夏野菜の生育は順調で、平年並みの進捗状況であり、直近2~3年のような高温による前進はない。東北・北海道の果菜類の出荷開始は前年より遅く、この春の雪解けが例年より一週間遅かったことも影響した。それでも、7月の産地の切り替え時期に出荷が少なくなるといった状況は、今のところないと予想される。一方で、
圃場の生育状況は昨年と真逆で、全国的に5月までの夜温が低く、極端に暑くなる日があっても積算温度が足りず、全体的にやや小ぶりに仕上がっている。長雨ではなくても、適度またはそれ以上の降雨があり、土が乾く期間がないとの声があった。終盤を迎える加温物は、豊作傾向との報告もある。一方で、6月初めまで快晴の日が続かなかった場合には、7月に入って想定より荷が集まらないといった状況も予想され、特に6・7月に急激な気温の上昇があれば、樹木や果実がダメージを受け、7月に入り市場で複数品目の不足が発生すれば、市場価格は中央市場に引っ張られ、平年より高めに推移することも考えられる。

だいこんは、北海道産(道南)は前年より5日程度遅い7月3日頃から出荷開始の見込みである。作付けは前年並みで、生育は順調である。北海道産(道東)は、例年よりやや遅い7月21日から共選出荷開始の見込みである。作付けはほぼ前年並みで、出荷が始まると10月初めまで一定ペースで続くと予想される。青森産は、出荷のピークが6月中・下旬で、6月末頃から減少し、7月には6月の半量程度となり、その後10月まで継続する見込みである。
にんじんは、青森産は例年並みの6月20日前後からの出荷開始となり、ピークは7月上旬で、7月末頃には切り上がると予想され、一部残量が8月の極めて早い段階まで出荷されると見込まれる。作付けは前年並みで、品種はトンネル物が「
彩誉セブン」露地物が「
紅吉」。サイズはL中心である。前年は猛暑ではあったが、平年作となった。北海道産(道南)はほぼ例年通りの6月20日前後から出荷開始する。
播種は例年通り行われたが、3~4月の天候不順で遅れている。ピークは7月初め頃で、販売は7月いっぱいと予想される。品種は「紅みのり」である。サイズはL中心と予想される。千葉産(香取郡)の夏にんじんは、出荷開始が遅れて6月10日頃に出そろう見込みである。6月初旬時点で生育は順調であり、Lサイズ中心であるが、ピーク時からMサイズが中心になると見込まれる。7月20日過ぎまでの出荷はあるものの、量的に多いのは7月前半までとみられる。作柄としては、播種時期の天候不順から欠株があるなど、特に良好というわけではない。千葉産(船橋市周辺)の生育は遅れており、5月末時点でまだピークに至っておらず、6月中旬にピークが来ると見込まれる。

キャベツは、群馬産は前年よりやや遅い6月5日頃から出荷開始したものの、量的には少ない。6月20日頃から本格的に増えて、7月は平年並みに出荷されると見込まれる。大きさは8玉が中心である。初期に
凍霜害がなく、適度の降雨もあり生育は順調である。岩手産は、早い生産者で6月20日前後から出荷が始まるが、前年が16日から始まっていたため、やや遅れている。生育そのものは順調で、ピークは7月20日頃からである。作付けは、ほぼ前年並みである。長野産は、6月20日から始まるが、生育は順調で7月中旬にピークとなる見込みである。8月に入るとピーク時の半分程度となり、再び増加するのは9月下旬に入ってからと予想される。
はくさいは、長野産は本格的に出そろい、6月に入りピークとなっている。6月後半には減少しピーク時の半量以下になるも、7~8月の出荷が続き、9月に入り徐々に増えていくと見込まれる。ほぼ平年並みの出荷であるが、玉肥大は順調で、平箱が多いと見込まれる。
ほうれんそうは、群馬産の雨よけ物は6月10日過ぎから出荷開始し、ピークは7月に入ってからと見込まれる。播種作業は順調で、盆過ぎ頃までは通常通りの出荷ができると予想される。量としては平年並みである。栃木産は雪解けが遅れて、作付けは遅れた。出回りも3~7日の遅れになり、出そろうのは6月10日過ぎからで、ピークは6月中旬から7月中旬までと見込まれる。8月に入ると、暑さの影響で出荷は減少してくると予想される。作付けは前年並みで、6月初旬時点で生育は順調である。
ねぎは、千葉産の夏ねぎの生育は順調で、現状は平年並みの出荷となっている。7月後半には減少に転ずるも、7月いっぱいまで多く、8月上旬に終盤となる見込みである。今年は太さも十分で、前年をやや上回る出荷が予想される。現状は、年末年始のねぎの定植も順調である。茨城産の夏ねぎは生育順調で、前年を上回る出荷となっている。今年の天気がねぎに適していたため、半分以上が2Lサイズと肥大良好である。7月中旬まで潤沢なペースが続き、その後は減少し、盆の前後が最も少なくなると見込まれる。
レタスは、長野産は例年通りの出荷となっており、当面のピークは6月15日から7月いっぱいで、量的には前年並みと予想される。群馬産は順調な出荷が続いており、7月に向けて現状と同程度の安定した数量を維持できると見込まれる。盆明けから数量は減少してくると予想される。

きゅうりは、福島産はハウスの半促成物で7月に入りピークを迎える。8月に入り減少し、9月に増加し11月までと予想される。雨よけ物は、6月10日過ぎから始まり、7~8月がピークとなり、10月いっぱいまで出荷が継続すると見込まれる。露地物は6月末から始まり、7月中旬から8月上旬にピークとなり、9月いっぱいまでの出荷が予想される。群馬産は、低温と日照不足はあるものの生育は順調で、特別減ることはなく6月10~20日の間に切り上がると見込まれる。埼玉産は入梅が気になるところであるが、現状はやや少なめで、加温物の生産者は6月中旬には出荷を止めてくると予想される。無加温物は7月中旬までで、下旬からは一時的に休みに入る。7月は、猛暑で減少した前年を上回ると見込まれる。
なすは、栃木産の主力である露地物は、気温が低く一週間程度遅れ、現状は少なめの出荷となっている。ピークも後ろにずれて、7月25日頃と予想される。群馬産のハウス物は、例年よりやや少ないものの、順調に出荷されている。露地物も順調で6月中旬から開始し、例年並みのペースである。ピークは7月中旬から盆前までと予想される。福岡産は6月に入り、生産者の半数が出荷を止めて、7月は10日頃までとなる見込みである。今までのところ、この作については豊作であった。6・7月も、猛暑で少なかった前年を上回ると見込まれる。寒暖差があったことが、豊作になった理由と考えられる。
トマトは、北海道産(道央)は例年より7日程度遅れの5月4日から出荷開始となった。関東へは5月20日から始まり、出荷のピークは例年より後ろにずれて、7月末頃から8月の盆前になると予想される。天候は徐々に良くなっているものの、夜温が低いため着色が遅れている。品種は「桃太郎ブライト」で、当面はLサイズ中心だが、ピーク時にはMサイズ中心となると見込まれる。北海道産(道南)は4月13日から共選を開始し、促成作のピークは6月中旬から7月上旬までとなり、抑制作は盆明けから始まり、9月中旬がピークとなる見込みである。品種は前年までの「桃太郎ネクスト」から「桃太郎ブライト」「桃太郎みなみ」「
麗月」「レオン」に変更した。作付けは前年比で微減である。青森産(県南)は早い生産者で5月20日から出荷が始まったが、例年より5日遅い。6月中旬には出荷のピークを迎える見込みである。ここ2~3年は気温高から出荷量が減少したが、今年の出方は平年並みと予想される。作付けは若干減少している。品種は「りんか」「麗月」である。青森産(県北)は、6月20日過ぎから始まるが平年並みで、ピークは7月後半から8月初め頃と予想される。作付けは今年も減少しているが、着果は今のところ順調である。
ピーマンは、岩手産の出荷は開始しているが、4~5月の低温の影響により例年の70%程度と少ない。平年に追いつくのは6月20日前後になると予想される。露地物は、やや遅れはあるが6月下旬から開始し、その後本格的に増加してくると予想される。害虫の発生や強風もあったが、樹のバランスは良好である。最大のピークは8月上中旬となろう。茨城産の春ピーマンは6月中旬まで多く出荷され、その後7月10日過ぎに終了すると予想される。温室物は、徐々に生産者が減っているが、こちらも同様のペースで7月14日頃に切り上がると予想される。秋の抑制物は、8月に入ってから出荷を開始すると見込まれるが、少なかった前年を上回るものの、平年並みと予想される。福島産の露地物は、出荷開始は7月10日過ぎで、6月初旬時点では定植したばかりである。

ばれいしょは、北海道産(道央)の「きたあかり」は、春先の低温と4月の降雨が多かったため植え付けが7日~2週間遅れ、出荷開始は例年より7日程度遅れて、7月下旬からと予想される。5月の天候は、雨は適度であったものの全般に低温傾向であった。北海道産(道南)の「
今金男しゃく」は、播種作業が10日から2週間の遅れとなった。前年は7月の終わりに出荷を開始したが、今年は8月に入ってからになると予想される。長崎産は、早い物が遅れて心配したが、本年産については豊作基調である。いもの仕上がりは大玉傾向で、品質も良好である。6月いっぱいは潤沢に出荷できると予想される。作付面積は以前よりも減少しており、7月の出荷はほぼないと見込まれる。
たまねぎは、兵庫産は
早生の最終盤となっているが、平年比ではやや少なめの状況にある。6~7月は
中生から
晩生となるが、適度の雨があり平年並みのLサイズが中心となる見込みである。6月は収穫に注力するため出荷量が減少するものの、7月にピークを迎えると予想される。佐賀産は、生育の遅れと小玉傾向であったことが影響し、現在までの出荷実績は前年の70%と少なくなっている。今後回復が見込まれるが、出荷量は前年を下回ると予想される。6月に入り中生の収穫と選果に入っているが、6月に続き7月の出荷も同程度かやや少なく、8月には減少してきて終盤に向かうと見込まれる。サイズはLが中心である。

ブロッコリーは、青森産はハウス物が始まっており、露地物は6月3日頃から出荷を開始した。定植が例年より2週間程遅れ、出荷のピークは6月20日過ぎからとなる。定植の遅れから7月10日前後まで出荷がある見込みである。コメ価格の高騰を受け、稲作に戻す生産者がおり、作付けは前年に比べて80%と減少した。北海道産の出荷開始は、例年通り6月に入ってからとなる。早すぎた前年と比べると、やや遅い始まりである。作付けは前年並みで、ピークは6月末頃から7月の第一週までだが、その後10月まで出荷が続くと予想される。
かぼちゃは、神奈川産は、横須賀から始まって、三浦は6月中旬からの平年並みで、出荷のピークは6月下旬から7月上旬と見込まれる。栃木産は、前年は7月初めからの出荷であったが、トンネル物から露地物となるため、ほぼ前年と同様の展開が予想される。現状の生育は順調で、品種は「ET」と「ほっこり」である。
かぶは、青森産は気温が低めであるため7日程度遅れ、出荷開始は早くて6月20日前後からと予想される。6~7月にピークはないものの、平準的に出荷されると見込まれる。作付けはほぼ前年並みである。
スイートコーンは、北海道産は例年通りの7月25日以降の出荷と予想され、それ以降2週間がピークとなる。作付けは100~110ヘクタールと、例年と同程度の見込みである。今年はゴールデンウイーク頃の天気が悪く、また、過去2年よりも気温が低い。千葉産は、6月初旬時点で遅れており、7月15日以降から出荷開始し、25日頃にピークとなると予想される。8月に入り徐々に減少し、盆前に切り上がると見込まれる。作付けは前年並みである。
えだまめは、千葉産はハウス物からトンネル物も出荷を開始してきた。霜の被害もなく、生育は順調である。7月に入ってピークとなり、特に海の日(21日)前頃に多くなると見込まれ、ほぼ7月いっぱいで切り上がる。山形産の「だだちゃ豆」は低温気味でやや遅れ、7月末か8月初め頃から出荷開始し、盆前がピークと見込まれる。作付けは種が悪かったため、前年の90%と減少した。
さやいんげんは、福島産の「ジャンボ」は、前年より5日程度遅れて7月初めから出荷を開始し、15日頃がピークとなり、8月にはかなり減少し、9月に入り再び増加すると見込まれる。作付けは微減である。
にがうりは、長崎産は6月に入り増えてきて、6月中旬にピークを迎え8月10日頃までの出荷が予想され、前年よりやや遅いペースである。群馬産は、6月15日頃からハウス物は問題なく開始するが、露地物は半月程遅れている。7月に高温になれば、急増する展開も予想されるが、現状では樹はまだ小さめで、露地物にとっては、寒暖差は良くない。
メロン(貴味メロン)は、千葉産は、前年より若干遅い6月初めからの出荷となったものの、平年並みである。ピークは6月20日頃から7月いっぱいで、8月の初め頃に切り上がると見込まれる。現状の玉肥大は、例年よりやや鈍いとみている。作付けは前年と比べ微減である。
すいかは、山形産は7月15日頃から始まり7月下旬にピークとなり、8月に入って減少が見込まれる。7月に全体の7割が出荷される。交配が始まってから低温傾向で苦戦しており、前年の出荷開始は7月10日であったため、今年は5日程度遅れている。神奈川産の小玉は、6月中旬から下旬にかけて開始し、ピークは7月初め頃となる見込みである。中心品種は「
姫甘泉」である。大玉は6月下旬から始まり、7月中旬にピークと予想される。6月初旬時点で交配時期に入っているが、天候が悪くやや遅れる可能性も見込まれる。長野産は例年と同様、7月5日から開始し、7月は徐々に増加し、8月の盆前後がピークとなると予想される。品種は「まつりばやし」系で、3Lサイズを中心の出荷と見込まれる。
(執筆者:千葉県立農業大学校 講師 加藤 宏一)
