調査情報部
グアテマラのブロッコリーは輸出向けの作物であり、2016年は生産量の上昇率を上回る勢いで輸出が増加した。生産量は、天災などの影響で一時大きく落ち込んだものの、2012年以降は年間7万トン強で推移している。今後は、経済連携協定を結んでいる米国やエルサルバドル向けを中心に、ポーランドやウクライナなど東欧諸国への輸出拡大も期待されている。
グアテマラは中央アメリカに位置し、面積10万8889平方キロメートル(日本の本州の約半分)、人口1658万人(2016年)で、南部は太平洋に北東部はカリブ海に面し、地形は起伏に富んでいる(図1)。高原地帯は標高が高く冷涼な気候のため、ブロッコリーの生産に適しており、多くの小規模生産者が、少数の輸出業者との契約栽培の下でブロッコリーを生産している。ブロッコリーは輸出向け作物となっており、輸出量は増加傾向である。最大の輸出先は、自由貿易協定を結んでいる米国であるが、日本向けも近年増加している。日本にとってグアテマラは、冷凍ブロッコリーの第4位の輸入先で、2016年の日本向け輸出量は過去最高の1306トンとなっており、10年前の2007年と比較すると2倍以上に増加している。
本稿では、近年、日本市場でも存在感を高めているグアテマラにおけるブロッコリーの生産および輸出状況について報告する。
なお、本稿中の為替レートについては1米ドル=112円(2018年7月末日TTS相場:112.01円)を使用した。
グアテマラでは従来からコーヒー、砂糖、バナナおよび香辛料のカルダモンを「伝統的輸出品目」として生産しており、これらの輸出金額は農水産品輸出全体の半分近くを占めている。しかし、政府は国際市場価格の影響を受けやすいこれらの品目に依存した不安定な経済構造を改善すべく、観光業の強化とともに「非伝統的輸出品目」の強化を掲げている。「非伝統的輸出品目」の主な品目としては、えんどう豆(Arveja China)、さやいんげん、トマト、たまねぎ、芽キャベツ、ごま、アスパラガス、とうがらしなどの野菜、果物、クルミ、穀物の他、加工食品や繊維加工品などがあり、ブロッコリーも輸出競争力のある品目の一つと位置付けられている。現在、これらの「非伝統的輸出品目」の輸出が、農水産品輸出額に占める割合は高まっている(図2)。
グアテマラでは、行政と農家を繋ぐ農業改良普及員制度が1997年に廃止されたことから、主に輸出向けであるブロッコリーに関しては、加工輸出業者または冷凍業者が生産者に対して、契約に基づいて種子や肥料、農薬など(以下「生産資材」という)を供給するとともに、生産面や冷凍・カットなどの加工技術面などに関してもサポートしている。しかし、この仕組みでは生産者側が自ら栽培計画を立てて肥料や農薬を購入することはできず、十分な利益を得ることが難しいため、グアテマラにおける大きな社会的課題である生産者の貧困の一因にもなっているといった指摘もみられる。
グアテマラのブロッコリー生産の過去10年の推移を見ると、作付面積は約5000~6000ヘクタール、生産量は約6~9万トンの間で年によって増減がみられる(表1)。特に2009年および2010年は、作付面積および生産量がかなり減少した。その要因として、2008年からの世界金融危機、2010年のパカヤ火山の噴火や熱帯暴風雨アガタによる被害、収益性が高いとされているトウモロコシなどへの転作といった点が挙げられる。2012年以降は、経済回復に伴う米国などへの輸出増などが要因となり、緩やかな増加傾向をたどっている。
グアテマラのブロッコリーの単収は、2016年の数値で比較すると、10アール当たり1.2トンと、メキシコの1.5トンおよびエクアドルの1.9トンよりも低い値となっている。2011年以降は、10アール当たり1.2~1.3トンで推移しており、向上は見られていない。このため、直近の生産量の増加は、生産性の向上よりも作付面積の拡大が主な要因である。
グアテマラ農業畜産食糧省(MAGA)によると、グアテマラのブロッコリー生産は、チマルテナンゴ県で全体の過半を占める他、過去10年間での拡大が著しいウエウエテナンゴ県や、ハラパ県、ソロラ県を加えた4県で、全体の8割を占める(図3、4、表2)。これらの県は中央高原地方に位置し、標高およそ1400~2300メートル、湿度70~80%、気温約10~25度と冷涼な気候となっている(図5)。そのため、ブロッコリーの生育に適しており、1年を通して栽培可能である。なお、これらの県には南北アメリカ大陸各国の首都や主要都市を結ぶ高速道路網であるパンアメリカン・ハイウェイが通じており、輸送面での強みとなっている。
グアテマラでは、全国的に輸送インフラの未整備と灌漑設備不足が課題となっており、ブロッコリーの主要生産地の中にも水不足を警戒しなければならない地域が見受けられる。灌漑が進んでいない地域では、ブロッコリーの成長期が雨季にあたるように播種を行うなどにより対応している。
グアテマラでは、一般に例年10月から4月までは乾季、5月から9月までが雨季にあたる。しかし、ブロッコリーの主要生産地である中央高原地方では、例年11月から6月頃までが乾季で、中でも3月から6月に暑さがピークを迎える。
また、グアテマラには、雨季中に雨の降らないカニクラ(Canicula)と呼ばれる時期がある。この時期は、年にもよるが15~30日間続く。過去5年を見ると、2014年と15年には40日以上全く雨の降らなかった期間があり、農作物が大きな被害を受けたところも多く見られた。ブロッコリーの生産地でも、2013年以降は毎年厳しいカニクラを経験し、雨不足のため8月前半に定植ができないなどの影響が見られたが、国立気象研究所(INSIVUMEH)によれば、2017年のカニクラは15~20日で収まり、7月は十分な雨量が得られていたこともあり、大きな干ばつ被害は避けられたようである。
INSIVUMEHは、カニクラの被害を受けやすい地域として、東部盆地地方および中央高原地方を挙げており、産地のハラパ県、グアテマラ県、チマルテナンゴ県、ウエウエテナンゴ県も含まれている。特に、岩が多く傾斜した場所にあり、土壌の深度が浅いハラパ県のある東部盆地地方などの農地では、土壌が水分を蓄えられないため、干ばつ被害を特に受けやすく、2週間以上のカニクラを乗り越えるのは厳しいとされている。
また、グアテマラには14の活火山がありフエゴ山(標高3763m、首都グアテマラシティから南西に25km)は2012年9月、2015年2、6、11月に、また、パカヤ山(標高2552m、グアテマラシティから南に30km)は2010年5月に噴火した。両山ともブロッコリー主産地に比較的近い距離に位置することから、火山の動向によっては、ブロッコリー生産に影響を与える可能性がある(コラム-図)。
2010年のパカヤ山噴火と、それに引き続いて発生した熱帯暴風雨アガサでは,死者174名、行方不明者113名,被災家屋4万戸、総被災者数10万人、被災県数21県(全国22県)という甚大な被害が報告されている。
国家統計局(INE)による農業センサスが2017年に行われ、生産者数に関するデータについても、その結果が待たれている。利用可能な最新の農業センサスである2003年のデータによれば、ブロッコリーの生産者戸数は3710戸であった。熱帯農業研究普及センター(CATIE)によると、ほとんどは資産に乏しい家族経営の中小農家であり、大家族で農業を専業としている場合が多い。また、生産者の多くは先住民である。中心的な圃場規模は0.11~2.46ヘクタールであり、生産者団体や組合に属するのはわずか23%である。他方、MAGAが発表しているブロッコリーの期間労働者数は2014年で延べ97万7342人(3924人の常時労働者数に相当)となっている(表3)。
MAGAによると、グアテマラで栽培されているブロッコリーの品種は、Avenger、 Marathon、Legacy、Supremo, Green Beret、Emperadorなどである。ブロッコリーは輸出作物であるため、海外市場で需要の高い品種が栽培されており、現在では上品な形をしているAvengerが最も生産されている。他方、房がより太く、ブロッコリー全体の色が濃い品種であるSupremoやLegacyは、生産量は少ないものの、主に国内向けに生産されている。種子は輸入され、育苗業者が育苗する場合と、大手加工輸出業者が育苗する場合がある。苗は、契約栽培であれば、加工業者から供給されるが、国内向けや独立した生産者の場合は育苗業者から購入する例もある。
ブロッコリーの生育サイクルは、おおむね90~120日であり、品種によってはさらに短期間で収穫できるものもある(表4)。寒冷期(Heladas)を避け、また、灌漑に頼らずに生産できる雨季に成長期を合わせるため、基本的には5月から6月上旬および8月の播種が推奨されている。主要産地であるチマルテナンゴ県では、4月または5月播種で7月または8月収穫の作型と、8月播種で11月収穫の作型を軸としながら、通常、年間2作でブロッコリーを生産している。一方、アルタ・ベラパス県とバハ・ベラパス県では10月播種で2月収穫の1作となっている(図6)。これらの地域では10月以降でも降雨量が比較的多いため、灌漑がなくてもブロッコリーを生産でき、雨季には別の作物が栽培されているからである。なお、灌漑設備を備えた圃場では、推奨された作型でなくとも生産が可能である。しかし、灌漑の整備状況は限られ、ほぼ雨水に頼った生産が行われているため、気温が高く乾燥した3~6月は、灌漑が整備された地域でのみ生産が可能となり、生産量が減少する。なお、ブロッコリーの輪作体系は、ブロッコリー2期の後、トウモロコシまたはえんどう豆を栽培するのが通常である。
収穫は、ブロッコリーが傷まないよう手作業で行う。収穫されたブロッコリーは、集荷所へ持ち込まれるか、加工輸出業者の手配により、その業者が所有あるいは契約している加工場へ運ばれて選別が行われる。加工や包装は顧客の要望に応じて対応している。収穫後のブロッコリーの鮮度保持は冷涼な気温下で3~5日が限度であり、冷凍などの加工を行う際には、収穫してから12時間以内に冷蔵や個別急速冷凍(IQF)などが必要である。冷蔵保存は4~7度が理想とされ、15~25日は保持することができる。
ブロッコリーのサプライチェーンは、大きく5つの行程に分けられる(図7)。グアテマラでは、多くの場合、加工輸出業者がすべての行程に一貫して関わっているのが特徴である。加工輸出業者は、自前の圃場を所有していることもあるが、通常は契約栽培によりブロッコリーを調達している。加工輸出業者は、生産されたブロッコリーを直接集荷し、加工と販売を自ら行う。
グアテマラの輸出向けブロッコリー栽培では、苗のほか、農薬や肥料などの生産資材もパッケージで生産者に提供され、加工輸出業者とこれらの生産資材の供給業者が作成した栽培衛生プログラムに基づいた技術指導が行われる。CATIEが行った生産者アンケート(2015~2016)では、農薬は加工輸出業者から提供され、代金は、出荷価格から差し引かれる仕組みになっている。つまり、生産資材は、加工輸出業者が必要分だけ供給するという形になっており、生産者側が自ら栽培計画を立て肥料や農薬を購入することは少ない。前述したように、グアテマラでは1997年に行政と農家をつなぐ農業改良普及員制度が廃止となったことから、農家の技術向上が停滞し、現在では加工輸出業者と供給業者が農家にとって非常に重要な情報源となっている 。
チマルテナンゴ県、バハ・ベラパス県およびアルタ・ベラパス県では、生鮮野菜の輸出業者でもあるクアトロ・ピノス農業組合(Cooperativa Agrícola Integral Union de Cuatro Pinos R.L)およびサン・フアン・アグロエクスポート社(SAN JUAN AGRO EXPORT)が、輸出基準を満たす認可を受けた生産資材を他の加工輸出業者各社に提供している。栽培技術および農業に関する情報提供は、大手農薬メーカーなどが中心に行っている。
CATIEが2016年に行った調査によると、チマルテナンゴ県の1生育サイクルにおける10アール当たりの平均生産コストは253.1米ドル(2万8347円)と、アルタ・ベラパス県およびバハ・ベラパス県の194.7米ドル(2万1806円)と比較して高い(表5)。生産コストの60%は、これらの生産資材の費用にあたる。一方、生産者販売価格は、収穫のはじめに取り決められる。チマルテナンゴ県では、1サイクルの平均売上額が比較的高いため、利益率が高い。これは、この地域に加工輸出業者が集まり、収穫されたブロッコリーの輸送費なども比較的安く抑えられる点も背景として考えられる。
輸出業者からパッケージで提供される生産資材の代金は、信用貸しという形で、収穫されたブロッコリーの売上金から差し引かれる一方で、輸出業者からの支払いは納期の3~4週間後というケースがみられる。
CATIEが調査対象とした生産農家の現状における問題点や課題は次の通りである。
①農家が市場について知識や理解力をもっておらず、買い手も一方的な価格提示をする一社にとどまっているため、
価格交渉する機会がなく、結果として生産者販売価格は低いままとなっている。
②農家は、種子の知識も入手方法も持ち合わせていない。
③加工輸出業者の基準に適わず買い取ってもらえなかったブロッコリーを抱える農家の中には、
国内市場に供給する地元企業とのコンタクトもないなど、ブロッコリーを販売できない者も多い。
ブロッコリーに限らず、グアテマラの農業は農家の貧困救済や教育レベル向上といったテーマと背中合わせにある。生産農家が各自の資金管理能力を高め、協会や組合といった形で団結し、情報共有手段をもち、持続可能な農業に見直しつつ、輸出業者などとの関係を再構築していくことが今後の課題であり、政府機関がこうしたサポートを行う必要性もみえてくる。しかしながら、グアテマラではブロッコリー生産に特化した生産者組合などは、現時点では見受けられない。
その一方で、輸出業者を束ねる団体としてグアテマラ輸出業者協会(AGEXPORT)があり、農産物の国内外でのプロモーションの機会を設けるAGRITRADEといった枠組みを設け、展示会を2年毎に行っているほか、チマルテナンゴ、サカテペケス、ソロラ、ウエウエテナンゴ、アルタ、バハ・ベラパス、キチェ、ハラパなどの県において、「非伝統的輸出品目」であるえんどう豆やその他の野菜に関する委員会を設け、品質向上やプロモーションを行っている。
グアテマラのブロッコリーの多くは輸出を目的として生産されていることから、国内消費としては、地元業者が集荷・加工・販売しているもの、または輸出業者の規格・衛生基準に適合しなかったものが仕向けられる。主な国内販売の形態は生鮮であるが、冷凍での販売形態も最近増えている。ブロッコリーは、伝統的な料理で使われることは少なく、炒め物やスープに用いられる。
国内消費量に関する統計はないが、MAGAによれば、ブロッコリーの国内市場は約1.9億ケッツァル(約28.5億円)と、総生産の3%程度を占めている。消費期間はほぼ1年中であり、都市部の方が消費量は多い。
グアテマラのブロッコリーの卸売価格の近年の傾向をみると、収穫が最盛期を迎える7~10月ごろは比較的安く、乾季が始まる11月以降から上がり始め、2月にピークを迎える(表6)。この時期は、乾燥かつ高温となることから、生産地域が限られてくるため、生産地が減り、価格が上昇する傾向にある。2009年と2010年に生産量が落ち込んで以降、卸売価格が1キログラム当たり0.40米ドル(45円)を上回る月が増えた。また、2013年からは、輸出拡大の影響で、同0.50米ドル(56円)以上となる月が大幅に増加し、2017年まで上昇の一途にある。
過去10年の輸出動向を見てみると、2009年から11年にかけて、生産減少や主要輸出相手国である米国の経済危機を受け、輸出量は2008年の7万トンから3万トン台に大きく落ち込んだ(図8)。その後は輸出が回復し、2016年には8万トンを記録した。
主な輸出先は米国やエルサルバドル、メキシコなど近隣諸国で占められており、日本は第5位の輸出先となっている。
輸出の約7割を占める米国向けは、ほとんどが冷凍である。グアテマラ産ブロッコリーは、機械化が拡大しているメキシコ産と比較して品質がよいと評価されている。また、無関税で輸出が可能(後述)となっていることから、14.9%の関税がかかるエクアドル産と比較して、競争力の高さも強みであるとされている。
グアテマラが締結した貿易協定としては、2006年7月発効の米国・中米(コスタリカ、エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラス、ニカラグア)およびドミニカ共和国間の自由貿易協定(DR-CAFTA)が挙げられる。米国および中央アメリカ諸国への輸出が多いグアテマラにとって、DR-CAFTAは輸出拡大への追い風であり、ブロッコリーについては、米国が最大の輸出相手国である点において有利である。なお、現在、米国向けブロッコリーの輸出は無関税となっている。
また、2009年6月には台湾との自由貿易協定、2013年12月には中米EU連携協定が発効している。EUではこの30年間でブロッコリー消費量が920%の増加となっている一方で、スペイン、フランスがブロッコリー輸出大国であるほか、ドイツ、イタリアでもブロッコリー市場は飽和状態となっており、今後はポーランド、ウクライナ、ハンガリー、ポルトガルといった国々への需要拡大が期待されている。
日本のグアテマラ産ブロッコリーの輸入動向を見ると、現在は冷凍のみが輸入されている(表7)。2010年以降の輸入量の推移を見ると、2014年に急増し、2015年以降は緩やかな減少傾向をたどっている。これは、円安の影響の他に、米国で「アンデス貿易振興麻薬撲滅法(ATPDEA)」による関税優遇措置が2013年7月に失効して以降、同国への輸出が困難となったエクアドル産のブロッコリーが日本に流れるようになったことも原因とみられている。
冷凍ブロッコリーの輸入単価を見ると、グアテマラ産は、2017年に250円台まで上昇しており、主要輸入国の中で最も高くなった(図9)。
グアテマラ産ブロッコリーの日本での主な用途は業務用であり、レストランで利用される他、大手小売業者向けにも卸されている。同国産ブロッコリーについては、2017年度からの輸入強化をうたう企業もある一方、これまで虫の検出や選別、残留農薬といった問題事例もいくつか見受けられている。2014年12月、厚生労働省は、輸入時のモニタリング検査の結果、グアテマラの大手ブロッコリー輸出企業のブロッコリーから、基準値を超える農薬プロフェロノホスが検出されたと発表し、輸入食品等モニタリング計画に基づき、モニタリング検査の頻度を2015年12月まで30%に引き上げた。
この事例を受け、日本の輸入業者はグアテマラに出向き、大手輸出企業に対して技術指導を行うとともに、日本市場で好まれる小ぶりのサイズのカッティング方法についても指導した。そのため、日本向けに輸出されるカットは、米国向けと異なっている。
グアテマラのブロッコリー産業は、加工輸出業者がサプライチェーンの中心となって生産が行われる輸出主体産業であり、伝統的に米国向けの割合が高い。カリブ海に面して港があるため、米国東海岸への輸送も行える点が優位点の一つといえる。冷凍での輸出が多いものの、近年では冷蔵の輸出もあり、隣国エルサルバドルへの輸出が大きく増えている。国内需要も増加傾向にあるが、現在では総生産の3%程度と低い。
ブロッコリーの生産は主に最大の生産県であるチマルテナンゴ県が属する中央高原地帯で行われており、小規模生産者が契約栽培を通して生産している。主要生産地に加工施設があり、気候変動の影響を受け、灌漑の整備が重要視されるようになり、より高原かつ湿度の高い地域へと生産地が移動している。
主要な輸出先である米国とは自由貿易協定を結んでおり、競合国であるエクアドルより優位な立場にあるため、米国への輸出に集中している傾向がうかがえる。日本への輸出価格は上昇しているものの、輸出量は増加傾向にある。ブロッコリーはグアテマラ政府にとって重要な「非伝統的輸出品目」であり、今後も生産拡大と輸出促進が図られると考えられる。