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平成18年度九州「食のフォーラム」の概要
~九州から進む・広がるスローフードと健康~

前総括調整役 氣多 正


 当機構は、平成19年2月7日(水)~8日(木)の2日間にわたり、熊本市国際交流会館において、九州「食のフォーラム」を開催いたしました。九州農政局との共催によるこの催しには、延べにして約600名の参加があり、食に関する様々な議論・検討が行われましたので、その概要を紹介いたします。

1 趣 旨
  九州各地の生産者、消費者等と連携して地域と結びついた食と健康の現代的な意義について考え、その全国的な展開を推進する。


2 内 容

【第一部】九州の旬な野菜・くだもので健康を
(1) 話題提供:「食べて治す高血圧症~野菜・果物の有益性について」
   講  師:水野 雄二氏(熊本機能病院 循環器科部長)
(2) パネルディスカッション
   テ-マ:「九州の旬な野菜・くだもので健康を考えてみませんか?」
   コーディネーター:福田 晋氏(九州大学助教授)


水野医師による話題提供

【第二部】九州から発信するスローフードな日本
(1) 創作劇:「これでよかつかね?食生活」
   講 演:熊本県菊陽町レインボー劇団
(2) 基調講演:「九州から発信するスローフードな日本」
   講  師:島村 菜津氏
  「スローフードな人生、スローフードな日本(新潮社)」著者・スローフードジャパン理事

【第三部】大豆で地産地消の実践を現場から
(1) 話題提供:「売れる大豆と安定供給のための品種開発」
   講  師:中澤 芳則 氏(九州沖縄農業研究センター大豆育種研究九州サブチーム長)
(2) パネルディスカッション
   テーマ:「いかに大豆で儲けるか」
   コーディネーター:菅野 道廣氏(元熊本県立大学学長)
3 シンポジウムの概要

【第一部】2月7日午後
(1) 話題提供(水野雄二氏)
  まず、熊本において患者さんや一般の方に日々、食生活の指導をしている水野先生から、高血圧と野菜・果物の関係についての講演がありました。病気になって医師のところに来る前に、健全な食生活をおくって病院に行かずにすまそう、とのお話で、野菜・果物摂取の重要性と、減塩・禁煙の必要性について、データ等を交えた分かり易い説明がありました。特に野菜・果物についてはアメリカのファイブ・ア・デイ運動の意義や、DASH食(血圧にストップをかける食事の新しい方法:果物・野菜に重点)という新しい考え方を紹介され、野菜に含まれるカリウムと繊維が塩の体外への排出に効果があること、野菜は抗酸化物質を多く含むこと等についてのお話があり、「塩(エン)と煙(エン)を減らして健康に」との発言で講演を締めくくりました。

(2) パネルディスカッション
  農政局による「食事バランスガイド」の解説をはさみ、野菜・果物と健康の関係についてのディスカッションを行いました。5人のパネラーからの発言の要旨は、以下のとおりです。

【小山和作氏:日本赤十字社熊本健康センター名誉所長】
  かつては農村に病気が多かったが、食の乱れが進み今では都市部に患者が多い。ボランティアで地域の公民館に地元の人たちが集まり収穫物をその場で食べる、というような活動を続けているが、目の前で収穫したものは美味しく、作った人が分かっている作物は安心して食べようという気になるもので、このような気運を拡げていくため、生産者表示などの取り組みを進めるべきである。

【山口成美氏:(有)シュシュ代表取締役】
  農業体験施設を運営している。その経験を通じ、どう消費者に食べてもらうかは供給側に工夫が必要と考えている。バイキングなど食べやすい形を考えなくてはいけない。また、「にんじんアイス」では売れなかったが「キャロットアイス」と名称を変えたら売れた経験があり、ネーミング等も大切である。

【南久則氏:熊本県立大学環境共生学部教授】
  栄養学が専門だが、学問的にはまだ未解明の部分がたくさんある。分かってきたことを基に食生活を考えていきたい。果物は、見た目も良く、味のバリエーションも多く、ビタミン豊富でカリウムが多く・ナトリウムが少ないという、大変いい食品で、また、同じ重量でカロリーはパンの1/5に過ぎないので、これを地産地消で供給すべきである。安全安心というが、特に安心は供給者の顔が見えることで得られるもの。なお、稲作という日本人の根源的文化を地域で継承していくことも重要と考える。

【松本春子氏:(社)熊本県栄養士会副会長】
  現代の食生活は、副菜がきちんと摂れていないにもかかわらず、食べ残しが多い。例えば、ほうれんそうの根元の赤い部分は甘くて美味しいのに切って捨ててしまっている。学校における食育で、このような知識の伝授に、地産地消の意義をからめながら取り組んでいる。野菜・果物の摂取については、必要量等を誰にでも分かるよう工夫して教える必要がある。

 以上、それぞれ実施されている活動が紹介されるとともに、活動を進めていく上での課題や地域との関わり方などについて、幅広い議論が展開されました。



パネルディスカッションの様子

島村菜津氏による基調講演

【第二部】2月8日午前
(1) 創作劇
  引き続き、翌日には熊本県菊陽町の農家婦人で構成された「レインボー劇団」による楽しい演劇が繰り広げられました。内容は、現代日本のゴミ置き場にカラスが数羽集まり、さらに子どもたち、ついで大人も登場して、日本人の食や地域との関わり、農家の役割などについて考えるというもの。「フードマイレージ」といった、一般になじみの少ない言葉もあえて使いながら、笑いのなかに食料問題について深く考えさせるという内容でした。


レインボー劇団による創作劇

(2) 基調講演
  次いで、著述家の島村菜津氏による基調講演が行われました。同氏は、イタリア在住の間に同地の「スローフード」に接し、その考え方を我が国に初めて紹介し、かつ普及運動にも取り組んでいるまさにスローフードの第一人者。ファーストフードの対極にあるその考え方や、実践方法等について実例を交えながら広範なお話をいただきました。

【第三部】2月8日午後は、話題提供として、独法(国立研究機関)で大豆の品種育成を手がけている中澤チーム長から、特に「売れる大豆と安定供給のための品種開発」の講演がありました。その後、大豆の生産や加工等に携わっている方々をパネリストに、「いかに大豆で儲けるか」をテーマとした議論が展開され、大豆に関しても次世代を担う子どもたちへの食育の重要性が指摘されていました。



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