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野菜構造改革促進特別対策事業の事例紹介(その2)

調査情報部 調査情報第二課 中目 文俊


 本誌「野菜情報」10月号において野菜構造改革促進対策特別事業のあらましを掲載したが、今月号では、新いわて農業協同組合東部地域営農センターのほうれんそう、アスパラガスの事例について紹介します。

1 新岩手農業協同組合の事例

(1)農協の概要

 「JA新いわて」は、岩手郡雫石町、西根町、岩手町、葛巻町、滝沢村、玉山村、松尾村と二戸郡安代町(平成14年度4月1日から岩手郡に編入)の5町3村からなり、県都盛岡市に隣接し、都市近郊、純農村、山間地が混在しているものの自然環境に恵まれた地域である。

 東は北上山地、西は奥羽山脈が走り、中山間地帯の占める割合は高いが、中央を南北に流れる北上川流域には平坦地が多く、多様な地形を有しており、地区総面積は県土の18.64%を占めている。

 また、営農センターは東部地域、南部地域、西部地域と三つに配置され、それぞれの組合員数は、5,656人、4,884人、4,847人である(平成16年2月時点)。

野菜構造改革促進特別対策事業の導入経過(ほうれんそう、アスパラガス)


(2)ほうれんそう簡易包装機導入

(1) 導入の背景

 

 
「ほうれんそう簡易包装機」



 従来から、ほうれんそうの包装調整には相当の手間がかかり農家の大きな負担になっており、さらに生産者の高齢化により栽培戸数が減少する傾向にあった。そこで、自動包装機の導入による省力化が検討されてきたが、資金的な要因があり、実際に導入できるのは大規模な生産者に限られていた。

 しかし、簡易なタイプではあるが簡易包装機を数十万円で導入できるため、この野菜構造改革促進特別対策事業により平成14年度から導入され始めた。

(2) 導入の内容

 簡易包装機は、収穫したほうれんそうを手作業で束に揃えてから、挿入口にいれると、自動的にラップ包装されるタイプのものであり、西部地区では14年度に21台、東部地区では15年度に8台が導入され、事業費はそれぞれ7,210千円、2,889千円であった(うち半額を農畜産業振興機構(以下「機構」という。)が助成している)。

(3) 導入の効果

 実際に導入している農家の話によると、ほうれんそうを束にまとめることは従来どおり手作業で行わなければならないが、この簡易包装機の導入により包装作業時間が今までのおおよそ半分になっているとのことであり、労力の軽減や他の農作業に時間を費やせるなど、充分に省力化の効果がみられた。

(3)促成アスパラガス温湯暖房機導入

(1) 導入の背景

 

 
「アスパラガス温湯暖房機」



 新いわて農協は、昭和55年頃から水田転作の増大に伴いアスパラガスを土地利用型品目として奨励し、これまでの露地作型に加えミニハウスによる半促成栽培に取組み、長期出荷を目標に栽培面積の拡大を図ってきた。

 近年は、転作田での湿害や株の老化によりアスパラガスの収穫量が低下し、株の更新も少なく栽培面積は減少していたが、平成13年に管内の一部地域で行っていたアスパラガスの促成栽培が、冬場(12月~2月)の栽培品目として注目され、国内産が少ない時期でもあり出荷量の拡大が期待されることなどから、管内全域で取り組まれることになった。

 このような背景のもと、新いわて農協は周年出荷を目指す園芸主業型農家の育成強化を図る一環として、野菜構造改革促進特別対策事業により温湯暖房機を導入するに至った。

(2) 導入の内容

 温湯暖房機は、土中に敷いたパイプに温水(灯油を使用)を循環させるタイプのものであるが、東部地区では15年度には13台が導入され、事業費は4,095千円であった(うち半額を機構が助成)。

(3) 導入の効果

 実際に導入している農家や農協の担当者によると、暖房機の導入により生産者の生産意欲の低下が抑えられ、栽培面積の維持・拡大に繋がっているとのことであり、また、ハウスの中からアスパガラスの苗をほ場に定植した後も、他品目(キャベツ、レタスなど)の育苗施設として利用できるので、管内全体としての生産性にも寄与している。

新いわて農協管内における促成アスパラガスの作付の推移


(4)終わりに

 以上のように、新いわて農協においては、ほうれんそう簡易包装機、アスパラガス温湯暖房機の導入により、生産者の生産意欲の増加、労力の軽減化への成果を出しており、農業所得の向上や信頼される産地としての更なる発展が、今後期待される。



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