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需給動向 野菜情報 2026年1月号

2 首都圏の需要を中心とした1月の見通し

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野菜振興部・調査情報部
 令和7年の秋冬野菜は、過去数年と違った展開を見せている。猛暑を避けて作付けを後半にずらすなどしたため、11月に出荷が急増することがなく、むしろ例年より遅れている。九州では8月の豪雨が冬春物に悪影響を残し、特にトマトが大幅に出遅れた。関東以西は全般に10月中旬まで残暑が長く居座り、秋の長雨はやや遅れて10月にあった。11月には全国的に干ばつ傾向となったが、昼夜の寒暖差が大きかった。これらの影響から、野菜の全般の生育は緩慢である。東北は積雪が前年より遅かったため、ねぎなどは12月初め頃まで出荷ができ、関東の出遅れをカバーできた。キャベツは、12月に入り増えてきており、年末年始に供給がひっ迫するような品目は見当たらないと予想される。ばれいしょとたまねぎは、やや不作で静かに高値が予想される。スーパーなどの店舗では、1パック当たりの個数を減らしている。たまねぎを大量に使う飲食店は、輸入の中国産を調達すると見込まれる。全体的には1月も引き続き堅調な価格で推移することが予想される。
 
タイトル: p017a
 だいこんは、千葉産は、12月20日前後に当面のピークが来て、その後、いったん減少が予想される。寒さの影響によりそれほど肥大しておらず、年明けの長期予報では、低温・乾燥が予想されているため、1月の出荷は平年を下回る可能性がある。トンネル物の春だいこんが始まる2月中旬の前半頃に、さらに少なくなる可能性も予想される。神奈川産は、台風15号の通過後、9月5日以降に定植された物が今後順調に出荷を伸ばしてくると見込まれる。12月下旬にピークとなり、1月も引き続き潤沢な出荷ペースが維持され、天候に問題がなければ、前年並みが予想される。静岡産は、ピークは1月中旬から2月上旬にかけてと予想される。播種(はしゅ)は例年より遅れたが、前年のような干ばつの影響は受けていない。現時点(12月初旬)では、2Lサイズが中心の出荷となっているが、年明けはLサイズが中心となると予想される。今後は、よほどの寒波が来ない限り、順調に肥大すると予想される。徳島産は、生育は順調で、12月下旬から翌1月いっぱいが出荷のピークとなり、サイズはL・2L中心と理想的な大きさに仕上がっている。
 
 にんじんは、千葉産は、12月初めから10日頃が、年内の出荷のピークとなっている。年明けに出荷される物は、盆明け後に播種された物であり、干ばつで遅れる可能性があり、例年に比べると葉が小さめではあるが、今のところ順調に出荷されると見込まれる。出荷のピークは1~2月であり、出荷が遅れた場合は、3月の中頃まで続くと見込まれる。品種は「ベーター441」である。埼玉産は、冬にんじんは11月下旬にやや多く出荷され、その後12月中旬に再び増えて、年明け1月はかなり少なくなると予想されるが、全般に小ぶりの仕上がりである。品種は「愛紅」、「紅ひなた」が主体である。
 
タイトル: p017b
 キャベツは、千葉産は、現時点で寒さによる生育遅れが見られ、農家によっては出荷を止めるなどしており、出荷量が揃っていない。年内いっぱいは、例年のように急激な増量はなく、一定のペースで続き、年明け1月も12月と同様のペースで推移すると予想される。静岡産は、例年通り「キャンディーキャベツ」が12月20日から始まるが、前年は定植時期に悪天候が続き出荷は少なかった。今年は順調で1~2月をピークにほぼ例年通りの出荷で、前年を大幅に上回ると見込まれる。生育も順調であり、さらに作付けも増えており、東京市場と大阪市場を中心に、名古屋市場にも出荷される予定である。神奈川産は、ここ数年は前進傾向できたが、令和7年は平年並みの動きで、干ばつ気味の影響によりやや小ぶりの仕上がりとなっている。1月については早春物であるが、前年をやや下回る出荷が予想される。愛知産は、11月は平年をやや下回る出荷となったが、月末頃には平年並みに追いついてきた。12月には順調に出荷され、年明け1月は最大のピークである3月に向けて増えながら推移すると見込まれる。現状は、やや小さめの仕上がりで、8玉サイズが中心である。
 
 はくさいは、茨城産は、定植が遅れたことに加えてその後の生育も遅れたため、現時点の出荷量は例年よりも若干少なめであるが、11月末~12月が出荷のピークとなり、その後は2月上旬まで続くと見込まれる。現状は若干小ぶりの物が多く、3玉サイズはほぼ見られない。1月も小玉傾向であることから、出荷量としては平年を下回ることが予想される。
 
 ほうれんそうは、群馬産は、播種時期から干ばつ傾向であるが、かん水できたために遅れはなく、特にハウス物は安定しており、11月末時点では平年並みの出荷となっている。12月が当面のピークであるが、1月も同じペースでピークが続くと見込まれ、出荷量は前年並みが予想される。埼玉産は、生育は順調で12月に入りピークが来て、年明け1月は2月の最大のピークに向かって右肩上がりで増えながら推移すると見込まれる。作付けは減少しており、ほうれんそうから、さといもやにんじんへの転換が増えている。
 
 ねぎは、千葉産は11月末までは干ばつ傾向の影響により、前年と同様に少なめの出荷となっている。12月に入りようやく増え、下旬にはピークとなり、1月はさらに増えながら推移し、最大のピークは3月初め頃と予想される。茨城産は、9月までは干ばつ傾向であったが、10月に入り雨が続き、11月は再び干ばつが続き、25日にようやく雨が降った。現時点では畑には十分にあるものの、肥大不足の状態である。直近2年の令和5年も6年も決して潤沢に出荷できていないが、7年内は多くなかった前年並みの出荷にとどまり、12月~翌1月は、良くて前年比微増と予想される。埼玉産は、秋冬ねぎは目揃え会を終えても、夏の猛暑と干ばつの影響から仕上げが遅れ、まだ本調子の出荷ではない。例年のピークは12月中・下旬に1回、さらに2回目は1月中・下旬~2月上旬となるが、やや遅れる可能性が見込まれる。現時点は細物中心の出荷となっているが、年明けには太物中心になることが期待される。
 
 レタスは、香川産は、干ばつもあり思ったほど出荷が増えておらず、12月に最大のピークが来て、年明けは若干減り、その後は一定のペースで2月まで続くと見込まれる。静岡産は、10月中旬以降はほぼ降雨がなく、降雨がなければ肥料を吸収できないので生育は緩慢である。当面のピークは12月末となり、1~2月も引き続き多く出荷できると予想される。兵庫産は、作付けが減少したことにより現時点までは例年より少なめの出荷が続いている。夏の定植時期は暑かったが、9月には降雨もあって生育は順調であり、年末頃に出荷のピークとなり、年明け1月は年内の6割程度まで減少し、3月に入ってから再び増えてくることが予想される。
 
タイトル: p018
 きゅうりは、高知産は、晴天が続き生育は順調で、ここ5年平均比120%の出荷で年内も安定して出荷ができ、引き続き1月も前年を上回り、最大のピークは4~5月となることが予想される。千葉産は無加温の抑制物が終盤で、年末年始は越冬物となる。越冬物は11月に最初のピークが来て、その後の出荷量は、気温により、農家が燃料をたくかどうかに左右される。例年であれば、1~2月は大きなピークはなく、一定のペースで出荷が続くと予想される。宮崎産は、定植時期が気温高で大変であったが、問題なく乗り切り、現時点(12月初旬)が出荷のピークで、年末年始は一定以上の出荷ペースを維持できると見込まれる。作付けはほぼ前年並みである。
 
 なすは、高知産は、令和7年の定植時期は高温であったが、日照時間の問題はなく、前年ほどの影響も受けずに順調であったため、平年並みの出荷となっており、12月後半~翌1月上・中旬がピークと予想される。福岡産は、現時点では生育順調で、例年通りの動きになっている。12月に入りやや減少し、年末から1月にかけて再び増量してくると予想している。
 
 トマトは、愛知産は日照不足による着色の遅れにより、11月までは例年を大幅に下回ったが、12月初め頃には平年並みに回復して、年明け1月は例年通りの出荷が予想される。熊本産は11月末の段階ではピークは来ておらず、例年よりも2週間以上後ろにずれている。圃場(ほじょう)にはトマトが樹に十分付いているが、実割れなどにより出荷できない物も多く、苗の時期の大雨の影響や11月に入ってから寒暖差が大きいなど、複合的な要因で出荷が少なくなっている。12月下旬頃には前年並みに回復し、1~2月は前年並みの出荷が見込まれる。佐賀産は、「光樹とまと」は年明けすぐの1月上旬から例年通り出荷が始まる。最大のピークは4~5月で、1~2月は増えながら推移すると見込まれる。サイズはL中心のMで入荷するが、定植の時期は暑い時期が過ぎており、生育は順調である。
 
 ミニトマトは、和歌山産は越冬物となるが、8~9月の定植であり、猛暑の中でのスタートとなった。そのため、11月までは花落ちなどにより少なめの出荷となった。12月からは平年並みに回復し、1月までは平年並みかややそれに近い水準をキープできると予想される。品種は「キャロル7(セブン)」である。熊本産は、雨の被害はそれほどなかったが、猛暑の影響から例年より7日程度の遅れになっている。12月に入り平年並みに回復してきて、1月は例年と変わらないが、作付面積が減っており、量的には前年の90%程度と予想している。
 
 ピーマンは、高知産は、令和6年は定植時の高温と降雨が多かった影響により少なめの出荷であったが、7~8年の年末年始は順調な入荷が見込まれる。12月~翌1月は前年の110%程度の出荷が予想される。宮崎産は、9月中・下旬定植の促成物となるが、暑さの影響により10月は少なめの出荷であり、11月末時点では平年並みの出荷となっている。12月に入りいったん減り、中・下旬に再び増えるが、年明けには12月よりも減少する展開が予想される。茨城産は、現時点で秋物の終盤を迎え、春物に植え替える時期となっている。一方、加温の促成物は猛暑の影響を受けており、3月までは一定のペースの出荷で、平年より少なめの出荷が見込まれる。
 
タイトル: p019a
 ばれいしょは、北海道産(道央)は、「男爵薯」の年明け販売は1月10日から始まるが、収量は前年の80~90%と少なかった。2月いっぱいは、Lサイズ中心の出荷が見込まれる。「キタアカリ」は平年作で、L・M・Sサイズが満遍なく揃う。例年は4月まで注文に対応しているが、今季は注文が多くきており、出荷のペースが早く2月いっぱいで終了する可能性がある。
 
 たまねぎは、北海道産(道央)は、春先の定植の遅れも影響し、夏場の暑さで早く倒伏したため、全般的に小玉に仕上がり、収穫量は前年の60%とかなり少ない。出荷は早く切り上がる方向で、2月いっぱいまでと見込まれる。中心サイズはM寄りになる見込みである。商系の情報によると、公表された過去10年の平均収量(道内)の93万トンに対し、令和6年が85万トン、7年が75万トンと、両年ともかなり少ない。市場への出荷は、道内の農家からかき集めても前年の70%程度にとどまると予想される。静岡産の白たまねぎ「ホワイト」は、例年と同様に12月下旬から出荷が始まるが、本格的には1月からで、2月いっぱいでほぼ切り上がる。黄たまねぎは年明けから始まり、3月いっぱいで切り上がる。いずれも生育は平年作で順調であり、Lサイズ中心と平年並みである。
 
 さといもは、埼玉産は、平年より少なめの出荷が予想される。Lサイズが中心で、2Lサイズは少ない。1月は伏せ込み作業をしながら、畑から収穫した物の出荷となり、2月から貯蔵物の出荷となる見込みである。
 
タイトル: p019b
 ごぼうは、全国的に見ると、量的に中心になるのは青森産である。12月から貯蔵物の出荷となるが、夏季が暑過ぎたため、二股になる物が見られるなど、荷姿が悪く、品質は総じて良くない。それでも、不作であった前年を量的に上回ると見込まれる。九州の短根物は遅れて出方は鈍い。主に水田で作られているが、一部が稲作に転換されている可能性もある。
 
 ブロッコリーは、香川産は、12月は11月より増えて、年末頃から年明け3月までピークが続くと見込まれる。作柄が悪く出荷量の減った前年を上回ると予想されるが、作付けは前年を下回っているため、大幅に増えることはないと予想される。愛知産は、10月下旬から11月いっぱいまでほとんど雨が降らず、前年と同様に出荷は平年を大幅に下回っている。例年のピークは12月~翌3月までであり、畑には十分な量はあるものの、降雨を待つ状況である。熊本産は、定植が順調に終了し、雨が少ない状況であるが、降り始めると若干なりとも出荷は増えてくると予想され、当面12月~翌1月にかけてピークが来ると見込まれる。極端な低温があればブレーキとなるが、基本的には潤沢に出荷されることが予想される。
 
 カリフラワーは、福岡産は、12月の出荷分については、雨で苗を流されたために少なかった。1月の出荷分については間に合い、12月中旬からが平年並みの出荷となる見込みである。生育は順調で、平年をやや上回る出荷が予想され、ピークは3月いっぱい続くと見込まれる。熊本産は、作付けは前年の80%程度と減っており、ピークは3月で、年内から1月も出荷は続くことが見込まれる。オレンジや紫などの色物も用意しているが、業務向けに需要があると予想される。
 
 アスパラガスは、佐賀産は、ハウス物が例年通り1月上旬から出荷が始まり、ピークは2月下旬で、徐々に増えながら推移すると見込まれる。株の充実については、今のところ前年並みと予想される。
 
 かぼちゃは、商社からの情報によると、メキシコ産は作付けの遅れから例年より遅れており、1~2月は少なめの出荷が予想される。
 
 かんしょは、徳島産は、令和7年産は豊作傾向で、形状も膨らみがあってやや大きめである。12月に続き、1月も潤沢に出荷されると見込まれる。石川産は、「五郎島金時」は平年作で、出荷のピークが1月20日頃から3月いっぱいまでの見込みである。大田市場へは連日出荷され、M・Sサイズが中心となる。茨城産は、収量は前年並みで、年明けも「紅優甘(べにゆうか)」(べにはるか)の出荷となる見込みである。「べにまさり」は、2月中旬から出荷が始まる。サイズはL中心と2Lであるが、形状としては細長い仕上がりである。
 
 にんにくは、青森産は、前年に比べ気象上の問題はなく、収量は多く平年並みである。Lサイズ中心の2Lと、県南の産地よりも肥大は良好である。現時点では、貯蔵物の出荷が始まっており、全量市場出荷で地域の直販はない。
 
 ナバナは、千葉産は、早生の品種から晩生に切り替えたため、前年より2週間の遅れとなっている。令和6年は播種時期の天候不順で、シーズン前半は不作であった。このため、前年を上回る出荷が続き、12月から翌3月にかけてピークとなると予想される。200グラムの人形巻き(ナバナを紙で包んだ結束物)を中心に、FG(青果用防曇袋)の200グラム、さらに100グラムパック物となる見込みである。
 
 豆野菜は、鹿児島産は、現時点でスナップえんどうは出荷を開始しているが、播種作業の遅れにより例年より少なめの出荷となっている。12月中旬から増えてきて、年明け1月には平年並みに回復してピークとなり、2・3月と出荷のピークが続くことが予想される。グリーンピース(実えんどう)はスナップえんどうと同じ展開で出荷されると見込まれる。そらまめは、年内は少なく、1月に入り多少なりとも増えてくると予想される。気象災害などの影響はないが、作付けの減少が続いている。
(執筆者:千葉県立農業大学校 講師 加藤 宏一)