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海外情報


韓国における野菜生産、輸出等の動向

農畜産業振興機構 調査情報部


           <韓国>

1.はじめに

 日本の野菜の輸入量は、2003年実績で2,528千トン、1990年と比較すると野菜全体で2.3倍に増加している(表1)。

 韓国からの輸入数量は2003年実績で、58,550トン、金額20,890万円となっている。うち、生鮮野菜は、数量24,223トン、金額9,388百万円であり、中国466,869トン、アメリカ155,580トン、ニュージーランド139,924トン、メキシコ51,901トンに次ぐ第4位、金額では、中国39,502百万円、アメリカ21,542百万円、ニュージーランド10,438百万円に次ぐ第4位であり、日本にとって、主要輸入先国の一つである。

 韓国からの輸入は1998年から急激に増加した(表2)。これは、日本が冷夏による生育不良のため輸入が増加した時期と同じであり、その後も販売数量を確保するために量販店が海外に産地を求めたのをきっかけに韓国からの輸入数量は増加した。

 韓国では、1995年のウルグアイラウンド交渉後、国際競争力を持った農業の推進を図るために、内需用の農業生産とは別に輸出農産物の推進に力を入れてきた。韓国政府は1991年から2000年までの10年間、先端農業施設師範団地事業として施設建設等に国から大規模な支援を行い、付加価値の高い農産物の産地育成を行った。これにより施設栽培面積は急激に増加し、海外市場を狙った野菜生産を可能とした。

 韓国からの輸入数量の増加に伴い、その状況を把握するために平成13年度から平成15年度までの3ヵ年にわたって調査を実施した。本報告では、韓国からの生鮮野菜輸入に関する調査結果を報告する。




表1 輸入数量の推移
表2 韓国からの輸入数量の推移


資料:農畜産業振興機構「VINAS」、原資料:財務省「貿易統計」


2.韓国における輸出用野菜生産の特徴

(1)韓国は日本と地理的に近い。

(1)輸送で有利

→韓国から輸出される場合、およそ、収穫から約5日で日本の市場に並ぶ。

(2)作物が受ける気象の影響が日本と似ている。

→日本が豊作だと韓国も豊作であり、また日本で冷夏等により不作の時は韓国も不作で市場価格が上昇するので、国内へ出荷してしまい、輸出が減少する等と安定しない。

(2)輸出農産物は施設栽培による高付加価値の野菜が主である。

 韓国はその他の輸入先国と違って、国土が狭いため、大規模な野菜生産が行われているわけではない。その中で、他の外国野菜との競争に打勝つためには、施設栽培等により高品質で高付加価値の野菜を物価の高い先進国市場へ輸出する必要がある。しかし、韓国ではオイル価格が高いため、日本市場価格が安いと輸出が困難となる。

(3)数名による農業法人が輸出を行っている。

 南部地域慶尚南道の農協のように大規模に輸出団地を形成して生産を行っているところもあるが、数名による農業法人を設立して出荷をしているケースも多くあり、集荷数量が少ない。

(4)国内の市場価格変動が大きいため、品目転換が頻繁に行われる。

 野菜生産者は価格の高い品目を作る傾向にあり、市場価格の動向により品目の転換は安易に行われる傾向がある。

(5)生産コストが上昇傾向にある。

 人件費及び建設費等の生産コストは日本と比較して安価ではあるものの、年々増加傾向であり、日本へのかつて輸出農産物を栽培していた生産者の中には、国内出荷に転向する者も多い。

(6)輸出向けの果菜類等の国内消費量が伸びている。

 韓国でも、近年洋食化が進んでおり、従来の重量野菜に代えて日本輸出向けに栽培していたミニトマトやパプリカ等の果菜類の需要が近年伸びている。

 

3.生鮮野菜の対日輸出の概況

 韓国から日本への生鮮野菜の輸出は、パプリカ以外の主要品目で2001年を境に大きく減少している。その主な要因としては、 (1)残留農薬問題、原産地表示等の懸念による日本の需要が減少したこと、(2)韓国国内価格が作柄不良等により2年連続で堅調であったこと、(3)日本からの農薬管理、栽培記録の開示要求等により栽培管理の負担が増加したこと、(4)日本の市場価格の下降により輸出価格が低下したことが挙げられる。

 2003年の対日輸出数量は、ジャンボピーマン、トマト、きゅうり及びガーキン、なすの順である。2000年まではトマトが1番多かったが、残留農薬の問題が生じたこと、国内でも消費が拡大した反面、日本の野菜市場価格が低落していたことなどの理由により減少した。反対に大きく伸びているのがジャンボピーマンである。2000年までは、ジャンボピーマンはオランダから1番多く輸入されていたが、2001年には年間の輸入数量で韓国が一位となった。きゅうり及びガーキン、なす、すいかは減少傾向にある(表3、表4)。

表3 韓国からの生鮮野菜の輸入数量の推移

資料:農畜産業振興機構「VINAS」、原資料:財務省「貿易統計」


表4 2003年の生鮮野菜輸入数量


注:韓国から輸入されている生鮮野菜のみ掲載している。
資料:農畜産業振興機構「VINAS」、原資料:財務省「貿易統計」

 

4.主要品目の調査結果

(1)きゅうり

 韓国における施設きゅうりの主要産地は、江原道春川市、慶尚南道昌寧郡・光陽市、全羅南道順天市であり、日本への輸出主要産地は、韓国南部地域の順天市、光陽市である。

 生鮮きゅうりの日本への輸出は、2001年を頂点として減少傾向にある。現地調査においても、日本輸出向けきゅうりの栽培面積の減少が報告された。

 日本への輸出は、主に11月~翌年2月が中心である。輸出単価は、2002年まで下降傾向であったが、2003年冬から春にかけて日本市場の野菜価格の好調と韓国市場の野菜価格の好調により輸出単価もやや上昇した。

 きゅうりについては、順天市及び光陽市にて調査を行った。

250(1)栽培状況

 品種は「シャープ301」を使用し、単収は20kg~30kg/坪。播種時期は8月の下旬から9月の上旬、定植は播種から1ヶ月後に行い、収穫は10月中旬から翌年1月末~2月末であった。施設は連棟ビニール温室で、面積1,000~1,050坪、軽油による温風暖房で加温を行っている。

 日本側から要求されている栽培基準、農薬基準を守るためにできるだけ農薬を使用しないようにしている。


 

慶尚南道大谷郡 品種:シャープ301
 
全羅南道光陽市 品種:シャープ301

台風被害により葉にベト病や
ウドンコ病の 斑点が出てしまっている。

(2)生産コスト

 経費で1番かかるのは光熱費、次いで種苗代であった。労働力は基本的に夫婦2人で行っている。

(3)輸出動向

 輸出にあたっては、農協が輸出業者と契約を結んでおり、生産者は全量農協へ出荷し、規格内のものを輸出し、規格外のものを国内市場へ出荷している。

 契約単価は190円/kg~210円/kgで、日本の市場価格により変動がある。

(4)今後の動向

 原産地表示や残留農薬問題等による日本ユーザーの外国産野菜の敬遠、日本市場における野菜価格の下落、韓国側の国内市場価格の上昇、日本品種を韓国で栽培する時に発生する病気の問題、日本からの農薬基準の厳格化と防除履歴の開示要求による栽培管理作業の負担が合まって、近年急激に生産量が減少していることを考えると、当面は対日輸出の減少傾向が続くと考えられる。また、日本輸出用品種に限らず、韓国におけるきゅうりの生産が他の作物と比較して労働力がかかることから減少傾向にあり、高齢化がより進む状況下において、今後7~8年後には生産量はかなり減少するのではないかと、きゅうり試験場ではみている。

(2)トマト

 

 
光州市産地組合の集出荷場に積み上げられた日本輸出用ミニトマトの段ボール箱
 


 
ビニール温室内の栽培風景
 

 
収穫されたミニトマト 品種:サンタ
 

 
ビニール温室の外観


 韓国における施設トマトの主要産地は、忠清南道扶余郡、全羅南道羅州市・光州市、慶尚南道宝城郡・金海市、釜山広域市等であり、特に韓国南部に位置する慶尚南道のウェイトが高い。また、施設割合は95%である。

 生鮮トマトの輸出数量は、2000年をピークとして減少傾向である。

 日本への輸出トマトのほとんどはミニトマトである。韓国国内のミニトマトの栽培面積は減少傾向にある。調査した産地では、ミニトマト栽培面積の減少の報告はなかったものの、農水産物流通公社及び韓国農村経済研究院の聞き取り調査では、ミニトマトから丸トマトへの品目転換が進んでいるようである。これはマスコミ等で健康食品として取り上げられたことにより、丸トマトの人気が韓国で高まっており、需要量が多くなったことによる等の報告があった。

 輸出単価は2001年まで下降傾向であったが、2002年259円、2003年11月現在までで269円とやや上昇した。

 トマトについては、全羅南道羅州市、全羅南道金海市、慶尚北道永川市にて調査を行った。

(1)栽培状況

 品種は「サンチェリー」、「サンタ」、「カメレオン」であった。昨年度の調査時まではほとんど「ココ」、「ペペ」であったが、「ココ」、「ペペ」より大果となる「サンタ」、「カメレオン」に一部転換されていた。韓国では、ミニトマトは日本と比較してやや大きく、果皮が固いものが好まれており、国内向けにこのような韓国の嗜好に合わせた品種への転換がみられた。

 単収は60kg~70kg/坪。播種時期は6月から7月の上旬、定植は播種から約1ヶ月後に行い、収穫は早い産地で9月下旬から翌年6月、2期作を行っている産地では12月下旬から翌5月であった。施設は全ての産地において、連棟ビニール温室、面積500~1,100坪、加温の燃料は軽油を使用している。

 受粉はマルハナバチを使用している産地が多かったが、トマトトーンを使用している産地もあった。

 なお、農薬は全ての産地で使用していないとのことであった。

(2)生産コスト

 いずれの産地も経費で1番かかるのは光熱費、次いで種苗代であった。労働力は基本的に夫婦2人である。韓国南部地域で年間を通して暖かい全羅南道の2産地の光熱費が700~900円/坪であったのに対し、北部地域の慶尚北道永川市の光熱費がおよそ2,400円/坪と、2.5~3.5倍ほどかかっている。

(3)輸出動向

 生産法人又は農協と輸出業者との間で契約がなされている。どの産地も1社の輸出業者と契約をしていた。輸出単価は、定額で年一回の交渉により決定する場合と、日本市場及び韓国国内市場の価格動向により両者で検討して決定する場合の2通りであった。輸出単価は200~230円/kgが多く、高いところで400円/kgであった。

(4)今後の動向

 栽培品種が韓国国内の嗜好のものを採用している産地があったこと、韓国国内価格が輸出単価を上回る時期があったこと、(慶尚北道の産地は、価格のよかった国内市場へ出荷するようになったので、2002年までは輸出していたが、2003年は輸出を取りやめている)ということから、日本への輸出は減少傾向にある。しかしながら、産地では日本はミニトマトの重要な出荷先であるとの認識が依然として高いことから、輸出数量は、国内価格と輸出価格の動向いかんによって増加することも予想される。

(3)パプリカ(ジャンボピーマン)

 

 
IDは「○○(登録年度)-○○(品目)-○○(業者)-○○○(契約栽培者)-○○(農家)」の情報が掲載されている。
 

 
連棟ガラス温室による栽培風景
 

 
品種:ブーギー



 韓国におけるパプリカの主要産地は全国に点在しており、京畿道華城郡、全羅北道金堤市、慶尚南道昌寧郡等がある。

 生鮮パプリカの日本への輸出は年々増加している。2002年の輸入実績は12,290トン、2003年は14,905トンと前年対比で121%の増加であった。これは、高冷産地における夏期出荷の作型が普及し、7~9月の出荷が増加したこと、栽培技術の向上により単収が増加したこと等によるものとみられる。

 2003年4月に韓国産パプリカに残留農薬問題が発生して、4、5月の輸入数量が減少した。このため、韓国農林部及び国立品質管理院ではパプリカ生産者及び出荷団体に対して登録制を実施し、問題が生じた場合に生産者等を追跡できるしくみを作った。具体的には、各生産者はDが配布され、出荷箱ごとにラベルが添付された。

 パプリカについては、全羅北道金堤市、忠清北道益山市、全羅南道大谷郡・和順郡・大谷郡、慶尚北道陜川郡にて調査を行った。

(1)栽培状況

 品種は、オランダデライト社もしくはエンザ社のものをほぼどの産地も採用していた。赤色は「スペシャル」が一番多く、他に「ジュビル」、「プレンティ」等、黄色は「フィエスタ」がほとんどで、他に「ドービー」、オレンジ色は「ブーギー」であった。赤色は、以前は「スピリット」が多く栽培されていたが、新品種の「スペシャル」と比較して裂果が多いこと等の理由により、急激に「スペシャル」が普及した。色別では赤色が全体の5~7割、黄色が3~2割、オレンジ色が1割の構成である。購入金額は35~40円/株である。

 単収は栽培技術により差があるが、12kg/m2から最高で22kg/m2である。単収はオランダより低いが、冬越しをする作型であるので22kg/m2は多いと言える。

 作型は促成栽培がほとんどで、播種時期は7月~8月の上旬、定植は播種から1~1ヶ月半後に行い、収穫は11月~翌年7月末が多く、慶尚北道陜川郡の高冷地栽培では播種1月上旬、定植3月上旬、収穫時期6月上旬~12月中旬の作型であった。

 施設は、促成栽培ではほとんどがガラス温室で、施設面積は1,000坪~3,000坪、連棟両屋根型、もしくはフェンロー型であった。韓国の施設は幅35~36m、奥行き100mが多く、これは水田の跡地に施設を建設したためである。また、韓国南部地域にある夏場の産地ではビニール温室も多く使用しているとのことであった。

 加温の燃料は軽油による温風暖房がほとんどで、中には重油を使用しているものもあった。

 栽培技術指導は、オランダ、ベルギーなどから技術者を招いて月に1~3回行っている。

 パプリカの生産者は、他の輸出品目の生産者と違い、栽培管理に対する意識が高い。日本企業から求められている農薬基準を守るための対策が政府の指導の下で実施されており、農林部と国立農産物品質管理院で作成した「輸出パプリカ安全性管理指針」を配布して栽培管理を徹底している。

(2)生産コスト

 全ての産地において、経費で1番かかるのは光熱費、次いで種苗代、肥料代であった。労働力は栽培面積が1,200坪を超えると雇用労働を利用する傾向にあり、賃金は2,500~2,600円/日であった。

(3)輸出契約

 輸出の契約は、農協が窓口になって輸出業者と行っている場合と、生産者が組合法人を設立して行っている場合の2通りであった。両者とも規格品を日本へ輸出し、規格外品を韓国市場へと出荷していた。出荷量に対して、規格外品が出る割合は大体10%弱であり、調査した生産者団体には規格外品を韓国国内の販促活動に用いているという報告もあった。

 契約については、確定的な数量や面積に基づいて行っているものはなく、例年の実績を基に大体の数量を把握し、実際に輸出する数量は月、旬、週単位で連絡を取り合いながら調整を行っている。

 輸出単価は定額で契約しているところはなく、日本の市場価格に連動しているが、その変動幅は、2,500~2,900円/箱(5kg)がほとんどであり、低いところでは1,500~2,300円/箱(5kg)であった。

 調査を行った産地は、全て釜山港から輸出し、下関港、もしくは博多港に入荷していた。生産者が収穫した後、共同選別場で選果した後、5kg段ボールに詰め、トラック積載し釜山港へ運送を行っている。韓国においては、1社のみが日本企業の要望により色を組合せたり、1個包装を行っていた。

(4)今後の動向

 2003年の輸出単価も2002年と比較して上昇したこと、また、2産地において、栽培技術の向上により単収が増加していたことから、全体的な作付面積の増加はなくても、生産量はやや増加すると思われる。

 韓国におけるパプリカの消費量はまだ少ないが、スーパー等ではかなり高値で売られており、韓国の生産者、組合法人等も韓国市場の拡大の可能性を期待している。またピザや西洋料理の需要も今後増加すると考えられることから、韓国国内の需要が増加するものと予想される。

(4)すいか

 韓国における施設すいかは、慶尚南道威安郡・宜寧市・晋州市・昌原市等があり、南部地域に集中している。一方、露地すいかは、全羅北道の高昌市・金堤市等が最大産地である。近年は慶尚北道の栄州市・奉化郡等で施設すいかの面積がやや増加しているが、全体的には減少傾向である。これは、輸入のオレンジやバナナの消費が増加したことによりすいかの消費量が減少したこと、2002年、2003年のすいかの出荷時期の天候不良等による消費不振があったこと等による。日本への主要輸出産地は、韓国南部地域の慶尚南道の産地が多い。

 日本への輸出は、韓国全体のすいか生産量と比較するとごく僅かであり、また日本の品種を輸出用に栽培しているのではなく、韓国品種を栽培している。主な産地であっても、輸出用栽培を計画的に行うという意識はなく、条件が合えば日本市場へ出荷するというものがほとんどである。しかし、日本市場へ積極的な輸出を行っている慶尚南道の農協では、「甘すいか(韓国品種)」が日本において好評であったことから、今後輸出を進めたいとの話であった。

 

 
単棟ビニールハウス外観
 

 
品種:タンビ(韓国品種)

(1)栽培状況

 単棟ビニール温室の多重被覆による保温によって土耕栽培を行っている。

(2)輸出動向

 農協が貿易会社と契約を結んでおり、生産者は全量農協へ出荷している。

 日本への輸出規格は10kg/2個で糖度12度以上のもの。全出荷量に対して輸出量は5%である。

 契約単価は180円/kg~200円/kgで、日本市場価格に伴って変動している。

(3)今後の動向

 栽培面積の減少、栽培品種が韓国品種で日本の品種と違うこと、2003年4~6月の韓国の国内市場価格が高く推移したこと、などから今後対日輸出が増加することはないと思われる。しかしながら、ある農協ではパンフレットを作成して日本にて広報活動を展開しており、また「甘すいか」という糖度12度以上の品種は以前日本で好評であったということから、日本の市場価格いかんによっては、ある程度の数量は輸出されると見込まれる。

 

5.まとめ

 韓国国内用の品種と日本輸出向け品種が同じであるミニトマトやすいかは、韓国国内価格と日本市場価格の動向により、輸出量は増減すると考える。

 きゅうりやなす等のように日本輸出向け品種と国内用品種が異なる品目は、日本市場の価格が安かった時や日本企業からの要求数量が減少した場合、韓国国内市場へ出荷しても値段が安くなってしまう。韓国では、2年連続で韓国の市場価格が高く推移したことから、輸出用品種栽培農家からやや不満の声も上がっており、輸出用品種の栽培面積は減少傾向にある。したがって、きゅうりやなすの今後の輸出量は減少すると考える。

 パプリカについては韓国の需要がまだ少ないことから生産が安定的に行われている。今後の輸出については、2003年にオランダ産のパプリカで植物防疫上の問題により一時期対日輸出ができなく、韓国産の引き合いが強かったこと、夏期出荷の産地が定着してきていることなどから、横ばいもしくはやや増加すると考える。

 いちごについては、日本の育成品種(「レッドパール」、「章姫」等)の品種育成権等の問題から、韓国産いちごの対日輸出は昨年から大幅に減少している。このため、韓国では、独自に韓国新品種として「メイヒャン(苺香)」と「チョウホウ(早紅)」の育成に成功した。しかし、国立釜山園芸試験場によれば、都市部を中心として「レッドパール」が70%、「章姫」が20%、と日本品種の人気が高く、まだしばらく韓国品種の普及には時間がかかるとのことで、いちごの対日輸出数量が急激に増加することはないと考える。




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