企画調整部 広報消費者課
〈はじめに〉
21世紀におけるわが国の発展のためには、すべての国民、特に子どもたちが豊かな心と健やかな身体をはぐくむことが重要であり、さまざまな経験を通じて食に関する知識と食を選択する力を習得し、健全な食生活を実践することができる人間を育てる「食育」を推進することが求められている。平成17年7月に施行された食育基本法に基づき、平成18年3月に決定された食育推進基本計画においては、毎年6月を食育推進活動を全国的かつ重点的に展開する「食育月間」として定めるなど、食育を国民運動として推進するとしている。食育推進全国大会はその中核的なイベントとして、食育に対する理解と関心を深め、国民の健全な食生活と豊かな人間形成に大きく寄与することを目的として開催されるものである。
本年は内閣府と福井県の主催により、第2回食育推進全国大会が、6月9日(土)~10日(日)、福井県越前市のサンドーム福井において開催された。両日ともに時折強い雨が降るといったあいにくの天候であったが、この2日間で約17,300人が来場した。この大会に当機構もブースを出展して参加したので、本稿では大会全体の概要と併せて当機構の出展状況について報告したい。
1.食育推進全国大会の全体概要
今回の開催地である福井県は、全国で長寿第2位の県であるのみならず、日本で最初に「食育」を提唱した医師 石塚 左玄(いしづか さげん。1851(嘉永4)年~1909(明治42)年)の生誕の地でもある。第2回となる今大会のテーマは、“「健康長寿な福井」から全国に広げる食育の輪!”であり、国や地方公共団体、教育、保育、保健医療、農林漁業、食品産業など全国から164団体(出展ブース数は147ブース)が参加した。
(1) 大会会場内外の状況
円形ドームの会場内にはメインステージと「ニッポン食育フェアin福井」のエリアを取り囲む形で、政府、都道府県、食育推進団体、企業などの出展者ブースが設けられた。また、会場の入口付近には都道府県の食育の取り組みを紹介する各種パネルが展示された。
一方、屋外の「いきもの出会い広場」においては、乳牛の親子、あいがも、ひよこ、子豚、ヤギなどと触れ合うことができ、子供たちの人気を集めていた。また、会場に併設する管理棟内の会議室においては、セミナーやシンポジウム等が開催され、2日間にわたりさまざまな催しが行われた。
(2) フォーラムと講演
メインステージで行われた1日目のフォーラム「家庭での食育を進めるために」では、食育基本法に基づき内閣府に設置された食育推進会議の委員でもある服部幸應 服部栄養専門学校校長がコーディネーターとなり、パネリストには岡下信子 内閣府大臣政務官、山本 拓 農林水産副大臣、市場祥子 全国学校栄養士協議会副会長、清水瑠美子 福井県栄養士会会長を迎え、それぞれの立場からこれまでの取り組みや今後の目標などが紹介された。
また、食生活・健康ジャーナリスト/食育推進会議専門委員である砂田登志子氏による講演「楽しく食育~幸福は口福から~」が行われ、漢字を使ったイラストで楽しく食育ができること、欧米では2、30年前から絵本やキャラクターを使った子どもへの食育活動が積極的に行われていることなどが紹介された。
続いて、服部幸應氏による講演「家族の食育を始めましょう」が行われ、食生活、家庭でのしつけ、世界の食料問題についての話があり、最後に「一人一人今日から食育を始めて下さい。そうすればいい日本の傾向が見えてきます。」と来場者に呼びかけた。
(3) 多種多彩なイベントやブース
会場には“食育”という言葉を日本で最初に使った石塚左玄を紹介したブースが設けられ、写真、直筆のノートや手紙などの資料が展示されていた。また、「ニッポン食育フェアin福井」のエリアに設けられた“食と農の応援団劇場”においては、「郷土の先人 石塚左玄に学ぶ食・健康・環境・農業」と題した講演が行われた。
この他にも、伝統料理の手作り体験教室、魚がさばける福井人育成講座、栄養教諭の公開授業や学校給食の試食などが行われ、好評により各体験教室は満席であった。
2日目には“食の甲子園”とも言うべく「全国高校生食育王選手権大会」がメインステージにおいて開催され、全国から参加した代表チームは、アジの開き方、リンゴの皮むき、食育四択クイズ、日本の朝ごはんづくりの4つの課題に挑戦し、福井県代表の武生東高校のチームが優勝した。
2.「農畜産物の正しい知識を広げよう!」をテーマに出展
当機構は、畜産関係団体および砂糖関係団体と共同出展し、「農畜産物の正しい知識を広げよう!」をテーマとして、パネルの展示や機構のホームページの紹介などを行った。
(1) パネルとてん菜模型を展示
機構のブースにおいては、機構の役割を説明したパネルに加え、食肉、牛乳・乳製品、野菜、砂糖それぞれが健康に不可欠な食材であることを、栄養面やその果たす役割を中心にわかりやすく説明したパネルの展示を行った。
(2) ホームページの紹介
また、機構のブースの一角を利用して、機構ホームページをはじめ、総合的な情報を提供するサイトである「ベジ探(VEGE TAN)」(野菜情報提供システム、Vegetable Total and Aggregate lnformation Net work)の紹介を行った。
(3) パンフレット等の配布
これらの展示や紹介のほか、機構および関係団体作成の各種パンフレットに加え、野菜の食育活動に役立つ「野菜ブック~食育のために~」などの各種冊子の説明、配布を行った。
3.おわりに
今回の大会は、地元テレビ局や新聞社が大きく取り上げて報道したこともあって、食育運動のPR効果は大きかったと思う。また、昨年度に開催された第1回大会に比べても、福井の伝統料理を実際に調理するといった体験型のブースも数多く見られ、来場者が積極的に参加し、食育を楽しむイベントへとさらに発展したように感じられた。
当機構の出展については、昨年度に引き続き、パンフレットの配布やパネル展示などを通じて、来場者の方々に農畜産物の正しい知識を広めることができたことを実感した。広報消費課としては、今後ともインターネットやイベントなどを通じて、より多くの方々に農畜産物についての正しい知識の普及・啓発に努めていきたい。