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海外情報


シンガポールで流通している主なローカル野菜

農畜産業振興機構 調査情報部


1 野菜事情

 シンガポールは、国土が狭く、農地はほとんどない。このため、消費する野菜のほとんどは、マレーシアなどの東南アジア、オセアニア、中国などの周辺諸国から輸入されたものであり、その主なものは以下のとおりである。

東南アジア(マレーシアなど)

トマト、きゅうり、とうがらし、うり、ヘチマ、キャベツ、ねぎ、しょうが、ほうれんそう、ササゲ、さやいんげん、メロン

オセアニア

にんじん、たまねぎ、ブロッコリー、いちご、メロン

中  国

たまねぎ、キャベツ、はくさい、ほうれんそう、しょうが

アメリカ

ブロッコリー、いちご

【パシル・パンジャン青果卸売市場での集荷及び販売状況】

○周辺諸国からの入荷形態

 

マレーシアからの葉もの

オセアニアからのにんじん






 他方、日系のデパートなどでは、日本産の野菜を口にしたいという在留邦人(現在約2万1千人(2003年))の要望や和食ブームに応え、航空便や船を利用して、ねぎ、ほうれんそう、こまつな、なす、だいこん、いちご、さつまいもなどを輸入している。

 これ以外に、シンガポールや周辺地域で従来から食されている野菜(以下「ローカル野菜」という。)も多い。これには様々な野菜があるが、土壌や気候が違うため、きゅうり、なす、ほうれんそうといっても日本産の野菜とは大きさや風味がかなり異なる。

 以下、シンガポールの青果卸売市場やスーパーなどでよく見かけるローカル野菜についてその特徴を紹介する。

2 スーパーなどで出回る主なローカル野菜と特徴

※ローカル野菜の名称は地域によって異なるが、ここではシンガポール国内で主に使われている名称を使用した。 

Kang kongカン コン(Water spinach)和名 エンサイ】

 
エンサイ

 ヒルガオ科の多年生草本で湿地性があることから、アジアの多くの沼沢地に自生している。別名が多く、「ヨウサイ」、「エンサイ」とか茎が空洞になっているので「空心菜(くうしんさい)」とも呼ばれている。葉の細い品種、茎の赤っぽいものなどいろいろある。鉄分、ビタミンAに富んでいて炒めものにして食べることが多く、シンガポールで人気のある野菜のうちの一つで、日本人の味覚にも良く合い、多く利用されている。

〈用途〉

・炒めもの ・おひたし ・スープ

Lemon grassレモン グラス 和名 レモングラス】

 
レモングラス

 イネ科の多年生草本で高さ1.5m位になる。レモンに似た芳香があり、葉や茎の部分を刻んで料理に入れると独特の香りが出て、食欲をそそる。日本食には向かないが、エスニック料理で重宝されている香菜である。

〈用途〉

・香辛料 ・カレー ・スープ 

・薬用(食欲不振)



Chillyチリ 和名 トウガラシ】

 
トウガラシ

 ナス科の野菜で形状、大きさ、辛さ、色など多種多様である。未熟果はビタミン類が多い食品として焼いたり、天ぷらなどに利用され、熟果は乾燥後、香辛料として利用されており、アジアの各地域において、欠くべからざるものとなっている。特に、キムチや熱帯アジア料理の味付けには欠かせないものである。

〈用途〉

・香辛料 ・みそ焼き ・天ぷら ・煮もの

(料理に合わせてどの種類を選ぶかは、料理する人の腕にかかっている。)

Periaプリア(Bitter gourd)和名 ニガウリ、Kuguaコークウィ(中国系の呼び方)】

 
ニガウリ、オクラ

 ウリ科のつる性草本で、名の通り非常に苦い味がする。種類は大きく分けると、でこぼこした溝がありこぶがないものと、日本のスーパーで最近、出回っている表面に多数のこぶ状の突起のあるもの(沖縄、宮崎産など)がある。

Okraオクラ 和名 オクラ】

 アオイ科で、未熟なうちは、緑色の表皮は非常に細かい綿毛に覆われており、日本のものと比べて大きい。インド産が多いことからインド名の「ベンディ」と呼ばれたり、また、形とサイズからレディーズフィンガーとも呼ばれ、インド、東南アジア、アメリカ、日本と多くの国で栽培されている。茹でて刻んで食べたり、炒めたりして食べられているが、カレーの具としても用いられている。

 

ニガウリ

〈用途〉

・炒めもの
 (ゴーヤチャンプル)
・煮もの
・漬け物
オクラ

〈用途〉

・炒めもの
・カレーの具

Marrow squashマロウ スクォッシュ(Angled loofah)和名 トカドヘチマ】

 
トカドヘチマ、ヘビウリ



 ウリ科のつる性草本で熱帯圏特有の野菜である。実の花梗から先端にかけて10本の隆起した稜を有するヘチマの一種である。稜と皮は硬いので、むいてからスープや炒めものとして食べる。なお、日本でもヘチマは沖縄などで食べられている。

Petola ularペトラ ウラ(Snake gourd)和名 ヘビウリ】

 ウリ科で直径3~4センチ、長さ1メートル。自然のままにしておけば、ねじれ形に育つので、若い実の末端に錘として石を結んでまっすぐに育つように強制することが行われている。皮をはいで、種を除いて炒めものや天ぷらに使う。


トカドヘチマ

〈用途〉

・スープ
・炒めもの
・天ぷら
・カレー
ヘビウリ

〈用途〉

・炒めもの
・天ぷら
・カレー
・シチュー


Kacang panjangカチャン パンチャン(Long bean)和名 ナガササゲ】

 
ナガササゲ、サヤインゲン



 マメ科のつる性草本でアジア地域では古くから栽培されている。チャントウとかチャイタオとも呼ばれている。日本では、ほとんど見られなくなったが、ジュウロクササゲとかサンジャクササゲで呼ばれ、長さ60~70センチにも達する長い莢豆である。アメリカ大陸からサヤインゲンがくるまで、アジアの代表的な莢豆だった。熱帯の低地でよく育つため、アジアならどこの国の市場でも出回っている。

〈用途〉

サヤインゲンと同じで、天ぷら、煮物、和え物などで食べる。




3 日系小売店での日本産野菜の販売状況

 日系デパートでは、「日本産品コーナー」を設置するなどして、日本と同じような方法で販売されている。

日本産野菜の陳列状況











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