調査情報部 調査情報第二課
外食・中食の野菜消費量に占める割合は年々増加しており、その割合は55%に達しているといわれる。しかし、一方で食品産業等との取引のきっかけがなかなかみつからないという産地側の声や新しい商材を求める実需者の要請もある。このため、農林水産省と当機構の共催による、「加工・業務用需要対応野菜産地と食品産業等との交流会」を平成18年7月25日に開催した。
会場となった農林水産省7階講堂には、全国から農業生産法人、生産者団体、卸売会社の出展者と外食・中食関係者、流通業者、加工業者、種苗会社などの実需者の、400名以上が参加した。
特色ある出展ブース
国内野菜産地に加工・業務用需要への対応が求められている中で、農協や卸売会社、生産法人など28のブースが自社商品の展示、試食コーナーなどを設置し来場者を迎えた。
関東地区で加工工場を運営するホクレンでは様々なカット野菜を展示し、「年間を通じ、国産野菜を使って対応している。契約して1週間で希望の商品をお届けすることができる」と首都圏の実需者に向けて積極的な取り組みをPRしていた。
農業生産法人は7法人が出展し、有限会社柏崎青果のにんにく、やまのいもや有限会社テンアップファームのにんじんジュースなど出展された品々を来場者が実際に手に取り商談している風景が各所で見られた。
地域性のあるものとしては「沖縄協同青果株式会社」の青パパイヤや「加工用源助だいこん・金時草利用拡大プロジェクト」の加賀野菜や金時草の粉末製品など珍しい商材が目を引いた。また、「能登わかば農業協同組合」の中島菜や「山形おきたま農業協同組合」の食用菊なども注目を集めていた。
来場した実需者からは、「産地との交流の場として活用したい」、「季節ごとに開催して欲しい」、「探していた商材がみつかり、取引につながった」、「取引につながらなくても交流することに意義がある」などの意見が聞かれた。
賑わうプレゼンテーションコーナー
会場に設置されたプレゼンテーションコーナーでは大型スクリーンなどを利用し各出展者によるPRが行われた。
有限会社トップリバーは「新・平成の農業」というキャッチフレーズで、新規就農者の育成指導の様子や簡易記帳システム(DNP)を用いたトレーサビリティー管理などの新しい農家の姿を提案していた(本号「今月の話題」参照)。全農長野県本部はモバイルを使用した農薬管理システムと、本州のほぼ中央という立地により全国展開できる産地としてのメリットをPRした。
早くから欧州の適正農業規範であるユーロGAPを取得していた和郷園からはJGAP(日本版適正農業規範)を始めとする品質管理に関して説明があり、衛生管理の行き届いた野菜生産をアピールした。同じく農業生産法人である有限会社新福青果では、平均年齢28歳という若さを武器として、農業が魅力ある産業として生き残っていくためのグローバル化戦略に取り組んでいることなどを紹介した。
最後に当機構から、野菜情報総合把握システム「ベジ探」の説明を行い、産地をアピールすることができる「産地プロモーション」や生産から消費・海外情報・貿易情報まで幅広く情報を入手できる「野菜情報検索」等のメニューを紹介した。
プレゼン会場は立ち見もでるほどで、来場者からはスペースを広くしてほしい、別室で開催してほしいといった要望がでるなど盛況であった。
最後に
今回の交流会について、約7割の方から、「新たな取引ルートが開拓できた」、「情報交換ができた」等よかったという声があった一方で、「会場が狭い」、「品揃えが少ない」、「出展者を増やして欲しい」などの改善要望があった。今回の要望を踏まえ、次回は会場を広げて11月10日(金)、東京都立産業貿易センター(浜松町館3階)で開催する予定である。秋冬野菜の多数の出展およびご来場をお待ちしています。