調査情報部
米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)の発表によると、カリフォルニア州の夏季生鮮野菜のうち、にんじんの収穫面積は、6月の温暖により生育が良好であったことから前年を大幅に上回る一方で、カンタロープメロンやハネデューメロンは、春の気温低下による定植遅れなどから前年を下回る見込みである。また、全米における春たまねぎの生産量は、各地の順調な収穫から前年を35%上回るものの、非貯蔵用夏たまねぎは前年をやや下回る見込みである。
夏季生鮮野菜の調査地域(11州)の収穫面積は、前年比1%増の109.0千ヘクタールと見込まれている。このうち、にんじん、カリフラワーおよび結球レタスは増加、さやいんげん、キャベツ、セルリー(セロリ)(以下「セルリー」という)およびピーマンは減少、ブロッコリーおよびきゅうりは前年並みの見込みである。また、メロンは同7%減の34.3千ヘクタールで、このうち、カンタロープメロンは同9%減の10.4千ヘクタール、ハネデューメロンは、同11%減の3.1千ヘクタールの見込みである。スイカは、同6%減の20.7千ヘクタールが見込まれている。
全米のいちごの収穫面積は、前年比1%減の20.2千ヘクタールと見込まれている。また、生産量は、前年比1%減の125.8万トンで、収量は、前年から545キログラム減の1ヘクタール当たり62.3トンと見込まれている。
たまねぎの収穫面積は、前年比3%増の62.0千ヘクタールと見込まれている。内訳を見ると、春たまねぎが同13%増の11.8千ヘクタール、夏たまねぎの非貯蔵用が同4%減の7.3千ヘクタール、貯蔵用たまねぎが同1%増の42.9千ヘクタールとなっている。
野菜の加工業者による主な加工用野菜(さやいんげん、スイートコーン、ピクルス用きゅうり、グリーンピースおよびトマト)の契約作付面積は、前年比8%減の412.8千ヘクタールであり、主な加工用野菜全てで減少している。これは、在庫増を反映して、2011年の加工用野菜の生産者価格が弱含んでいることから、生産者の生産意欲が低減したことなどによるものと考えられる。
主な加工用野菜のうち、グリーンピースの契約面積は同13%減の65.7千ヘクタールで、契約生産量は前年比16%減の274.1トンである。なお、トマトの契約生産量は、同1%増の1,160.1万トンの見込みである。
カリフォルニア州の収穫面積は、前年並みの13.0千ヘクタールの見込みである。 同州では、6月に暖かい気候が続いたことから作柄・品質ともに良好である。
全米の収穫面積は、前年比9%減の10.4千ヘクタールの見込みである。
このうち、春に気温が低かったため、定植・生育ともに遅れたカリフォルニア州では、同12%減の8.7千ヘクタールの見込みである。
一方、テキサス州では、2月初旬の厳しい凍結にもかかわらず予定通りに定植が行われた。同州南部では、5月中旬に収穫が始まっている。
全米の収穫面積は、前年比17%増の8.0千ヘクタールの見込みである。
このうち、6月に暖かい気候が続いたことから生育が良好であるカリフォルニア州では、同20%増の7.3千ヘクタールの見込みである。
カリフォルニア州の収穫面積は、前年比4%増の3.3千ヘクタールの見込みである。
カリフォルニア州の収穫面積は、前年比3%減の2.3千ヘクタールの見込みである。同州サンタマリアおよびサリナスバレーでは既に収穫が進んでいる。
全米の収穫面積は、前年をわずかに上回り、41.2千ヘクタールの見込みである。
このうち、カリフォルニア州の収穫面積は、前年比3%増の5.0千ヘクタールの見込みである。同州では、4月の初めから南部で収穫が始まり、6月までにサンホアキンバレー北部まで収穫が進んだ。なお、暖かい気候により作柄・品質は良好である。
また、ニューヨーク州では、多雨により定植が遅れたものの、5月終わりには土壌の状況が改善したため、早いペースで定植が進められている。
ペンシルバニア州では、春の多雨により定植が遅れたものの、生育は順調である。ニュージャージー州では天候に恵まれ、7月第1週には早生スイートコーンの収穫が始まった。ウィスコンシン州では、6月初旬の暖かい気候により作柄は良好である。
全米の収穫面積は、前年比11%減の3.1千ヘクタールの見込みである。
このうち、サンホアキンバレーで定植が進んでいるカリフォルニア州では、同11%減の2.5千ヘクタールの見込みである。
なお、アリゾナ州では5月終わりに収穫が始まったものの、例年よりも気温が低いことから収穫作業がわずかに遅れている。
カリフォルニア州の収穫面積は、前年比6%増の13.8千ヘクタールの見込みである。低温と多雨により早期に定植されたものについては生育に影響が出たものの、シーズン後半に気温が上昇したことにより、品質は極めて良好である。
全米の収穫面積は、前年比1%減の13.2千ヘクタールの見込みである。
このうち、カリフォルニア州では、同3%減の7.3千ヘクタールの見込みである。気温が低かったことから、4月の1ヵ月間を通して定植が遅れ、生育速度も遅くなり、同州中部では、収穫作業の開始が例年より1週間程度遅れる見込みである。
ミシガン州では、生育期である4月が多雨に見舞われた。ニューヨーク州では、5月が多雨に見舞われたため生育が遅れた。ニュージャージー州では5月から6月上旬まで夜間の気温が低かったため生育が遅れたものの、6月中旬から下旬にかけて高温多湿が続いたため生育状況は持ち直した。
全米の収穫面積は、前年比6%減の20.7千ヘクタールの見込みである。
このうち、カリフォルニア州では、春に気温が低かったため定植・生育が遅れたことから、同6%減の3.0千ヘクタールの見込みである。
また、ミシシッピ州からジョージア州にかけては干ばつに見舞われ、生育に影響が出た。
表1 夏季生鮮野菜収穫面積
全米における2011年の契約取引については、作付面積が前年比4%減の111.9千ヘクタール、生産量が同1%増の1,160.1万トンとなる見込みである。
このうち、加工用トマトの生産の大半を占めるカリフォルニア州では、同4%減の104.4千ヘクタール、生産量は前年をわずかに下回る1,106.8万トンの見込みである。低温と多雨により定植が遅れ、生育にも影響が出たものの、作柄は良好である。
インディアナ州では、6月初めに大雨が続いたことにより定植が遅れた。また、オハイオ州では、晩春の多雨の影響で定植作業が遅れ、ミシガン州では、春に州全体で多雨に見舞われた。
表2 加工用トマトの作付面積および生産量
春たまねぎについては、全米における生産量は前年比35%増の46.0万トン、収穫面積は11.8千ヘクタールの見込みで、1ヘクタール当たりの平均収量は、前年より7トン増の39トンである。
このうち、ジョージア州では予定より早く収穫が進み、5月29日までに収穫の95%を完了した。
テキサス州ではスケジュール通り定植が進み、生育も良好である。同州リオグランデ地域南部の収穫は3月初めに始まった。また、同州ラレードのウィンターガーデン地域の収穫は5月に始まり6月終わりまで続いた。
非貯蔵用たまねぎについては、全米における生産量は前年比4%減の43.6万トン、収穫面積は同4%減の7.3千ヘクタールの見込みである。
このうちカリフォルニア州では、生育期間中に記録的な降雨に見舞われたため、多湿によるカビの被害が発生した。
ネバダ州では、低温と多雨により定植~収穫に係る今シーズンのスタートが遅れた。ニューメキシコ州では、天候が良好であり、テキサス州では、収穫作業が行われている。一方で、ワシントン州では収穫が予定より遅れている。
貯蔵用たまねぎについては、全米における収穫面積は前年比1%増の42.9千ヘクタールの見込みである。
コロラド州では、予定通り定植が進んでいる。カリフォルニア州では、低温と多雨に見舞われた。
全米の2010年における貯蔵用たまねぎの確定値は、生産量が前年比2%減の254.9万トン、生産額は同19%減の5億7,400万ドルであった。キログラム当たりの平均価格は2009年が297.41ドルであったのに対し、2010年は253.35ドルであった。春たまねぎと非貯蔵用たまねぎの合計生産額は、前年比5%増の111万ドルであった。
表3 春・夏たまねぎの作付・収穫面積および生産量