整協議会 委員 秋岡 榮子
(経済エッセイスト)
野菜の緊急需給調整手法に関する
検討委員会 委員 市川 まりこ
(消費生活コンサルタント)

○JA関係者
全農茨城県本部園芸部 部長 野崎 和美
園芸課長 鴨川 隆計
  〃 県西VFステーション
所長 齊藤 千春
JA常総ひかり 常務理事 猪瀬 憲一
営農部長 上野 伸男
営農部園芸課長 大山 正巳
  〃 八千代地区秋冬はくさい部会
部会長 猪瀬 長男
  〃  副部会長 宮本 公夫

○行政関係者
茨城県農林水産部園芸流通課
課 長 大和田 賢一
茨城県県西地方総合事務所農林課
課 長 渡邊 稔
八千代町産業課 課 長 水垣 進
参 事 青木 良夫
農林水産省生産局園芸課
野菜需給調整官 岩崎 哲朗
業務運営調整係長 高橋 信行
   〃  関東農政局
園芸特産課流通指導官 笠木 久雄

  当機構からは、木下理事長、成田理事、東條総括調整役他5名が出席いたしました。

3.現地意見交換会の概要

(1)茨城県八千代町圃場見学
 JR古河駅をバスで出発し、八千代町へ向かいました。移動中、茨城県の方から県農業の概要を説明いただき、また、車窓からは、はくさい、キャベツ、レタス、ほうれんそう等の圃場が確認できました。

 バスを降りて、はくさいの収穫をされていた生産者、秋葉さんの圃場に実際に入り、はくさいの収穫作業や箱詰め作業等、具体的な説明をいただきました。この場で消費者代表から出された主要なご意見、ご質問は以下のとおりです。

○ 圃場のところどころに転がっているはくさいはどうするのか→規格外品なので出荷しない。

○ 収穫は機械化できないとのことだが、その理由が見栄え等、買う側(流通業者等)の意向によるものが大きいのならば、買う側の意識改革が必要ではないか。根がたくさんついている方が乾かないし産地側のごみも減って良いのではないか。だが買う側のごみが増えるという問題もある。

○ スーパーではカットされたものしか見ないので(安値時は1/2カット、高値時は1/4カット)、丸ごと1個のはくさいを目の前にしてその大きさに大変驚いた。

(2)JA常総ひかり八千代集荷所
 次に、JA常総ひかり八千代集荷所に移動し、荷物が搬入される現場、トラックへの積み込み現場等を見学しました。はくさいだけでも12,000~14,000ケース/日が運び込まれるこの集荷所には、梨やメロンの選果施設や真空予冷施設も整備されており、それぞれの施設ついてのご説明もいただきました。この場で消費者代表から出された主要なご意見、ご質問は以下のとおりです。

○ 箱に書いてある『惚れ2』とは何か→「ほれぼれ」と読む。お客様が惚れこむ産地になろうという生産者の気持ちが込められた消費者へのキャッチフレーズである。

○ メロンは味にムラがあると感じていたが、産地では適時収穫に努め、ここでは糖度チェックや全量検査を行っていると聞いて、食べる側もおいしい時期においしく食べようと思った。



はくさいの圃場に入り生産者の方の話を伺う

(3)JA常総ひかり八千代地区(意見交換会会場)
 八千代地区で採れたはくさいを使った漬物、サラダ、おひたしの試食をさせていただきながら、昼食をとった後、JA常総ひかり管内の野菜の生産について話題提供をいただきました。その後、今回のメインテーマでもある野菜の需給調整対策について、はじめに当機構から制度の説明、続いて話題提供として、昨年、実際に緊急需給調整を行った時の産地における対応、様子についてJA常総ひかりの担当者からご説明いただいた後、意見交換会に移りました。消費者代表から出された主要なご意見、ご質問は以下のとおりです。

○ 価格が安い時の産地廃棄ばかりが注目され、高い時の政策は注目されない。両方に軸足があるということをもっと国民に伝えてほしい。また、買い物に行く人ばかりが消費者ではない。例えばサラリーマン向けに、産業政策としての農業、利益率の話、円と人民元のレートバランスで中国野菜の輸入量がどのくらい違うのか等、もっとマクロの視点での資料もあって良い。

○ 消費者側からは、野菜農家の安定供給への努力が見えない。消費者と生産者の間の流通がブラックボックスとなっている。食べる側、作る側が互いを知る必要もある。生産者から積極的でこまめな情報提供が欲しい。

○ はくさい丸ごと1個の大きさと重さに驚いた。実物大でなければその迫力等がわからないことがある。生産者の大変さをもっと実物大で伝える工夫をしてみてはどうか。

 意見交換会の後、全農茨城県本部の業務用を中心とした販売戦略拠点であるVF(VegetableFruits)ステーションのご説明をいただきました。八千代町にある県西VFステーション施設については、出荷トラック等で混雑していてバスでの侵入は難しいため、バスの車窓からの確認となりました。

 今回の意見交換会を通じて、限られた時間ではありましたが、収穫作業を見学し、産地の方々から直にお話を伺ったこと等により、野菜の安定供給の難しさとともに、生産者側の苦労や気持ちを実感していただけたのではないかと思っています。

 機構といたしましても、今回の意見交換会における議論を踏まえ、消費者の皆様に対し、野菜の特性と価格、需給安定対策の必要性について一層のご理解を得られるよう今後とも分かりやすい情報の提供などにも努めてまいりたいと考えております。

  最後になりましたが、当日ご足労いただいた消費者代表の方々及び意見交換に参加するとともにご案内いただいた見学先の皆様に感謝申し上げ、本稿の結びといたします。



集荷施設の見学




JA常総ひかりにおける意見交換会




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