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海外情報(野菜情報 2017年4月号)


主要国の野菜の生産動向等

調査情報部


1 中国

 日本が輸入するたまねぎは、約9割が中国産であることから、今月号では、主産地の一つである雲南省を中心に中国のたまねぎの生産動向等を紹介する。

(1)日本における中国産たまねぎの位置付け

日本のたまねぎ供給量の約割は輸入品でほとんどが生鮮、そのうち約割が中国産である(図、図)。中国産の生鮮たまねぎの月別輸入量を見ると、毎月一定数量が輸入されており、特に主産地である北海道産が出回らなくなる夏場の数量が多い(図)。

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また、乾燥たまねぎは、粉状のものやきざみたまねぎなどが該当する。

なお、本稿中の為替レートは17円(2017年月末日TTS相場16.70円)を使用した。

(2)生産動向

中国では、たまねぎはさまざまな地域で生産されているが、とりわけ生産が盛んな地域は、うんなん省、さんとう省、かんしゅく省である。主にこの省でリレー出荷されているが、このうち雲南省は、中国の南西部に位置することから、年のうちで収穫時期が最も早い。なお、山東省、甘粛省については、2016年10月号を参照されたい。

雲南省におけるたまねぎの主産地は、げんぼう県、けんすい県、つうかい県であり、それぞれ雲南省全体の作付面積のおよそ割、分の割を占めている(図、写真)。

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(注):中国では、大きい行政区分から順に、「省級(省、直轄市など)」、「地級(地級市、自治州など)」、「県級(県、県級市など)」などとなっている。元謀県は、ゆうぞく自治州内の県、建水県はこうぞくぞく自治州内の県、通海県はぎょくけい市(地級市)内の県である。

雲南省では、黄たまねぎと赤たまねぎが栽培されており、前者が作付面積の約割、後者が約割となっている。黄たまねぎの主な品種は「太陽806」、「太陽一号」であり、赤たまねぎは「ぎょくおう」、「西せいてき」である。栽培暦としては、月にしゅし、月から月にかけて定植、翌年の月から月にかけて収穫される。なお、黄たまねぎと赤たまねぎで栽培暦に大きな差はない。(図)。

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近年の生産動向を見ると、作付面積、収穫量ともに年ごとに大きく変動している。これは、生産者がそのときどきの相場に敏感に反応して、生産を拡大・縮小していることが一因とみられている。こうした中、2016年は、後述するようにたまねぎ相場が高水準で推移しており、2017年の生産増加が予想されたため、雲南省政府当局は、生産者に対して、作付面積を縮減するよう指導を行った。その結果、同年の収穫量は前年を大幅に下回る見込みである(表)。

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(3)生産コスト

10アール当たり生産コストの動向を見ると、2016年は5144元(万7448円、2013年比35.0増)と、大幅に増加している(表)。項目別に見ると、近年の中国の野菜栽培で恒常化している土地代と人件費の増加に加え、種苗費の増加も見られている。土地代の上昇率は中国の平均を上回っているとみられており、また、人件費は、主に播種や収穫に際しての一時雇用に対するものである(写真、写真)。

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(4)価格動向

近年の雲南省のたまねぎの価格推移を見ると、収穫期の3月、4月から収穫直後の5月にかけて下落し、その後徐々に上昇する傾向がある(図)。

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2016年の価格は、下半期は例年並みに戻ったものの、上半期は、比較的高水準の推移となった。これは、2015年末に山東省や甘粛省におけるたまねぎ在庫が減少したことによって、雲南省産への需要が高まったことや、それに伴う買い取り業者の売り惜しみによるものとみられている。

(5)国内向け出荷動向

雲南省で収穫されたたまねぎは、国内仕向けと輸出がおおむね半分ずつとなっている。黄たまねぎは、約割が輸出されるため、国内仕向けは少ないが、主に中国東北部に仕向けられている。一方、赤たまねぎは、国内仕向けが中心であり、主に上海、浙江省、広東省など華中から華南にかけての沿岸部に仕向けられている。

(6)輸出動向

中国のたまねぎ輸出は生鮮(冷蔵品)が中心であり、おおむね増加傾向で推移している。主な輸出先は、日本や韓国、ロシア、東南アジアであり、いずれも近隣諸国である。2016年の輸出量は、韓国の豊作に伴って国からの需要が減少したことから、前年を下回っている(図)。

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雲南省産のたまねぎのうち、約割を占める黄たまねぎは、主に日本、韓国、ロシアへ輸出されている。また、近年は、山東省の野菜加工輸出企業が、雲南省産の黄たまねぎを調達し、むきたまねぎに加工して、日本や韓国へ輸出する動きが広がっている。一方、約割を占める赤たまねぎは、主に国内仕向けであるが、数量は少ないながら、マレーシアやインドネシアなど東南アジア諸国を中心に輸出されている。赤たまねぎは一般に辛みがやや強く、炒め料理に適しており、そうした特性と現地の需要が関係していると推察される。

2 米国

 米国からは、日本への輸出が多いブロッコリー、レタス、セルリー(セロリ)(以下「セルリー」という)について、それらの主産地であるカリフォルニア州を中心とした生産動向などを紹介する。また、トピックスとして、近年のレタスの生産および輸出状況について報告する。

(1)ブロッコリー、レタスおよびセルリーの生産動向

ア ブロッコリー

(ア)作況および作付面積

2017年月初旬、多雨による収穫作業の遅れにより、供給量は減少した。一方、月中旬の時点では、フレズノ郡で順調な生育が報告された。

なお、本稿中の為替レートは、米ドル114円(2017年月末日TTS相場113.56円)を使用した。

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(イ)生産者価格

2016年12月の生鮮ブロッコリーの生産者価格は、出荷量が安定していたことから、前年同月比58.8安のキログラム当たり0.77米ドル(88円)となった(表)。

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また、月は、天候不順により出荷量が減少したことから一時上昇したものの、メキシコ産およびアリゾナ州産の出回り量の増加により、落ち着きを取り戻した。月中旬時点では、インペリアル郡産などは、カートン(14個入り)当たり約1011米ドル(キログラム当たり0.961.06米ドル109121円)で取引されていた。なお、サンタバーバラ郡サンタマリア産は同米ドル(同0.58米ドル66円)で取引された。

(ウ)対日輸出動向

2016年12月のブロッコリーの対日輸出量は、前年同月比11.2倍の1696トンとなった(表)。この要因として、台風などによる日本での国産品の品薄が考えられる。また、輸出単価は同11.6安のキログラム当たり1.29米ドル(147円)と、前月からやや上昇した。

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(エ)東京都中央卸売市場のブロッコリー入荷量および価格

2016年12月の東京都中央卸売市場の米国産ブロッコリーの入荷量は、前年同月比7.9倍の143トンと前年を大幅に上回った。卸売価格はキログラム当たり314円となり、大きく上昇していた前月から下落したものの、依然高値を維持した(表)。なお、同月、同市場で最も入荷量が多かったのは愛知県産であるが、前年同月比42.5減の約622トンであり、卸売価格は、米国産を上回る同333円であった。

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イ レタス

(ア)作況および作付面積

モントレー郡では、月から月中旬にかけて降雨が続き、じかまき作業に遅れが生じた。これにより、サリナスバレーの生産者間では、月以降の供給量の減少が懸念されている。

月中旬に出荷されていた結球レタスは、変色や変形球、カビの発生などが報告され、ロメインレタスおよびリーフレタスではチップバーンなどが確認された。

(イ)生産者価格

2016年12月の結球レタスの生産者価格は、害虫被害などによる品質および出荷量への影響により、前月からは上昇したものの、前年同月比41.2安のキログラム当たり0.67米ドル(76円)と、なお低調に推移した(表)。

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月の価格は、天候不順による作柄不良や出荷量の減少により、全般的に上昇し、月中旬時点では、結球レタスはカートン当たり約16米ドル(キログラム当たり約0.70米ドル約80円)、ロメインレタスは同約1521米ドル(同0.660.93米ドル約75106円)、グリーンリーフレタスは同約1619米ドル(同0.700.83米ドル約8095円)で取引された。

(ウ)対日輸出動向

2016年12月の結球レタスの対日輸出量は、前年同月比4.8倍の233トンで、輸出単価は同14.4高のキログラム当たり1.19米ドル(136円)であった(表)。一方、結球レタス以外のレタスの対日輸出量は、同約3.5倍の78トンで、輸出単価は同36.7高のキログラム当たり3.31米ドル(377円)であった(表)。輸入量増加の要因として、台風などによる国産品の不足と価格高騰があるとみられる。

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(エ)東京都中央卸売市場のレタス入荷量および価格

2016年12月の東京都中央卸売市場の結球レタス以外の米国産レタス(ロメインレタス、フリルレタスなど)の入荷量は、前年同月比25増の0.5トンで、卸売価格はキログラム当たり518円(前年同月比25.4高)であった(表)。

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ウ セルリー

(ア)作況および作付面積

月上旬時点では、サンタマリア産の品質はおおむね良好と報告されていた。月中旬、モントレー郡では、豪雨に見舞われたものの、一部で定植作業が行われていた。

(イ)生産者価格

2016年12月のセルリーの生産者価格は、各産地の作柄が良好であったため、キログラム当たり0.38米ドル(43円)と前月から下落した(表)。

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月第週の時点では、アリゾナ州産の供給が安定していたことに加え、セルリーの需要が落ち着いていたため、前月から横ばいで推移し、ベンチュラ郡オックスナード産はカートン(24茎)当たり約米ドル(同0.33米ドル38円)で取引された。

(ウ)対日輸出動向

2016年12月のセルリーの対日輸出量は、前年同月比87.4増の431トンで、輸出単価は、前月から下落し、前年同月並みのキログラム当たり0.73米ドル(83円)となった(表)。

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(エ)東京都中央卸売市場の入荷量および価格

2016年12月の東京都中央卸売市場の米国産セルリーの入荷量は、前年同月比48.0増の37トンで、卸売価格は同19.1高のキログラム当たり212円であった(表10)。なお、同月に最も入荷量が多かったセルリーは静岡県産(470トン)であり、価格は米国産を大幅に上回る同260円であった。

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(2)トピックス
 ~近年のレタスの生産概況~

ア 米国の生産状況

米国のレタス生産の約割は、カリフォルニア州で行われており、同州とアリゾナ州でほぼ全量が生産されている(図)。両州ともにレタスの生産量は、減少傾向にあり、特にカリフォルニア州においては2012年以降減少の一途をたどり、2015年には280万トンを下回り、1998年の公表以来2番目の低水準となった(図)。この要因として、干ばつによる作付面積の減少や天候不順による作柄不良が挙げられる。給水制限が設けられた地域では、レタス用じょうの休耕や他作物への転作が見られ、2015年の作付面積は7.7万ヘクタールと、2012年比で15減少した。

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レタスの種類別に見ると、カリフォルニア州およびアリゾナ州ともに生産量の過半を結球レタスが占め、次にロメインレタス(約割)、リーフレタス(約割)と続く。

2015年のカリフォルニア州の結球レタスの平均単収は10アール当たり4.3トンと、干ばつや天候不順に見舞われながらも、比較的安定した水準で推移している(図)。このことからも、近年の結球レタスの減産は、作付面積の減少に起因しているとされる。また、同州のロメインレタスの単収は33トンとなった。

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2015年のカリフォルニア州産の結球レタスの生産額は、前年比3.4増の億9596万米ドル(兆1354億円)と、生産者価格の上昇により増加した(図)。また、ロメインレタスは同15.3増の億9787万米ドル(7956億円)となった。同州では、干ばつによる水価格の上昇や生産量の減少が、生産者価格の上昇要因として挙げられている。

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イ カリフォルニア州で栽培されている主な品種

カリフォルニア州で栽培されている結球レタスの主な品種は、地域によって異なっている。例えば、州南部などでは、アニー(Annie)、バッバ(Bubba)、クルセーダー(Crusader)、ダイアモンドバック(Diamondback)、デザートスプリング(Desert Spring)、デザートストーム(Desert Storm)、ライトハウス(Light House)、レッドコーチ74(Red Coach 74)、サンデビル(Sun Devil)などが栽培されている。

また、セントラルコースト(モントレー郡、サンルイスオビス郡、サンタバーバラ郡、ベンチュラ郡など)では、ベイビュー(Bay View)、ホールマーク(Hallmark)、レガシー(Legacy)、レジェンド(Legend)、リバティ(Liberty)、ターゲット(Target)など、べと病などへの抵抗性を持つ品種が主流となっている。

ウ 近年の対日輸出状況

日本の輸入結球レタスは、米国産と台湾産がほぼ全量を占める(図)。近年の結球レタスの輸入状況を見ると、2011年に台湾産が米国産を上回って以降、その差は拡大している。2016年の台湾産結球レタスは8700トンと、米国産(5000トン)の1.7倍となった。この背景には、輸送コストが比較的安いことや緊急時の調達の便利さ、葉の枚数の多さや歩留まりの良さ、また日本企業による契約産地の育成および生産指導があるとされている。米国産は周年で輸入されているが、台湾産は主に冬場の国産供給不足を補う形で輸入されている。なお、その他のレタスにおいては、米国産が輸入量の約割を占めている。

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2015年以降の米国産結球レタスの対日輸出量を見ると、2015年月および月は、米国西海岸港湾の労使交渉難航の影響により、非常に少なかった(図)。一方、同年7~10月は、大手ハンバーガーチェーンが悪天候による国産の供給不足を受けて、米国産を緊急輸入したことにより大きく増加した。また、2016年の夏から秋にかけて天候不順による日本国内のレタス価格が高騰したことから、米国産の輸入が増加した。

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