今年の夏の気象は、昔に戻った印象であった。東北・北海道は比較的涼しく、西日本は猛暑が長く続き、さらに降雨も少なかった。関東も暑い日はあったが、前年までのような酷暑ではなかったため、農家がハウスへ向かう回数も増え、栽培管理も行き届いたに違いない。果菜類は、抑制ものも夏秋ものもいずれも問題なく出荷されるであろう。8月11日に逆走して関東から上陸した台風15号は、
播種や定植の時期を乱す要因になるかと心配したが、一時的な傷果の発生や出荷の減少はあったものの回復した。現時点(9月初旬、以下同じ)では、9~10月は平年より気温が高い日が続き、生育は前進し、価格は低迷気味に推移すると見込まれる。一方、長雨など天候不順による品質の低下や、供給不足などのおそれも想定される。
だいこんは、北海道産(道央)は、7月に降雨が多く播種できなかったため、9月中旬の出荷は例年の半分程度まで落ち込むが、9月の連休ごろから回復し、10月中旬まで多く、10月いっぱいで切り上がると予想される。北海道産(道東)は、9月に入りピークを迎え、25日ごろまで多く出荷されると予想される。10月に入り徐々に減って、共販は中旬いっぱいで切り上がると予想される。青森産の秋だいこんは、平年並みに9月10日から東京出荷が始まり、出荷のピークは9月下旬から10月上旬であり、11月上旬には終盤を迎えると予想される。作付けは前年並みである。千葉産は
海匝の産地からとなり、早い農家で10月5日ごろから出荷が始まると予想される。出そろうのは20日前で、気象の影響もなく生育は順調である。
にんじんは、北海道産(道東)は8月下旬の降雨により肥大してきているが、全般に干ばつ傾向で推移した。例年通りであれば、9月中・下旬から10月いっぱいのピークが続くと予想される。北海道産(道央)の出荷のピークは、9月10日ごろから10月上旬と見込まれる。作柄は平年並みで、最終出荷は遅ければ11月初めごろまでと予想される。品種は「晩抽天翔」である。青森産の秋にんじんは、積雪の前に出荷を終了したいため例年より早めのスタートで、10月2週目から始まり、すぐにピークとなって10月いっぱい続くと予想される。出荷は11月下旬までで、作付けは増えている。
キャベツは、群馬産は生育の遅れが影響し、8月の出荷はやや少なめであった。8月末の段階では適度の降雨もあり肥大して回復し、9月に入り最大のピークを迎え、その後10月も横ばいで推移し、しっかり出荷できると予想される。茨城産は10月初めからの出荷となり、ピークは10月中旬から11月いっぱいと予想される。現時点で、定植は8割終了し、作業は順調である。10月としては前年を上回る出荷と見込まれる。岩手産の7~8月は天候不順で、生育は緩慢であった。8月末の段階でいったんは回復しかけていたが、その後の気温の低下で止まっている。特に7月下旬に定植したものは9月後半での出荷は少なく、10月には増えて前年並みかやや多く出荷できると予想される。これは作付けが増えているためである。千葉産は例年より若干早めの10月5日から出荷開始と見込まれる。台風15号が近くに上陸したり、曇雨天が多かった影響で苗の生育が遅れたが、10月25日ごろから出荷がまとまり、出そろってくるのが11月5日ごろと予想される。
はくさいは、長野産のピークはこれからで、10月は標高900~1000メートル地帯の
圃場からの出荷となる。11月には切り上がり、量的には前年を上回ると予想される。
ほうれんそうは、岩手産の今年の天候は、暑かったりやや低温となったりと不安定だったため、出荷はやや少なめの状況が続いている。10月の出荷物は着実に播種されており、9月末ごろから10月にかけてがピークと予想される。10月初めごろには稲刈りの作業があるため、一時的に出荷が減少する場面も想定される。群馬産は、9月いっぱいは雨除け物で、露地は10月下旬から本格化すると予想され、10月上旬の出荷は少ないと見込まれる。栃木産は、日光高原からの出荷となり、現在までは例年よりやや多めの出荷となっている。雨がやや多いが、気温はここ数年では低く、生産は安定している。暑さにより種が発芽しないということもなく、豊作で価格が下がり、秋口に他産地からの出荷も増えるとさらに下がることを農家は心配している。10月に入るとピークが来て、11月に入り徐々に減ってくると予想される。
ねぎは、青森産は現時点で出荷のピークとなっており、9月いっぱい続いて10月に入り少しずつ減りながら推移し、12月の初めごろまでと予想される。作柄は平年並みであり、春の干ばつの影響で若干細めの仕上がりである。そのため、出荷は前年を下回る可能性もある。茨城産の秋冬ねぎは、10月から本格的に出荷が始まると予想される。この夏の天候は過去数年の中でも涼しく、生育は非常に順調である。9月下旬にはレタスの作業がピークに入るため、やや出荷の伸びを欠くが、それでも前年を上回ると予想される。新潟産は、秋冬ねぎは例年通り10月初めからで、作付けは若干減少している。ピークは10~11月で、12月半ばには積雪に伴って切り上がると予想される。
ブロッコリーは、北海道産(道央)は7月中旬にピークが来て、その後は一定の出荷が続いて10月いっぱいと予想される。10月の数量はピーク時の半分程度であり、作付けは前年並みである。現在の生育は順調である。北海道産(道東)は、9月に入り一定の出荷が続いている。10月いっぱいまでの計画だが、9月は降雨が多くなるとの予報で心配される。
レタスは、茨城産は露地物で、9月下旬から出荷が始まり、10月に入り本格的に開始すると予想される。10月中旬から11月いっぱいがピークの見込みである。量的には前年並みと予想される。長野産は準高冷地の産地から出荷となり、天候の影響なく生育は順調である。9月上旬にピークが来て、減り始めるのは10月中旬ごろと予想される。栃木産は例年並みで、前年と同様9月10日前後から出荷開始が見込まれる。7~8月は高温でやや雨が多く遅れも見られたが、圃場では問題なく生育順調である。11月いっぱいまでの計画であるが、一部、年末から年明けまで出荷する農家もいる。群馬産は、9月上旬までは例年通り、増減を繰り返しながらやや少なめの出荷となっている。その後増えて来るが、天気が回復すれば例年並みの出荷となるが、降雨日が続くと例年を下回ると見込まれる。
きゅうりは、群馬産は抑制物で、9月に入り出荷が増え始めて彼岸ごろに出そろい、10月に入りピークとなると予想される。前年のような猛暑にならなかったことで、生育は順調である。病気も見られないが、8月末の段階では日照不足により葉が柔らかい。10月後半から11月は、減少しながら推移すると予想される。埼玉産は、無加温の抑制物の始まりは早かったが、前年に比べ気温が低いため、現在までは各農家の数量は前年を大幅に下回っている。9月の2週目から増えて、9月25日から10月が当面のピークで、12月までと予想される。高知産は、現時点でかなり早い農家の出荷は始まっているが、通常の9月上中旬に定植した農家の出荷は10月中旬から始まり、全体がそろってピークとなるのは12月に入ってからと予想される。
なすは、高知産は現時点で、一部の早い農家の出荷が始まっているが、本格的には平年並みの9月末から10月初めに始まると予想される。最初のピークは10月中・下旬と予想され、晴れの日が多く、生育は順調である。茨城産は、台風の影響により8月中旬の出荷が一時的に大きく減った。8月下旬には回復したが、傷果の発生など正品が減った。樹そのものは問題なく、露地作は10月いっぱいの出荷で前年を上回ると予想される。岡山産は、9月中旬から例年通り出荷が始まり、10月下旬にピークが来ると予想される。現在までは雨がほぼ降っておらず、ハウス内は
潅水はできているものの、高温過ぎて樹に元気がない。収益減により作付けは平年の85%と減って、すいかなどに転作している。福岡産の冬春なすは、平年並みに9月下旬から出荷が開始し、当面のピークは11月と予想されるが、今後の天候によっては10月に前倒しの可能性もある。日照時間が圧倒的に長く、生育は極めて順調である。作付面積は前年並みで、過去は減少傾向だったが、ここ2~3年は1人当たりの作付け拡大や若手の参入により下げ止まっている。
トマトは、北海道産(道央)は、7月の曇天の影響により花が落ちたため、9月に入っての出荷は減りながら推移するが、9月後半には下げ止まって回復し、10月には順調で平年並みかやや多めと予想される。切り上がりは平年と同様の11月30日ごろを予想している。8月までの出荷実績は低温気味に推移した影響で前年の90%である。群馬産の8月までの実績は、標高800メートル以上の高原地帯であるため、前年は猛暑の中でもしっかり出荷できたが、今年は雨が多いなどの天候不順の影響を受け、前年比で90%弱であった。一回目のピークは8月15日に来て9月初めごろに再びピークが来ている。出荷は11月上旬までの計画であり、今年は前年を下回ると予想される。茨城産は抑制物で、9~10月が出荷のピークである。今年も暑かったが前年ほどではなく、出荷は前年を上回ると予想している。ミニトマトの作付けが伸びており、大玉よりも出荷の伸びが大きいと予想される。千葉産の抑制トマトは順調で、現在、出荷量は日々増えてきており、ピークは9月下旬から10月と予想される。品種は「りんか®」と「TTM177」で、L・Mサイズ中心と予想している。青森産は、現在は花落ちした段に入ってきて着色が遅れており、9月いっぱい少ない見込みである。10月にはそれなりに増えて、少なかった前年を上回ると予想している。現在までは雨が多く、さらに気温も下がって病気の発生も懸念されるところである。現時点では平年通り11月までの出荷を予想される。
ミニトマトは、北海道産(道央)は9月1~2週の出荷が若干減るが、10月は前年よりも多く11月上旬までと予想している。北海道の雨の被害が報道されているが、当地としては災害が発生するレベルではなかった。総じて大きなピークなく、横ばいのペースと予想される。
ピーマンは、岩手産は生育が当初は遅れていたが、前年のように特別暑い日が続くことがなかったため、現在は平年並みまで回復してきた。8月の盆明け後は、東北に雨が多かったイメージあるが、実際のところはそれほど影響はない。9月下旬には減り始め、10月には稲刈り作業があって減少を早めるが、降霜するまで出荷は続く。10月としては平年並みで、暖秋、暖冬の長期予報により量的に多くなると予想している。茨城産の7月定植の秋ピーマンは、9月の彼岸ごろから10月をピークに年内いっぱいの出荷と予想している。10月中旬には温室ピーマンも始まり、作付けは前年並みと予想される。
ばれいしょは、北海道産(道央)の「男爵」は現在、収穫作業が始まったところであり、9~10月は一定の量で出荷され、平年並みを予想している。北海道産(道東)は、「男爵」と新品種「ゆめいころ」で、道内他産地と同様に不作であった前年を上回り、平年より多い見込みである。9月~翌3月までの販売で、10月からは「メークイン」や「キタアカリ」を適宜販売していく。北海道産(道東)の「メークイン」は、10月に入りピークとなり、年明け2月中旬まで続くと予想される。作柄は他産地と同様に豊作傾向で、L・Mが同割合で中心サイズと予想される。10月からの「マチルダ」は、道内での販売と予想される。
たまねぎは、北海道産(道北)は、現在、収穫作業は中盤を迎えている。作柄は豊作傾向であり、翌5月まで計画出荷していくが、9~10月の出荷が最も多いと予想される。サイズは、L大が中心である。
さといもは、埼玉産は例年通り9月2日から出荷が開始されると予想される。前年は猛暑が長く続いた影響で必ずしも作柄が良くなかったが、今年は高温はあったものの前年ほどでなく、作柄は良好である。「
土垂」中心に一部「
蓮葉芋」も出荷されると予想される。2Lサイズも予想より多く、10月としては前年を上回る出荷が予想される。
かぼちゃは、北海道産(道北)は現在収穫が始まったばかりで、東京市場への出荷はすでに始まっているが、本格化するのは9月に入ってからと予想される。当地は8月に入ってから干ばつが続いており、葉が枯れて果実に日焼けが発生しているため、果実が傷んで収穫前に大きなダメージとなる可能性がある。現時点では、収穫量が平年の20~30%減と見込んでいる。出荷のピークは10月で、その後12月中旬までの計画である。
かんしょは、徳島産は現在、収穫が5~6割程終了した。降水量の少なさは引き続き解消されておらず、例年に比べて小ぶりの仕上がりになっている。9~10月の出荷は前年並み、中心サイズも同様にLである。千葉産は、現時点では平年並みに掘り取りが始まったところで、当面のピークは10月と予想している。悪天候に見舞われたが、かんしょは影響を受けにくく平年作で、品種は「シルクスイート」と「ベニアズマ」で、サイズはL中心である。茨城産の「べにはるか」は9月に入り増え、12月がピークと予想される。「べにまさり」は年明け2月と予想される。作柄は平年並みである。
ごぼうは、現時点で青森産の早い作型の出荷が始まっているが、10月収穫物をメインに年内をピークに出荷する計画である。積雪後の12月は、冷蔵庫に保管したものを選別して出荷していく。前年はかなりの干ばつで細物が多かったが、今年は平年並みの仕上がりを予想している。
れんこんは、茨城産は当初は豊作を予想したが、実際に収穫すると4月に定植した露地物の本数が少なかった。8月の盆前の台風15号の直撃により、茎が折れたことや、6月の低温が影響し、前年の90%程度と少なくなる可能性がある。
かぶは、青森産は特別ピークはなく、9月も横ばいの出荷が続き、さらに10月も中旬までは同様のペースで推移し、10月いっぱいで切り上がると予想される。前年と前々年は高温で苦労したが、今年の作柄は良好で、生育も順調に推移している。
にんにくは、青森産は8月までは近隣の直売所で裾物が販売されていたが、9月に入り本格出荷を迎える。高温・干ばつの影響により前年は小ぶりのものが多かったが、今年は平年作で、特に上位等階級のものが多い。年末に一回ピークが来て、その後は翌2月にもう一度ピークとなるよう冷蔵庫で調整しながら出荷する計画である。
(執筆者:千葉県立農業大学校 講師 加藤 宏一)