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機構から


野菜についての消費者代表の 方々との意見交換会の概要

総括調整役 氣多 正


1 はじめに
 当機構では、基幹的な業務である農畜産物の価格安定・調整の一環として、農畜産物に関する情報の収集や提供も重要な業務として実施しています。このため、各分野別に消費者を代表する方々との意見交換を行っていますが、この度、「野菜についての消費者代表の方々との意見交換会」を開催いたしました。

 来年度から野菜価格安定制度の改訂が行われますが、この背景には食の外部化の進展をはじめとする消費者ニーズの大きな変化があります。野菜の生産や流通を考えるに当たっては、消費者や実需者の視点に立って取り組んでいくことが極めて重要です。

 このような中で、常日頃、消費者が考えておられる事項等について、流通関係者および生産関係者を交えて意見交換を行い、今後の野菜をめぐる制度や取り組みの推進に資するべく、去る12月5日(火)に、埼玉県下において標記意見交換会を実施いたしました。本稿では、その概要を紹介いたします。

2 出席者
 意見交換会には、以下の方々にご出席いただきました。

○ 消費者団体
 主婦連合会副会長 大河内美保
      副会長 山根 香織
 全国消費者団体連絡会
  家庭栄養研究会副会長 蓮尾 隆子
 消費科学連合会会長 大木美智子
        副会長 伊東依久子
 全国地域婦人団体連絡協議会
  神奈川県地域団体連絡協議会
理事 三部 雅世
村山 玉代
 日本生活協同組合連合会理事 阿南  久

○ 生産者
 ふかや農業協同組合本郷支店
野菜部会長 松本  弘

○ JA関係者
 全国農業協同組合連合会
園芸販売部長 牧口 正則
 JA全農青果センター株式会社
代表取締役社長 岩城 晴哉
 全農埼玉県本部副本部長 門倉  正
   園芸部園芸販売課長 大新井敏美
 花園農業協同組合 常務理事 戸塚 孝一
 ふかや農業協同組合本郷支店
支店長 須永 政信
内田 直紀

○ 行政関係者
 埼玉県農林部副部長 関根 俊雄
生産振興課主幹 原田 弘之
主任 粕谷 幸代
  大里農林振興センター所長 風間 研司
副所長 宮澤 史明
地域普及部担当部長 新井えり子
 深谷市産業振興部
花園産業振興課長 福島 良一
岡部産業振興課長 新  克己
 農林水産省生産局野菜課
業務運営調整係長 落合 和彦
  関東農政局生産経営流通部
部長 月山 光夫
園芸特産課長補佐 佐藤 治幸

 当機構からは、木下理事長、菱沼副理事長、野川理事他が出席いたしました。

3 意見交換の概要
(1) JA全農青果センター株式会社
 朝、池袋をバスで出発し、午前中は戸田市にあるJA全農青果センター株式会社(以下「JA全農青果センター(株)」)の東京センターを訪問して、意見交換をさせていただきました。同社は、もともと全農の直販部門として発足し、現在、年間の取扱高約1,400億円、全農の内部組織であったものが株式会社化され、本年9月に業務を開始したものです。このうち東京センターには、本社が所在するとともに、関東における流通センターとしての機能を担っています。



全農青果センター譁の施設見学

全農青果センター譁における意見交換

 まず、最新の物流システムや立体化された冷蔵倉庫、パッキング工程などの施設見学を行い、「全農における野菜の生産と流通への取り組み」及び「JA全農青果センターの取り組み」に関する話題提供をいただいた後、意見交換に入りました。消費者代表から出された主要なご意見・ご質問は以下のとおりです。

・ 青果物の規格に基づく選別は不要と考える。そこに余計なコストがかかっていると思うが、選別をやめるとシステムの変更等、返って面倒になる場合もあるのか。
・ 加工・業務用需要が増えているが、国内の生産・流通もこれに対応すべき。例えばたまねぎで、家庭用よりも加工業務用の方が規格が厳しいということだが、幅広い形状に対応する調製用機械の開発等で何とかならないか。
・ 大量流通しない、地域ブランド的野菜も尊重すべき。
・ 国産振興について、例えば外食産業における原産地表示等、消費者にアピールする方法で輸入に対抗すべき。適正価格であると皆が納得できれば、若干高めでも国産が普及する。
・ 売手側の付加価値付与のための、正しいとは思えない「消費者ニーズ」が作り出されている。食育基本法の下、農業団体も正確な知識を踏まえた野菜消費の運動をしてほしい。生活習慣病と野菜摂取の関係など、健康面を考えてPRすべき。 
・ 過去に調味料の製造業者が野菜を無味無臭にするような品種開発を志向していたが、現実になってきた。いかがなものか。
・ 我々、消費者団体でも生産現場の状況を消費者に伝えようとしているが、残念ながら消費者は乗ってこない。これが食育の原点だと思うので、このような場を増やしてほしい。

(2) JA花園農産物直売所
 昼前に戸田市を出発して埼玉県北部、深谷市のJA花園農産物直売所まで移動しました。同直売所は、年間11億円以上の売り上げを誇る全国でも有数の直売所で、売り上げのうち、当該農協組合員の生産物比率が9割と高いのが特徴とのことです。


花園農産物直売所における意見交換

 まず、同直売所の野菜および埼玉県産の黒豚を用いた特製の昼食の後、「大里の農林業の概要について」および「JA花園農産物直売所について」のご説明をいただき、意見交換を行いました。消費者代表から出された主要なご意見・ご質問は以下のとおりです。

・ 耕畜連携を進めるべき。
・ JAへの消費者の参画を進めるべき。
・ 農産物輸出への取り組みに期待する。
・ 農業やJAへの女性の登用を進めるべき。
・ 特別栽培はほとんど消費者に認識されていない。せっかくいいことをやっているのだから、シールを目立たせる等、周知に努めてほしい。
・ 米粉の利用拡大や麦作の振興で、自給率向上を目指してほしい。
 大幅に時間を超過した意見交換の後、駆け足で直売所の見学も行いました。

(3) ブロッコリー生産現地
 次に、JAふかや本郷支店管内のブロッコリー生産状況の見学、意見交換を行いました。埼玉県は全国一のブロッコリーの産地であり、なかでも訪れた旧岡部町はその中心となる地域です。ちょうど出荷の最盛期を迎えつつある時期で、地元の方々には、忙しい作業の合間をぬって対応していただきました。


ブロッコリー集出荷場における意見交換

 まず、JAの集出荷場で生産農家の松本さんとJAの担当者から、生産方法や出荷の形態、仕組み等についてご説明いただきました。埼玉県の認証制度である「特別栽培農産物・元気満彩」の基準に基づき減農薬減化学肥料栽培を実施していること、そのための栽培履歴を記録していること、コンテナ出荷に取り組んでいること、末端の売り場に生産者の顔写真を並べているところがあること等の説明に対し、消費者代表からは、「元気満彩の表示方法を工夫した方がいい。」「規格外品の活用を図れないか。」といった意見が出ていました。

 ブロッコリーの試食、予冷施設の見学の後、松本さんのほ場に移動し、現地における栽培状況の説明と収穫体験が行われました。同氏は7haに及ぶブロッコリー栽培を手がけており、連日3千株を出荷しているとの説明に、消費者代表の皆様からは「1~2株の収穫体験ならどうということはないが、その作業の大変さが実感できた。」「土作りの重要性の説明を受け、そのような農業の実情をいかに消費者に伝えていくかが課題だ。」との声が上がっていました。



ほ場における説明

収穫体験

 機構といたしましても、今回の意見交換会における議論を踏まえ、今後とも、国産野菜の安定供給に努力するとともに、消費者の皆様への分かりやすい情報の提供などに努めて参りたいと考えています。

 最後になりましたが、当日ご足労いただいた消費者代表の方々及び意見交換に参加するとともにご案内いただいた見学先の皆様に感謝申し上げ、本稿の結びといたします。



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