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平成19年度第1回 「加工・業務用野菜産地と 実需者との交流会」の概要について

調査情報部 調査情報第二課


食の外部化に伴う野菜へのニーズの変化に対応するため、平成18年度に続き、本年度第1回目の「加工・業務用野菜産地と実需者との交流会」が7月6日金曜日に農林水産省と当機構で共催された。

  今回は、生産者団体20団体、農業生産法人19社、その他種苗会社、市場関係者、試験研究機関から出展があり、計57のブースが設置された。会場となった東京都港区にある東京都立産業貿易センター浜松町館には、800人強の出展・来場者が集い商談・情報交換が行われた。

  来場者の内訳をみると食品製造業者をはじめ、外食・内食産業、流通会社、行政機関などさまざまな業種関係者が集い、加工・業務用野菜に対する関心の高さが伺えた。

◆“旬の野菜、産地のプロが食べるおいしい食べ方”が今回のテーマ
  多くの来場者が集まるなか、はじめに当機構の木下理事長より「加工・業務用向けの野菜の輸入量が増加している中、これからは加工・業務用需要への国内野菜の対応が課題である。今回の交流会は“旬の野菜、産地のプロが教えるおいしい食べ方”をテ-マとして、産地のPR、おいしい食べ方等の提案を図るため、産地と外食・中食業者、加工業者、流通業者の方々との意見交換をする場にしたい。」との挨拶があった。農林水産省の山田生産局長からは、「加工・業務用の輸入食料が増加している中、これからの国内の加工・業務用野菜における実需者のニーズを知るために、生産者との意見交換の場として交流会を開催したい。」と挨拶があり、交流会が開始された。




会場受付の様子

挨拶する農林水産省山田生産局長



◆用途に応じた多様な加工・業務用向け品種
  今回のブース出展では種苗会社から加工・業務用向けの品種として、でん粉、糖質などの栄養成分が高くホクホク感があり甘みのあるかぼちゃの紹介や、加工・業務向け契約栽培に適しているキャベツの新品種、パスタとの相性がよいドライトマトなど用途に応じたバラエティーに富んだ野菜が紹介された。

  また、加工・業務用向けの品種には、実需者が必要な時期、品質などの要望に応えられる品種作りが課題であり、そのためには産地、実需者、種苗会社が連携し合うことが大切であると種苗メーカーの担当者は語っていた。

◆国内産地の積極的プロモーション
  農業生産法人や生産者団体のブースでは産地の主要品目や野菜の機能性のPRの他に、中食・加工向けの加工品や流通への対応など積極的なPRが行われた。

  また、農業生産法人の担当者は、「情報社会といわれる現在では産地の情報はインターネットを通じて取得できるけれども、交流会でブースを出展することは実際に実需者の方々と顔を合わせ、どのようなニーズを持っているのかなどの情報交換をするうえで有益である。」と述べていた。

  また、今は青果中心だが、今後は加工品の分野に積極的に取り組み、その販路を見つけるために訪れた産地関係者も多くいた。

  生産者団体の関係者からは、野菜を生産し市場に出荷するとう既存システムからの脱却を図るため、今回の交流会での情報交換はもちろんのこと、社内に対する契約取引の優位性を推進することも必要であると述べていた。




野菜の機能性を紹介しているブースも多く見られた

積極的な情報交換が見られた




特色のある産地野菜が並ぶ

新しい調理方法の提案をPR


◆国内野菜産地と食品産業との連携を促進

  今回の交流会ではブースの展示に加えて加工・業務用野菜マッチングセミナー及び出展者によるショートプレゼンテーションが開催された。

  加工・業務用野菜マッチングセミナーでは、株式会社アイエー・フーズグループ取締役相談役の黒澤賢治氏が、「これからのJA販売事業と実需者との連携について」と題し、JA甘楽富岡営農事業本部で経験された事例を挙げ、JAの現状と今後の課題についての提言をされた。JA間での産地間競争が潜在的に存在し、そのすき間に輸入農産物が入荷し価格を武器に国内に定着し、最終的には産地が崩壊している事例が多く見られる現状から、市場出荷を前提とした生産体制からの脱却を図り、今後は実需者の要望に応えるために組合員の人材育成をし、産地間連携を図るなどの業務連携することが重要であると述べた。

  また、株式会社ロック・フィールド購買部マネージャーの田中秀幸氏は、「国産素材を活用したお惣菜の推進について」と題して、主に卸売市場から原料を調達していた従来のシステムから国内産地との契約取引による原材料調達への転換に至った経緯や、契約取引における産地との取り組みについて説明した。

  さらに、(1)「生産者の顔が見える素材」として、安心、安全な原料調達のため、産地との連携を図り取り組むことが大切である。(2)「新しい野菜の発見」として、食の多様化に伴い、これからは消費者の需要を意識し、産地、種苗会社と意見交換しながら新しい野菜を開発し、メニューへの導入を図る。(3)「フードマイレージ」として、輸入農産物が、輸送に係るエネルギーを考えると環境に与える負荷があるため、産地直送や地産地消の重要になっており、そのため、(4)「ローカル」として、どのように作ったのかというよりも、どのように輸送されているのかを考える必要があることの4点がロック・フィールドの課題であると締めくくった。(マッチングセミナーの講演録は、後日、機構のホームページ「野菜の情報」(http://vegetable.alic.go.jp/)に掲載する予定です。)

  出展者によるショート・プレゼンテーションは、生産者団体、農業生産法人、種苗会社、卸売業者により行われた。

  和歌山県農業協同組合連合会からは、さやえんどう、新しょうが、山椒、梅などの主要生産品目の紹介だけでなく、安全・安心への取り組みとして、生産履歴の記帳、残留農薬の検査への取り組みについてPRがあった。

  有限会社トップリバーからは、農業生産法人としての生産体制、流通形態、法人構成員の担い手育成などの取り組みについての紹介があった。

  各種苗会社からは、加工・業務用に適した特徴のある品種が紹介された。さらに、東京シティ青果株式会社からは、全国各地の産地と実需者との橋渡しとなる流通コーディネーターとしての役割など具体的な取り組みが紹介された。

  当機構からは、ショートプレゼンテーションで契約野菜安定供給事業の制度説明を行い、また、ブースにおいては、契約野菜事業について個別対応で説明を行うとともに、インターネットで野菜の情報を入手できる「ベジ探」(野菜情報総合把握システム)の機能説明、各種データの検索方法などを紹介した。同時に各種パンフレットの配布を行った。

  当日は、開場直後からたくさんの来場者が訪れ、産地の人々に対して熱心な質問や名刺交換を行っているのが目についた。生産者側の方々に話しを聞くと、実需者の方々から直接話を聞くことで勉強にもなり、取引のきっかけができたという声が多かった。一方、実需者からは扱いにくいという理由で流通に乗らないめずらしく、美味しい野菜を種苗メーカーのブースで発見できたのでこれからのメニュー開発の参考にしたいとの意見等も聞かれた。

  また、来場者から今回の交流会に関するアンケート調査を行ったところ、「今後の取引等の手助けになりましたか」との質問に対し、約90%の回答者から役に立ったとの結果があった。また、次回以降に希望するテーマとしては、「地域特産品」、「新種の野菜の紹介」、「特別栽培・有機などのこだわり産物」の回答があり、一方、交流会に関する要望・意見の回答としては、「セミナーの講演内容が良かった」、「継続して実施してほしい」、「プレゼン・セミナーコーナーと展示ブースを別会場にした方がよい。」、「出展者を増やしてほしい。」などの結果があった。

  当機構としては、本年11月に東京の第2回目と大阪で開催(次ページの案内参照)を予定しており、今後ともこのような実取引に結びつくイベントその他に取り組み、国産野菜の振興、実需者への安定供給につなげていきたいと考えている。



プレゼンテーションでは多くの来場者が
熱心に耳を傾けていた。

機構からは契約野菜安定供給事業や
ベジ探の紹介を行った。





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