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海外情報(野菜情報 2017年11月号)


主要国の野菜の生産動向等

調査情報部


1 中国

 日本が輸入する生鮮たまねぎの多くが中国産であることから、今月号では、主産地の山東省と甘粛省を中心に中国のたまねぎの生産動向等を紹介する。

(1) 日本における中国産たまねぎの位置付け

2016年の日本のたまねぎ供給量の約8割は国産品であり、2割弱は輸入生鮮品で、わずかに輸入冷凍品、輸入乾燥品もある(図1)。輸入生鮮品の9割弱、輸入冷凍品のほぼ全量が中国産である一方、輸入乾燥品は、約6割が米国産で、次いで中国産が2割弱となっている(表1)。冷凍たまねぎは、加工用原料としてダイスカット状のものなどが、乾燥たまねぎは、粉末や乾燥きざみたまねぎの状態で輸入されている。

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生鮮たまねぎの輸入量は、2015年から2年連続で減少しており、2016年は前年を8.0%下回る27万9021トンとなった(図2)。毎年8割前後を中国から輸入している。中国産生鮮たまねぎの輸入量を月別に見ると、毎月一定以上の数量が輸入されているが、主産地の北海道産が出回らなくなる夏場が特に多い(図3)。

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本稿中の為替レートは1元17円(2017年9月末日TTS相場17.26円)を使用した。

(2)生産動向

中国のたまねぎはさまざまな地域で生産されているが、とりわけ生産が盛んな地域は、さんとう省、かんしゅく省、うんなん省であり(図4)、主にこの3省でリレー出荷されている。今月号では、この3省のうち全国の作付面積の約6割を占める山東省と約2割を占める甘粛省を中心に、生産動向を報告する(注)

(注) 雲南省のたまねぎ生産については、2017年4月号を参照されたい。

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 山東省

山東省におけるたまねぎの主産地は、ぼう(注)りょうじょう市、ざわ市、さいねい市などである(図5)。ほとんどが露地栽培で、1戸当たりの作付面積は0.20.3ヘクタールとなっている。毎年9月中旬ごろに播種、11月上旬に定植、翌6~7月ごろに収穫する(図6)。主な品種は「紅葉三号」「中甲高黄」「奥力奥」で、それぞれの特徴は表2の通りである。

 注:中国では、大きい行政区分から順に、「省級(省、直轄市など)」「地級(地級市、自治州など)」「県級(県、県級市、市轄区など)」などとなっており、潍坊市、聊城市、菏澤市、済寧市は地級市である。

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近年の山東省における生産動向についてみると、作付面積および収穫量は、2014/15年度に落ち込んだものの、基本的には増加傾向で推移している。

2016/17年度は、作付面積が2015年後半からの価格上昇に伴い増加したため、収穫量は前年度を17.9%上回る330万トンとなった(表3)。

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 甘粛省

甘粛省のたまねぎの主な産地は、しゅせん市、よくかん市、市などである(図7、写真1)。1戸当たりの作付面積は67ヘクタール程度と、山東省に比べて規模拡大が進展している。毎年2~3月ごろに播種、4~5月ごろに定植した後、7~10月ごろに収穫する(図8)。主な品種は「奥力奥」「潘多拉」「新紅奇号」で、それぞれの特徴は表4の通りである。

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作付面積は2016年以降、山東省と同様に2015年後半からの価格上昇に伴い回復傾向にあり、2017年は前年を6.7%上回る1万6000ヘクタールと見込まれる(表5)。一部の地域で根腐病が発生したことにより、単収は減少したものの、収穫量は前年を2.3%上回る133万トンの見込みである。

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(3) 生産コスト

 山東省

山東省の10アール当たり生産コストの動向を見ると、2017年は5436元(9万2412円、2014年比28.2%増)と、大幅な増加が見込まれる(表6)。項目別に見ると、近年の中国の野菜栽培で常態化している土地代と人件費の増加に加え、肥料農薬費も増加している。肥料農薬費のうち、特に肥料が増加しており、この要因の一つは肥料製造に係る人件費の増加によるものである。

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イ 甘粛省

甘粛省の10アール当たり生産コストの動向を見ると、2017年は5265元(8万9505円、2014年比26.9%増)と、大幅に増加している(表7)。増加項目は、山東省と同様に土地代、肥料農薬費、人件費となっている。なお、甘粛省の生産コストは山東省と比べ、わずかに低くなっており、人件費が低いことが要因となっている。

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(4)価格動向

近年の山東省のたまねぎの価格は、一般的には2014年のように、収穫期前の1~3月は高く、収穫が始まる5月前後に下落し、7月以降、供給量の減少に伴い上昇する傾向にある。2015年は、気象条件の悪化に伴う不作により、12月以降上昇傾向で推移し、収穫期前の2016年3月から4月にかけて高騰した(図9)。

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2017年は、天候に恵まれ、収穫量が前年を大幅に上回ったことから、前年高騰した価格を下回って推移している(写真2)

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(5)国内向け出荷動向

山東省で収穫されたたまねぎの9割以上は、国内に仕向けられており、主な出荷先は、北京や天津などの大都市である。また、同省はたまねぎ加工工場が集中しているため、たまねぎの集散地となっており、他産地のたまねぎであっても、その多くは一度同省へ輸送され、一次加工された後、全土に輸送されている。

また、甘粛省で収穫されたたまねぎの約3分の2は、国内向けに出荷されている(写真3)。同省は、十分な日照時間、乾燥気候、昼夜の温度差が大きいなどたまねぎの栽培に適した気象条件から品質が良く、国内外で高い評価を受けている。

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(6)輸出動向

ここ数年の中国の生鮮たまねぎの輸出量は、年間70万トン前後で推移しているが、2015年は、韓国での生産量の減少に伴い、韓国からの引き合いが強かったことにより、80万トンを超える水準となった。輸出先別では日本向けが最も多く、2016年のシェアは約35%を占めている。次いで、ベトナム向け、マレーシア向けなどであり、輸出先の多くはアジア圏となっている(図10)。

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2 米国

 米国からは、日本への輸出が多いブロッコリー、レタス、セルリー(セロリ)(以下「セルリー」という)について、それらの 主産地であるカリフォルニア州の生産動向などを紹介する。

(1) ブロッコリー、レタス、セルリーの生産動向

ア ブロッコリー

(ア) 作況および作付面積

現地報道によると、8月中旬~下旬にかけて、ブロッコリーの出回りは若干減少していたものの、品質は良好であった。しかし9月初旬、モントレー郡サリナスは、40度を超える熱波に見舞われた。これによって、今後の収穫量や品質への影響が懸念されている。

以下、本稿中の為替レートは、1米ドル=114円(2017年9月末日TTS相場113.73円)を使用した。

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(イ) 生産者価格

2017年月の生鮮ブロッコリーの生産者価格は、月における豪雨による出荷量の減少により高騰した月から状況が若干好転し、前年同月比40.0%高の1キログラム当たり1.12米ドル(128円)となった(表1)。

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月中旬以降、販売価格は1カートン(14個入り)当たり10米ドル前後で推移しており、日時点では同10.05~11.56米ドル(1キログラム当たり0.97~1.11米ドル:110~127円)であった。

(ウ) 対日輸出動向

2017年7月のブロッコリーの対日輸出量は、前年同月比45.7%減の1295トンであった(表)。また、輸出単価は同6.0%高の1キログラム当たり1.31米ドル(149円)であった。

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(エ) 東京都中央卸売市場の入荷量および価格

2017年7月の東京都中央卸売市場の米国産ブロッコリーの入荷量は、前年同月比18.3%減の94トンであった(表3)。また、卸売価格は、同9.4%安の1キログラム当たり308円であった。なお、同月に同市場で最も入荷量が多かったのは北海道産で、入荷量は同14.6%増の1277トン、卸売価格は米国産をやや上回る同325円であった。

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イ レタス

(ア) 作況および作付面積

現地報道によると、9月初旬の熱波により葉先枯れ(チップ・バーン)や外側の葉の黄化が生じるなど品質の低下がみられた。こうした熱波によるロメインレタスへの影響について、モントレー郡サリナスのD’Arrigo Brothers社によると、チップ・バーンが外側の葉にある場合、天候が涼しくなれば品質が回復することもあるが、葉全体にチップ・バーンが散在すると、回復する見込みが少なくなるとのことである(写真)。

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(イ) 生産者価格

2017年7月の結球レタスの生産者価格は、供給量の多さを反映して1キログラム当たり0.56米ドル(64円、前年同月比1.5%安)と安定して推移した(表4)。

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なお、日時点のモントレー郡サリナス産の価格は、結球レタスが1カートン(24個入り)当たり8.45~9.56米ドル(1キログラム当たり0.37~0.42米ドル:42~48円)と豊富な供給量を背景に低調に推移し、ロメインレタスが1カートン(24個入り)当たり10.45~11.95米ドル(1キログラム当たり0.46~0.53米ドル:52~60円)、グリーンリーフレタスが同約8.45~9.65米ドル(同0.37~0.43米ドル:42~49円)であった。

(ウ) 対日輸出動向

2017年7月の結球レタスの対日輸出量は、前年同月比10.5%増の279トンで、輸出単価は同7.5%高の1キログラム当たり1.04米ドル(119円)であった(表5)。なお、同月では結球レタス以外のレタスの対日輸出はなかった(表6)。

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(エ) 東京都中央卸売市場の入荷量および価格

2017年7月の東京都中央卸売市場の結球レタス以外の米国産レタス(ロメインレタス、フリルレタスなど)の入荷量は、前年同月並みの0.2トンであった(表7)。また、卸売価格は、同77.1%安の1キログラム当たり119円であった。なお、同月に同市場で最も入荷量が多かった結球レタス以外のレタスは長野産で、入荷量は同3.4%増の215トン、卸売価格は米国産を大幅に上回る同201円であった。

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ウ セルリー

(ア) 作況および作付面積

現地報道によると、8月末にベンチュラ郡オックスナード産の出回りは終盤を迎え、モントレー郡サリナス産へと切り替わったものの、供給量と価格はいずれも安定して推移した。9月初旬には、十分な供給量と低い需要量を背景に価格は低調に推移したものの、品質は良好であった。

(イ) 生産者価格

2017年7月のセルリーの生産者価格は、1キログラム当たり0.61米ドル(70円)と前年同月を56.5%上回った(表8)。

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8月中旬以降、モントレー郡サリナス産セルリーの販売価格(FOB)は1カートン(24茎)当たり平均8米ドル程度で安定的に推移しており、9月7日時点では、同7.25~8.56米ドル(1キログラム当たり0.27~0.31米ドル:31~35円)であった。

(ウ) 対日輸出動向

2017年7月のセルリーの対日輸出量は、前年同月比30.2%減の486トンで、輸出単価は同26.7%安の1キログラム当たり0.67米ドル(76円)であった(表9)。

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(エ) 東京都中央卸売市場の入荷量および価格

2017年7月の東京都中央卸売市場の米国産セルリーの入荷量は23トン(前年同月比11.5%減)で、卸売価格は1キログラム当たり245円(同20.1%高)であった(表10)。なお、同月に同市場で最も入荷量が多かったセルリーは長野産で、入荷量は前年同月比4.6%減の792トン、卸売価格は米国産をわずかに下回る同239円であった。

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