野菜業務第一部 交付業務課
1 はじめに
当機構が実施している指定野菜価格安定対策事業は、野菜の市場価格が低落した場合に価格差補給金を事業に参画している生産者に交付する、いわゆるセーフティネットの役割をもつものである。この度、平成17年度の事業分が終了したので、当該年度における価格差補給交付金等の交付状況について報告する。
2 中央卸売市場における入荷量・価格の動向
平成17年産の春野菜は、4月は北日本を除き総じて天候に恵まれたものの、市場入荷量が前年を下回ったため、キャベツ、にんじん、ピーマン等の品目で価格はやや堅調に推移した。
5月は北・東日本では低温気味に推移した一方、西日本では少雨・高温であった。
6月に入ると、特に西日本を中心に記録的な少雨となったが、全国的に晴天・高温の日が多くなり、遅延していた関東平坦地ものの生育が迅速に回復したことに加え、東北、関東高冷地ものの生育が順調であったこと等から市場入荷量が増加し、キャベツ、にんじん、はくさい、レタス等を中心に軟調な価格となった。
一方たまねぎ、ばれいしょ等は16年秋の台風・長雨の影響や2月の低温により品薄となり価格は堅調に推移した。
夏秋野菜は、7月は全国的に台風の接近等のため降雨量が多く、8月は西日本が少雨となったが全国的に高温となり、生育は順調に推移し、市場入荷量も前年並みとなった。しかしながら、消費が伸び悩んだことから価格は軟調なものとなった。
なお、キャベツ、レタス、はくさいは特に価格が軟調となったことにより緊急需給調整(産地廃棄)を行った。
9月は台風等の影響があったが、後半少雨・高温であったことから入荷量は前年並みとなった。ただし、キャベツ、レタス等の価格は依然として軟調にとどまった。
一方、ほうれんそう、にんじんは生育期の少雨・高温から入荷量は減少し堅調な価格となった。
秋冬野菜は、10月、11月は台風の影響もなく、10月が高温で推移したこと等から生育はおおむね順調であり、台風・長雨の影響を受けた昨年と比較すると入荷量が大幅に増加した。このことから、キャベツ、だいこん、はくさい、レタス等の葉茎菜類・根菜類を中心に価格が平年を大きく下回って推移した。
しかしながら、11月下旬以降は低温、旱魃があり、12月中旬以降入荷量が減少したことから、キャベツ等葉茎菜類の一部は価格が平年を上回る水準で推移することとなった。また、1月以降、だいこん、レタス、きゅうり等については、全国的に低温であったことから入荷量が減少し平年を上回る価格となった。2月は平年に比べ気温が高く降水量、日照時間はともに平年並みであったが、ピーマンは品薄感から平年価格を大幅に上回った。3月は気温の変動等はあったが、西南団地が産地である葉物野菜は好天による生育回復で入荷量が増加し、価格は軟調となった。
3 価格差補給交付金等の交付状況
このような価格動向を反映し、平成17年度事業のうち、平成17年4月から平成18年4月までに対象出荷期間が終了した業務区分に係る価格差補給交付金等の交付予定額は、204億円(対前年同期比154.8%)、交付率は19.0%となった。
指定野菜の14品目30種別中において、価格差補給交付金等が一番多かった種別は夏秋レタスで29億3千万円(交付率67.6%)、次いで冬レタス25億8千万円(交付率30.8%)、次に夏秋キャベツ17億9千万円(交付率44.6%)、夏はくさい15億2千万円(交付率87.4%)、冬春きゅうり12億6千万円(交付率16.1%)、冬春トマト12億円(交付率17.4%)、夏秋きゅうり10億1千万円(交付率20.2%)であった。この上位7種別で平成17年度価格差補給交付金の6割を占めることとなった。
なお、交付率が高かったものは、夏はくさいの87.4%を筆頭に、次いで夏秋レタスの67.6%、春はくさいの58.5%、夏秋キャベツの44.6%、夏秋ピーマンの40.8%の順であった。