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海外情報(野菜情報 2018年1月号)


EUにおける野菜の地理的表示

調査情報部 国際調査グループ


 EUでは、地理的表示制度により、特定の地域で生産され、その産地に由来する品質や評価を持つ農産品などが保護されている。
 同制度の活用は、農産品などの有利販売につながるだけでなく、生産工程が厳しく管理されることから消費者の信頼も高い。また、地域経済の活性化にもつながっている。

1 はじめに

地理的表示(Geographical Indication。以下「GI」という)制度とは、地域特有の伝統的生産方法や生産地の特性によって高い品質や評価を獲得している農林水産物・食品(以下「農産品」という)の名称を、知的財産として保護する制度である。

日本においても、地域で育まれた伝統と特性を有する農産品のうち、品質などの特性が産地と結び付いており、その結び付きを特定できるような名称(地理的表示)が付されているものについて、その地理的表示を知的財産として保護することにより、生産者の利益の増進と需要者の信頼の保護を図ることを目的として、「特定農林水産物等の名称の保護に関する法律(通称「地理的表示法」)」が2014年(平成26年)6月に成立し、同法律に基づき地理的表示保護制度が、2015年(平成27年)6月1日から運用開始された(注)

GI制度は、EUにおいて盛んに行われており、現在、1996年の登録開始以降、1400以上の農産品が認定され、保護されている。

今回、フランス、オランダにおいて、GI制度により保護されている野菜を調査したので、その実態を報告する。

なお、日本の農産品をEUのGI制度に登録することはできるが、その場合、日本のGI制度に登録されていることが条件になる。このため、EUへ輸出する農産品の呼称をEU域内で保護するためには、まずは日本のGI制度に登録する必要がある。

本稿中の為替レートは、1ユーロ=134円(11月末日TTS相場:134.31円)を使用した。

 注:東京理科大学 教授 生越由美「地理的表示保護制度の認定第一弾!」『野菜情報』(2016年2月号)参照

2 EUのGI制度の概要

(1)EUのGIへの取り組み

GIとは、ある農産品が特定の国や地域を原産地とし、その品質や評判などの特性がその原産地と結び付きがある場合に、その原産地を特定する表示を行うものである。世界的に広く認知されているGIには、フランスの「シャンパン」やイタリアの「プロシュート・ディ・パルマ(パルマハム)」などがある。

原産地の伝統や文化、地理に深く根付いた農産品のGIを保護することにより、地域コミュニティに文化的・経済的な価値を創出し、かつ消費者に信頼できる情報を伝達できるといった利点がある。

また、世界的に知名度の高い農産品を多く有するEUにとっては、GI制度で保護された農産品の域外市場への輸出も重要となっている。しかし、近年、GIの模造や不正使用が世界的に増えているため、EUはGI保護の強化を積極的に進めており、特に2国間の自由貿易協定(FTA)などにGI保護の条項を含めることとしている。2017年12月日に交渉妥結となった日EU・EPA(経済連携協定)においても、日本とEUは、相互のGI制度を認め合うこととされた。

(2)GI制度の概要

EUにおいてGIの保護と関係の深い制度には、「原産地呼称保護(PDO)制度」、「地理的表示保護(PGI)制度」および「伝統的特産品保証(TSG)制度」の3種類がある(表)。

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PDO農産品と産地の結び付きを特に重視したものであり、生産工程生産、加工、調製のすべてが一定の地理的領域内で行われている必要がある。後述するように、原則としてすべての原材料が同じ地理的領域内で調達されることが求められる。

PGIは、生産工程の少なくとも1つが地理的領域内で行われていればよい。

一方、TSGは、他の類似農産品と区別できる特徴を有していなければならないが、PDOやPGIとは異なり、農産品と原産地との間に関連性があることは求められていない。

保護されたGIは、固有のロゴマークをラベルに表示することなどができる。

これらの制度は、欧州議会・理事会規則で定められ、さらに登録申請のルールは欧州委員会実施規則、ロゴマークや原材料の調達などのルールは欧州委員会委任規則で定められている。

(3)主なGI認定要件

欧州議会・理事会規則および欧州委員会実施規則で示されているGIの主な認定要件は、以下の通りである。登録申請では、それぞれの要件を満たすことを裏付ける情報の記載が求められている。

ア 名称

(ア)PDO、PGI

その名称が申請時に商業的に使用されていること、または、特定の農産品の名称として一般的であること。使用できる言語は、原産地の言語とし、その地理的領域において当該農産品を表すのに使用されているか、歴史的に使用されていたものに限る。すでに登録された名称と全面的または部分的に同じ名称、一般的な農産品を示す名称、特定の農産品に直接言及していない名称、動物や植物の品種名と矛盾する名称、農産品の由来について消費者に誤解を与える可能性がある名称、独自に作った名称などは登録できない。

(イ)TSG

名称が一般的な性質だけを示す場合には登録できない。申請後に、他の加盟国または第三国からすでに使用されていると異議申し立てがある場合には、区別するために「(国名・地域名)の伝統に従って作られた」との記載を伴うことがある。

イ 地理的領域

(ア)PDO、PGI

農産品の特性と地理的領域の特性の間に関連性がなければならない。地理的領域の特異性には、地形、気候、土壌、降雨量、日照時間、標高などがある。なお、生産者の知識・技術についても固有の自然・地理的環境によるものは特性となり得る。製造方法が農産品の際立った特性にどのように寄与し、他の製造方法と比較して優れている点を明確に示す。

なお、地理的領域に起因する評価に基づくPGIを申請する場合、受賞歴、専門書や報道などの文献での言及などが活用可能とされる。

地理的領域は正確に示す必要があり、可能な限り物理的境界(川、道路など)や行政の境界で示す。

PDOにおいては、生産工程のすべてが地理的領域内で行われていなくてはならない。原材料についても同じ地理的領域内から調達されていることを原則とし、地理的領域外の原材料が使用される場合は、申請時に詳細な説明と正当化できる理由を示すこと。

一方、PGIにおいては、生産工程の少なくとも1つが地理的領域内で行われていればよい。申請時には、原材料調達から最終形態までの全工程を列挙する必要がある。

(イ)TSG

地理的領域は問われない。

ウ 農産品の説明

(ア)PDO、PGI

他の農産品と区別される特性を明確に示す必要がある。独自の農産品である必要はないが、一般的な農産品と区別がつかない場合は認められない。申請時にはその特性を示す技術的・科学的データが必要で、これには農産品固有の物理的、化学的、微生物学的、官能特性的なデータが含まれる。

(イ)TSG

農産品が物理的、化学的、微生物学的、官能特性的な特徴を持ち、農産品固有の特性を示していること。申請時には、生産者が従う必要のある生産方法が示されていること。使用する原材料や成分の特性、農産品を準備する方法も含まれる場合がある。また、生産方法は現在においても実際に用いられている必要があり、歴史的な慣行は、生産者が現在においてもこれに従っている場合に申請に含めることができる。

(4)GI認定手続きと異議申し立て

GIの認定において、生産者団体などは、農産品の詳細な仕様書を作成した上で、EU域内の生産者団体などの場合(EU産品)は各加盟国の当局に、域外の生産者団体などの場合(非EU産品)は直接または自国の当局を経由して欧州委員会に申請する(図1)。申請は、欧州委員会で精査され、規則に整合していると判断されるとEU官報に公示される。

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認定手続きでは、登録申請に対する第三者の異議申し立ての機会が設けられており、第三国の団体や関連当局も異議申し立てができる。異議申し立てには、以下の2つがある。

ア 加盟国当局に対する異議申し立て

加盟国当局は、受理した認定申請を精査した後、欧州委員会に申請書類を送付する前に、申請内容を公表し、異議申し立てがあればその妥当性を検討する。当局は、申請内容が要件を満たしていると判断した申請書類を欧州委員会に送付するとともに、却下された異議申し立ても併せて欧州委員会に通知する。

イ 欧州委員会に対する異議申し立て

加盟国および第三国の団体や関連当局は、EU官報への公示から3カ月間欧州委員会に異議申し立てができる。欧州委員会に認定申請をした加盟国以外の加盟国の団体などは、自国の当局に異議申し立てを行い、当局が欧州委員会に異議申し立てを行う。

異議申し立てには、申請が規則の規定に違反する可能性があるとの文言を必ず入れる。欧州委員会は、認定申請をした当局または団体にこの異議申し立てを送付する。

異議申し立ての後、2カ月以内に異議根拠陳述書が提示されると、欧州委員会は異議根拠陳述書の妥当性を調べる。

異議根拠陳述書に妥当性が認められると、受領してから2カ月以内に、異議申し立てをした当局または団体と認定申請をした当局または団体の間で、当事者間の協議を実施する。双方は関連情報をそれぞれ提示し、申請が規則を順守しているかが検討される。双方が合意に達しない場合は、関連情報は欧州委員会にも提示される。協議期間は3カ月以内だが、申請者の申請により最長3カ月間の期間延長ができる。

当事者間の協議で合意すれば、欧州委員会実施規則に基づきEU官報に公表されるが、協議の内容によっては、当初の登録申請内容に修正が行われる場合がある。協議で合意に達しない場合には、最終的に欧州委員会が認定の可否を決定する。

(5)欧州委員会と加盟国の役割

このように、GI制度においては、欧州委員会が最終的な認定の可否を決定するが、生産者団体などが農産品の仕様書を作成し、これを加盟国当局が精査した上で欧州委員会に申請を行うこととなる。加盟国によっては、当局が規則や欧州委員会ガイドラインを解説したガイダンスを提供している。登録されたGIのコンプライアンスの確保についても、国によっては地域の当局が行う場合もある。

GIの加盟国レベルでのコンプライアンスの管理・監視については、欧州委員会の健康食品安全総局に属する食品獣医局(FVO)が定期的に確認し、報告を行う役割を担っている。また、冒頭でも記述したように、EUは、GIの模造や不正使用に対しGI保護の強化を推進している。

ただし、コンプライアンスに関しては、EUレベルでの監視水準は定められていない。FVOが食品安全性の観点から加盟国におけるGIの管理制度を監査・評価しているが、加盟国によっては、当局による管理は行われているものの、管理方法が明確に定められていない、農産品の仕様書の内容が完全にチェックされていない、所管省庁などによる監視が適切に行われていない、農産品の包装やラベルに関する情報の入手が容易でなく市場監視が難しい、などが課題として挙げられている。

3 GI野菜の事例

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(1)ロートレックのピンクにんにく(Ail rose de Lautrec)(フランス)

フランスの南部に位置し、景観が美しいといわれるロートレック村で生産されるピンクにんにくは、1996年にPGIに認定された。同国のシャンパンなどと同じく、EUで統一的なGI制度が始まって最初に登録された農産品の一つである。

関係者によると、ピンクにんにくは、中世から同村で生産されてきた。1959年、生産者グループが販売力の向上を目的としてロートレック組合を設立し、1966年に、農産品の品質や特徴を保証するフランス独自の品質保証であるラベルルージュ認定を取得するなどして国内を中心に販路を拡大させた。PGI認定後は、国外での販売促進も強化し、スーパーマーケットの流通に適したさまざまな包装を行うなど工夫をして、販売量を確保するとともにブランド力を維持した。

生産者数については、ラベルルージュ認定の取得時には、手間がかかる、効果があるとは思えないなどの反対の声もあったが、農産品がこれまで以上にグローバルに流通する中で生き残り、この地で農業を継続して行うために必要であることを説得して、15戸でスタートした。現在では、160戸(全て家族経営)まで増え、フランスにおいても農業者の高齢化が進む中、平均年齢は40歳前後と若く、さらなる生産拡大の意欲も有している。また、現在の生産量は年間700トン前後で、このうち約3割はイタリア、スイス、ドイツ、英国などへ輸出されている。また、ごくわずかではあるが日本にも輸出されている。

食味については、一般的なにんにくと比べて甘みが強く、さまざまな料理に合わせやすいとのことで、レストランのシェフがメニューに名前を挙げて使うことも多い。また、伝統的な販売方法である数個のにんにくを束ねた形状は、ピンクがかった色も相まって見た目が美しいとされ、特徴の一つとして、フランス国内外でも評価が高く、ロートレック村を訪れた観光客などがお土産として購入していく例も多い写真1、2)

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同組合によると、GI認定の効果を最大限に生かすために大切なことは、仕様書と生産者の日々の管理である。仕様書とは、ブランド力を維持するための生産方法や梱包方法、流通におけるトレーサビリティ(移動の履歴を把握すること)の運用ルールなどを定めたもので、詳細までしっかりと作り上げることが大切である。これにより品質が伴い、また、消費者の信頼につながっていく。

GIの認定要件である生産方法については、仕様書により、農薬使用量、しゅから収穫までの作業の方法および時期、梱包方法などを定めている。また、同組合では、仕様書に基づいた生産が確実に行われているか、年に10戸ずつ抜き打ちで検査している。

ラベルルージュおよびGI認定により、一般的なにんにくよりも高い価格で取引され、伝統的な農産品生産が守られている。具体的には、一般的なにんにくの生産者取引価格が1キログラム当たり0.52.0ユーロ(67268円)であるのに対し、ロートレックのピンクにんにくは、同平均5.5ユーロ(737円)となっている。

組合員からは、会費として販売量1キログラム当たり0.17ユーロ(23円)を徴収し、販売促進活動など組合の運営に充てている(写真3)。近年、品種の近い安価なにんにく(非GI)がスペインから大量に輸入されているが、GI認定によりブランド力が維持されているため、大規模経営で大量生産を行うスペインに対し、競争力を持っている。

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(2)セヴェンヌの甘たまねぎ(Oignon doux des Cévennes)(フランス)

フランスの南東部に位置するセヴェンヌ地方で生産される甘たまねぎは、2008年にPDOに認定された。生産者組合によると、同地では中世から甘たまねぎが生産されてきた。同組合が、制度開始後10年以上経ってからGI認定を取得したのは、今後も継続的に生産者の利益を守り、この地での生産を続け、技術を伝承させるためである。

甘たまねぎは、標高200~700メートルの傾斜地で生産されている(写真4)。品種は、日照条件や土壌などに適した固有のもので、一般的なたまねぎよりも強い甘さを持っているのが特徴である。また、小ぶりで見た目が美しいとされている(写真5、6)

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生産者戸数は、GI認定時には40戸であったが、現在は116戸まで拡大した。GI認定により需要は高まっているが、山間部であることから農地の拡大が難しく、供給は追いついていない状況にある。現在、年間2500トン程度生産しているが、5年後には3000トンの生産を目標としている。

また、生産者販売価格は、一般のたまねぎが1キログラム当たり0.2~0.5ユーロ(27~67円)のところ、同1.3~1.4ユーロ(174~188円)となっている。生産者それぞれが販売先を自由に決め、販売先と価格交渉を行っている。

GIの認定要件である生産地域、見た目(色や形や傷がないことなど)や生産方法については、仕様書において、使用する種子、播種からすべて手作業で行う収穫までの作業方法、施肥量、乾燥方法、各作業の時期、梱包方法、販売期間などを定めている。

同組合は、仕様書に基づく生産管理の徹底を最優先事項とし、最低5年に1度、生産者が記録した作業日誌の記載内容を検査するなどして生産管理の徹底を図っている。また、生産者からは、会費として販売量1キログラム当たり0.03ユーロ(4円)を徴収して、販売促進活動など組合の運営に充てている。

同組合は、同地のような条件不利地では、付加価値を付けて、高く売らないと農業経営を継続できないことから、同業者が将来を見据えて団結し、GI認定を維持することが大事であると考えている。

(3)ブラバンツワルの白アスパラガス(Brabantse Wal asperges)(オランダ)

ベルギーとの国境に近いオランダ南部の北ブラバント州で生産される白アスパラガスは、2016年にPDOに認定された。GI認定取得のきっかけは、2003年に、地元の自然保護団体が、地域振興の観点から、フランスやイタリアなどに多くあるような知名度の高い農産品を生産したいとの意向を持ったことにあった。そこで、同州で伝統的に生産されていた白アスパラガスに白羽の矢が立ち、12戸の生産者が組合を設立して申請手続きを始めた。同州の白アスパラガス生産は、土壌や豊富な地下水などが生産に適していることなどから、昔から盛んであり、近隣では評価が高かった(写真7、8)

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GI認定後は、認知度の向上によりレストランなどからの需要が高まり、作付面積は、GI認定時の22ヘクタールから現在は60ヘクタールまで増加した。生産者戸数も12戸から16戸へ増加している。なお、生産者は全員、たまねぎ、ばれいしょなどの他の作物も生産している。

GI制度を継続的かつ有効に活用するため、同組合では、生産者が1年に1回集まり、最低価格(2017年は1キログラム当たり10ユーロ(1340円))を決定している。販売は、農家がそれぞれ直接行っている。

もともとは地域振興のためにスタートした取り組みであるが、GI認定の効果は大きく、農家の安定的かつ大きな収入源となった。GIによりブランドが守られるため、生産者は積極的に生産を増やしている。また、販売促進に力を入れており、同組合はホームページを開設し、商品や生産者ごとの紹介をはじめ、同アスパラガスを提供しているレストランを丁寧に見やすく情報提供している(写真9、10)。このホームページを見たレストランのシェフから直接生産者に問い合わせがあり、販売を行うこともある。GI認定により認知度が高まったことで、洗練されたデザインの梱包材も注目されるようになり、需要がさらに拡大するという相乗効果が生まれている。

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4 おわりに

GI制度により保護されている野菜の一例としてフランスおよびオランダの生産者組合などで調査を行ったところ、いずれの野菜も一般のものよりも高値で取引され、生産者の収益向上に貢献していた。

フランスのピンクにんにくは、伝統的な農産品のブランド力を上げ、競合品に比べて有利販売を実現していた。また、同国の甘たまねぎは、条件不利地で生き抜くため、生産者が一致団結してGI認定を取得し、農業経営の継続につなげていた。いずれも生産者戸数や作付面積は拡大しており、GI制度を有効に活用した成功例であろう。

GIに認定された農産品は、知的財産として保護されるだけではなく、生産工程が厳しく規定されることから、生産された農産物に対して消費者の信頼を得ることができ、それに付随して利益の増加も図られる。

オランダの白アスパラガスは、認定取得後まだ日は浅いが、地域経済を大いに活性化させた事例であった。就農希望者がいるなど、地元農業者の担い手不足を解消するための一つの優良事例と考えられる。

日本でも2015年に始まった地理的表示保護制度の活用により日本産野菜がブランド力を強化し、新たな市場を開拓することを通じて、強い農業経営につながっていくことが強く望まれる。

(中野 貴史(JETROブリュッセル)、大内田 一弘)


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