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業務用野菜(キャベツ、にんじん、トマト等)研究会の開催

野菜業務第二部 契約取引推進課


 独立行政法人農畜産業振興機構では、生産者団体、流通業者、外食業者などに参加を呼びかけて、平成17年5月13日(金)に業務用野菜(キャベツ、にんじん、トマト等)研究会を開催しましたので、その概要を報告します。

1.研究会の目的
 この研究会は、最近の野菜需要は、家庭での消費が減少する一方で加工・業務用野菜の需要が伸びており、生産者や生産出荷団体などの供給側が、カット野菜業者、小売業者などの需要者側から生の声を聞いて需要動向などを探り、さらには、双方の交流の場を設けることにより契約取引の推進を図り、契約野菜安定供給事業の普及と加入促進を図ることなどを目的として開催いたしました。


2.研究会の内容
(1) 概要
 今回の研究会は、業務用野菜として需要が多く、かつ、前回の研究会でのアンケート結果を踏まえ、要望の多かった「キャベツ」、「にんじん」および「トマト」を主な対象としました。研究会は二部構成で、第一部では、学識経験者や業務用野菜の実需者の講演会を、第二部では種苗会社による業務用野菜(キャベツ、にんじん、トマトなど)の品種紹介などを行いました。
 出席者は、生産者や農協などの生産出荷団体をはじめ、卸売会社、仲卸会社、商社、量販店、食品加工会社、報道関係者、行政など各方面から約250名もの方々にご参集いただきました。また、事前申込みをされた方ばかりでなく、当日直接お越しいただいた方もあり、業務用野菜に対する関心の高さが伺われました。さらに、講演会の合間などには参加者間での交流も行われました。

(2) 講演会
 第一部の講演会では、まず東京農業大学教授の藤島廣二氏から「野菜をめぐる情勢」と題して、野菜流通の最近の動向について、輸入の動きや消費の変化に伴って卸売市場・食品卸のグループ化が進んでいることについての講演が行われ、次に、デリカフーズグループ代表取締役社長の舘本勲武氏から「カット野菜の課題と将来展望」と題して、キユーピー株式会社購買担当部長の佐渡純一氏から「加工食品メーカーから見る野菜の今後、特に原料の領域について」と題して、さらに、株式会社西友食品部青果部部長の金子春郎氏から「小売を取り巻く変化について」と題して、加工・業務用および小売業界での最近の野菜の需要動向などについて講演が行われました。講演の概要は以下のとおりです。


〔講演内容(概要)〕

(1)野菜をめぐる情勢
  最近、野菜価格が高騰すると、短期間で野菜が輸入されるようになり、輸入による価格引き下げ効果が働き、価格高騰期間が短縮される傾向にある。また、野菜の市場外流通が増え、市場経由率が減少している。消費面では持ち帰り弁当などの中食が増えており、食の外部化率がますます進んでいる。さらに、卸売会社の再編・グループ化が進むとともに中食に食材を卸す食品卸業者も、特定の小売業者と結びつくというグループ化により商品などを一括配送し作業時間の短縮・経費の節減を図る動きが進んでいる。
  こうした環境の中で、加工・業務用への輸入野菜の増加に歯止めをかけるためには、国産産地としては、品質の均一な野菜を大量に市場に供給するために規模・産地をひたすら拡大するだけではなく、加工・業務用野菜に対しての業界のニーズをきめ細かく取り込んだ対応が必要である。

(2)カット野菜の課題と将来展望
  カット野菜は、経済面と品質面に課題がある。経済的には、仕入れの原料野菜は価格変動にさらされているが、製品のカット野菜は原料価格に合わせて販売価格を変えることはできない。また、品質的には、以前は利便性のみを考えればよかったが、最近のユーザーは、野菜特有の新鮮さや安全で衛生的な野菜を求めるようになっており、栄養を落とさずに衛生的に処理することが必要とされてきている。このため、非常に手間暇がかかるようになってきている。
  しかし、食生活の変化や健康と環境が重視されるようになり、野菜が注目されていることから、カット野菜も仕掛けによっては大きな将来性がある。
  まず、食生活の変化により、外食産業が大きな市場となっているが、こうした外食産業では野菜が主役となってきており、その中でファーストフード店や中食市場ではカット野菜が大きく伸びていくと考えられる。
  また、近年、健康と環境がキーワードとなってきており、食の重要性、中でも野菜と健康とのかかわりが注目されていることから、今後、種苗会社・生産者・流通の方々と野菜ビジネスについて考えていく必要がある。

(3)加工食品メーカーから見る野菜の今後、特に原料の領域について
  食品の安全性が問題となっている中で生産・流通段階においても、ようやくGAP(適正農業規範)が取り入れられることとなり、食品加工メーカーが原料に使っている野菜についてもリスク管理が可能になった。
  これからは、消費者の要求がますます個別化するので、消費者がどんな商品を要求しているのかを生産者にフィードバックして、生産者とともに消費者の要求する商品を作り上げていく必要がある。

(4)小売を取り巻く変化について
  生産については、生産者の高齢化が進展し、農家数・農業人口が減少し、その結果、生産量も減少していることから、その穴を埋めるかのように輸入が増大している。流通面では、農協系統出荷から生産法人や産直による供給量が増大するなど流通形態が多様化している。
  消費については、最近の消費者は、どのように調理したらよいか分からない、忙しくて調理している暇がないなど消費者の生活環境の変化から、野菜・果物離れが進み、全体の消費が減っているなかで、調理済み食品の需要は増えている。また、消費者の食品の安全性についても非常に関心が高くなってきている。
  小売については、量販店は常に競合店を睨みながら品揃えや商品構成を考えているが、一番大切なことは消費者から信頼される食品を供給することである。
  これからは、農協・生産者の方々とともに、消費者が安心して購入でき、食べておいしい食品作りを進めていく。

(3) 業務用野菜の品種紹介等
 第二部では、各種苗会社から業務用野菜(キャベツ、にんじん、トマトなど)の品種の紹介がありました。また、会場には、キャベツ、にんじん、トマトを中心とした野菜の品種紹介コーナーを設けました。参加者は講演の合間などに試食を行ったり、各社が展示した野菜を手にとって比較したりしていました。今後の需要動向をにらんだ品種であることを盛んにPRしている係員の説明にも熱心に耳を傾けていました。

〔協力種苗会社〕(五十音順)
 カネコ種苗(株)、協和種苗(株)、(株)サカタのタネ、タキイ種苗(株)、ツルタのタネ(株)、トキタ種苗(株)、(株)フジイシード、(株)みかど育種農場、横浜植木(株)

 また、当機構からは、契約野菜安定供給事業の普及と加入促進を図るため、会場で当事業を紹介するパネルの展示や参加者へのパンフレットの配布を行いました。



東京農業大学教授藤島氏による講演

デリカフーズグループ代表取締役社長舘本氏による講演





キユーピー㈱購買担当部長佐渡氏による講演

(株)西友食品部青果部部長金子氏による講演





種苗会社による品種紹介

品種展示会の様子


3.今後の予定
 研究会への参加者のアンケートによれば、9割を超える方から「参考になった」など高い評価を受けました。また、今後の開催に期待を寄せているとの意見もあり、機構では野菜の種類や時期、視点を変えて今後も研究会を開催して参りたいと考えています。

(問い合わせ先)
野菜業務第二部 契約取引推進課
TEL:03-3583-9819



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