(2)23年の野菜消費量:食生活の変化により減少
2023年の生鮮野菜の1人当たり年間消費量は、前年比2.2%減の約70.5キログラムとわずかに減少した(表3)。品目別では非結球レタスが同6.4%増で過去最高(20年)に近い8.2キログラムとなった一方、結球レタスは同2.2%減の6.1キログラムで過去最低となった。このような変化についてUSDAは、消費者が葉レタスやロメインレタスの方が結球レタスより栄養価が高いと認識していることが要因と分析している。また、アブラナ科野菜の1人当たり消費量では、カリフラワーが同19.2%減、ブロッコリーが同7.7%減、キャベツが同2.8%減となった。一方、きゅうりは同3.9%増の3.9キログラムで過去最高となった。その他では、かぼちゃが同5.1%減、ピーマン/パプリカが同3.3%減、にんじんが同2.4%減となり、たまねぎが同0.1%増、トマトが同1.3%増、スイートコーンが同2.9%増となった。
(3)干ばつの解消:主産地のカリフォルニア州
2024年4月上旬時点のカリフォルニア州の干ばつ状況は、冬の降水量が多かったことで、州の面積の1%未満にまで減少した。通常、同州では11月から3月の降水量が年間降水量の約75%を占め、同州の水供給の約30%が山間部の積雪の融雪水である。4月下旬、州当局はかんがい用水の割当を増やすと発表しており、24年の同州の生鮮・加工野菜は、干ばつの影響を受けにくくなると考えられる。
(4)価格動向:23年は下落、24年は上昇傾向(図1)
2023年の平均国内野菜価格指数(2011年を100とする)は、主に秋・冬野菜の生産増から供給量が増えたことで、たまねぎ、レタス、きゅうりなどの主要野菜の価格が低下し、高値であった前年から11%下落した。24年に入り、1月の指数は前年同月を下回ったが、2月の指数は同16%高の179.8まで急上昇し、3月は横ばいで推移した。
(5)投入資材価格:農薬・肥料価格の下落が23年の生産費低減を主導
2022年の投入資材価格は、異常気象、ロシア・ウクライナ戦争、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に伴う供給網の混乱によって前年比14%高となり、同年の消費者物価指数(同8%高)の上昇率を上回った。また、23年の野菜生産費は同1.4%低下した(表4)。このような生産費の低下は、除草剤が同12.5%低下、窒素肥料が同36.7%低下したように、農薬・肥料価格の低下が主因である。
24年に入りインフレ率は低下しているが、過去20年の平均である約2.1%を上回っている状況にある。一方、24年第1四半期の野菜の平均生産費は、前年同期比で2.3%低下している。しかし、野菜の生産費で最大の費目となる雇用労働費は引き続き上昇傾向にあり、平均賃金は23年が前年比5.5%上昇、24年第1四半期(1~3月)には前年同期比1.4%上昇となっている。
化石燃料を原料とする窒素とリン酸およびカリウムの平均価格は、COVID-19のまん延時に著しく値上がりし、21年には前年比25%上昇、22年は同71%上昇となった。23年は、天然ガス価格が前年比61%下落したことで、窒素とリン酸およびカリウムの価格は、それぞれ同36.7%、同22.0%低下した。燃油や肥料の価格と同様、23年の各種農薬の価格は、前年より約12.5%低下した。
投入資材価格の下落傾向が続けば、24年の野菜生産費の上昇率は抑制されると見込まれる。
(6)主要品目の輸出入量:23年は輸入減、輸出はわずかに増加
米国の生鮮野菜の輸入先は、カナダおよびメキシコが主体となっている。2023年は、輸入量(856万トン、前年比0.8%減・ばれいしょを除く)が輸出量(173万トン、同0.5%増・ばれいしょを除く)を大幅に上回り、米国が生鮮野菜の輸入に大きく依存している状況が続いている(表5)。
24年1~2月の生鮮野菜の輸入量は、トマト(前年同期比3.2%増)、かぼちゃ(同5.4%増)、にんじん(同8.3%増)などが増加した一方、たまねぎ(同20.8%減)、レタス(同16.2%減)、ブロッコリー(同8.3%減)などが減少し、全体では同0.9%減(ばれいしょを除く)となった。
同期間の生鮮野菜の輸出量は、たまねぎ(同88.5%増)、レタス(同2.8%増)、カリフラワー(同3.8%増)、セロリ(同10.2%増)、にんじん(同16.1%増)などの増加分が、さつまいも(同21.8%減)、ほうれんそう(同2.4%減)、スイートコーン(同32.2%減)などの減少分を上回ったことで、全体では同9.4%増(ばれいしょを除く)となった。