(1)トマト
トマトの生産州は集約されており、カリフォルニア州およびフロリダ州が米国の生産をほぼ担っている。2025年の収穫面積は9万9837ヘクタール(前年比5.8%減)と減少したものの、単収の増加により、生産量は1126万3388トン(同5.2%増)と増加し、出荷量は1119万3848トン(同5.3%増)となった(表7)。
(参考)
日本の生鮮トマトの栽培面積は約1万ヘクタール、収穫量は約66万トン。
生鮮トマトの国内流通量は294万7000トンとなり、このうち輸入量の占める割合は69%となった。輸入量の9割をメキシコ、残り1割をカナダが占めている。25年7月14日に米国は、メキシコ産トマトが不当に安価であり、国内の生産者を圧迫しているとし、19年に締結したトマトアンチダンピング関税(注2)調査の一時停止協定から脱退し、メキシコからの生鮮トマトに対しアンチダンピング関税を適用した。これにより17.09%の関税が課せられることとなり、25年8月から26年2月の輸入量は前年同期比で15%減少した。ただし、この減少は、メキシコのトマトの主要産地であるシナロア州における異常気象の影響による不作の影響もあったとみられる。
(注2)輸出国の正常価格(国内価格など)を下回る価格で製品を輸出し(ダンピング輸出)、輸入国の産業に損害を与える場合に、輸入国が課す追加的な関税措置のこと。米国とメキシコは、メキシコの輸出業者が最低価格を遵守することを条件として課税を停止する「トマト協定(Tomato Suspension Agreement)」を運用してきた。
26年1~4月までの米国内の生鮮トマトの流通量は前年同期比17%減となった。そのうち国産ものは同28%減少したが、これは、冬季のトマト主産地であるフロリダ州で、1月下旬から2月下旬の寒波により収穫量が減少したことが要因である。そのため、トマトの価格は2月から急騰しており、4月時点では前年比40%高となった(図3、写真1)。
トマトは、生産量全体の94%が加工用として出荷される。25年の加工用トマトの出荷量は1164万4400トン(前年比5.0%増)となった(表5)。主産地であるカリフォルニア州において、栽培面積が1972年以降過去最小となった中、単収が10アール当たり13.6トン(同10%増)(日本は同6.3トン)と過去最高を記録し、生産量は増加した。
また、加工用トマトは、輸出の主力品目であると同時に輸入量も多い品目である。米国はトマトペースト、ケチャップおよびホールトマト缶の純輸出国である一方、トマトソース、トマトジュースおよび乾燥トマトについては純輸入国となっている(図4)。このように、北米域内ではUSMCAの下で3カ国間による製品ごとの分業構造が形成されていると考えられる。
26年の動向としては、米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が26年1月に公表した「2026年カリフォルニア州加工用トマトレポート(26年1月)」によると、同年の加工用トマトの収穫面積は前年比10%減の7万4925ヘクタールと3年連続で減少となる見通しである。なお、その収穫面積のほぼすべて(99%)が契約済みである(図5)。
(2)ばれいしょ
ばれいしょは、米国において最も生産量が多い野菜である(ばれいしょ年度は9月から翌年8月)。過去3カ年の用途別構成を見ると、加工用が約70%、生食用が約25%、種いも用が約5%、家畜飼料用が約0.3%となっており、加工向け需要の比率が高い。加工用ばれいしょは、フライドポテト業者、ポテトチップスメーカーおよび乾燥ポテトメーカーなどの加工業者と播種前に契約が締結され、価格は年度単位で決定されるため、価格変動は比較的限定的である。なお、生食用ばれいしょの価格は需給に応じて変動する。
2025年度のばれいしょ生産量は、前年比2.0%減の9103万6000トンとなった。26年4月1日時点の在庫量は2807万トンであり、生産量の約3割を占めている。また、このうちばれいしょの加工量は、USDA/NASSによると、アイダホ州、ワシントン州、オレゴン州の3州でおよそ8割を占めている。また、加工用の過去5カ年の用途別仕向量は、冷凍フライドポテトが約56%、ポテトチップスが約21%、乾燥ポテトが約15%となっている。加工量の増加は、冷凍ばれいしょ製品の在庫量の増加と連動しており、26年3月31日時点で、冷凍庫に保管されている冷凍フライドポテトは、同9%増の約48万トンに上り、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大による外食産業の需要が急減した20年3月以来最大となった。また、ハッシュブラウンなどのその他の冷凍ばれいしょ製品を含めると、約59万トンに達している。
近年の需給動向を見ると、22年度は作付面積および単収の減少により供給がひっ迫し、生産者価格は上昇した。この反動により23年度は作付面積が増加し、生産量が前年比9%増となったことで、生産者価格は5%下落した。その後、24年度および25年度においては、作付面積の減少により生産量はそれぞれ前年比4%減、同2%減と減少傾向を示したものの、生産者価格は、24年度に同5%安、25年度についても同4%安が見込まれており、下落傾向が続いている(図6)。この背景としては、加工用ばれいしょの契約価格の下落に加え、25年度における生鮮ばれいしょ価格の下落が挙げられる。特に、アイダホ州から出荷されるラセット(Russet)種
(注3)の出荷量増加による価格下落の影響が大きいとされている。このような価格低迷を受け、26年度の作付面積は減少する見通しである。
(注3)北米で広く栽培される加工・生食兼用のばれいしょ品種群であり、高いでん粉含量と優れた貯蔵性を有することから、フライドポテト向けを中心に利用されている。大量生産しているアイダホ産は他州産と比較して安い。
米国は、ばれいしょの輸出国であると同時に、輸入国でもある。ばれいしょ全体の輸出量は、24年度は165万トン、25年度上半期(9月~2月。以下同じ)では81万4000トンとなっており、前年同期比0.5%増とわずかに増加している。一方、輸入量は、国内供給量の増加により減少しており、24年度は226万7000トン、25年度上半期は105万3000トンとなっており、前年同期比10.1%減とかなりの程度減少している(表8)。
生鮮ばれいしょの輸出量は、25年度上半期は32万6000トンに達し、同期間では過去最高の輸出量となっている。輸出先別に見ると、カナダが前年同期比2.2倍、日本
(注4)が同19%増、韓国が同36%増となり、全体で同18%増となっている(図7)。
(注4)日本は、植物検疫の観点(ジャガイモシストセンチュウ)から、生鮮ばれいしょの輸入は禁止している。ただし、平成18年2月1日に適切な検疫措置を講ずることを前提にポテトチップス用として米国からの生鮮ばれいしょの輸入禁止を一部解除している。
一方、冷凍ばれいしょのうちフライドポテトの輸出量は、25年度上半期で34万7000トンとなり、前年同期比で8.6%減少したが、最大の輸出国である日本向けは同8%増となった(図8)。また、輸入量は、同7.3%減の55万7000トンとなった(表8)。輸入量の87%を占めるカナダからは同6%減、輸入額では同12%減となり、輸入量の11%を占めるEUは同10%減、輸入額は同17%減となった。
26年度は、生鮮用ばれいしょの生産者価格の下落および加工用ばれいしょの需要停滞を踏まえ、主要生産州である13州における同年度の作付面積は、前年度比2%減の35万7000ヘクタールとわずかに減少するとの見通しである。この予測が実現すれば、作付面積は3年連続で減少し、1952年の調査以来の最小規模となる。また、この減少の大部分は、米国のばれいしょ生産の3分の1を占めるアイダホ州における作付面積の減少によるものと見込まれている。