調査情報部
中国のしいたけの主産地は、河南省、河北省、
消費者の間に、食用きのこの栄養や効能に関する知識が広がってきたことなどにより、しいたけの国内消費量は増加し、それに伴い価格も上昇してきた。このため、多くのしいたけ農家が規模拡大を行った結果、生産量が増加し、2013年には前年比4割増となった。この急増により供給過剰となり、価格の下落を招いたことから、生産量は2014年をピークに減少し、2015年は前年比5%減と見込まれている。
しいたけは、成長期間により、早生、中生、晩生の3品種に分類され、それぞれの成長期間は、早生品種は70~80日、中生品種は120日、晩生品種は180日とされている。産地によって菌床の規格は異なり、直径は15~22センチメートル、長さは55センチメートルまたは60センチメートルとさまざまである。
また、菌床の原料(オガクズ、ふすまなど)は、菌床1本当たり約3~5元(57~95円)と推計される。
なお、本稿中の為替レートは、1元=19円(11月末日TTS相場:19.34円)を使用した。
卸売価格は、他の生鮮食品同様、新年や春節(旧正月)需要の影響を受ける1月から2月に上昇する傾向が見られる。
夏しいたけの主産地である河南省三門峡では、出荷が集中する4~6月に価格が下落する。2015年4~6月は1キログラム当たり10元台と比較的高値であったが、8月以降は、過去2年間の水準を下回って推移している(図3)。
中国から輸出されるしいたけは、生しいたけと乾しいたけの2種類に分類され、主に、日本、韓国、米国、東南アジア向けに輸出されている(図4、図5)。2012年、中国は食用きのこの輸出にかかる増値税還付(注)を取り消したため、乾しいたけにおいて一時的な輸出量の減少が見られた。
また、近年、しいたけを菌床の状態で輸出するケースが増加傾向にあり、韓国などでは、中国から技術者を招へいし、輸入した菌床の生産と管理を委託して、しいたけ生産を行っている。
なお、生しいたけの日本への輸出に関しては、2001年のセーフガード暫定措置の期間が終了して以降、急激な輸出増により貿易問題が発生するのを回避するため、日中間の関係者により定期的に貿易協議会が開催されている。
(注)輸出税金還付(免税)資格の認定を受けた企業が、納入した増値税(日本の消費税に相当)を輸出時に還付される制度。
2015年のブロッコリーの出荷量は、天候の回復に伴い、9月下旬以降は堅調に推移している。10月中旬から11月にかけては、主要生産地の一つであるモントレー郡で収穫開始となった一方、収穫を終えていたフレズノ郡では、秋の直まきが行われた。また、カリフォルニア州南部の砂漠地帯では、平年より1週間早く、11月初旬から収穫が始まっている(図)。
なお、本稿中の為替レートは、1米ドル=124円(2015年11月末日TTS相場:123.82円)を使用した。
2015年9月のブロッコリーの生産者価格は、同月初旬から中旬にかけての収穫量減少に伴い、前年同月比6.8%高の1キログラム当たり1.26米ドル(156円)となった(表1)。今後は、年末に向けてより一層の需要が見込まれることから、価格は引き続き上昇傾向で推移するとみられている。
2015年9月のブロッコリーの対日輸出量は1986トンであり、前年同月を26.7%下回った。一方、輸出単価は1キログラム当たり1.36米ドル(169円)と、今年に入ってからの最高値を更新した(表2)。
2015年9月の東京都中央卸売市場の米国産ブロッコリーの入荷量は、前年同月比32.7%減の142トンであった。平均価格は1キログラム当たり435円と、前年同月を4.3%上回った(表3)。同月に同市場で最も入荷が多かったブロッコリーは北海道産(1012トン)で、価格は米国産を10.8%上回る482円であった。
2015年8月以降、主産地となっていたモントレー郡では、11月中旬には収穫の終盤を迎えた。これは、猛暑となった今年の気候の影響で、平年に比べ収穫が2~3週間早まったことが影響しているとみられている。
一方、カリフォルニア州南部の砂漠地帯では、秋口に入っても暖かい気候が続いていることから、ロメインレタスおよびグリーンリーフレタスの収穫は、平年より7~10日程度早く始まっている。また、現地報告によると、同地域のレタス生産は、気象条件に恵まれたことから、今年の収穫量を前年比5~10%増と見込んでいる。なお、インペリアル郡では11月初旬からは種が行われており、12月初旬より、収穫作業を本格化させている。
供給量の減少に伴い2015年9月の結球レタスの生産者価格は、1キログラム当たり1.08米ドル(134円)と、前年同月を47.9%上回った(表4)。10月中旬にはモントレー郡での収穫期が終わりを迎え、供給量が減少傾向で推移する一方、年末に向けた需要増加が見込まれることから、価格は今後、上昇傾向で推移するとみられている。
2015年9月の結球レタスの対日輸出量は245トンであり、前年同月を7.5%上回った。輸出単価は1キログラム当たり1.13米ドル(140円)となり、今年に入ってからの最安値を更新した(表5)。一方、その他のレタス輸出量は46トン(前年同月比30.3%減)と、今年の最高値を記録するとともに、輸出単価は1キログラム当たり2.37米ドル(294円)と、前年同月を61.2%上回った(表6)。
2015年9月の東京都中央卸売市場の米国産レタス(ロメインレタス、フリルレタスなど。結球レタスを除く)の入荷量は0.43トンと、今年に入り最も少なかった前月から持ち直すとともに、卸売価格は1キログラム当たり427円と今年最高値を記録した(表7)。また、米国産結球レタスは前月に引き続き40キログラム入荷され、卸売価格は1キログラム当たり76円と、前月水準から2倍となった。
サンタバーバラ郡で収穫されているセルリーの品質は概ね良好であるが、モントレー郡で収穫されているものの一部では、品質にばらつきが生じている。なお、現地報告によると、モントレー郡では、11月中旬には、収穫期の終わりを迎えていた。
2015年9月のセルリーの価格は、前年同月比28.2%高の1キログラム当たり0.50米ドル(62円)であり、前月並みの水準となった(表8)。現地報告によると、10月末の時点でセルリー需要が高まっており、年末に向けてより一層の需要が見込まれることから、価格は上昇傾向で推移するとみられている。
2015年9月の米国産セルリーの対日輸出量は、前年同月比14.5%増の654トンであった。また、輸出単価は1キログラム当たり0.68米ドル(84円)と、3月以降安定して推移している(表9)。
2015年9月の東京都中央卸売市場の米国産セルリーの入荷量は32トンであり、前年同月に比べ56.8%減少した。一方、卸売価格は前年同月比15.4%高の187円であった(表10)。なお、同月に同市場で最も入荷量が多かったセルリーは長野産(728トン)であり、価格は米国産を52.2%上回る277円であった。