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海外情報(野菜情報 2018年6月号)


ニュージーランドにおけるかぼちゃの生産および輸出動向

調査情報部 竹谷 亮佑 瀬島 浩子(現総務部)


 ニュージーランドのかぼちゃ生産は、南半球で季節が日本と逆という特性を生かし、日本の業者による産地開発の一環として1970年代に始まった。現在も輸出の7割近くを占めている日本向けについては、業界主導のマーケティングと品質管理の下、引き続き安定的な輸出が見込まれている。

1 はじめに

日本のかぼちゃ供給においては、生産量が15万トン程度であるのに対し、輸入量(生鮮)はおよそ10万トンと、供給量の4割を占めている。中でもニュージーランド(NZ)産は、南半球で季節が日本と逆という特性を生かし、日本でかぼちゃの生産がほとんどない2~5月に多く輸入され、輸入生鮮かぼちゃの約5割を占めている。

本稿では、日本における輸入シェアが高く、産地ローテーションの一角として重要視されている、NZにおけるかぼちゃの生産および輸出の現状と今後の見通しについて、2018年2月に実施した現地調査を基に報告する。

なお、本稿の為替レートは、1NZドル=79円(2018年4月末時点TTSレート:79.18円)とした。

2 生産

(1) 主要産地

NZではかぼちゃButtercup Squashとパンプキン(Pumpkin)は異なる作物として捉えられており、本稿でのかぼちゃはButtercup Squashを指す。パンプキンは、Whangaparaoa Crown Pumpkinなどの品種を指し、果実の直径は30センチ程度、重さは4キログラム程度とかぼちゃより大きく、果皮は灰色、果肉はかぼちゃと同じく鮮やかなオレンジ色である。

かぼちゃは、日本など輸出向けの生産が主で、国内流通は限定的とされ、パンプキンは、国内消費が主で(パイやスープといった調理に利用される)、輸出はごくわずかとなっている。かぼちゃもパンプキンも、ともに玉単位で小売店の青果売り場の片隅に陳列されていたが、現地の話によると、かぼちゃの消費は一般的ではないとのことであった(写真1)。

かぼちゃの主な生産地域は、図1の通りである。

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主要産地は、北島中東部のギズボーン地方やホークスベイ地方で、これらの2地域で作付面積全体の約8割を占める。これらの2地域は、温暖な気候で適度な降雨に恵まれており、今回の調査で訪れたホークスベイ地方のネイピア近郊では、かぼちゃ以外の野菜のほか、りんごやワイン用ぶどうといった果樹も多く栽培されていた。

(2) 生産概況

NZの政府関係調査機関であるFresh Factsによると、2010~13年は、生産量が8~9万トン、作付面積が6000~7000ヘクタールで推移していたが、2014年にはともにこの10年で最低を記録した(図2)。しかし、2015年以降は増加傾向で推移しており、2016年は、生産量が8万2725トン、作付面積が6526ヘクタールまで回復している。なお、10アール当たりの収量は1.27トンと、日本(1.16トン(平成28年度野菜生産出荷統計))より1割近く多い。

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品種としては、粘質系の「えびす」(現地では「Delica」と呼ばれている)が8割超を占めている。この品種は、もともと、主要な輸出先である日本で好まれていたために導入された。それ以外では、粉質系の「くりゆたか」や「味平」の栽培がみられるが、いずれも、日本の種苗会社が育種した品種で、現地の代理店経由で販売されている。

戸数については、2000年には245戸だったが、2016年には25戸まで減少した(図3)。この間、1戸当たり作付面積は261ヘクタールまで拡大したため、全体の作付面積はほぼ横ばいで推移している。NZでは、生産者が農地を集積するなど大規模化が進むと同時に、自ら選果や出荷、輸出まで手掛けるなど、川上からの垂直統合が進展していったと推察される。

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(3) 大規模生産者の状況

今回の現地調査では、ネイピア近郊で輸出用かぼちゃを生産し、同国の輸出量の23割を占める最大手のBrownrigg Agriculture(以下「BA社」という)を訪問した。同社はもともと、小麦や大麦、豆類に加え、クローバーなどの牧草を生産していたが、1988年、生産補助金の撤廃などが進み、農業生産環境が不安定になる中、当時比較的新しい品目であったかぼちゃの生産を開始した。その後、周囲数十キロメートル四方に農地を借り増して規模拡大を重ね、現在は約1600ヘクタールの農地でかぼちゃを生産している(写真2)。

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また、BA社は、かぼちゃのほか、畜産(肉牛(Wagyu生産、乳用種雄牛の肥育)やラムの生産)、飼料用コーン(約1000ヘクタール)の生産など、多角的な経営を行っている。同社のかぼちゃの栽培暦は、輸出先にかかわらず図4の通りである。

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しゅは9月に行われている。育苗はせず、全てじょうへの直播きである。その後、12月~翌3月にかけて、抗菌・殺虫剤などの散布(1~5回(平均3.5回)程度)や除草が行われる。散布される薬剤はシフルフェナミドやストロビルリン系で、うどんこ病や角斑病の予防が目的である。殺虫剤については、過去にはケムシやアブラムシが発生した際に散布したことはあるが、使用頻度は高くないという。

収穫は、1月初旬から5月半ばにかけて行われるが、作付面積が広大なこともあって機械導入はかなり進んでおり、播種については100%機械化されている。

調査先の農場では、5台の収穫機(ハーベスタ)を導入していた(写真3)。ハーベスタ先端部に取り付けられたローラーでつるを切断した後、圃場に転がっているかぼちゃを、ローラーの後方に構えていた収穫要員(10名程度)が手で拾い上げ、ハーベスタのベルトコンベアに載せていく。その後、荷台の選果要員(3名程度)によって一次選果されたかぼちゃは、ハーベスタ後部の木製コンテナに積み込まれる。かぼちゃでいっぱいになった木製コンテナは、二次選果のため、トラックでまとめて敷地内の選果場へと運搬されていく(写真4)。

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従業員は70名であるが、ハーベスタ1台につき14名(運転手1名、作業員13名)が必要など、人手がかかることから、収穫時期にはバヌアツやタイ、サモアから80名程度の季節労働者を受け入れている(コラムにて後述)。なお、NZの1時間当たり法定最低賃金は15.75NZドル(1244円)となっているが、季節労働者の賃金は、これよりも高い水準にあるという。

収穫後は、残さを圃場にすき込み、3~4月ごろから順次、牧草(生育の早いライグラスが主)を植えている。牧草は、牛や羊の飼料や、緑肥として用いた後、7月以降順次刈り取り、次年度のかぼちゃ(または飼料用コーン)の作付けに備えている。

10アール当たり生産コストをみると、選果や輸送に係るコストのシェアが最も高く、地代や収穫に係るコストがこれに続く(表1)

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なお、BA社は、全農地の25%(飼料用コーンの農地も含む。かぼちゃだけに限れば、割合はもう少し高い)でかんがいを導入している。地下水をくみ上げて散水車でまいているが、コスト的な問題に加え、政府や地元自治体による環境規制の強化もあり、これ以上のかんがい導入は難しいとのことであった(写真5、6)。

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3 輸出

(1) 概況

NZにおけるかぼちゃ生産は、1970年代、日本の輸入業者による産地開発の一環として始まった。日本では当時、冬から春にかけてのかぼちゃ生産は、沖縄などごく一部に限られ量も少なかったことから、季節が逆の南半球、その中でも地中海ミバエの清浄地域であったNZが、かぼちゃ産地として選ばれた。

生鮮かぼちゃ輸出量は、年間10万トンを超えた年もあったが、近年は8万トン前後で推移している(図5)。前述のような導入経緯もあり、1990年代まではほぼ全量が日本へ輸出されていたが、近年、日本向けのシェアは7割程度まで低下しており、韓国向けが3割、中国向けが2%程度となっている。2000年代後半に日本向けが減少し、韓国向けが増加したのは、日本向けの輸出単価が下落したことや、韓国向け輸出促進活動が奏功したことなどが背景にあるとされる。

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仕向け先ごとの規格については、韓国向けは、ホール販売が主であることから比較的小玉が好まれ、逆に日本向けは、カット販売が主であることから大玉が好まれるなど、サイズの違いはあるものの、品質面での違いは、特にないとのことであった。

(2) 大規模輸出業者の出荷状況

先述の通り、NZのかぼちゃ生産は大規模化、集約化が進展しており、今回取材した最大手生産者のBA社も、敷地内に選果場を有しており、輸出まで自ら行っていた(写真7)。規格外のかぼちゃは肥育牛の飼料として出荷・利用される(写真8)。

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トラックで圃場から選果場へ運び込まれたかぼちゃは、水槽に空けられ、水で洗浄される(写真9)。その後、作業員(50名ほどの外国人労働者)が、日焼けや腐食、変形などを目視で選別し、1個ずつ計量したのち、木製コンテナに詰めていく(写真10)。

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なお、木製コンテナは、地元の松材(当地は木材・パルプ産業が盛ん)を利用した自家製で、圃場から選果場への運搬に用いるものについては何シーズンも利用されるが、輸出用についてはワンウェイとなっている。調査時は、選果場に隣接した作業場で、輸出用の木製コンテナが次々に組み立てられていた(写真11)。

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コンテナ詰めは手作業で行われるが、1個1キログラム以下の小さなかぼちゃは、機械で行われる(写真12、13)。木製コンテナ1個当たりの重量は、600~700キログラムとされるが、輸送費はコンテナ単位で計算される(重量やかぼちゃの個数ではない)ため、輸出用の木製コンテナに、いかに隙間なくかぼちゃを詰めるかが重要となる。

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なお、先述の通り、出荷先により品種や品質が異なることはないが、重量の違いにより小玉は韓国向け、大玉は日本や中国向けに多く輸出されるなど、両市場間はすみ分けがなされている。

出荷時には、40フィートコンテナに、輸出用木製コンテナ40個(24トン)が格納され、NZ最大の港湾であるタウランガ港(北へ300キロメートル)へトラックで輸送される(写真14、15)。その後、東京まで12日(神戸まで13日、釜山まで14日)かけて運ばれる。

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輸出には、NZ、日本、韓国、中国、香港、豪州を6週間かけて周回する一次産品用の定期航路(週1便)と、かぼちゃ輸送のみを取り扱う臨時のチャーター便を利用している。コンテナ内は摂氏12度に保たれており、市場に出回るまでに自然追熟が行われるとのことであった。収穫から流通までの流れと日数の目安について、表2に示した。

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(3) 輸出促進政策

NZでは、かぼちゃを含む野菜や果実などの園芸作物について、政府による直接的な輸出促進政策は実施されておらず、1987年園芸作物輸出権限法の下、品目ごとに業界主導で輸出促進に取り組む体制が整備されている。園芸作物輸出局(Horticulture Export Authority、以下「HEA」という)は、同法に基づき設立された組織で、主な業務は、輸出マーケティング戦略の企画・立案と、傘下団体の会員に対する輸出ライセンスの付与である。年間予算は35万NZドル(2765万円)程度で、各品目の課徴金(輸出額に基づき設定)と輸出ライセンス登録料を財源としている(課徴金収入はおよそ6割)。HEAに参加するには、各品目の生産者数・輸出業者数・生産量・輸出量ベースでいずれも6割以上の支持を得る必要がある。かぼちゃやアボカドなど10品目が、HEAの下で輸出促進活動を行っている。

かぼちゃでは、1988年にNZかぼちゃ協議会(New Zealand Buttercup Squash Council)が組織された。会員数は、生産者20、選果業者(Pack-House)8、輸出業者11(一部重複あり)で、HEAの下で、輸出促進や品質管理、市場開拓など、輸出に特化した事業を実施している。直近年度の予算は46万NZドル(3634万円)で、会員の登録料(生産者200NZドル(1万5800円)、選果業者100NZドル(7900円)、輸出業者5000NZドル(39万5000円))と課徴金(生産者は出荷額の0.225%、輸出業者は輸出1トン当たり3.5NZドル(277円))を財源としている。

NZかぼちゃ協議会の活動の一つである「品質管理」については、「Quality Management Program」(品質)、「Food Safety Assurance Program」(食品安全)の2つのプログラムを実施しており、100%政府出資の独立検査機関である「AsureQuality」に検査を委託している。同機関は、これらのプログラムに基づきNZかぼちゃ協議会の傘下会員に対し、年数回、水分含量や色味などの品質検査や、200以上の残留農薬についてのサンプリング検査、防除履歴の確認などの検査を実施している。

コラム 外国人季節労働者受け入れ制度

NZ政府は2007年、外国人季節労働者受け入れ制度(Recognized Seasonal Employee Scheme)を導入した。これは、国内で不足する労働力を補うため、野菜やワイン用ぶどうなどの園芸作物産業で、外国人労働力を期限付きで雇用できるというものである。

年間受け入れ人数には上限が設けられている。制度開始当初は5000人だったが、外国人労働者に対する雇用需要の増加を受け、2017年は1万1100人となった。

以前は受入対象国の制限はなかったが、現在は、過去に受入実績のない新たな国からの雇い入れを行う際は、フィジーやパプアニューギニア、ツバルなどの大洋州島しょ部に限られる。キリバスやツバルなど遠方の一部の国を除いて、雇用期間は7カ月が上限で、延長は不可となっている。

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なお、園芸作物の国内マーケティングについては、1990年一次産品課徴金法に基づき設立されたHorticulture NZが、チェックオフ制度を実施している。同団体は、たまねぎなど22余りの品目について、各業界団体から売上額の0.14%の課徴金を徴収し、バイオセキュリティや水資源の管理、GAP認証などを実施している。品目ごとに、自らの判断で、HEAの下で輸出促進活動を行うか、Horticulture NZのチェックオフに参加するか、いずれにも参加するか、いずれにも参加しないかを決められる仕組みとなっている。

(4) 今後の見通し

NZかぼちゃ協議会は、今後の輸出見通しについて、特定の国に注力することはせず、顧客ニーズや市況に柔軟に対応していきたいとしている。

日本向けについては、既に市場開拓から数十年が経過するなど「成熟した市場」であることから、大幅な増加は期待できないものの、産地ローテーションの一角としての地位が確立されており、引き続き安定的な輸出が見込まれるとしている。日本市場で競合するメキシコ産については、米国という巨大市場に隣接することもあり、対日輸出を積極的に行うのではないかと見ていた。

韓国向けについては、韓国国内経済の低迷もあり、それほど増加しないと見ている。一方、中国向けについては、現在はわずかな輸出量だが、かぼちゃを食べる需要自体が拡大していることを受け、今後輸出の増加が見込まれるとしている。

最大手生産者のBA社は、生産量を増やす余力はまだ十分にあると語っており、日本向けについては今後も安定的に輸出されるものとみられる。

なお、現地では、カットやペースト、粉末といった加工処理・付加価値化にはほとんど関心がなく、NZかぼちゃ協議会の会員も、生鮮かぼちゃの生産・選果・輸出業者が対象となっている。

4 日本市場での位置付け

(1) 国内の供給動向

日本国内におけるかぼちゃの供給量(出荷量と輸入量の合計)は、1990年代には30万トンを上回っていたが、近年は25万トン強まで減少している(図6)。

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出荷量についても、1990年代初頭には20万トンを上回る年もあったが、2016年には15万トンを下回るなど減少傾向で推移している。これは、かぼちゃ栽培は、定植から収穫、選果まで手作業によるところが多く、高齢化が進む中、負担が大きくなり離農が進んだことや、他品目(キャベツなど)に比べて収量が少ないこと、また、特に鹿児島県などで、1年1作で収入が収穫時の市況に左右されるリスクが大きいかぼちゃから、安定的な収入確保が期待できるピーマンへの転作が進んでいることなどが背景にあるとされる。

なお、関係者からは、生食向け需要が減少している一方でスイーツなどの加工品向け需要は増加傾向にあるため、今後、出荷量は安定的または微減傾向が見込まれるものの、増加する加工品向け需要を満たすだけの生産基盤は、労働力不足などにより維持できないとの声も聞かれた。

一方、輸入量については、1990年代半ばにかけて増加したが、近年は10万トン台となり、供給量に占めるシェアは40%前後となっている。これについて卸売業者は、貯蔵技術や促成栽培技術の進歩により、国産かぼちゃの出荷時期が伸びたことで、国産の端境期に出回る輸入品のシェアが、近年は頭打ちとなったとしている。

(2) NZ産の優位性

国別輸入シェアの推移は、図7の通りである。

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NZ産のシェアは、2001年から2017年にかけて、69%から49%へと減少したものの、依然として最大のシェアを占めている。一方、メキシコ産は、2005年に日本と同国との間で経済連携協定(EPA)が締結され輸入関税が撤廃されたことなどもあり(NZ産については、WTO協定税率の3%が適用)、同じ期間で17%から46%へとシェアが拡大しているが、両者の出荷期間は異なるため、直接的には競合しないとされる。

東京卸売市場の2017年の月別入荷量を見ると、国産の入荷時期は、主に6~12月で、メキシコ産は、国産の出回りが終わる11~翌1月と、出回りが始まる5~6月、NZ産は国産の入荷がほとんどない2~5月と、両国産のかぼちゃには入荷時期のすみ分けが見られている(図8)。

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ただし、小売業者の中には、NZ産を産地ローテーションに加えず、日本の冬~春にかけて一貫してメキシコの生産者と供給契約を締結しているという事例もあるという。

北半球に位置するメキシコ産は、日本と同じで、春夏期または夏秋期の栽培が一般的であり、特に、年末の冬至需要を当て込んだ夏秋期栽培品の輸入が多い。冬至の時期は需要が高く、国内の市場価格も比較的高くなることが多いが、国産も同様に出回るため、市場環境は不安定になりがちであるとされる。

一方、南半球に位置するNZは、日本と季節が逆で、国産がほとんど出回らない時期に輸入されるため、市場環境は安定的とされる。流通業者によると、NZ産はメキシコよりも輸入単価が安く、価格面で優位性があるとしている(図9)。

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価格面で優位性がある一方、品質面ではメキシコ産を評価する向きもあるが、適切な温度管理による自然追熟の実現や、NZに対する良好なブランドイメージを追い風に、品質面で国産と遜色ないと評価する流通業者もある。

2018年3月上旬に、関東のスーパーマーケットなどの小売店の店頭で市場調査を行った(表3、写真16)。この時期の国産かぼちゃは、沖縄県産や鹿児島県産が主で、輸入品の倍近い価格で販売されていたが、いずれも同様の売れ行きであるように見受けられた。

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5 おわりに

NZにおけるかぼちゃ生産は、産地開発の一環としてスタートしたが、30年以上経過した現在でも、日本への輸出仕向けが生産量の7割以上と高いシェアを占めている。現地では、中国市場にも期待が寄せられているが、需要があればいくらでも増産できるとの大手生産者の強気の発言もあった。このため、仮に中国向け輸出が増加したとしても、日本市場においてNZ産は、南半球で季節が逆という特性を生かした、安定的な供給環境に加え、ブランドイメージなどの面でも、他国産に比べて有利な位置にあり、引き続き産地ローテーションの一角を担うものとみられる。

また、日本やNZを含む11カ国の間で2018年3月に署名された「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)」が発効すれば、NZから輸入されるかぼちゃに対する関税は即時撤廃され、メキシコ産と同様に無税での輸入が可能となる。そうなった場合、わずか3%の関税削減ではあるが、日本市場の構図に変化が生じるのか見ていく必要がある。

このため、NZにおけるかぼちゃの生産および輸出動向については、今後も引き続き注視していきたい。




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