令和8年の4~5月の天候は、全般的には干ばつ傾向であったが、適度な降雨もあり、野菜の生育にとっては理想的な環境であった。さらに6月に入ってすぐの台風は、水不足の地域にとって恵みの雨となった。7月は、産地が切り替わる重要な時期であるが、特別に供給がタイトになる場面はないと予想され、価格は平年並みと見込まれる。
昨年は猛暑が早く、6~7月はすでに異例の気温高であったが、高原野菜と北海道産は順調であった。しかしながら消費地では、猛暑の影響により外出して買い物をする頻度が減少し、火を使う調理が控えられる動きがあるなど、野菜全般の動きは良くなかった。このようなことから、いくつかの産地からは、荷動きを良くするため、適宜価格を下げ、特売を組んでほしいとの要望を聞いた。しかしながら、諸物価高騰の中にあって、都市部の大手量販店では、かつてのように野菜を特売価格で販売することが難しくなっているようだ。
一方、産地側では、今年はナフサショックにより資材費が前年に比べ3~4割値上がりし、生産者の中には、梱包資材が手に入らないために出荷ができない、作付けを減らすしかないなどの報道もあり、今後の野菜供給への影響が懸念される。
だいこんは、北海道産(道東)は、ほぼ例年と同様の7月16日頃から出荷を開始し、ピークは8~9月と予想される。生育は順調であるが、5月中旬に気温が氷点下になった日があり、この影響がどう出るか心配される。作付けは前年並みである。北海道産(道央)は、ほぼ例年並みの7月上旬からの出荷開始を計画している。今年は干ばつ傾向ではあるが、適度な降雨があり生育は順調である。青森産は、出荷のピークは6月で8月まで継続し、9月には秋だいこんになって再びピークとなると見込まれる。現時点(6月初旬)のサイズは2Lが多いが、L中心になると予想される。
にんじんは、北海道産(道南)は、6月から出荷を開始すると予想される。現時点で降雨が少なく、やや生育の停滞も見られる。ピークは6月下旬からとなるが、7月20日頃には出荷終了が見込まれる。品種は「紅みのり」、「紅うらら」である。青森産は、例年と同様の6月20日前後から出荷開始し、すぐにピークとなって7月上旬までは多く、7月いっぱいで切り上がると見込まれる。5月下旬の強風の影響はないが、やや小ぶりの仕上がりが予想される。
キャベツは、群馬産は例年通り順調に推移し、現時点(6月初旬)までで約5割は定植が終了している。4月には安定した降雨があり、5月に入り干ばつ気味に推移したため、5月末から出荷を開始するが、ピークはやや早くなり、7月15日過ぎから日量15万ケース、8月に入りお盆過明け頃には同20万ケースとなって最大のピークを迎えると予想される。岩手産は、定植作業などは順調だったが、5月23日の遅霜により一部で被害が生じ、葉が焼けるなどの影響が残ったため、生育は7日程度遅れると予想している。出荷は早くても6月20日頃からとなり、ピークは7月2週目以降と予想される。
はくさいは、長野産は6月に入りやや増え、そのまま7月には標高1300メートル地帯の
圃場からの出荷となるが、天候による影響はなく、例年通りの出荷が予想され、8月も横ばいで推移し、9月にやや増えると予想される。
ほうれんそうは、群馬産の露地物は6月の2週目まで順調に出荷され、20日過ぎからは雨よけ物となると見込まれる。7月は作付けが増え、前年を上回る出荷が予想される。栃木産は、5月2日の強風の影響で、施設に少なからず被害があったが、修復するための資材が入手できずに困っている。生育については、雪解けが早く全般に前進しており、強風被害による減収は見られない。6月中旬から現時点の2倍程度の出荷となり、7月中はそのまま横ばいで推移し、8月に入ってから出荷量が減少すると予想される。岐阜産はピークを過ぎたところである。今年は雪解けが早く、さらに干ばつで推移したため、全体的に生育が早まった。6月は一定量の出荷が続くが、7~8月は減少して推移し、9月10日過ぎから再び増えてくると予想される。
ねぎは、茨城産(茨城むつみ)の夏ねぎは、出荷が当初は出遅れ気味であったが、現時点では平年並みになってきている。盆前までは多く出荷されると見込まれる。2L以上のサイズが8割を占め、順調な仕上がりである。茨城産(岩井)は、6月と同様に7月も潤沢に出荷されるが、8月には減少し、9月以降はレタスに注力するため、7月ほど出荷は多くないと予想している。
北海道産のハウスねぎは、6月から道内に出荷を開始している。露地物は7月に入ってからで、東京市場にも出荷されると見込まれる。作付けは前年並みで、サイズはL中心から2Lと予想される。
ブロッコリーは、北海道産(道東)は、ほぼ例年通りの6月20日前後から出荷開始となり、当面のピークは7月上・中旬で、8月15日前後から再び増え始め、9月初めに再びピークが来ると見込まれる。今年の作付けは14ヘクタールと、前年の90%程度に減少した。
北海道産(十勝)は、現時点で出荷を開始しており、6月中旬から7月上旬までがピークとなり、その後はいったん減って8月後半に再び増えてくると見込まれる。作付けは、前年並みの115ヘクタールである。
長野産は、6月と同様のペースで7月も順調に出荷され、8月には減るものの、9月に再び増えると予想される。
レタスは、長野産は生育順調で、6~7月と増えていき、7月末頃には標高1300メートル地帯の圃場から出荷されると予想される。7月20日から8月中旬が折り返し時期となるが、最終出荷は10月までと予想される。干ばつの影響もあり、例年より2Lサイズの割合が低い。群馬産は5月末時点で出荷のピークとなっているが、6月に入りさらに増えて7月上旬まで潤沢なペースが保たれ、中旬から若干減り、一定の水準で8月まで続くと予想される。
きゅうりは、岩手産は現時点(6月初旬)で露地物の定植が始まっているが、出荷開始は6月下旬から7月上旬となり、全体の2~3割を占めるハウス物は、抑制栽培品も含めて10月まで出荷が続き、全体としての出荷のピークは、7月中旬から8月にかけてと見込まれる。福島産は、現時点でハウス物が順調に出荷されており、露地物は定植中である。露地物の早いものは6月中旬から始まり、7月上旬から本格出荷されると見込まれる。ハウス物の生産者が増えていることもあり、7月は前年並みに潤沢に出荷され、8月にはハウス物の抑制栽培に切り換える生産者もあり、若干落ち着いてくると予想される。
なすは、栃木産の露地物は現時点で出荷を開始しており、6~7月は右肩上がりに増えて、海の日(令和8年は7月20日)前後にピークを迎え、その後は盆前後まで多いまま維持すると予想される。他の作物から転作するなどして、作付けは前年を上回っている。茨城産の露地物は、現時点で出荷が始まっており、ピークは6月中旬から7月まで続き、8月の盆前頃に減ってくると予想される。現時点の天候はやや干ばつ気味であるが、かん水で対応できている。
トマトは、北海道産は現時点で平年並みに推移し、一回目の出荷のピークは7月上旬、二回目は8月上旬になり、盆明け頃から少しずつ減少が予想される。作付けは前年比で若干減少しており、中心品種は「桃太郎ブライト」である。青森産は、6月10日から出荷開始され、当面のピークは7月下旬から8月上旬と予想される。6月初めは気温高となり、その直後には低温となる予想があり、これは果菜類にとって好ましくない。品種は「桃太郎」と「りんか」である。群馬産の夏秋トマトは6月20日から開始し、当面の出荷のピークは海の日が過ぎたあたりとなり、出荷は11月上旬までと予想される。作付けは前年並みで、品種は「りんか409」で、サイズはL中心のMと見込まれる。岐阜産は現時点で定植中であり、7月から出荷が始まり、8月に入ってから本格化し、ピークは8月20日過ぎからと予想される。品種は「麗月」で、Lサイズ24玉中心と見込まれる。
ミニトマトは、北海道産(道北)は6月20日前後から出荷を開始し、ピークは8月上・中旬と見込まれる。生育は順調で、作付けは前年並みである。北海道産(道央)は6月下旬から出荷開始するが、本格的には7月に入ってからとなり、最大のピークは盆前頃と予想される。作付けは前年並みである。
ピーマンは、岩手産は現時点でハウス物の出荷が始まったところであるが、主力の露地物が始まるのは7月に入ってからとなり、7月下旬から8月にかけてピークとなることが予想される。5月の遅霜の影響により、一部で植え直しもあったが、出荷に大きな影響はない。福島産は、全体の1割程度を占めるハウス物が、例年と同様に5月末頃から出荷が始まった。露地物は、5月下旬に定植が終わったところである。出荷のピークは、7月中・下旬と予想される。今年の天候は全般に干ばつ傾向であったが、5月下旬には降水もあり、生育はほぼ順調である。
ばれいしょは、北海道産(道央)羊蹄山麓の「キタアカリ」は7月中旬から掘り取りを開始し、下旬から出荷開始が見込まれる。今年は雪解けが早く、好天が続き、やや干ばつ気味である。5月下旬には一部で降霜被害が発生し、27・28日には降雨もあった。北海道産(道南・今金)の男爵は「早出し芋」と「秋芋」と商品を分けており、前者は7月20日頃から出荷開始し、8月中旬にピークを迎え、後者は9月20日頃から販売が開始されると見込まれる。今年の道南の気象は、ほぼ干ばつが継続したが、適時に降雨があり、生育にほぼ影響はなかった。静岡産の「三島メークイン(三島馬鈴薯)」の市場販売開始は6月20日頃からで、7月上旬に出荷のピークとなり、ほぼ7月いっぱいで終了の見込みである。突風被害もあったが、生育はやや進んでおり、やや小玉傾向と予想される。千葉産の「メークイン」は6月中旬から始まり、7月いっぱいの出荷となり、収量は平年並みが予想される。6月に降雨があり、玉肥大も心配ないと見込まれる。作付けが減少したことから、出荷量は前年を下回ると予想される。茨城産の「とうや」はやや早めに出荷が始まり、ピークは6月中旬で、7月中・下旬までの出荷が見込まれる。生育は順調で、L中心のサイズで前年を上回る出荷が予想される。
たまねぎは、兵庫産は6月中・下旬に田植え作業があるため、たまねぎの出荷は減少気味となり、7月に入り再び増量し、市場出荷は8月いっぱいと予想される。7月は倉庫で乾燥した物の販売となるが、ほぼ前年並みで平年並みである。佐賀産は、現時点(6月初旬)では
晩生の収穫が始まったところで、8月いっぱいの出荷と見込まれる。作柄としてはやや豊作で、サイズはL中心と予想される。香川産は、3月後半から
極早生物が始まり、5月末時点で
中生の物の出荷がピークとなっており、6~7月は生で出荷され、7月20日頃にはいったん切り上がると予想される。盆前頃までは吊り玉物が若干出荷されると見込まれる。
さといもは、宮崎産の「石川早生」は8月に入ってから出荷開始し、ピークは8月下旬から9月である。定植後に乾燥気味であったため、玉肥大は緩慢と予想される。作付けは前年並みである。
アスパラガスは、佐賀産は5月末頃までは動きが鈍かったが、6月の夏芽になって増え始めた。出荷は10月いっぱいまで続くが、梅雨の時期の気温次第で、夜温が高ければ出荷は増えると予想される。新潟産は、今年は4月から多く出て前進したため、7月の出荷は少なく上旬までの出荷となり、立茎物の出荷はないと見込まれる。
セロリ(セルリー)は、長野産は6月後半以降ハウス物から露地物に切り換わり、7~8月はほぼ横ばいで推移し、9月に入り増量すると予想される。現時点(6月20日)では生育順調である。
かぼちゃは、北海道産はほぼ例年並みで、7月下旬から始まり、8月初め頃にピークを迎えると予想される。圃場の雪解けが早く、現在も気温高傾向であるが、全般的には干ばつ傾向にある。作付けは前年よりやや減少している。品種は従来と同様「みやこ」である。栃木産は、ここ最近の気温高により、生育が進んでいるため、例年より早めの6月下旬から出荷を開始し、ピークは7月中・下旬と予想される。作付けは前年並みで、品種は「ETかぼちゃ」と「ほっこりえびす」である。
スイートコーン(とうもろこし)は、群馬産の露地物が7月上旬から出荷開始し、ピークは7月下旬と予想される。作付けは例年を上回っている。市場出荷が中心だが、一部には観光客向けの販売もある。千葉産は、例年通り6月下旬から出荷開始となるが、強風の影響でやや遅れていることに加え、全般に小ぶりに仕上がることが見込まれる。7月中旬から7月いっぱいがピークとなり、8月上旬に大きく減少することが見込まれる。北海道産は、現時点で
播種が終わったところである。今後の気温次第で早まる可能性はあるが、出荷は7月20日過ぎから始まり、8月に入りすぐにピークとなると予想される。作付けは前年並みである。
かんしょは、香川産の「坂出金時」は、ほぼ例年通り7月初めからの出荷開始となり、7~9月までが多く、販売は年明けまで長く続くと見込まれる。生育は順調で、2L・Lのサイズが出荷の中心となると予想される。
にんにくは、青森産は6月14日から掘り取りを開始し、6月下旬が収穫のピークとなる。農協の市場出荷は9月に入ってからだが、近隣の道の駅などでは、7月に入り生果が販売されると見込まれる。前年と同様に、今年も木・葉ともに小ぶりであったため、やや小玉傾向と予想される。香川産の早生は4月10日から始まり、6~7月は乾燥した物の販売となると見込まれる。今年の作柄は1~2月が乾燥していたため、やや小ぶりに仕上がっている。全般には平年作で、前年並みが予想される。
メロンは、北海道産(道東)の「レノン」は7月上旬から出荷が始まり、ピークは8月上・中旬と見込まれる。同じく赤肉の「レッド113」は、盆前後から8月いっぱいと見込まれる。作付けは、前年の95%と若干減少している。青森産の「
貴味メロン」は6月下旬から出荷が始まり、7月中旬から8月上旬にピークとなり、8月下旬で終了すると見込まれる。作付けは前年より増えている。
すいかは、長野産は例年と同様に7月5日から出荷を開始し、ピークは7月下旬から盆前までとなり、盆明け後も急減することなく出荷が継続すると見込まれる。品種は「祭ばやし系」である。神奈川産は、6月下旬から出荷が始まり、ピークは7月中旬から7月いっぱいと予想され、8月に入ると徐々に減少し、盆明けには少なくなると見込まれる。こだますいかは6月中旬から始まり、ピークは7月上旬までと見込まれる。品種は生産者の自由裁量に委ねられており、「
姫甘泉」が多いが、他にも多品種がそろっている。山形産は例年並みか、やや早めの7月10日頃に出荷開始し、ピークは7月25日前後で、8月に入ると減少して推移すると見込まれる。作付けは前年並みで、品種は新しく「祭ばやし
777α」である。2L以上のサイズの出荷が予定されている。
えだまめは、群馬産は標高300~700メートル地帯の圃場からの出荷物であるが、盆前に出荷するものの定植を終え、出荷のピークは7月下旬から8月で、9月に入り減少していくと予想される。現在までのところ生育は順調で、仕上がりは良い。青森産は平年より5日程度早く、6月末から出荷が始まる見込みである。7月は増加しながら推移し、ピークは8月の盆前頃と見込まれる。茶豆系の出荷開始は、8月後半と予想される。埼玉産は6月中旬から露地物の出荷となり、6月20日頃にピークを迎え、7月には減少しながら推移するが出荷は9月まで続く見込みであり、ほぼ平年並みと予想される。
(執筆者:千葉県立農業大学校 講師 加藤 宏一)