調査情報部
日本のたまねぎの最大輸入先国である中国のたまねぎの生産量は、年間600万~700万トンと推計されている。
同国におけるたまねぎの生産は、12月から翌10月初めにかけて収穫が行われ、南部の雲南省に始まり、福建省、四川省、山東省、内モンゴル自治区、
中国の最も西南に位置する雲南省は、中国の総生産の5%程度を占めている。同省では、食習慣としてたまねぎが食されることはほとんどないが、他の地域から出荷されない時期にいち早く収穫し出荷できるという利点を生かして、輸出用としてたまねぎの生産が行われている。
主な産地は、
生育ステージは、7月上旬には種、8月中旬に定植、12月から2月に収穫となる。代表的な品種は、太陽一号、
注1:中国における協同組合組織
同省の2014年の作付面積は、前年の高価格により生産意欲が高まり、前年比5割増となった(表1)。加えて好天候に恵まれたことから単収も向上し、同年の生産量は前年比2倍強と大豊作となった。
2015年は作付面積が1割減となったが、前年に引き続き天候に恵まれ、前年並みの単収となった。
中国のたまねぎ総生産量の3~4割を占める山東省は、同国最大のたまねぎ生産地域であり、なかでも
生育ステージは、9月中旬から下旬に育苗、11月上旬に定植、冬場は露地マルチ(フィルム)栽培を行い、6月から7月に収穫となる。代表的な品種は、紅葉三号、
同省の作付面積は、2014年は前年比3割増であったが、干ばつに見舞われ単収が低下したことにより、収穫量は1割増にとどまった(表2)。しかし、この収穫量の増加により価格が下落したことから、農家の作付意欲が低下し、2015年の作付面積は前年を15%程度下回っている。
中国の総生産量の約2割を占める甘粛省の主な生産地域は、
生育ステージは、2月末から3月上旬に日光温室やビニールハウスで育苗を行い、4月中旬から5月上旬に定植、9月から10月上旬までに収穫となる。代表的な品種は、牧童、潘多拉、千里馬、薩羅拉などである。
同省は、品種改良や栽培技術の向上により、急激に収穫量を増加させたが、近年のたまねぎ価格の低迷と生産コストの上昇により、農家は他作物に転換するなど、作付面積の縮小を図っている。このため、同省における作付面積は減少傾向で推移しており、2015年は作付面積、収穫量ともに約1割減少すると見込まれている(表3)。
山東省および甘粛省のたまねぎ価格を見ると、山東省で新たまねぎが出回り始める6月から7月に、供給量の増加により、山東省の価格が急落し、それを追うような形で甘粛省の価格も下落するパターンを繰り返している(図5)。
2013年の上半期に価格が高かったことから、農家の作付意欲が高まり、作付面積が拡大し、その結果、2014年は供給量が増加し価格が下落した。
現在は、輸出量が伸び悩む中、国内販売も不調であることから、たまねぎの在庫量が増加しており、価格は低水準で推移している。
山東省の2015年3月の平均卸売価格は、1キログラム当たり0.73元(14.2円)、甘粛省の同年2月の平均卸売価格は、同1.10元(21.5円)であった(為替レートは1元=19.51円(4月末日TTS相場)を使用)。
なお、雲南省でも、豊作により供給過剰となり、2014年、2015年ともに価格は低迷している。
米国では主に、結球(アイスバーグ)レタス、リーフレタスおよびロメインレタスが栽培されており、2014年に米国で生産された中で、結球レタスはたまねぎに次いで生産量が多い野菜であった。このうちカリフォルニア州は、全米の生産量の7割以上のシェアを占めている。
2014年末から2015年春先にかけてカリフォルニア州では、平年に比べ温暖な天候で推移したことから、3月中旬にロメインレタス、3月末には結球レタスの収穫が始まり、4月からは全レタスの収穫が行われている。しかし、同州のレタス作付面積は減少傾向にあり、2014年は約8万ヘクタールと、前年比約1割減となった。2015年は干ばつによる農業用水の不足や、温暖な天候による安値見込みにより、面積はさらに減少することが見込まれている。
産地では平年に比べ温暖な天候で推移したことから、収穫が平年より前倒しされた一方で、東部地区などの大消費地で寒波に見舞われ、サラダ需要をはじめとして消費が減退したことから、生産者価格は安値で推移している。
2015年2月の生産者価格は1キログラム当たり34セント(41円)であった。
なお、原稿中の為替レートは1米ドル=120円(2015年4月末日TTS相場:1米ドル120.00円)を使用した。
米国にとって日本は、カナダ、台湾、メキシコ、韓国、シンガポールに次ぐ第6位の結球レタスの輸出先国である。2015年2月の対日輸出量は19トンであるが、これは前年同月と比べて約9割の減少となった。この急激な減少の背景には、積み出し拠点である西海岸の港湾作業の遅れがあるとみられている。
2015年2月の結球レタスの輸出単価は1キログラム当たり約3.9ドル(468円)、その他のレタスの輸出単価は同3.3ドル(396円)で、空輸も行われている。
2015年2月の東京都中央卸売市場の米国産レタスの入荷量は、1.5トンと前年同月に比べ増加した。米国産レタスは、一定の業務用需要がある。
カリフォルニア州の出荷者によると、当初は干ばつによる水不足問題のため、主要な大規模生産者を中心にセルリー作付面積を1~2割減らす意向であったとされる。
しかし、この春の同州のセルリーの生産量は増加傾向にある。これは、一部の生産者が水の使用規制がない地域での生産を増やしたことに加え、同州でセルリーの栽培に理想的な天候が続き、単収が増加したことによる。
セルリーの生産者価格は、昨年11月以降感謝祭やクリスマスシーズンを迎えてやや上昇したものの、2015年に入ってからは下落している。これは、レタスと同じく東部地区などの大消費地で寒波に見舞われ、サラダ需要をはじめとして消費が減退したことなどによるものである。当面の間、生産者価格の上昇は見込めない状況とされる。
2015年の生産者価格は1キログラム当たり約32セント(38円)であった。
米国にとって日本はカナダに次ぐ第2位のセルリーの輸出先国である。2015年2月の対日輸出量は105トンであるが、これは前年同月と比べて約2割程度の水準となっている。この急激な減少の背景には、レタスと同じく、積み出し拠点である西海岸の港湾作業の遅れがあるとみられている。
2015年2月の輸出単価は1キログラム当たり約1.2米ドル(144円)であった。
2015年2月の米国産セルリーの入荷量は12トンであるが、これは前年同月比で2割弱の水準となり、価格も上昇している。
なお、同月時点で同市場への入荷量が最も多かったのは静岡産(310トン)であり、平均価格は米国産を上回る1キログラム当たり273円であった。