野菜 野菜分野の各種業務の情報、情報誌「野菜情報」の記事、統計資料など

ホーム > 野菜 > 野菜の情報 > 2 首都圏の需要を中心とした11月の見通し

需給動向 野菜情報 2026年11月号

2 首都圏の需要を中心とした11月の見通し

印刷ページ
野菜業務部・調査情報部
 9月の気象情報は、東京都心では、観測史上初めて1ヵ月間毎日雨(降水)を観測し、異例の秋の長雨となった。一方、九州や四国では8月までは強めの干ばつであった。この時期は、秋冬野菜の播種(はしゅ)時期のため、出荷時期が後半にずれ込むことが予想される。果菜類は、苗の時期に高温になると、着果が悪くなりがちである。10月末から11月は、東北・北海道産が終盤となり、日々出荷量が減ってくる。暖冬予報からこれらの北産地や高原物が長く出荷されることを期待したい。11月は、関東の重量野菜が大幅前進する傾向が強く、市場では荷動きが悪くなりがちである。しかし今年の晩秋から初冬は、降雨の影響により全般的に入荷が安定せず、品目によっては入荷量が少なく、年明けまで高値傾向で推移すると予想される。
 
タイトル: p026a
 だいこんは、北海道(道央)は7月の雨で根腐れが発生し、歩留まりが悪くなっており、令和8年産は平年作を下回ると予想される。出荷のピークは10月中旬までで、その後は減少し11月15日ごろまでの出荷となる。青森産の秋冬だいこんは、平年作を若干上回ると見込まれる。9月には一部で腐敗も発生したが、10月中・下旬が出荷のピークとなり、11月には減少するものの、気温が高めであれば、中旬まで出荷が継続すると予想される。千葉産は、約1週間遅れの10月下旬から出荷が始まると予想される。11月中旬までは例年通りの出荷でその後は減少し、出荷の谷間になると予想される。神奈川産は、約10日遅れの10月20日ごろから出荷が始まる。長雨のため9月に播種が思ったようにはかどらず、年内の出荷は少なめと予想されるが、10月に入り一斉に播種が進むと、年明けに急増する可能性も見込まれる。徳島産は、10月25日ごろからの出荷が予想される。播種は干ばつが終わって降雨のあった9月9日ごろから始まったため、12月20日ごろが出荷の最大のピークと予想される。作付けは前年並みである。
 
 にんじんは、北海道(道央)の羊蹄山麓の産地は、今年は平年作で出荷のピークは10月20日ごろまでで、11月初めごろまではほぼ一定ペースで出荷されると見込まれる。北海道(道東)は、8年産は豊作で、現時点(10月初旬)で出荷のピークとなっている。出荷は、11月上旬までと見込まれる。青森産の秋にんじんは10月2週目から出荷開始し、ピークは10月下旬から11月中旬と予想される。生育は順調で、平年作と見込まれる。品種は「べによし」で、サイズは、当初はMが中心で、ピーク時以降はLが中心となると見込まれる。千葉産は、若干遅れての11月初めからの出荷開始が見込まれる。8~9月の豪雨により、圃場(ほじょう)が冠水し、苗が流されたため、出荷量は3~4割減になると見込まれる。目下のところ、蒔き直しの予定はない。現時点で、いまだに水たまりが残っている圃場もあり、被害がさらに膨らむことも予想される。長崎産の冬にんじんは、例年並みの11月上旬からの出荷開始が予想される。播種は8月初めから行われ、生育は順調で、出荷のピークは11月中・下旬から年内いっぱいと見込まれる。サイズは、L・M中心と予想される。
 
タイトル: p026b
 キャベツは、岩手産は、10月上旬は計画の8割程度だが、中旬には回復して出荷のピークとなる。その後は出荷の終盤に向かうが11月10日ごろまでは出荷が見込まれる。11月は前年並みが予想される。群馬産は、10月初めの出荷量は、雨で定植できなかった時期のものであるため減っているが、中旬には再び増え、11月上旬にほぼ終了してくると予想される。やや小ぶりに仕上がっているため、出荷量は平年をやや下回っている。千葉産は、11月5~10日ごろの間に出荷が始まると予想されるが、最大で2週間の遅れが見込まれる。発芽もいま一歩の状況で、定植も遅れているため、年内までの出荷量は少ないと予想される。神奈川産は、約10日遅れの11月上旬から出荷が開始すると見込まれる。定植作業が進んでいないため、年明け1月いっぱいまでは例年の半分程度の出荷と見込まれる。茨城産は、例年よりやや遅めの10月初めから出荷が開始した。台風や長雨などから播種後に苗が流されたり、圃場が冠水したりするなどし、かなりの不作が予想される。11月としては例年の半分程度の出荷で、年内は少ないままで推移すると見込まれる。愛知産の出荷開始は、平年並みの10月12日からと見込まれ、10月の天候次第では、11月としては若干の小玉傾向が予想され、出荷は、平年を若干下回ると予想される。
 
 はくさいは、茨城産は定植はされているが、出荷開始時期の予想が難しい。例年は10月末ごろからであるが、現時点(10月初旬)では降雨で苗が流され、冠水した圃場もある。10月の天候次第であるが、当面のピークは後ろにずれて、11月中旬ごろからと予想される。長野産の出荷は、標高800メートル地帯の圃場からで、現時点では前年を下回っているが、10月からは前年を上回り11月には終盤を迎え、20日ごろまでの出荷が予想される。サイズはLの6玉が中心と見込まれる。
 
 ほうれんそうは、岩手産は、天候不順と農家戸数減少の影響により、出荷量は前年の5%減となっている。10月中旬の連休明けから増え、11月20日ごろまでの出荷と予想される。11月としては少なかった前年を上回る出荷が予想される。群馬産の高原の雨よけ物は、10月に切り上がり、露地物は播種した物が雨で流されたため、11月初めごろまで出荷が少なくなると見込まれる。10月に入っても降雨が長引けば、11月中旬以降もかなりの減少が予想される。群馬産の平野の産地の出荷は、日照不足のため株の太りが悪く、例年の3分の2程度の出荷となっている。10月下旬ごろには回復し、11月中旬から年内いっぱいが出荷のピークと予想される。露地作は播種が遅れて11月の出荷は見込めず、11月の出荷は前年を下回ると見込まれる。栃木産は、9月に入り収量が落ち込んだ。高原産地であるため気温低下が早く訪れ、ハウス物の発芽不良は少なかった。市場価格が高く、農家は細く仕上がった物を通常の倍の株数でまとめて出荷しており、当面は同様の状況が続くと予想される。価格が高いため、農家のモチベーションが高まり、12月上旬ごろまで出荷が継続すると見込まれる。
 
 ねぎは、青森産はほぼ平年並みの9月末から10月10日ごろまでが出荷のピークで、その後は減りながら推移して11月には少なくなり、11月25日~12月初めの間の降雪で切り上がる。出荷量は、不作であった前年を上回ると見込まれる。茨城産は、10月初旬に晴れの日が増えれば、10月中旬には平年並みに回復することが見込まれる。この秋冬物のピークは、平年並みの12月~翌1月と予想される。千葉産の秋冬ねぎは、多雨により冠水した圃場や、欠株も発生している。年内から春の時期まで、2割減の出荷で推移すると見込まれる。群馬産は下仁田ねぎ、上州ねぎ、長ねぎが2:6:2の比率で出荷される。作柄は平年作であるが前年より良好で、年内の出荷量は12月をピークに前年を上回ると見込まれる。
 
 ブロッコリーは、埼玉産は長雨の影響により例年を下回る出荷が予想される。それでも早く定植した物の出荷が10月下旬から始まって11月上旬に増え、11月いっぱいは一定程度の量で出荷が続くと見込まれる。12月中旬から1月に出荷される物は、定植が計画通りできていないため、出荷量は3分の1程度に減少すると見込まれる。香川産は、8月までは干ばつで、9月には降雨が続いたことにより、圃場の物が傷んだ。それでも、11月の出荷は増えながら推移し、12月がピークになると予想される。しかし、年明け2月は特に少なくなると予想される。愛知産は、出荷のピークが年明けから2月までの産地であるが、出荷は平年並みの10月20日から始まり、11月は平年並みで、12月に少なくなる時期があると予想される。
 
 レタスは、茨城産は、天気の回復が予想よりも大幅に遅れて大玉になる物が少なく、かつ品質が良くない。11月上旬には、軽い物でも出荷せざるを得ない局面が続き、出荷は回復に向かうと見込まれるが、12月中は少ないと予想される。静岡産は、9月に長雨が続いたことから、圃場における定植の準備が遅れた。出荷は平年並みの10月下旬から開始するが、年内は前年を割り込む出荷が続くと見込まれる。兵庫産は、それまで干ばつが続いていたが9月に入りまとまった降雨があり、作付けはできている。10月中旬の連休明けから出荷開始するが、11月は平年を下回ると予想され、年内は日々の出荷のばらつきが大きいと見込まれる。長崎産は、定植が高温と干ばつで遅れて8月の盆明けにずれたため、10月10日過ぎから出荷が開始し、11月は前年を下回り、12月が年内最大の出荷ピークになると見込まれる。作付けは前年並みで、生育そのものは順調である。
 
タイトル: p028
 きゅうりは、埼玉産の抑制物は天候の関係で出荷が遅れており、10月中旬ごろにピークとなり、11月10日過ぎにはかなり減少してくると見込まれる。越冬物も始まるが、量的にはそれほど多くなく、11月としては前年を下回ると予想される。高知産は定植作業が進行中であるが、10月中旬から出荷が始り、11月下旬に出そろい、年末年始が当面の出荷のピークと予想される。前年は高温障害で問題が多かったが、今年は順調である。作付けは、農家の高齢化や燃料代の高騰で前年の94%と減っている。宮崎産は、9月末ごろから出荷が開始し、10月に増えてきて、11月中旬から年内いっぱいがピークになると見込まれる。8月までは干ばつであったが、9月に入り降雨があり、下旬からは好天が続いたため、作としては順調に推移すると予想される。
 
 なすは、高知産は現時点(10月初旬)で例年並みに出荷開始しているが、天気が悪く朝晩に冷え込み、出荷がペースダウンする兆しはあるが、生育は順調で10月は増量し、11月は平年並みの出荷が予想される。福岡産の冬春の長茄子は、例年並みの9月28日から出荷を開始した。天候は曇りや雨の日が多く、樹の状態は良くない。出荷のピークはやや遅れて11月に入ってからとなり、年内の出荷量は、順調だった前年の9割程度と予想される。
 
 トマトは、青森産は10月いっぱいでほぼ出荷の終盤を迎えるが、若干の農家が12月上旬まで出荷すると見込まれる。今年は、前年より天候が悪く、着果不足などで平年作を下回った。愛知産は、現時点で冬春物は始まっているが、本格出荷は10月中旬からと予想される。長雨の影響で遅れ気味であり、11月は前年を下回ると予想される。花が飛ばされたりしたほか、樹の状況もやや細く軟弱である。福岡産の冬春トマトは10月に入り少しずつ出荷が始まり、11月から本格化し、年内のピークは12月である。ほぼ例年並みの展開で、生育は順調である。産地は9月に入り気温も下がり、生育環境は良好である。資材の高騰により、トマトの作付けを取りやめる農家があったため、作付けは減少している。品種は「桃太郎ブライト」、「TYプリマドンナ」である。熊本産は、平年並みの10月初めから出荷開始し、ピークは11~12月と予想される。大玉からミニトマトへの転作が増えている。北海道(日高)の産地は、現時点で出荷のピークは過ぎており、最終出荷は11月上旬までとされる。
 
 ミニトマトは、熊本産の冬春物は、9月22日から選果を開始した。定植後に干ばつはあったが、生育は順調である。現時点では出そろっていないが、ほぼ例年並みの進捗で、11月後半には出荷のピークになると予想される。和歌山産の冬春物は、9月末に出荷が始まったが、ごく初期の物は暑さの影響で着果が悪い。出荷が増え始めるのは12月に入ってからで、作としては年明けから6月いっぱいまでであるが、3~5月が最大の出荷ピークである。
 
 ピーマンは、茨城産の秋ピーマンは8月までは前年の出荷量を上回ったが、9月には減少し、11月も平年を下回る出荷が続くと予想される。大雨で冠水する圃場もあり、さらに樹の状態も芳しくないため、年末までは例年を下回る出荷が続くと見込まれる。千葉産の赤ピーマンの専作の周年産地は、ほぼ前年並みの出荷量で9月までは順調であり、11月に入ると徐々に減ってくる。岩手産は、9月下旬に気温が下がり出荷は落ち着いてきた。露地作の出荷は10月で終了し、その後はハウス物が11月中旬まで継続すると予想される。前年は後半に盛り返して出荷が多かったため、今年は前年を下回ると予想される。福島産は、今年は秋の長雨が例年より長く続き、やや作柄は低調である。出荷量は前年の8~9割と少なめである。このまま10月末まで推移し、11月はかなり少なくなると見込まれる。高知産は、出荷は例年並みで、11月に入ってから出荷量が増えて一定のペースが続き、12月には増えながら推移すると見込まれる。樹の状態についても、特別問題はない。宮崎産の冬春ピーマンは、年内の出荷ピークは11月に入ってからで、出荷量は平年並みと予想される。作付けは前年並みである。
 
タイトル: p029a
 ばれいしょは、北海道産(道央)の羊蹄山麓の産地では収穫はほぼ終了したが、平年作で、3月まで計画的に販売していく。「男爵」は前年を若干下回ったが、「きたかむい」が前年の120%と増えた。新品種の「ゆめいころ」は、前年並みの出荷が予想される。
 
 たまねぎは、北海道産は10月初めの段階で収穫はほぼ終了したが、豊作基調で前年より約2~3割増と見込まれる。年明けから4月ごろまで、計画的に出荷される見込みである。兵庫産は、11月からは長期貯蔵物の出荷となるが、若干小玉傾向のため、例年よりやや少なめの出荷と予想される。
 
 さといもは、新潟産の「五泉のさといも」は平年並みの10月13日の週から出荷が始まり、ピークは12月であるが、年明け3月までの出荷が計画されている。作柄は平年並みで、少なかった前年を上回る出荷が予想される。福井産は、「越前さといも®」、「上庄さといも®」となるが、11月がメインの販売で、12月下旬もやや多く出荷される見込みである。今年の作柄は豊作ではないが、やや良といったところである。品種としては「土垂」系である。
 
タイトル: p029b
 セロリ(セルリー)は、静岡産の露地物は例年並みの11月中旬から出荷が始まり、ハウス物は12月初めごろからの開始が予想される。8月に定植し、初期生育は順調であったものの、長雨と暑さから今後は根腐れが心配される。
 
 カリフラワーは、福岡産は、8月までの干ばつの影響により定植が遅れたが、生育は順調で、出荷開始は11月10日前後と予想される。その後、年明けから3月まで出荷の継続が見込まれる。作付けは前年並みである。前年は大雨の影響で出荷が少なかったため、前年を上回る出荷量が予想される。
 
 かぼちゃは、北海道産(道北)は、現時点(10月初旬)で収穫が終わったところである。8月の干ばつでダメージを受けており、農家ごとの仕上がりのばらつきが大きい。12月中旬までコンスタントに出荷されると予想されるが、今後、腐れや傷果などを取り除いて選別するため、出荷量の予想が難しい。現時点では前年を上回るものの、平年には届かないと予想される。
 
 かんしょは、石川産の「五郎島金時®」の令和8年産については、豊作というほどではないが、数量的には十分にある。8月中・下旬から出荷開始し、年明けから5月下旬まで計画的に出荷していく。サイズはM中心である。
 
 ごぼうは、茨城産の「芹沢のごぼう」が11月に徐々に増えて12月がピークと予想される。ほぼ平年作であり、Mサイズの4キログラムポリ袋の荷姿で荷される。
 
 れんこんは、茨城産は10月に続き11月も平年並みの出荷が予想される。台風で葉が損傷するといったこともなく、順調である。
(執筆者:千葉県立農業大学校 講師 加藤 宏一)