調査情報部 調査役
河 原 壽
(1)野菜輸出の動向
「中国海関統計」によれば、野菜の輸出数量は1992年に約1,370千tであったが、2002年には4,624千tと約3.4倍となっており、輸出金額も、1992年に約1,089百万米ドルから、2002年の約2,595百万米ドルと約2.4倍に増加している(除く、かんしょ)。類別でみると、生鮮野菜、冷凍野菜、トマト加工品、その他調整野菜の増加が著しい。2002年の類別輸出数量の構成比率をみてみると、生鮮野菜(生鮮果実的野菜を含む。)が54.7%、冷凍ほうれんそうの残留農薬問題により対日輸出量が大幅に減少した冷凍野菜(冷凍果実的野菜を含む。)が9.4%、塩蔵等野菜が5.0%、乾燥野菜が4.1%、酢調製野菜が0.3%、トマト加工品が8.3%、その他調製野菜が18.3%となっている。
生鮮野菜における主な輸出先国を数量ベースでみると、日本以外ではインドネシア、マレーシア、シンガポール、ベトナム、韓国等のアジア地域への輸出量が大幅に増加し、オランダ等のヨーロッパ地域や、アラブ首長国連邦等の中東地域などへの輸出量も増加している。ロシアとの国境貿易は減少傾向であったが、近年再び増加傾向に転じている。一方、かつては主要な輸出先国であった香港への輸出は若干の増減を繰り返しつつ変動し、現在飽和状態にある
日本への野菜輸出の全体数量は、2002年において残留農薬問題により大幅に減少したものの、生鮮・冷蔵野菜(生鮮果実的野菜含む。)及び冷凍野菜(冷凍果実的野菜含む。)が大幅に増加し、1992年の419千tから2002年の1,193千tへと2.8倍に増加し、輸出金額も1992年の455百万米ドルから2002年の1,038百万米ドルへと約2.3倍に増加した。これを総輸出に占める日本の割合でみてみると、残留農薬問題等により、数量の割合が約31%から26%へと減少し、金額の割合も42%から40%へと減少しているが、概ね、数量で3割強、金額で5割程度を占めている。
中国農業部によれば、対日本野菜輸出の主な輸出用野菜の産地は、山東省、広東省、江蘇省、遼寧省、浙江省、福建省とのことである。また、山東省農業庁によれば、2001年の山東省の野菜輸出量は105万tであり、これは中国の全野菜輸出量の27%を占めているとしている。
表11 類型別輸出数量及び輸出金額
(単位:1,000t) (単位:100米ドル)
資料:中国海関総署『中国海関統計年鑑』
表12 生鮮野菜地域別輸出
(単位:トン、%)
資料:中国海関総署『中国海関統計年鑑』
表13 生鮮野菜主要国別輸出
(単位:トン、%)
資料:中国海関総署『中国海関統計年鑑』
表14 類別対日輸出数量・金額及び輸出総量に占める割合
(単位:t、1,000米ドル、%)
資料:中国海関総署『中国海関統計年鑑』
図8 類別対日輸出数量・金額の輸出総量に占める割合の推移
また、山東農業機械科学研究所 孫 衆沛 氏(注12)によれば、2001年における「輸出数量の多い上位5位の省区は、山東省(92.5万t)、広東省(51.7万t)、福建省(42.7万t)、新疆ウイグル自治区(16.8万t)、浙江省(16万t)」であるが、これを輸出増加率でみると、「上位5位の省区は、黒龍江省(145.4%)、海南省(129.5%)、新疆ウイグル自治区(112%)、寧夏回族自治区(78.2%)、内蒙古自治区(73%)」である。「輸出の増加率に着目すると、中部(31.1%)と西部(24.63%)は、東部(24.57%)よりも高く」、「2001年、わが国の野菜加工業は更なる発展をし」、「多くの地方では、農業産業構造の調整に伴い、期せずして野菜加工業が重点とされた。野菜加工の生産量は増加し続け、輸出量も拡大し続け、資金の投入も強化され続けている。多くの企業は、新たに大型野菜加工生産ラインを設け」、「わが国の野菜の生鮮貯蔵能力は、すでに商品量の25%を占め」、「わが国の中西部の野菜加工業の発展の速度は、東部沿海部の省の発展の速度を大幅に超えている」とし、米、小麦等の食料作物から野菜等への転換を図る農業構造調整により、近年、中・西部における輸出用野菜生産が拡大している模様である。
5 野菜産地の動向
(1)輸出野菜産地の形成
輸出野菜産地は、中国国内の野菜消費の多様化と周年供給の拡大とともに進展し、1990年代後半の日本などへの輸出拡大により大きく進展した。
輸出公司の輸出野菜及び輸出加工野菜原料の調達方法においては、概ね、ア 産地市場や産地商人による買付け、又は、農家から直接買付け、イ 自社生産基地、ウ 契約栽培、エ 地方政府等による農場建設、に分類され、輸出野菜産地はこのような野菜輸出公司の輸出用野菜調達方法を通じて形成されている。
ア 産地市場や産地商人による買付け、 農家からの直接買付けによる産地形成
農民が、国内需要の増加及び輸出の増加にあわせて自分の農地の範囲内(農民間の賃貸借を含む)において栽培し、産地卸売市場、産地商人などを通じて国内・輸出向けに販売する野菜産地が形成されている。
このような産地においては、ごぼう、日本種ねぎなど中国国内での消費が少ない品目の産地では輸出野菜産地が形成され、キャベツ、たまねぎなど中国国内での消費が多い品目の産地では国内向けに出荷するとともに、輸出向けにも出荷される野菜産地が形成されている。このような場合、野菜産地に隣接する野菜加工公司においては、直接、農家から買付ける場合もある。
中国国内の消費量が多く、広く中国で栽培されているものの特定の地域において大産地が形成されている にんにく、しょうが等、中国国内の消費量は少なく、主に輸出用に特定の産地で栽培されているごぼう等では、輸出公司は「自社生産基地」などによる産地形成をする必要がなく、卸売市場、産地商人、農家からの買付けも広く行われている。
イ 自社生産基地による産地形成
公司などが、農民からの直接の賃貸借や鎮政府等の地方政府の仲介により賃貸借した農地を公司職員が直接耕作し肥培管理を行う、または、農家などを農業労働者として雇用・耕作させ、公司が肥培管理を行う「自社生産基地」と呼ばれる野菜産地が形成されている。冷凍野菜などを取り扱う比較的規模の大きい輸出公司が主に行っている産地形成方法であるが、国内・海外向けを問わず生鮮野菜などを取り扱う比較的規模の大きい公司や、高度な肥培管理が要求される有機野菜や農薬・化学肥料の使用を制限される緑色野菜が栽培される場合にも広く行われている。
ウ 契約栽培による産地形成
「契約栽培」は面積契約や買取契約などに基づき栽培されるものであるが、契約栽培による産地形成では、既存の野菜栽培の多い地域の農家を輸出公司などが取りまとめて契約を行い、種子提供(販売)や栽培等の技術指導などを行うことにより輸出野菜産地が形成されたものと、公司等が他作物栽培地域においてそのイニシアティブのもと種子等の生産資材や技術指導などを提供することより輸出野菜産地が形成されたものがある。規模の大小を問わず、輸出で要求される品質や規格を充たした野菜を安定して確保するため広く行われている。
エ 地方政府等の農場建設による産地形成
旧来の国営農場における大規模野菜栽培農場が輸出野菜産地となったもの、中央・地方政府が行った大規模干拓事業などによる農場建設により形成されものである。
(2)周年供給体制の確立
以上のようにして、農業労働力一人当たり耕地面積が約30aという零細経営のなかで、輸出公司(会社)を核として輸出野菜産地が形成されてきたが、経済発展に伴い、高速道路、冷蔵施設、日光温室に代表されるビニール施設などにより、河北省、吉林省、遼寧省、黒龍江省、内蒙古自治区等の東北地域、山東省等の華北地域、上海市、浙江省等の華中地域、福建省等の華南地域や中部・西部地域等の野菜産地により、野菜の周年栽培・供給体制が確立されている。
たまねぎ を例に取ると、6月とその前後に収穫される山東省及び1月~5月に収穫される福建省が主な輸出産地であるが、福建省の公司では冬季の福建省 ― 山東省・江蘇省 ― 内蒙古 ― 福建省の栽培・出荷体制により周年供給体制を確立しており、山東省の公司ではノツ西省西安市から買付けて輸出している。たまねぎ は、山東省等の輸出公司により中国の広い地域から集荷・輸出されている。
山東省の公司は、冬季の野菜産地である上海市、浙江省、福建省の野菜栽培公司や卸売市場から買付け、地元で販売、または、リパック後輸出しており、上海市の公司は、上海市において栽培・輸出するとともに、東北地域の吉林省、遼寧省、黒龍江省、南部地域の福建省に子公司(子会社)を設立し周年栽培・供給体制を確立している。
この周年供給体制により、公司は、地元地域で生産できない季節では域外の省での栽培、買付けにより野菜を集荷し、出荷・輸出が可能となっている。
(3)南北の省をまたがった生産・輸出公司の水平的提携関係の構築
また、近年では、集団公司などの経営規模の大きい公司において、地元での自社生産基地・契約栽培により農産物の量・品質・安全性の確保を図るとともに、業務の拡大と農産物の周年での量・品質・安全性の確保を図り、かつ、経営コストを節約するため、規模の大きい団地化した産地形成ができる域外(他省)の生産公司や規模の大きい専業農家(専業戸)と生産委託契約の締結を拡大している事例もある。南北の省をまたがった生産・輸出公司の水平的提携関係が構築されている。
(4)安全性をめぐる野菜産地の再編成
しかし、一方で、「市場准入制度」は国内出荷野菜産地を、「輸出野菜残留農薬検査制度」及び「輸出入野菜検査検疫管理弁法」は輸出野菜産地を再編成する大きな影響力を持つと考えられる。
ア 「市場准入制度」による野菜産地の再編成
先に述べたとおり、「市場准入制度」導入により、生産者・公司は、「無公害食品」認証制度に基づく「放心菜(無公害野菜)」として産地卸売市場及び消費地卸売市場へ出荷することが出来るが、産地卸売市場及び消費地卸売市場における残留農薬検査に違反すると「放心菜」の認定が取り消され、卸売市場に出荷できなくなる。
このことから、山東省の野菜産地市場の事例では、取扱量の多い買付人と野菜専門農家を選定し、その買付品及び入荷農産物の検査を通じ、「無公害農産物」生産の普及を図り、「無公害農産物生産基地」の確立を図っている。
一方、上海市に位置する消費地卸売市場では、毎日1品目について1商人から1kgのサンプリングで検査を行っている。しかし、現在の検査体制においては、検査には4時間を要することから、残留検査不合格農産物であっても販売されてしまうこと、多くの域外産地からの入荷が多いため産地名やブランド名が不明確である農産物が多く検査体制管理が難しいとしており、上海市内から搬入される農産物は上海市の厳しい監視制度の下で管理することは可能だとした上で、域外から搬入される農産物の管理を、今後は、産地又はブランドを指定することも考慮している。今後の域外産地は「市場准入制度」への対応の必要性から産地の再編成を余儀なくされると思われる。
上海市では、今後の流通対策として、現在50ヵ所あまりの卸売市場を、中核となる5卸売市場、10中規模卸売市場、10産地卸売市場に統合(注13)し、流通の合理化を図るとのことであったが、同時に、管理の徹底を図る意向もある模様である。
なお、検査違反商人については、関係法令に罰則規定がないことから、市の衛生局に通知して、衛生局の罰則が適用される模様である。市場の対応としては、違反産地等を公表している。
また、夏季は北方地域から入荷する青果物を主に華南地域等へ転送し、冬季は地元の施設(日光温室)野菜・南方地域から入荷する青果物を北方地域に転送する山東省寿光市産地卸売市場では、大規模卸売市場であることもあるが、省政府からの資金により検査センターを設立し、検査を行い、検査結果に問題があると出荷停止としている。そのサンプリング率は、地元及び省外のものから、各々1日1品目1kgのサンプリングであった。
以上のように、当該制度(卸売市場における検査制度)の導入は、現段階ではサンプリング率が低く、大きな影響を起こしていない模様であるが、長期的にみれば産地市場における検査体制を誘導し、「無公害野菜」としての産地を確立できない産地は淘汰されることから、中国国内出荷野菜産地の再編は不可避と思われる。
イ 「輸出野菜残留農薬検査制度」による野菜産地の再編成の可能性
検査は、ほ場単位で実施されることから小規模・分散ほ場では全体の検査費用が高額となり輸出コストの大幅な増加につながる。検査費用の低減のためには、ほ場の集約等の規模拡大が大きな課題となっている。既に、上海市の輸出産地では、輸出コストの削減等の方針から大規模農場への統合・再編を開始している。輸出コストの側面からも、輸出産地は統合・再編が進行すると予想される。
ウ 「輸出入野菜検査検疫管理弁法」による野菜産地の再編成の可能性
この法律で輸出用野菜は、一定規模以上で十分な栽培等の管理能力を持つ公司等のみが登録制の下で輸出野菜を栽培・輸出することができるとしており、この該法律が定める能力を持つ輸出野菜産地のみが生き残ることができる。
現段階でのこの法律の運用はかなり弾力的であるが、今後、この法律が定める輸出野菜産地の要件の有無において淘汰が生じることとなろう。
しかし一方では、このような国内出荷野菜産地、輸出野菜産地の統合・再編は、現在、一部の品目で見られるような輸出競争が軽減されるとともに、セーフガードの暫定措置を招いた「無秩序な輸出」が抑制され、適正な輸出価格に基づく輸出が期待される。
(5)今後の野菜輸出環境の見通し
ア 生産コストの上昇
しかし、現在の段階では、一部地域では、産地卸売市場及び消費地卸売市場における「市場准入制度」の導入は、入荷量の大幅な減少を招くことが予想されることから、今後、時間をかけて段階的に導入する模様であり、「輸出入野菜検査検疫管理弁法」においても、一部地域では、「野菜基地の栽培面積は300ム以上」をその影響の大きさから2003年は「100ム」で運用している。また、スポット輸出(輸入国の価格高騰による輸出注文)においては、事後的に輸出地域の土壌検査等の産地検査を行い、残留農薬検査に合格すれば輸出許可を出す等の弾力的運用を行っている場合もある。2002年の輸出価格をみると、品目構成の変化もあるが、中国側コスト上昇は、以上の制度の弾力的運用、現在の日本経済の停滞状況、一部の品目における中国輸出公司の過当輸出競争からこれを輸出価格に転化しづらい状況にあり、輸出価格への直接的な影響は出ておらず、逆に低下傾向である。
表15 中国類別輸出価
(単位:米ドル/t、%)
資料:中国海関総署『中国海関統計年鑑』
この背景として、山東農業機械科学研究所 孫 衆沛 氏は「野菜の輸出市場の多元化の進展が遅く、野菜加工企業は同一区域内において市場を奪い合い、国内での競争が激しくなり、輸出単価も絶えず下落している」と指摘されている。(注12)
しかしながら、長期的に見れば、国内流通においては安全性を求める「市場准入制度」等による国内流通コストの上昇とその帰結としての国内価格の上昇、輸出においては「輸出入野菜検査検疫管理弁法」による栽培管理コストの上昇、輸出農産物検査による輸出コストの上昇から輸出価格の上昇が予想される。
イ 生産コストの上昇による賃金水準下落
中国の人口12億人のうち社会労働者数6億人、そのうち4.4億人は農村に在住し、さらに、このうち1.2億人が「余剰労働力」といわれている。(注3)
このため、中国中央政府は、「中華人民共和国農村土地請負法」(2003年の3月1日施行)の改正により、農民の土地請負(耕地利用権(注14))に対する権利をより強化し、地方における小都市の建設・雇用機会創設、小都市等へ移動した農民に引き続き在村時の耕地利用権を認め、地代等の収入を保障する生活保障としての耕地利用権を認めることで農村余剰労働力を吸収する政策を推進している。
しかし、相当の期間において地方における小都市による農村余剰労働力の吸収は難しいと思われる。
これまでの現地調査では、出荷調製加工場における労賃は、山東省、福建省で約20元(女工、8時間/日)、工業の発達している浙江省で30~40元(同)であった。近年において、この水準は上昇していない模様である。なお、労働者の出身地は、近隣の農村やら安徽省等の他省の農村部が多い。
山東省の賃金水準が経済的に貧しい西部地域(澤市)から比較的豊かな東部地域(莱陽市)に至るまでほぼ同程度の水準であったことと、1億人を越えるといわれる「余剰労働力」を考えると、中国西部地域、中部地域、東北地域からの労働圧力は、工場労働者賃金への強力な下方圧力として今後も影響することが推測される。
中国農業部「の 光明 氏は、最近の中国通貨「元」の切り上げ問題について、「切り上げによる輸出価格の上昇分は、労働者賃金や生産者価格の低下によって相殺され、労働者の供給地域である農村の一層の貧困化が懸念される」と指摘されているが、安全性をめぐる生産コストの上昇、その結果としての輸出価格の上昇は、同様に、出荷調整加工場などの労働者賃金や生産者の契約価格の低下でもって相殺される可能性も否定できない。
以上のように、「市場准入制度」は国内出荷野菜産地を、「輸出野菜残留農薬検査制度」及び「輸出入野菜検査検疫管理弁法」は輸出野菜産地を再編成する大きな影響力を持ち、かつ、検査費用等の追加コストにより生産コストの上昇が考えられるが、一方で、1億人を超える「余剰労働力」による労働賃金、生産者価格の低下圧力は、生産コストの上昇分を吸収してしまうほどの力を秘めている可能性も否定できない。
6 野菜消費の動向
中国における年間の1人当たりの穀物、食油、猪牛羊肉、家禽、水産物農産物の消費量は、1995年以降において、穀物では減少傾向が継続し、農村部における家禽の消費量が飽和傾向であるが、農村部及び都市部における食油・猪牛羊肉・水産物、都市における家禽の消費量は増加傾向となっている
一方、野菜の消費量は、はくさいなどの重量野菜の消費が主体であった1990年では農村部134.1kg、都市部138.7kgであったが、2002年では農村部110.6kg、都市部116.5kgと大幅に減少している。しかし、農村部では1995年以降増加傾向となっており、都市部においても近年では減少傾向から増加傾向となっている。
野菜、果実の生鮮食料品においては、生産面では生産基地の建設を重視し、流通面では流通機構や価格対策を行う「菜タコ子工程」と呼ばれる生鮮食品対策が行われている。生産基地・卸売市場などの建設・整備や生産・流通における各種税制面での優遇政策や特定野菜産地に対する卸売手数料の緩和などが行われている。
野菜の消費は、このような政策や経済発展による所得向上を背景として、品種改良の進展やブロッコリーなどの外来野菜が導入され、消費される野菜の種類が多様化すると伴に、生野菜の消費の増加やカット野菜、小包装菜と呼ばれるパック野菜など野菜消費の形態も多様化している。
表16 都市部、農村部における1人当たり消費量
(単位:㎏)
注)東部地区:北京、天津、遼寧、上海、江蘇、浙江、福建、山東、広東、海南
中部地区:河北、山西、内蒙古、吉林、黒龍江、安微、江西、湖南、湖北、広西、河南
西部地区:四川、雲南、貴州、西蔵、陜西、甘肅、寧夏、青海、新疆
資料:中国農業発展報告
(注12)孫 衆沛 「蔬菜加工業」「中国農産品加工業年鑑(2002)」
(注13)大河内 睦 「野菜の生産と流通の現状と課題に関する日中共同研究」
「現地視察報告」(株)日本能率協会総合研究所
(注14)耕地利用権
1978年の農村改革における「農家生産請負制」の導入により、現在では、「村」を単位とする集団所有制を前提とした家族経営制となっている。さらに、現在の個別農家における営農は、「村」による集団所有制の下において、「村」から耕地利用権が分配された耕地において家族経営により行われている。
(参考文献)
菅沼 圭輔 「市場経済化に向けた土地利用システムの模索」
「土地を生かす英知と政策」 第4章 (社)農山漁村文化協会
菅沼 圭輔 「農業の制度的諸問題」
「中国の農林業 ― 現状と開発の課題 ― 1996年版」第4章 (社)国際農林業協力協会
光明 「中国における生態環境と調和した農業発展の模索について」