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海外情報(野菜情報 2018年3月号)


主要国の野菜の生産動向等

調査情報部


1 中国

 日本が輸入するながいもの多くは中国産であることから、今月号では、中国のながいもの生産動向等を主産地の山東省および河南省を中心に紹介する。

(1) 日本における中国産ながいもの位置付け

2012年以降の日本のながいも輸入量を見ると、生鮮品は2014年は大幅に減少し、2015年以降は回復傾向で推移しているものの2017年は775トンと、依然として1000トンを下回って推移している。一方、冷凍品は比較的安定して推移しており、2017年は前年を17.8%上回る694トンとなった(図1)。国別に見ると、生鮮品、冷凍品とも主に中国とベトナムから輸入されており、特に冷凍品は90%以上が中国産となっている。中国産ながいもの輸入量を月別に見ると、年によって傾向は異なるが、2017年は、生鮮品および冷凍品ともに上半期が下半期よりも多かった(図2)。また、輸入価格は、生鮮品は7月および9月に高騰したが、冷凍品は1年を通して1キログラム当たり350円前後で安定的に推移した。

本稿中の為替レートは1元=17円(2018年1月末日TTS相場:17.49円)を使用した。

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(2)生産動向

ながいもは、中国のさまざまな地域で生産されているが、特に、さんとう省、なん省、こう西せいチワン族自治区、こう省、ほく省、さん西せい省などで生産が盛んである(図3)。今月号では、その中でも、中国全土で最大の作付面積(シェア17%)を占める山東省と、第2位の河南省(同12%)を中心に、生産動向を報告する。

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ア 山東省

山東省におけるながいもの主産地は、たく(注1)さいねい市、ぼうちんたお市である(図4)。

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注1:中国では、大きい行政区分から順に、「省級(省、直轄市など)」、「地級(地級市、自治州など)」、「県級(県、県級市、市轄区など)」などとなっており、菏澤市、済寧市、潍坊市、青島市は地級市である。

ほとんどが露地栽培で、例年、4月上中旬に種いもを植え付け、9月下旬~翌4月下旬に収穫される(図5)。主な品種は、作付面積の約5割を占める「鉄棍山薬(注2)」と同3割を占める「白玉山薬」である。「鉄棍山薬」は、栄養価が高いが、単収が低く販売価格は高い、「白玉山薬」は、耐寒性があり単収が高いなどという特徴がある。

注2:中国では、ながいもを「山薬」という。

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近年の生産動向を見ると、2014/15~2016/17年度は、相場が高い水準で推移したため、生産者の作付け意欲が高く、作付面積は増加した。単収は10アール当たり2.6~2.7トンと安定したため、収穫量も増加した(表1)。

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イ 河南省

河南省におけるながいもの主産地は、しょうきゅう(注3)しょうさく市、なんよう市などである。中でも、商丘市は作付面積の約2割を占める同省最大の産地である(図6)。

注3:商丘市、焦作市、南陽市は地級市である。

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山東省同様、ほとんどが露地栽培で、毎年、4月上旬~5月下旬に植え付け、10月上旬~翌2月下旬に収穫される(図7)。主な品種は「鉄棍山薬」である。

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河南省では、作付けコストの増加などから、小麦やにんにくなど収益性の高い作物への転作が進んでいる。そのため、作付面積は2005/06年度の約6万ヘクタールをピークに減少傾向で推移しており、2016/17年度は、前年度を17.5%下回る3万3000ヘクタール、収穫量も前年度を8.3%下回る55万トンとなった(表2)。

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(3)生産コスト

ア 山東省

山東省の10アール当たり生産コストの動向を見ると、2017年は1万2105元(20万5785円、2014年比1.0%増)と、わずかに増加した(表3)。項目別に見ると、近年の中国の野菜経営で常態化している土地代と人件費の増加が見られる一方で、種苗費は大幅に減少している。種苗費は、主にその年のながいも価格の影響を受けて変動するが、2017年は2014年に比べながいも価格が安かったため、大幅な減少となっている。

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イ 河南省

河南省の10アール当たり生産コストの動向を見ると、2017年は1万2345元(20万9865円、2014年比21.6%増)と、大幅に増加した(表4)。項目別に見ると、山東省同様、土地代と人件費の増加が見られる一方で、種苗費は横ばいとなった。これは、山東省に比べ自家産の種いもを用いることが多いことから、市場価格の影響を受けにくいためである。

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(4)価格動向

山東省の卸売価格を見ると、近年、健康志向の高まりを反映し、老化防止などの効果が期待されるながいもの需要が増加したことにより、2016年までは比較的高い水準で推移した(図8)。これに伴い、生産者の作付け意欲が高まり、生産量が増加した結果、2017年は、供給過多となり急落した。

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(5)国内向け出荷動向

山東省は、収穫されたながいもの大部分が国内に仕向けられ、一部は輸出されており、中国全土の輸出量のうち約8割は同省産である。国内の主な出荷先は、北京や上海などの大都市である。また、同省は主要生産地域であるだけでなく、加工工場や輸出企業の多くが所在しており、ながいも産業において重要な省となっている。

また、河南省で収穫されたながいもは全量が国内に仕向けられており、北京や天津のほか、せっこう省、ふっけん省、かんとん省などの南部の都市へ出荷されることが多い。

(6)輸出動向

ながいもは生鮮品または冷凍品として輸出されるが、その正確な割合は不明である(注。ここ数年では、2016年に1万トンを超えたものの、基本的には8000トン前後で推移している(図9)。

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国別では、2016年までは香港向けが最も多かったが、2017年は大幅に減少し、代わって日本やマレーシア、カナダ向けが増加した。

2017年で見ると、日本向けが米国向けに次ぐ第2位で、全体の2割強を占めたが、業界関係者によると、日本向けは、価格は高いものの、規格や安全性などの基準が厳しく、加工時のロスが相対的に多いため、一部の加工・輸出企業は、日本への輸出に対し消極的であるという。

注4:中国産冷凍ながいもは、07143000(ながいも)と07108090(その他の冷凍野菜)に分類されているため、正確な輸出量の把握が困難となっている。

2 米国

 米国からは、日本への輸出が多いブロッコリー、レタス、セルリー(セロリ)(以下「セルリー」という)およびたまねぎについて、それらの主産地であるカリフォルニア州とワシントン州の生産動向などを紹介する。また、トピックスとして米国におけるたまねぎの生産概要と2017年の状況について概要を報告する。

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(1) ブロッコリー、レタス、セルリー、たまねぎの生産動向

ア ブロッコリー

(ア) 作況

今冬、カリフォルニア州の気温は平年より低くなり、降雨量は北部で平年よりも多く、南部では平年並みとなる見込みである。また、4月と5月には、平年よりやや乾燥し、気温は沿岸部で平年より低くなる一方、内陸部で平年を上回るとみられている。

現地報道によると、12月、カリフォルニア州南部で発生した山火事は、大量の煙と道路の閉鎖により混乱を与え、野菜を輸送するためのトラックの確保に悪影響を与えた。また、ブロッコリーの価格は、クリスマスの旺盛な需要により、12月の中旬から上昇し始めた。12月後半には、需要のさらなる増加に加え、寒気による生育不良で供給が減少し、需給がひっ迫した。年明け以降も、ブロッコリーの価格は、上昇傾向で推移した。

以下、本稿中の為替レートは、1米ドル=110円(2018年1月末日TTS相場:109.79円)を使用した。

(イ) 生産者価格

2017年11月の生鮮ブロッコリーの生産者価格は、感謝祭向け需要が堅調だったものの、供給量が安定していたため前月から値を下げたが、出荷量が安定していた前年の反動などにより、前年同月比53.2%高の1キログラム当たり1.21米ドル(133円)となった(表1)。

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(ウ) 対日輸出動向

2017年11月のブロッコリーの対日輸出量は、米国内の供給不足に加え、台風などの影響で日本からの需要が高まった前年の反動により、前年同月比61.3%減の1486トンとなった(表)。また、輸出単価は同3.2%安の1キログラム当たり1.20米ドル(132円)であった。

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(エ) 東京都中央卸売市場の入荷量および価格

2017年11月の東京都中央卸売市場の米国産ブロッコリーの入荷量は、前年同月比63.3%減の55トンであった(表3)。また、卸売価格は、同12.3%高の1キログラム当たり394円であった。なお、同月に同市場で最も入荷量が多かったのは埼玉産で、入荷量は同5.3%減の481トン、卸売価格は米国産をかなりの程度上回る同428円であった。

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イ レタス

(ア) 作況

現地報道によると、12月中下旬、ロメインレタスの価格は、需給が安定していたため、横ばいないしはわずかに下落した。1月上旬、品質は良好であったものの、寒気による出荷量減少により、価格は上昇した。

結球レタスの価格は、12月中旬に堅調な需要により上昇した。12月下旬、クリスマス需要による価格の上昇が予想されていたが、値下がりした。1月上旬、品質は良好であったものの、寒気による出荷量減少により、価格は上昇した。

12月中下旬、グリーンリーフレタスの価格は、需給が安定していたため、横ばいないしはわずかに下落した。品質は、非常に良好であった。

(イ) 生産者価格

2017年11月の結球レタスの生産者価格は、供給量の増加により、前年同月比13.6%安の1キログラム当たり0.51米ドル(56円)となった(表4)。

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(ウ) 対日輸出動向

2017年11月の結球レタスの対日輸出量は、449トンと前月から大幅に増加したものの、台風による日本産の品不足と価格高騰により米国の需要が高まった前年同月を11.1%下回った(表5)。輸出単価は同12.4%高の1キログラム当たり1.18米ドル(130円)であった。また、結球レタス以外のレタスの対日輸出量は、同35.3%増の564トン、輸出単価は同18.1%安の同1.76米ドル(194円)となった(表6)。

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(エ) 東京都中央卸売市場の入荷量および価格

2017年11月の東京都中央卸売市場の結球レタス以外の米国産レタス(ロメインレタス、フリルレタスなど)の入荷量は、前年同月比75.0%減の0.4トンであった。また、卸売価格は、前年同月比約5倍の1キログラム当たり518円であった(表7)。なお、同月に同市場で最も入荷量が多かった結球レタス以外のレタスは茨城産で、入荷量は同23.5%増の102トン、卸売価格は米国産をかなりの程度下回る同465円であった。

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ウ セルリー

(ア) 作況

12月中旬、ベンチュラ郡オックスナードとサンタバーバラ郡サンタマリアから供給されていたが、堅調な需要により、価格は上昇傾向にあった。年末には、需要が落ち着いたことから、価格は下落傾向にあり、1月上旬も低調に推移した。

(イ) 生産者価格

2017年11月のセルリーの生産者価格は、前年同月比10.8%高の1キログラム当たり0.65米ドル(72円)となった(表8)。

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(ウ) 対日輸出動向

2017年11月のセルリーの対日輸出量は、前年同月比34.1%減の540トンで、輸出単価は同17.1%安の1キログラム当たり0.63米ドル(69円)であった(表9)。

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(エ) 東京都中央卸売市場の入荷量および価格

2017年11月の東京都中央卸売市場の米国産セルリーの入荷量は、前年同月比24.2%減の25トンで、卸売価格は同4.8%高の1キログラム当たり220円であった(表10)。なお、同月に同市場で最も入荷量が多かったセルリーは長野産で、入荷量は同53.5%増の284トン、卸売価格は米国産を大幅に上回る同300円であった。

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エ たまねぎ

(ア) 作況

現地報道によると、11月下旬以降、ワシントン州からの黄たまねぎの出荷量が安定しており、品質も良好であった。12月に入り、たまねぎ需要は、黄たまねぎを中心にサイズや品種を問わず堅調であった。1月上旬以降も、ワシントン州からの出荷は好調であったが、輸送能力が不足していた。

(イ) 生産者価格

2017年11月の生鮮たまねぎの生産者価格は、堅調な需要に加え、生産量が多く安値となった前年の反動から、前年同月比2.3倍の1キログラム当たり0.34米ドル(37円)と前年を大幅に上回った(表11)。

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(ウ) 対日輸出動向

2017年11月の生鮮たまねぎの対日輸出量は、409トンと北海道産の減少により米国産への需要が高まった前年の反動により、前年同月を61.8%下回った。輸出単価は前年同月比27.9%高の1キログラム当たり0.55米ドル(61円)であった(表12)。

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また、同月の乾燥たまねぎの対日輸出量は、前年同月比5.3%増の318トンで、輸出単価は同2.4%高の同2.59米ドル(285円)となった(表13)。

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(エ) 東京都中央卸売市場の入荷量および価格

2017年11月の東京都中央卸売市場の米国産たまねぎの入荷量は、前年同月比96.7%減の0.2トンであった。また、卸売価格は同11倍の1キログラム当たり1114円と前年同月を大幅に上回った(表14)。なお、同月に最も入荷量が多かったのは北海道産(1万973トン)であり、単価は米国産を大幅に下回る同81円であった。

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(2) トピックス ~たまねぎの生産の概要および2017年度の生産状況~

ア 米国におけるたまねぎ生産の概要

全国たまねぎ協会(National Onion Association) によると、たまねぎは、20州以上で約500戸の生産者で商業的に生産されている。2017年は作付面積が5万5000ヘクタール、生産量は310万トンであった。USDA/NASSによると、1999年以降、作付面積が減少傾向で推移していることに伴い、生産量もおおむね減少傾向にある(図2)

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USDA/NASSによると、2016年は、収穫面積と生産量ではカリフォルニア州が、生産額ではオレゴン州が全米第1位であり、ワシントン州は、生産量と生産額ともに全米第2位である。このように、たまねぎの主要産地は、カリフォルニア州、ワシントン州、オレゴン州といった太平洋側に位置している(図3、表15)。

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イ ワシントン州におけるたまねぎ生産の歴史と現状

ワシントン州では、たまねぎは主要な野菜の一つである。貯蔵用および非貯蔵用に大別され、貯蔵用は、冷凍あるいは乾燥たまねぎへと加工されるものもある。非貯蔵用は生鮮市場向けであり、環太平洋地域へ輸出もされている。

たまねぎは、主に同州東部で栽培されている。貯蔵用は、グラント郡、フランクリン郡、ベントン郡、アダムズ郡にまたがるコロンビア盆地で生産されており、一般的に3~4年周期でにんじん、スイートコーン、穀類、ばれいしょなどとの輪作が行われている。なお、同盆地は、たまねぎ種子の主要生産地でもある。非貯蔵用は、主にワラワラ郡で生産されている(図4)

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同州のたまねぎ産業は、イタリア人入植者によって19世紀後半にワラワラ郡で始まり、1950年代にコロンビア盆地におけるかんがいの整備に伴い発展した。80年代以降急速な発展を遂げ、貯蔵用たまねぎの栽培面積は、80年代には3300エーカー(1320ヘクタール)であったのに対し、90年代には6800エーカー(2720ヘクタール)へと倍増した。さらに、2000年までに1万5000エーカー(6000ヘクタール)となった。コロンビア盆地では伝統的に、堅固で貯蔵性に優れた、皮の色が比較的濃い品種が作られてきた。

同州で特徴的なものとして、ワラワラ・スイート・オニオンが挙げられる。同品種の歴史は、コルシカ島から持ち込まれたスイート・オニオンの種子に由来する。1900年ごろから栽培されており、他に類を見ない甘味と大型のサイズ、丸みを帯びた形状が特徴である。通常9月に定植され、6月下旬から8月初めにかけて収穫される。その他のたまねぎは、3月初旬から4月中旬に直播(一部では定植)が行われ、収穫は8月中旬から10月末に最盛期を迎える。

ウ 2017年の生産状況

たまねぎ関連の情報を提供している現地のニュースサイト「Onion Business」は、2017年のたまねぎ生産を総括する記事を発表した。概要は以下のとおりである。

【1月】

ジョージア州、カリフォルニア州インペリアル郡に位置するインペリアルバレー、テキサス州、ニューメキシコ州では、生育が順調であった。

ワシントン州を含む北西部の貯蔵・包装施設は、激しい氷雪を伴う異常気象により、貯蔵中のたまねぎに影響があったほか輸送が滞ることも多く、物理的および金銭的な被害を受けた。需要に応えることができなかったことから、価格はクリスマスシーズンの2~3倍に急上昇した。

【2月】

カリフォルニア州インペリアルバレーおよびセントラルバレー、ニューメキシコ州、メキシコでは、好天に恵まれ、生育状況は良好であった。

初旬、メキシコ産が平年より早く出荷され、同国産およびペルー産が出回り量の25%以上を占めたが、ワシントン州では同州産のハイブリッド種に対する需要が堅調であった。

【3月】

主要生産地のほとんどで良好な生産条件にあった。

ワシントン州の出荷業者は第1週、同州産の品質が高かったにもかかわらず、需要が伸び悩み、価格がかなり下落したが、中旬になると、同州からの供給量が増加した。ネバダ州、アイダホ州およびオレゴン州東部から2016年産の最後の出荷があった。需要は、特に黄色種に対するものが堅調であった。

【4月】

ワシントン州では、降雨により、月末までに播種が終了しておらず、ワラワラ・スイート種の生育も遅れ気味であった。アイダホ州南西部からオレゴン州にあるトレジャーバレーの植え付け作業の進捗状況には農家ごとにバラツキが見られた。ニューヨーク州でも植え付けは終了した。

テキサス州産は、3月後半から4月前半に降雨に見舞われたため出荷時期は短期となった。

中旬には、カリフォルニア州インペリアルバレー産が出回り始めた。ウィスコンシン州産への需要は堅調で、4月下旬から5月初旬にかけて収穫を終了した。トレジャーバレーでは、特に大粒の黄色種への需要が旺盛であった。

月】

第2週、ワラワラ種は順調に生育を続け、平年通り6月中旬から下旬に収穫される見込みであった。コロラド州北部の一部の生産者は、豪雨に見舞われ、再植え付けを余儀なくされた。カリフォルニア州インペリアルバレーで需要が供給を上回るようになり、特に中粒への需要があった。ワシントン州産ハイブリッド種の生産が振るわず、アイダホ州およびオレゴン州東部の2016年産たまねぎの出荷が終了したことから、購入者はテキサス州およびカリフォルニア産の新たまねぎに切り替えた。この時期のたまねぎの価格は、例をみないほど激しく変動した。

第3週、アイダホ州およびオレゴン州東部では、寒冷な天候により生育は遅れた。カリフォルニア州インペリアルバレーの一部で収穫が終了した。ワシントン州の一部では、2016年産の黄色種、赤色種の出荷を終了した。アリゾナ州では、2017年産の生産が終了を迎えたが、品質は良好で市場は堅調であった。ニューメキシコ州産赤色種、白色種、黄色種の出荷が始まった。

最終週、多くの地域で気温が上昇し、生育状況が回復した。

【6月】

アイダホ州およびオレゴン州東部、ワシントン州では、気温の上昇により生育は良好であった。

第1週、カリフォルニア州産の出荷が好調な上、メキシコ産も流入したことから、市場の流通量が増加し、市況はこの4年間で最低ではないかとする出荷業者もいた。

第2週、カリフォルニア州の生産はセントラルバレーに移った。品質も良好であったものの、供給過多で市場は不調であった。

中旬には需要が高まり、市場も堅調となった。オレゴン州では越冬たまねぎ、ニューメキシコ州では大粒のたまねぎの収穫が始まった。ワシントン州ワラワラ種の収穫は、6月15日に始まり、生育は順調であった。カリフォルニア州セントラルバレーでは、すべての品種およびサイズの出荷が順調であったが、需給がひっ迫し始めた。

月】

アイダホ州およびオレゴン州東部では、生育は順調であったが、収穫作業が例年より10日程度遅れた。

初旬、カリフォルニア州サンホアキンバレーでは、すべての色、サイズで旺盛な需要が見られた。ワラワラ種の出荷は6月中旬に始まったが、出荷は順調であった。ニューメキシコ州では、特に白色種への需要が堅調であった。

中旬には、ワシントン州で直播たまねぎの収穫が開始され、品質、価格ともに良好であった。

コロンビア盆地では、8月の暑気を避けるために7月の下旬から収穫を開始した。

【8月】

アイダホ州およびオレゴン州東部では、夜間の気温が低く、十分な熱量を得ることができなかった。コロラド州西部の生育は順調であった。ワラワラ郡産の品質は良好であった。

週、多くの地域で収穫が始まり、ペルーからの甘味種の入荷も始まった。出荷量の増加により価格は下落した。

アイダホ州とオレゴン州東部では、中旬に品薄となったが、その後需給が緩和した。

月】

ハリケーン「イルマ」によりトラック輸送が影響を受けた。

ウィスコンシン州での収穫が開始された。市況は順調で価格も通常よりは高値であった。アイダホ州とオレゴン州東部では、収穫および出荷作業で非常に忙しくなった。しかし、需要が供給を上回り、市場は強含みであった。ネバダ州でも収穫に入り、赤色種、黄色種、白色種の出荷が始まった。ワシントン州産に対する需要も好調であり、価格は上昇した。

中旬になると、オレゴン州西部からは黄色種、白色種、赤色種、甘味種の出荷が始まり、すべての種類に対する需要が旺盛であった。ワシントン州ではジャンボサイズの黄色種の需要が供給を上回った。アイダホ州とオレゴン州東部でも、引き続き堅調な需要と好調な市況に恵まれた。コロラド州北部では、収穫を終了した。

第3週、出荷が順調であったコロラド州西部から同州北部の出荷に切り替わった。主要な出荷地域は、コロラド州、ユタ州、アイダホ州およびオレゴン州東部、ワシントン州であった。

最終週、堅調な需要が続き、ニューヨークではジャンボサイズの黄色種の売れ行きが好調であった。ワシントン州は、雨季の前で収穫を終えつつあり、収穫量は減少し、サイズも小さくなったが、品質は非常に良好であった。

【10月】

初旬、ウィスコンシン州では天候に恵まれ、ほぼ収穫を終了した。大粒の黄色種が赤色種、白色種と並んで好調である一方で、中粒の黄色種の市況は弱かった。 

中旬までは、オレゴン州西部からは貯蔵中のたまねぎが出荷された。需要は堅調で、価格も安定している。ワシントン州のコロンビア盆地では、収穫は終了し、収穫物のサイズは大きく品質も良好である。

10月19日から21日にかけて、フロリダ州オーランドで開催された青果物販売協会(PMA)の年次会合での報告によると、2017年産の品質は非常に良いとのことであった。また、ユタ州およびコロラド州の出荷業者からは、この10年で最も多くの貯蔵ができたと報告があった。

11月】

初旬、ニューヨークでは、需要は堅調で特にジャンボサイズが好調であった。コロラド州北部、アイダホ州およびオレゴン州東部でも需要が堅調であった。ワシントン州では、ジャンボサイズの価格は下落したものの、市場は堅調に推移した。

中旬、感謝祭需要に応えるため、輸送用トラックが不足した。ネバダ州では市場が好調であったのもかかわらず、輸送力が不足していたため需要を満たすことができなかった。

感謝祭後、需要は落ち着いたが、クリスマスツリーの輸送との競合でトラックの不足は継続したが、コロラド州西部とユタ州からの出荷は好調であった。

12月】

需要は落ち着いたものの、価格は堅調である。これは、感謝祭の後の典型的な市場の様子であるという。中粒種の供給は順調であるが、輸送手段が不足した。

中旬、ニューメキシコ州では越冬種が植え付けられ、来年5月から6月ごろに市場に現れるとみられる。


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